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プロフィール
コメント数 204
性別 男性
年齢 46歳
自己紹介 専門は邦画とヨーロッパ映画(特にフランス)。気に入った監督や俳優がいればひたすら観つづけるので、どうしても同じジャンル・国に集中してしまうようです。(だからあまりハリウッドを観ない。)

最近引っ越してしまい、なかなか映画を気軽に観ることができなくなりました。撮りためたビデオとDVDばかりになりますが、観たものは書き込んでいこうと思っています。

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1.  六月の蛇 《ネタバレ》 
とりあえず、観終わった感想を2つ書こう。一つは、映画としての美しさ。画面を覆う雨、倫子の肌をつたう汗。薄暗い中にも浮き上がるほどの映像美。そして一つ一つがクッきりと耳に残る音響。セリフ、雨音、機械音。観始めた当初感じた不自然さは、いつしか消えていた。その映像の持つ力には、圧倒されるものがあった。しかしながらもう一つの感想は、私が彼の思想に合わなかったことだ。『女性の秘密の生活を覗き、過去を知った男は、彼女の奥底に隠れる蛇を見出す。そして、その美しき蛇を六月の雨の中に解き放つために、女性に次々と指令を出す。』このプロットがそもそも嫌いだ。確かに、道朗は倫子の美しさを崇拝し、憧れを持っているのかもしれない。しかし、彼女の幸せは性的開放であるという思い込み、また、それを指令という暴力的手段で実行していく様は、セクシストのそれと言わざるを得ない。雨の中、自分を開放した彼女は、降り続く雨と似つかわしくないほどの爽快な笑顔で食卓につく。「これが開放だ」と言わんばかりの演出だが、レイプAVにある、力ずくで押し倒して高速指マンで潮吹かせている状態とどう違うのであろう?女性はいけば幸せになるのか?何の問題も解決していないのではないか。 「大きなレンズとフラッシュが女性を気持ちよくする」と塚本は言う。カメラは、開放のツールであり、それが見えない心の奥底を浮かび上がらせる。しかし、人間の本質は性なのか?そんなに単純なものなのだろうか。私は、性は生きる上で重要な要素の一つであるが、それだけではないと確信している。この映画の判断は、ソフト系レイプAVを観て「気持ち良いんだからいいじゃないか」と思うか、「それは違うだろ」と思うかに尽きる。私は、後者だ。
[DVD(字幕)] 6点(2006-03-20 09:10:16)
2.  アカルイミライ 《ネタバレ》 
「浮遊するポストモダン」この映画に解説をつけるのならば、さしずめこんなタイトルにするだろう。日本のポスト近代への移行が、共同体の解体に伴い、規範を壊し続けているとしたら、そこに生み出されるものは何であろう?その答えが、真水に生きるクラゲと、街を闊歩する少年達だ。フワフワと漂うクラゲ、そして、フワフワと生きる少年達は、一見してただ流されるだけの存在でしかない。社会から外れ確固とした意思を持つわけでもなく、気分だけで生きる彼ら。それが日本のミライだと言われれば、多くの人は戸惑うに違いない。海でしか生きられないはずのクラゲは、水槽という閉じた系から、あるとき外界へ流れ出す。それはこれまで淘汰さてきたはずの存在が社会に溢れだしたこの10年を模している。宮崎勤、宅間守、数多くの不可解な事件が世を騒がせた。オタク、トラウマ、家族崩壊、、、メディアは理由を探し社会は憎むべき者を探して彷徨った。「責任能力を有する」つまり「正常」な彼らがなぜ平然と「異常」な犯罪を犯したのか。そのパラドキシカルな問いに向かい合えない我々は、「不可解」の一言で片付けてきた。しかしクラゲの毒に理由があるだろうか?クラゲの心がわかるだろうか?それは、完璧なる断絶である。守のように社会の規範や価値観から離れたアウトロー(宮台真司は『脱社会的存在』と呼ぶ)は、我々の言葉では語ることができない。これは村上龍の示すような、楽観的アウトローの姿ではない。真水の東京で生きる力を獲得しても、クラゲ(=アウトロー)は危険で駆除されるべき存在でしかない。しかし未来を予言する仁村は確信を持って答える。「彼等はきっと帰ってくる」と。アウトローと共生することのできる唯一の存在である少年達の胸には、戦いの中で死んだゲバラがイコンとして刻まれている。彼らは「アカルイミライ」を支え歩き続ける。(それがエンディングで示されたようにフィクションだったとしても!)黒沢清の提示したミライ。それは日本のポストモダン像に他ならない。過去を生きる者達は傷つきながらも「許す」のだろうか。それとも、徹底的な駆除を試みるのだろうか。この映画のタイトル「アカルイミライ」は近代批判、または、ニヒリズムではない。我々はそれを受け入れるしかない。黒沢は淡々とそれを描いている。
[DVD(字幕)] 9点(2006-01-24 11:51:57)(良:1票)
3.  ベーゼ・モア
この映画の殺し方はまさに「コストなき殺人」。多くの犯罪者は、犯す罪がそのコスト(リスク、労力等)に対して見合うから犯罪を犯すわけで、窃盗とか強盗なんかはリスクと、捕まったときの罰、実行の労力なんかを換算する。しかし、この二人にはコスト意識がない。衝動殺人(最初の二人の殺し方)は我を忘れてるからコスト意識がないし、完全犯罪を狙った殺人は「自分は捕まらない」って思うからコスト意識がないんだけど、最初の殺人のあとの二人はどっちでもない。そんな難しいことじゃなくて、ただ考えてない。殺人は一般的に悪いことだし、将来は絶対に捕まるし、捕まったら大変な重罰を受けることがわかっているけど、この二人は考えてない。それはその思考から逃げているというより、殺人やセックスといったもっと面白いことがあるから考える必要がないだけ。これってとても面白い。最初の衝動殺人のあと、自暴自棄って感情からどんどん思考が停止していって、脱社会化していく様子がよくわかる。この脱社会化の過程で、二人はどんどん倫理も既成概念を無効化するし、殺人を犯すという本来悩むべき行為をそのまま脱社会化の加速に使っている。殺人もセックスも、二人にとって意味はない。そこにあるのは強度(密度)だけ。その圧倒的な強度とまったくの意味のなさが、この映画が狙ってたところであり、恐ろしい所なんじゃないかと思う。あえて秩序だったところがないことが、反社会的な主張がないことが、目的も行き場所もないことが、意味がないことが、重要なんじゃないかな。しかし、この脱社会化した二人も、マシーンじゃない、ただの人間。それも重要なテーゼの一つである。とても面白い映画でした。
[DVD(字幕)] 6点(2005-12-06 13:47:14)
4.  鬼が来た! 《ネタバレ》 
「時代考証は少し無理があるな」と内心思いながらも、中国側も日本側も俳優さんが達者で、観ているうちにこの映画の虜になっていたみたいです。観終わった後「虜になっちゃった。」と感じる映画はいい映画だと思っているので、自分にとってはこれはいい映画です。長城の東端が映ってるから河北省あたり?時代的には中国占領末期?だいたいの時代背景と場所は飲み込めました。食糧状態や雰囲気からすれば、少しズレているような気もするが、まあいっかと。役者を見ていると、日本軍の酒塚がいい役回りをしていますね。規律と人間性と、矛盾と人情を上手くからめて、複雑なところを見せてます。それと通訳。「外国語なんて勉強しなければ!」って叫んだり酒塚におもねってみたり、面白い役割を巧みに演じています。結末ではちょっと悲しいけど、それも流れで行けば当然のこととも思えます。この二人は実にいいですね。もちろん、主役のチアン・ウェンと香川照之は別格でいいです。チアン・ウェンの中国人らしい表情と動作に溢れる動きもいいですし、それからだんだん花屋が影響されて中国人チックになっていく所も面白かったです。まさに熱演!って感じで観ていて熱くなるのがわかりました。それにしても、ストーリーは終始牧歌的に進められていて、殺伐とした雰囲気がありませんね。日本軍の宴会での殺戮でさえ、まったく殺伐としていない。全体的に戦争の残忍さに関しては軽減してあるように思います。これはマーの暴走や最後の斬首にしても同じ事で、これは戦争の残忍さだとか矛盾だとかを伝えたいんじゃなくて、戦争を土台にしてもっと別の事を言わんとしているんじゃないかと思いました。赤いコーリャンで「日本人=悪」という古典的なベクトルを入れてしまったために伝えたい事が伝わらず失敗した轍を踏まないように、チアン・ウェンが苦心した結果でしょう。もちろん、この映画を観て「日本人が悪だ」と思う人もいるにはいるでしょう。一方方向から見れば、どうしてもそう思ってしまいます。僕も高校時代「人間の條件」って本を読んで「日本人鬱、死にたい」とか思った時期がありました。(もちろん作品のせいではない)が、それって入り口なんですよね。それから歴史を勉強していって、それでも『歴史の真実』なんてあるわけがなくて、現在の世界情勢まで頭に入れて、なるべくバランス感覚のある『歴史観』を構築していければいいなと思います。
[DVD(字幕)] 9点(2005-11-23 00:49:41)(良:6票)
5.  アララトの聖母 《ネタバレ》 
「負の連鎖」という言葉がある。虐げられた怨念が攻撃に変わり、攻撃された側はまた怨念を蓄積させて攻撃する。いつまでも終わらない戦争の根底には、この「負の連鎖」があると思う。この映画の中で、トルコ大使暗殺未遂で殺された父親、映画を観ていて大使役を憎むラフィなど、「負の連鎖」がまだまだ続いているんだなと感じた、そして、何より この監督にはそれに対する問題意識があるのかな?平和を望んでいるのかな?と疑問に思った。この映画には被虐はあっても、それを先につなげる意志がない。なんだか、進歩のない映画だと思ってしまう。 戦争という題材はとても難しい。どうしても片方の立場から描くことになるし、他に伝えたいことがあっても、歴史考証的な部分に間違いがあればなんだか威力不足となる。一方的に他者を非難するような描写を行ってしまった場合は、観てる側に違和感を残す場合が多い。そういう目で観た場合、やっぱりこの映画は失敗なのではないだろうか。 トルコに対して一方的に非難しており、歴史考証も「映画の映画」という手段で切り抜けており、説得力がない。(アララト山が見えないという会話は、「この映画の戦争シーンはフィクションですよ!という告知なのだろうか?」)本当は戦争とは違うことが言いたいのかもしれないが、それすらはっきりしない。 「映画の中に映画がある」という入れ子構造もあまり意味をなしていない。監督にとっては非常に身近なリアルな世界なのかもしれないが、観るものにとっては、それも普通のフィクションであり、観る側と作り手側に意識の差が生じている感覚がある。 最後まで、監督が何を示したいのか、何をアピールしているのかわからなかったこともあって、この映画にはちょっと失望した。もう一度観ればよくなるものなのかもしれないが、もう観ないと思う。
[DVD(字幕)] 5点(2005-06-27 14:05:23)
6.  テヘラン悪ガキ日記 《ネタバレ》 
90分間に、笑いと、感動と、見終わってあとひくような奥の深さを含んだ佳作。ストーリーはわかりやすく、子供や家族と見るのに最適な一作。テンポ良くストーリーが展開し、メヘディ役の少年のコミカルな演技が、観ている者を飽きさせない。メへディの強引とも言える愛の希求と、無茶とも言える思い込みには、最初どうしても苦笑してしまう。それが、彼の必死さに、自分もどんどん真面目になって応援するようになっているのがわかる。 「子ども達には愛が必要なんです」と言いつつ、まったくそれを自分の言葉ともできなかったケースワーカーの母親がやっと少年を受け入れる事ができるようになったとき、少年は新たな母を探してか、それとも現実を知ってか、姿を消す。過剰にならないエンディング演出と、母親役の女性の心配する表情が、ウエットや無理なハッピーエンドになりがちな子供主役映画を上手く持っていっている。 私事ではあるが、最近非常に「路上で生きる子供」を見る機会が多くなり、今回の映画は考えさせられるものがあった。路上生活者にお金を恵む事を強く拒む人は多いが、彼らもたくましく、けなげに生きている。コインの一つ、明日は渡してあげようと思った一本である。
[DVD(字幕)] 8点(2005-05-29 10:09:57)
7.  道頓堀川
原作っていうのは所詮"原作"でしかなくて、映画の中では全然違うものになってしまうんだな、ということを知った作品。というか、それはないっすよ、深作監督。原作のいいところが全然ないじゃないですか!というか、全く違うストーリーになってますよ!なんだか、期待してみたぶん落胆が大きくて、観ていて辛くなってしまいました。この映画だと鉄男も政夫もダメ人間になっちゃって、邦彦一人がいい人みたいですね。しかも、鉄男の玉突きの腕も落ちてるし。何よりスリークッションじゃなくなってるし。ハスラー映画としての魅力はこの映画には全くないです。僕も、映画だからどうしても削ってしまったり、変えてしまわねばならない設定があることはわかります。しかし、せっかく「ビリヤード」というスポーツのようで決してスポーツではないバクチを軸にした親子の対立、そしてそれを見つめる天涯孤独な青年という、すごく魅力的なテーマが原作にあるにもかかわらず、松坂慶子と真田広之の濡れ場がメインであるかのような陳腐で低俗としか言えない恋愛映画にしてしまったのには、原作を楽しく読んだものにとっては苦痛に近い。ということで、自分の中では最低ランクにさせていただきます。
2点(2005-02-14 01:11:03)
8.  ネネットとボニー 《ネタバレ》 
プロットも、カメラワークも、俳優の演技もいい映画だと思うけど、やっぱり地味なのかな。一緒に観ていた彼女が見事に寝てしまって、ダメなビデオ借りちゃったのかなと思いました。僕はかなり満足だったんですけどね。ボニの涼しげな目が、最後に満足の笑みを浮かべた瞬間、「なかなかいい映画じゃん」って思いました。ここ映画の中で特に好きなシーンは、ピザ生地にパン屋の奥さんへの想い(というか、欲望)をぶつけているシーンです。指の荒々しい動きに童貞の不器用さと若さ、粗暴さが表わされています。自慰シーンを生温いと感じる方も多いと思いますが、自慰のカメラ表現って本当に難しいんじゃないかと思います。これまで、男女含めて感心するような自慰シーンにあったことがない。あのくらいで勘弁してもらって良かったんじゃないかと思います。少しだけ文句を言わせてもらえば、パン屋の奥様の情事だとか、親父のエピソードだとか、お皿に色味をつけるだけに終わってしまった内容をもう少し削って、二人の会話の部分、メインディッシュの下味となるような内容を増やして欲しかったと思います。見た目はとことん地味にして、味で勝負してもぜんぜんいけてたと思うんだけどな。
6点(2004-12-28 01:38:36)
9.  青い車 《ネタバレ》 
すごい映画に出会ったと思いました。主演3人は非のうちどころのない演技というほかありません。まずARATA。金髪にサングラス、さらに無表情な顔でどのように演技するのかと興味がありましたが、口ってセリフを言わずともあれだけ表現できるんですね。屈折の度合いを見事に表現していました。格好も違和感なく、目の傷も生々しかったです。リスカの跡がもう少しリアルだと良かったなと思います。次に、麻生久美子。本当に彼女は監督によって変わりますね。心優しさの中に逞しさが表現されていて、一本筋の通った美しさがあったと思います。事故後のシーンは「あれ?出すんだ」と思いました。最後に宮崎あおい。もう完璧。唸るしかありません。10代の飽きっぽさ、自信のなさ、悲劇のヒロイン願望と、センチメンタル趣味。そして最後に現れる本当の悲しみ。この単純じゃない感情の揺れを、細かく表現できていたんじゃないでしょうか。いや、もっと複雑な心象を描いていたのに、20代の僕には嗅ぎ取れなかったのかもしれない、そうまでも思います。彼女は日本のトップ女優へ着実に近づいていると思うのは僕だけではないはずです。この若く美しい10代のうちに奥田瑛二の「少女」みたいな映画に出て欲しいと切に思っています。 ストーリーとテーマソング、カメラワークも素敵だったと思います。内容を完全に把握できたかと言えば僕にも自信はありませんが、リチオの心の中を100%説明するのは本人にもできることではなく、あえて言えば原作のよしとものみぞ知るといった所でしょう。子供をさらわれかけたトモロヲの行動と、その後のベンチでの会話など、細かく笑ってしまう部分もあり、緩急をつけたストーリー進行が良かったと思います。じっくり考えて映画を噛み締めてみたい人にお薦めの映画です。
9点(2004-12-24 01:41:39)
10.  いま、会いにゆきます 《ネタバレ》 
佳作。原作・監督・脚本・カメラなどのスタッフ陣、および、主役の二人を含めたキャストにおいて、大物や気鋭の新人といった役者は見当たらない。中村獅童にしたって、竹内結子にしたって演技がそんなに上手いわけでもない。はっきり言えばエースのいない布陣だと言いきっていいかもしれない。その、期待できないメンバーがずらずらと並ぶエンドロールを、僕は驚きと、感動で熱くなった目をゴシゴシしながらみた。うるんでた。確実に。詳細を突けばキリがない。(手帳薄すぎ!とか。)もとよりそんなに高尚なストーリーでもない。だいたい原作を読んでる他の観客が先どりして泣いている。しかし、いいよね、これは。高校時代の二人の雰囲気もいいし、大人になってからの二人もいい。ずっと寝てる所長もいいし、喫茶店で泣いてしまう竹内結子もいい。そして、エンディングでのキスもいい。誕生日ケーキもいいじゃないか。全部ベタ。しかし、それを愚直にやられたら感動するんだね。下手な演出がないのがいいよ。本当に、3人の生活がずっと続けばいいなと思ったもの。いい映画を観たと思います。みなさんが触れていますが、主題歌でマイナス1点。
9点(2004-12-24 01:04:57)(良:1票)
11.  忘れられない人
さて、まずもって普段観ない映画を観てしまいました。ハリウッド+恋愛。しかも病気もの。あああああ、レンタルビデオ屋でも絶対に手に取らないセットだよ。それなのに、それなのに観てしまったのは彼女から薦められたから。すいません、まったくレビューとして成り立たない背景です。点数つけるのも相当迷った。絶対に私情が混じってる。公平なレビューができない。というわけで、だいたいこれまでの自己平均の7点をつけました。映画は面白かったですよ。クリスチャン・スレーターの演技も好きですし、マリサ・トメイのオーバーなアクションもなんだか解りやすかった。といってもストーリー、俳優の演技、映像技術、音楽等は公平に観たら可もなく不可もなくといったところなのかもしれません。ハリウッド映画には最近まったく信用していなくて、彼女からかなり強く勧められたもののダメ映画だったらどうしようと真剣に考えていたので、その反動もあったのかもしれません。けっこう感動して、いい映画観たなーと思ったんですけどね。観ていて感じたのは、変な技巧とか、複雑なカメラワークだとか、時間軸のズレだとか、そんなテクニック的なことをほとんど放棄して、しかも常識的な恋愛だとか当り前の感情だとかにもこだわらずに、単純明快に「愛」一本で最初から最後まで押し切っているということ。直球と言う言葉が散見されますが、あえて剛速球と言わせていただきます。緩慢に見えるスレーターの腕から観ている人の胸にズドンと力強い球が投げられている感じです。これを受け止められる時と、つい避けてしまうときと、もろに打ち返してしまうときがありますが、それは観る側の問題。この映画はこれでいいんじゃないかと思います。映画って一緒に観る人や、その時の体調、観る側の意気込みとか、とにかく受け取る側の問題も強くあるんだなとしみじみ思いました。
7点(2004-11-14 21:36:24)(良:1票)
12.  2046
久しぶりに映画館に行って、久しぶりにスクリーンに向った。事前の情報はほとんどなくて、ウォンカーワァイ作品と言うことと、キムタクが出ていると言う事くらいは知っていた。カーワァイ作品はけっこう観ているつもりだけど、これまであまり上手く理解しているとも思えない。他の作品の過去の自分のレビューを読んでみると、理解できていないことがよくわかる。正直に言えば、あまり期待していなかった。カーワァイ作品に期待するのは精神衛生上よくない。基本的に期待は裏切られる。コンセプトはよくわからない。メインキャストクラスの人間が数分の出演時間で終わったりする。そんな感じで、僕はスクリーンに向った。関係ないが、僕は映画を観ていると右手の人差し指の第1関節と第二関節の間を噛む癖がある。この癖には二通りの役割があって、一つは眠さをこらえるため、一つは興奮を抑えるためだ。この映画を観た後は僕の右人差し指には大きな歯形がついた。眠かったこともあり、興奮したこともあり、けっきょく二つの理由から僕は終始人差し指を噛みつづけた。冗長だという意見には、やっぱり反論できない。かといってこの作品を90分にまとめることができるかと言えば、僕は無理だと思う。削るべきエピソードはみあたらないが、しかしどうしようもなく長くも感じた。僕にはカーウァイ監督の映画に明確な答えなんて出せないだろう。彼の映画を必死になって語るのもなんだか恥かしい。だけど、たぶん僕はだらだらと彼の映画を観つづけるんだろうな。そんなことを思った。
7点(2004-11-01 02:33:55)(良:1票)
13.  メルシー・ラ・ヴィ
いやー、奇妙な映画だった。もうわけわからなすぎ。メタファーなのかただの思いつきなのか、時代も設定も画面の構図も色もコロコロ変わる。たぶんある程度のルールはあるのだろうが(良いエピソードはカラー、悪いエピソードはモノクロ等)、とにかく奇想天外すぎてよくわかりません。最初はそのメタファーの意味を必死で考えていたのですが、どんどんわけわからなくなって、後半でふっきれてドーンと面白く感じ始めました。線路での「黙れ!」「まだ何も言ってないだろ!」「喋ろうとしただろ!」のナンセンスな会話とか、細かく笑いを提供してくれます。この映画は真面目に観ちゃダメね。自由に、各フラグメントごとを楽しんで観ていれば、結構楽しめる映画だと思います。けど、ぜったい万人受けしない。興行成績すごい悪そう。どんなに映画評論家が誉めても(誉めたかどうか知らないけど、)ぜったいヒットしない。確実。けど、この映画なかなか凄いと思います。まず、カメラワークは秀逸。浜辺でシャルロットが歩くシーン、車の爆破シーン、お父さんが車椅子で坂を下ってゆくシーンなど、なかなか見応えのある撮影です。いい撮影だなーと思っていたら、カメラマンはディーバのフィリップ・ルスロじゃないですか。たぶん、僕の好きな映像表現だったんだと思います。あと、俳優陣もなかなかやります。ジェラール・ドパルデュー、仕立て屋の恋のミシェル・ブランなど有名どころもありますが、お父さん役の爺ちゃん、お母さん役のオバちゃんもいい演技してます。(実はけっこう有名な俳優さんなのかもしれない。)若き日のお母さん役の女の人も、何かの映画で観たんだけどな、忘れちゃったな。ま、なんだかんだで奇特な人は観るべしって感じの映画。
5点(2004-08-14 23:19:14)
14.  とまどい 《ネタバレ》 
『老い』というテーマが入ると、映画はどうしても黄昏の雰囲気を持ちます。引退した老人と、若く美しい女性の友情とも、恋情ともつかない心の交流。女の心は別れた夫、新しい恋人、そして老人のそれぞれに、移るとも移らないともいえない微妙なブレを持ちながら揺れ動きます。ネリーの言動は、相手が老人だという勘定をしなければ、明らかに誘っていると言ってもいい。それでも、老人アルノーはヴァンサンとの関係を嫉妬する心をじっとこらえます。正直に言って、僕はアルノーにネリーを抱いて欲しかった。あの晩、なぜ彼は彼女の手を握るだけで一晩を過ごしたのでしょう?躊躇?自制?それを、「人間の成熟」と言うのなら、僕はそんなものいらない。ストーリーは唐突に終わりますが、僕はこの結末に愛着を持ってしまうのです。
6点(2004-08-13 21:18:37)
15.  
この作品を観て、オウムが一番メディアに取り上げられていた、僕が中学生だった頃の事を思い出しました。僕はその当時、彼らの拠点の一つ(それは松本サリン事件や坂本弁護士殺害事件などの一連の事件よりもかなり早くからあった。)の近くに住んでいたのですが、テレビの中の"現実"、それは日常から遠く離れたフィクションに近い"現実"と、自分の身近にある"現実"のニアミスに興奮し、テレビに熱中していました。一億総オウム評論家と誰かが揶揄していましたが、僕の愚かな頭の中にはどのサティアンにどんな施設が隠されているか、オウムの幹部の人物像と宗教名、それに警察の動きなどがこと細かく納められていました。今はもう、その当時どんな気持で彼らに熱中していたのか、はっきりとは思い出せないのですが、(もちろん、オウム自体の詳細なんて完全に霧散している。)ただ、「オウム信者がカッターナイフ所持で銃刀法違反で逮捕」というニュースに大きな疑問を感じた事だけは記憶しています。その当時、僕の性格ならばたぶん周囲の大人にこの疑問を尋ねたはずなのですが、その返答はまったく記憶に残っていません。適当にあしらわれたのでしょうか、それともきちんとした返答を受けたにもかかわらず僕が記憶から失ったのでしょうか。どちらにしても、納得はしていなかったはずです。(だから違和感だけが残っている。)気付けば僕は、その当時の僕なら「大人」だと思った年齢にまでなっていました。僕が、あの時の僕を納得させられるかは自信がありません。あれから僕は何を考えて生きてきたんだろう?何を学んできたんだろう?そんなことを考えました。あの当時、"正常"と言える眼で事件をみつめていた人がどれだけいたのでしょうか?いや、過去に限ったことではなく今、9.11後の世界を冷静に見詰めることができる人がどれだけいるのでしょうか?澄んだ瞳で、世の中を見渡せる人間になりたい。そんなことを考えました。
9点(2004-08-02 22:37:53)
16.  スワロウテイル
映画とは不思議なメディアだと思う。明らかに映画とはフィクションであるはずなのに、そのフィクションを「リアリティがない」と叩かれる。あまりに話が込み入ると「そんなことありえないよな」ということになるし、単純だと「ありふれてる」ということになる。そんな中で、岩井俊二という人は、奇妙な形で綱渡りを続けていると思う。「リリィ・シュシュ」にしても、「アンドゥー」にしても、この映画にしても、明らかなフィクションとしてストーリーはある。序盤はあくまでありふれたシーンの積み重ねであるが、その中に「何かあるぞ。」というタネがたくさん蒔かれている。そのタネはある時一気に発芽して、物語をドラスティックに変えてゆく。様々なストーリーが絡み合いつつ成長し、ある時は予想もつかない方向に枝を伸ばしながら、上へ上へと観客を持ち上げてゆく。そして、非常に唐突な形で成長は止まり、枯れてしまう。このフィクションへ観客を引き込み、没頭させる能力において岩井俊二は非常に優れていると思う。
7点(2004-07-25 00:01:54)
17.  リリイ・シュシュのすべて
イジメにしても、レイプにしても、もう10年以上前から(実は三島由紀夫は30年以上前に作品にしているが、)社会問題化していて、十分に語り尽くされているストーリーなわけだが、それを臆面もなく大々的に取り上げて、観るものに投げつける岩井俊二の力技的な技量には、なんとも言えなくなる。観る者としては、これだけリアルな世界が発達し続けて、犯罪のニュースが氾濫している中では、イジメの問題も、レイプも、中学生の犯罪もお腹いっぱいで見たくないという思いが強い。だから、ニュースもその深部はあえて伝えようとしないし、知識人がテレビであえて語るようなこともない。あれだけ活発だった「朝まで生テレビ」でも、最近青少年問題を取り上げることはない。そんな中で観たこの映画は、そのストーリーの力強さに、完全に押されてしまった。正直に言って、ストーリーは過剰ではないのか?という思いも強かった。しかしこの映画を観る中で、自分の尺度では"過剰"だと思えるようなことでも、世の中にはリアルに存在して、それは稀であってもリアルなことだろうな、なんてことを考えた。それにしても、岩井俊二はいいスタッフを使う。小林武史の音楽は最近のヒットチャートでは流行らなくなったが、フィルムに載せてあげると活き活きとした音楽になる。篠田昇は光線の使い方が日本一上手い。この人は、本当に日光を知り尽くしたカメラマンだと思う。そして、監督である岩井俊二は、「本人も理由のわからない苛立ち」を描かせると本当に光った演出をする。そういうことを考えて、とにかくいい映画に仕上がっていると思う。
7点(2004-07-24 23:19:50)
18.  tokyo.sora
主役(?)の板谷由夏が、なんかどっかで見た事あるなーっと思って調べてみたらイタリア語講座をやっていたらしい。佐藤康恵の前だからけっこう昔。セリフはボソボソと聞きとりにくかったけど、それもリアルで良かったと思います。西島秀俊がこんなところでいい役をやっていて、しかも流れがすごくすーっとして、なんか驚きました。悪い役なんだけど、悪さがない。いや、最低なんだけど、なんだか爽やか。それに長塚圭史も出ていて、男性陣はなかなか面白いキャストを持ってきているなと思う。本上まなみ他は、なんというか、シナリオの無い映画って感じで(そのままか、)なんとも評価のできない映画です。好き嫌いがはっきりしているので、嫌いな人には本当に薦められない。「ディスタンス」「ワンダフルライフ」の是枝監督が嫌いな人はこれも嫌いになりそうだ。実を言えば、僕はJungle Smileの高木郁乃が気になって観たわけなんですが、妙な登場の仕方でなんとも言えませんでした。高木郁乃(通称イクノフ)笑ってましたね。この撮影の時は元気だったんだろうな、今は元気にしているんだろうかと、妙な感傷に浸ってしまったのでこの映画の評価は上手くできません。僕的には、元気な高木郁乃の映像を見てそれで十分。そういえば、全体的な画は良かったと思います。
5点(2004-07-24 23:06:53)
19.  エレベーターを降りて左 《ネタバレ》 
「これがニューヨークで父が・・・銃で・・・」というイアンの混乱っぷりに「そんなに難しい話ちゃうやん!」とツッコミをいれつつも、透けた下着が裸よりもエロチックなエヴァに要所要所で忘れた頃に悩殺されつつも、ボリスの意外な弱さにホロリときつつも、「『警察では関知できません』って怪我してるよ!?」と訝しがりつつも、最後にハッピーエンドで終わっておろろーと思いました。やっぱりコメディーはハッピーエンドじゃなくっちゃね。エマニュエル・ベアールって美しいですね。リシャール目当てで借りた映画なのですが、この映画の主役はベアールだと次の映画を物色しつつ気付けばベアールの「美しき諍い女」をレジに運んでいた時に思いました。完全にヤラれてます。それにしても、ちょっと「美しき~」のジャケを観て思ったのはベアールの髪!金髪!?黒髪!?いやー、こりゃ小悪魔ですな。
7点(2004-06-13 22:14:58)
20.  泥の河 《ネタバレ》 
「ここはお国を何百里 離れて遠き満洲の~」きっちゃんの大人びた節回しを聴いていると、心がしんとしてきます。このワンシーンに、戦争や貧しさ、浮ついた時代への痛烈な批判、親を失った二人の悲哀など、様々な、本当にたくさんの悲しみがこめられています。この映画は、悲しいです。この映画の主題は、のぶちゃん(主人公の少年)の眼からみつめた世の中の悲しみです。泣かせようとする演出ではありません、冷静に幼い彼が感じとった世の中の悲しみを坦々と映し出しています。 この映画のことを説明すると、原作は宮本輝の同名小説(処女作・太宰治賞受賞作品)。監督はこれも新人の小栗康平、白黒の作品です。監督・原作者ともに新人であるため、観ていて映像の拙さを感じる方もおられるかもしれません。しかし、僕は宮本輝後期作品の説教臭さがなく、原作を思い切って切り取った小栗の決断力と、二人の若さも評価すべきだと思います。何度観ても考えさせられる作品ですが、やはり気になるのは銀子の存在です。廓船に住み、笑いを忘れ、過剰なほどに丁寧で控え目なその振舞い。しかし、その中に漂う消しようのない色気。陸の家庭に触れ、笑いを取り戻したかに見えるものの、その奥に隠れる歪み。彼女の存在、演技はこの映画の中でどうしても触れなければならない所です。メインキャストの田村高廣・藤田弓子・加賀まりこが玄人らしい演技をみせており、それに加えてノブちゃん・きっちゃんが拙いながらも心のこもった演技をしていることがこの映画を素晴らしいものにしていると思います。ほぼ満点の内容なのですが、音楽が少々感傷的過ぎていたので減点させていただきました。
9点(2004-06-12 00:42:49)(良:2票)
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