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ロイ・ニアリーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 681
性別 男性
年齢 58歳
自己紹介 点数基準
芸術点、技術点、俳優点、個人的感情移入度の4要素の比重で決めています。
芸術点とは、主に脚本、演出が映画の各要素、美術、音楽、などをどれだけ高次元でまとめ上げたか
技術点とは、撮影技術、特殊効果、音響効果など、技術的な部分のレベル、完成度。
俳優点とは、出演俳優の演技、存在感、作品とのマッチングなど。
個人的感情移入度とは、作品テーマや登場人物などが自分自身の価値観や好みに対してどの程度影響するか。
これらの比重を勘案して点数を出しています。
有る項目が0点に近くても、別の項目が突出して良ければ点数は上がります。
映画としての及第ラインは6点です。それ以下は落第点、マイナス評価です。

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1.  キツツキと雨
「南極料理人」が面白かったので借りてきました。 沖田監督は「芝居臭さ」を排除した、日常の空気をうまく映画世界に取り込むのが非常に上手いですね。 作品中沢山出てくる「はい?」「えっ?」というセリフ。台本にはそのまま文字でしか書かれていないのだろうけど、登場人物から発せられる言葉毎に心情やその場の空気を雄弁に語ります。 南極料理人でもそうでしたが、彼の作品は映画エンターテイメント的にわかりやすいカタルシスは無いのに、観終わった後じわじわと染み出してくるような感動があります。 どうも気になって何度も見返す内に、非常に丁寧に練られた脚本や、画面の隅々まで神経の行き届いた演出、美術の仕事ぶりを発見して(・∀・)ニヤニヤとしてしまうのです。
[DVD(邦画)] 8点(2013-02-20 02:30:44)
2.  はやぶさ/HAYABUSA
邦画特有の安っぽい感動の押し付け演出や、芸能界事情を優先したリアリティに欠けるキャスティング、どう考えても作品カラーに合わないタイアップ曲などネガティブな要素が絡むのではないかと危惧していたのだが、その殆どは杞憂だった。 劇中唯一架空の人物である竹内結子演じる水沢恵、秀才だがオタク風味で地味なキャラクターを竹内が非常に上手く演じていて、俳優としての懐の深さを感じさせる。そして狂言回しとなることで、専門的で難解になりがちな部分をうまく補っている。 主要キャストは映画テレビでお馴染みの俳優がしっかり押さえているが、他のスタッフは本当にJAXAから引っ張ってきたのではないかと思える程俳優らしくない、素朴で地味なキャスティングでこのあたりのバランス感覚は素晴らしい。 彼らの誰かが特別なヒーローというわけでもなく、とりわけ目立った活躍をするでもなく、宇宙が好きで、縁あって集まった極々普通(といっても秀才揃いなのだろうが)の人々がああでもない、こうでもないと悩み格闘しながら地味な作業の積み重ねで偉業を成し遂げていく様は、何か日本人的だなと感じさせるし、組織で働いたことのある人ならどこかしら自分に重ねてみたり感情移入が出来るのではないだろうか。 特筆しておきたいのは宇宙空間のシーンを一切「無音」で通したことだ。 宇宙空間では爆音も破裂音もエンジン音も、音波としては伝わらない。宇宙遊泳した飛行士が証言するように、自分の呼吸音と通信の音以外全くの静寂なのだという。 とは言ってもそれはそれ。映画では演出上何かしらのSEを加える作品が殆どだ。 ただこの作品で「グオー」「ギューン」などというSEをつけられたら興ざめだった。 自分の知る限り宇宙空間のシーンを無音で通したのは「2001年宇宙の旅」と本作だけだ。 さらにこの無音はやぶさが大気圏突入する際にはじめて空気を切り裂く音を発するところで、長い旅の静寂との対比が大きなインパクトとなって伝わる。 全体に演出は抑制的であるが地味に陥りすぎないように気を配られており、実質的主人公水沢恵の成長物語としての軸もしっかり通っている。 唯一残念だったのは音楽が凡庸で多少押しつけがましかったこと。邦画ではよくあることだが・・・。
[映画館(邦画)] 8点(2011-10-13 03:03:59)
3.  ナイト&デイ 《ネタバレ》 
うーん、あまり目を三角にしてあれこれ批評したくない作品です。ストーリーも設定もありきたりでトムクルとキャメロンという二大ハリウッドスター共演というアイコンが無かったらB級アクション作品として、レンタル店の片隅にひっそり並べられるレベルのモノでしょう。 とはいえお気軽なデートムービー、暇つぶしとして観ても損はないと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2011-02-20 03:15:25)
4.  ぼくのエリ/200歳の少女 《ネタバレ》 
カテゴライズすればホラーなのかもしれないが、オスカーの成長物語、エリとのラブストーリーでもある。一見ハッピーエンドのようでいて、ふたりの未来を想像するとちょっと切なくなるという鑑賞後に色々な感情がじわじわと沸き上がってくる作品だった。それからスウェーデン映画というのもなかなか観る機会がないので彼らの暮らしぶりが観られるのも興味深かった。はやくもハリウッドでのリメイクが決定したということだが、ハリウッド的価値観に翻訳されてしまうと映像は派手でもつまらない作品になってしまうような気がする。
[DVD(吹替)] 8点(2011-02-20 03:07:35)
5.  イエロー・ハンカチーフ 《ネタバレ》 
不器用な生き方しかできない男が、長い年月を経て再び愛する妻のもとへ帰るというストーリー。とかくドライな現代にあってはファンタジーになってしまいそうではある。 ふたりの愛が長い年月を乗り越えるには、相応の何かがあるはず。極々普通の人間が社会でもがきながら生きる中で巡り会い、惹かれあい結ばれることを納得させるだけの何かを描かなければならないと思う。しかし本作ではそのあたりが山田版に比べ弱いように感じる。その原因はウィリアム・ハート演じるブレッドの性格付けが若干淡泊であることかもしれない。高倉健演じるところの島勇作のような内から迸る生きるエネルギーのようなものがあまり感じられないため、メイがそこまでブレッドに惹かれた理由が余り伝わってこない。 とはいえストーリーそのものが大変魅力的でることに違いはなく、ラストシーンではグッと来るし、全体に流れる穏やかな空気にも癒される。山田版に感銘を受けた人は見比べてみるのも面白いと思う。 
[DVD(字幕)] 7点(2011-02-13 11:02:15)
6.  ジョニー・マッド・ドッグ
ブラジルギャングの生き様を描いた「シティ・オブ・ゴッド」以来、久しぶりに衝撃的な作品に出会った。 本作はフィクションではあるが、舞台背景はアフリカで起こっているまぎれもない現実だ。 出演俳優は皆現地で兵士として戦っていた少年少女だという。演技はつたないかもしれないがどんな名優にも敵わない迫力がある。 アフリカの混沌の責任はどこにあるのかという視点はまず横に置いて、近年貧しくなりつつあるといってもまだまだ平和な日本と同じ時間に、地球の裏側ではもうひとつの現実があるということを知る意味では意義ある作品だと思う。そしてもっと俯瞰すれば、この地獄はそれ程特別というわけではなくではなく、人類の歴史そのものがこのような殺し合いの連続でもあったのだとも感じる。 日本公開版の予告編は今話題の戦場カメラマン渡辺陽一氏のナレーションに「狂犬注意!」のコピーが踊る製作者の志とはかけ離れた勘違いも甚だしい売り方をしている。配給会社の程度が知れるというものだ。
[DVD(字幕)] 8点(2011-01-12 20:07:13)(良:1票)
7.  ロビン・フッド(2010)
経験豊かなスコットが繰り出す映像のダイナミズムは圧倒的ではあるが、完璧すぎて「決闘者」や「エイリアン」「ブレードランナー」で魅せてくれた臭覚まで刺激するような生々しさがない。欧州の人々にとっては思い入れのあるロビン・フッドなのだろうが、日本人にとっては予備知識がないと今ひとつ伝わりづらいのも残念。
[映画館(字幕)] 7点(2010-12-31 18:21:19)
8.  第9地区 《ネタバレ》 
ヨハネスブルク上空にあらわれた巨大宇宙船が居座って数十年、故郷に帰れない宇宙人と人間達の奇妙な共生という斬新なテーマで公開前から注目していた。 監督は南ア出身で無名だがプロデューサーはP・ジャクソンということで一定以上のクオリティを期待した。 製作者はそれを否定していると言うことだが、ヨハネスブルクのスラムに隔離された宇宙人と立ち退きを迫る地球人。姿形はグロテスクでエビのようなのだがヒューマニズム?あふれる彼らに対して官僚的で冷淡な地球人の対比が、南アという舞台と現状を皮肉っているように思えてならない。 謎の気体を吸い込んだ主人公が「エビ化」をはじめてしまい、様々な思惑から捕らえようとする地球人との間での死闘が始まるのだが、ここからのヒト型ロボットが登場したりの凄まじい戦闘シーンと血しぶき飛ぶ残酷描写がB級SF然としてきて頭がボーッとしてくる(劇場ではここで何人か途中退場しでいた(笑))。 日本アニメのファンであるらしい監督が本当にやりたかったのはこういう部分か?とも思えるほどの力の入れ様だ。 あまり社会派作品として解釈しようと観ていると戸惑うことになる。ちょっと変わった設定のB級SFアクションと捉えた方が良さそうだ。
[映画館(字幕)] 7点(2010-12-09 14:13:13)
9.  南極料理人 《ネタバレ》 
本作を観る前に、第50次越冬隊に参加していた方のブログをよく見ていたのだが、彼のブログにも毎日の食事が掲載されていた。南極のような閉鎖された特殊な環境では食事の充実というのは重要なのだということがよくわかる。 本作もタイトル通りドームふじ基地で越冬するむさくるしい男達の生態が淡々と、ユーモラスに描かれていて、何かホッとさせられる。 ただ、原作がエッセイと言うことだからだろうか、隊員それぞれに小さなドラマはあるものの、これといった起承転結が無い。まったりしているのはそれ自体悪くはないのだが、ちょっと薄味過ぎたような・・・もう少しカタルシスを感じる何かが欲しかったなあ、と一回目の鑑賞では思ったのだが、何故かその後も何度も何度も鑑賞してしまい結局DVDも購入してしまった。不思議な魅力を持った作品である。
[DVD(邦画)] 9点(2010-12-09 14:10:08)
10.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
衛星パンドラとナヴィには宮崎駿の「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」からの影響が感じられる(キャメロン本人もインタビューで言及しているが)、この星そのものがひとつの生命体であるという視点を西洋人はどう感じるのだろうか。 また本作の筋立てですぐに連想するのが「ダンス・ウイズ・ウルブス」「ラストサムライ」あたりだろうか。侵略者である人類の描き方は辛辣だが、自らを振り返ってみれば差ほど誇張でないことがわかる。突き詰めればこれは白人文明に限らず人類が辿ってきた歴史そのものでもある。 と、ストーリーやディティールに既視感はあるものの圧倒的な映像と軽快なテンポ、演出のうまさでぐいぐいと引き込まれる。観客の自分は「悪役」であるところの人類と同種なのに、鑑賞前は不気味ささえ感じた青い肌のナヴィに感情移入してしまう。 部族の娘ネイティリのけなげさ、力強さはこれも西洋白人文化の求める強い女性像なのだろうが、ナウシカにも通じる繊細さも併せ持つ。 映像は圧巻のひと言。3D立体映像と相まってまさにそこにあるかのように画面の隅々まで完璧に構築されている。どれ程多くの才能のある人々が携わり巨額の資金が投入されたのか、目眩がするほどだ。今後当分は技術面はともかくとして、ここまで念入りで手間のかかった分厚い映像にはお目にかかれないだろう。ただ、全体のテイストは狙ったのだと思うが、何か絵画のようで幻想的。緻密ではあるがライブ感というか匂いまで感じるような生々しさというものはあまり感じられない。僕が匂いまで感じる程リアルだなと思うのは「エイリアン」や「ブレードランナー」の世界だ。 2時間半以上の長尺だが、むしろ短いと思ったくらいだった。ハヤカワSF文庫の海外作家の作品を読んでいるような感慨がある。異文化、異文明交流の物語では、その過程を丁寧に説得力をもって描くことが非常に重要だと思うのだが、「ダンス~」や「ラストサムライ」でもそうだったが、本作でも短いと感じた。現実的にこの部分をこれ以上伸ばすことは出来なかったと思うが・・・。世界が非常に丹念に作り込まれているので、観客はいくらでも想像力を広げられる。映画が終わったエンドロールの向こう側でもあの世界が続いていると感じられるし、ナヴィと星の歴史だけでも長編の小説がつくれそうだ。
[映画館(字幕)] 9点(2010-12-09 14:05:27)
11.  2012(2009) 《ネタバレ》 
・同じディザスター映画と括って良いかわからないが、スピルバーグの「宇宙戦争」における徹底した人間視点とは対照的な”神視点”の作品。 ・これも「宇宙戦争」とよく似た境遇の男やもめの主人公なのだが、演じるジョン・キューザックは今ひとつスター性に欠け、華がない。 ・別段特別な才能も縁もないその彼が何ゆえか人類救済計画「方舟」の中枢部に運命のいたずらによって導かれていく。もう少しうまく演出すれば「ハリウッド的ご都合主義」ではなく「何かに導かれる運命」と解釈できたのだが微妙。 ・多くの登場人物が散漫な印象のまま消えていくが、唯一魅力的だったのはロシア人富豪。彼は俗物だが非常に人間臭い。その最期も皮肉が効いていて良い。 ・方舟計画で対立する理想高き学者とリアリストの統括責任者。いよいよ終が迫ろうというときに”チケット”を持たない建設労働者も乗船させるべきかで鋭く対立する。エメリッヒの意図としては一方的な描き方はしていないとは思うが、個人的には”結果的に”悪者になってしまうリアリストの方に共感を覚えた。 ・人類滅亡の危機発覚からたった2年で最先端の”方舟”を何隻も建造するという設定はさすがに無理がある。 その「舟」は急造とはとても思えない洗練されたデザインで、乗組員の制服まで用意されている。画的には美しいだろうが、ますますリアリティを損なう結果に・・・。たった数年で地下都市を建設した「ディープ・インパクト」よりはましか・・・。 ・最大の売り物であるVFXは見事の一言。ヒマラヤを越えてくる大津波は、恐怖というよりも荘厳な印象さえ受ける。同じ破壊&滅亡でもスピの「宇宙戦争」では身も凍るような恐怖を感じたが、本作では恐怖というよりも別な感情が湧き上る。 ・点数をつけるのは難しいが、映像10点、ストーリー6点、その他の要素を平均して、7/10といったところか。
[映画館(字幕)] 7点(2010-12-09 14:02:30)(良:1票)
12.  HACHI/約束の犬 《ネタバレ》 
事前に読んだ記事では、プロデューサーも勤めたR・ギアと監督のハルストレムは、なるべく情緒に流されずに淡々としたものに仕上げたかったということですが、それでも充分に情緒的だなという感じを抱きました。 勿論名匠ハルストレムですから、安っぽい邦画のような、さあ皆さんここは泣くところですよ、というような押しつけがましい演出はありません。 でも、ハチのパーカーに対する愛情は、ハチ自身がどう思っているかは別にして製作者の意図のもとに演出されるので、その時点でどうしてもある程度の押し付けが醸し出されてしまいます。 それをやはり本作でも感じてしまいました。 また、舞台を現代に持ってきたことで、パーカーが毎日ハチをリードも付けずに連れ回ったり、パーカーの死後、いわば野良犬となり、成りも大きいハチが10年間も保健所に通報されることもなく駅に居た、という設定自体に無理がが出てしまうのが残念なところ。 まあ、その辺りはファンタジーとして割り切りましょう。 それから、本作は配給が何を血迷ったのか日本公開は日本語吹替版が大半で、字幕版の上映は極々少数です。 これは大失敗だと思いますね。 僕も仕方なく吹替を観たのですが、R・ギア役の北大路欣也はまだしも、その他の声優ははっきり言って大根です! フジテレビが絡んでいるからなのか、娘役にフジTVアナの高島彩なんてド素人を持ってきて作品世界を台無しにしています。 究極はエンディングの青山テルマのテーマ曲。ミスマッチにも程がある! 投稿時点ではとっくに公開も終わっているので、鑑賞はソフトかオンエアになると思いますが、本作の作品世界に浸りたい人は字幕での鑑賞を強くおすすめします!
[映画館(吹替)] 7点(2010-12-09 13:58:23)
13.  ベンジャミン・バトン/数奇な人生 《ネタバレ》 
主演がブラピ、宣伝からの印象では軟弱な恋愛映画だと思い敬遠していたのだが、たまたまレンタルで手に取ってみた。 監督がデビッド・フィンチャーであることを知ったのは観始めてから。 やはりだ、完全主義者の彼らしい、ただの1カットも手を抜かない、拘りに拘り抜いた映像に釘付けになった。 それだけではない、老人として生まれ、生を重ねる毎に若返っていくという不思議な運命のもとに生まれたベンジャミンと、それを取り巻く人々の関わりが、丁寧に、やさしく描かれていく。 こんなことはあり得ない話、ファンタジーなのだが、それをウソっぽく思わせないほどの説得力が画面から溢れている。 企画誕生から20年近くも吟味された脚本と、完全主義者フィンチャーの画面に対する拘り、それに応えるデジタル特殊効果、主演のブラッドピットの魅力が相乗効果を生んで、美術館に永久展示しておきたいほどの芸術品のような作品に仕上がった。 世間の評価は少し微妙なところだが、個人的には最大限の讃辞を贈りたい。 ハリウッド映画界の才能が結集してつくりあげた宝石のような作品だ。
[DVD(吹替)] 10点(2010-12-09 13:53:39)
14.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 
これはヘタなホラーよりも余程恐ろしい。権力が腐った人間に牛耳られるとどんな事が起きるかということがよくわかる。 昨今の冤罪事件などを見れば、事件から1世紀ちかく経った今日でも、これはタイムリーなテーマであると思う。 こんな恐ろしい物語をイーストウッドは奇をてらうことなく、淡々と、いつもの彼らしい視線で物語を紡いでいく。 不正義に対する熱い怒りは伝わってくるのだが、それを過剰に騒ぎ立て演出したりはしない。あくまでも淡々と、人間そのものに対する暖かい視線を忘れない。 主演のアンジェリーナ・ジョリーは、女優業以外での話題ばかりが先行しているが、彼女の出演作を観るのはこれがはじめてとなった。 いや、本当に魅力的な女優だ。彼女はもう俳優業への興味を失ってしまったらしいと報道されているが、きっとそれだけの枠に収まらない人物なのだろう。
[DVD(吹替)] 8点(2010-12-09 13:44:07)(良:1票)
15.  富士山頂(1970) 《ネタバレ》 
1970年といえば、邦画界がTVに押されて凋落を始めた頃、しかしそれでもこのクオリティの高さには恐れ入った。 まずは俳優陣がとてつもなく豪華。 主演の石原裕次郎はもとより、勝新太郎、東野英治郎、宇野重吉、渡哲也、田中邦衛、山崎努、市原悦子と、実力派、重鎮がことごとく出演のオールスターキャストだ。 戦争を体験した昭和の俳優の引き締まった立ち居振る舞いと、1970年当時の風景。演出はスーパースターの裕次郎を主演に据えているからといって軽薄で観客に媚びることがない、重厚で抑制されたもの。 昨今の製作側の政治的な都合だけのミスキャストや場違いなタイアップテーマソングもない。 三菱重工社員の役所である裕次郎は台詞は少なく、表情で語る場面が多い。 僕は俳優としての彼をじっくり観たのは初めてだが、彼の並々ならぬ才能を垣間見た気がした。 安易なセット撮影に逃げることなく、果敢に富士山でのロケ撮影を敢行したことも画面に奥行きと重厚感を加えている。 本作の権利は石原プロモーションが持っているのだろうが、現在に至るまでDVD化されずに人々の目に触れなかったというのがつくづくもったいないことだと思う。 同じく幻の作品「黒部の太陽」もそうだが、ハイビジョンやBDの普及で家庭での視聴環境が整ってきた現在、そろそろソフト化して多くのファンに作品を観てもらう機会を設けるべきではないだろうか。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2010-12-09 13:41:02)
16.  崖の上のポニョ
宮崎駿の影響を受けた子供達、ピクサーの面々が超天然色、3DCGでゴリゴリの超リアルアニメーションで世界を席巻している中、師匠たる宮崎のこの作品は数十年前から変わらず手書きアニメーションの手法を頑なに守っているが、個人的には、うーん、もうこれはアナクロの域に近づいていると言わざるを得ないほど古さを感じる。 また登場するキャラクターもどれもが宮崎ワールドでお馴染みの性格付けされた何処かで見たような、会ったような人々ばかり。手塚治虫作品でも定番のなキャラクターが様々登場したが、そういうものとは違う、なんというか、宮崎駿の限界を見せられてしまったようなちょっと哀しさがある。 そんなことだから、僕にとってはもう彼らに生き生きとした人間の温もりを感じられなくなっている。
[DVD(邦画)] 5点(2010-12-09 13:37:06)
17.  007/慰めの報酬 《ネタバレ》 
正直言って僕はダニエル・クレイグになってからのジェームス・ボンドは好みにピッタリ合っている。 それ以前の、2代目以降の余りに荒唐無稽でゆるゆるなMi6のスパイには何の魅力も感じなかったのだが、クレイグ版のこのシリーズは、ボンドという男の超人的な身体能力、洞察力、戦闘力は旧シリーズを遙かに超越して「あり得ない」シーンの連続であるにもかかわらず、しかし確かにスクリーンの向こうにこの男が生きているという生々しさを感じさせる、新世代、21世紀にふさわしいアクション大作と言えると思う。 本作を観ていて既視感を感じたのだが、本作のアクションシーンの監修は「ボーンアルティメイタム」と同じスタッフなのだとか。確かにカットを細かく細かく刻んで凄まじいまでのスピード感を演出するその手法は同じだ。しかしあちこちの批評を見ていると、このせわしすぎるカット割りを好ましく思わない人もいるらしく、賛否両論のようだ。個人的にはこういう手法は好みに合っている。 惜しむらくは本作が前作の続編という扱いで、ストーリーが非常にわかりづらいというところ。まあ、アクションだけでも充分楽しめますが。
[DVD(吹替)] 7点(2010-12-09 13:34:15)
18.  真夏のオリオン 《ネタバレ》 
潜水艦映画といえば必ず比較されてしまうのは覚悟の上だったとは思うが、同じ敗戦国西ドイツが製作した30年も前の「Uボート」という不朽の名作に、脚本に於いても、演出に於いても、その志に於いても、遠く及ばない出来映えであることが哀しさを誘う。本作はすべてがこじんまりと纏まって、描写のそこかしこに「眼下の敵」「Uボート」邦画で言えば「男達の大和」その他戦争映画の名場面のオマージュを感じさせるところを発見するのだが、全てがオリジナルを超えることが出来ずに薄っぺらく、安っぽく感じてしまう。
[映画館(邦画)] 5点(2010-12-09 13:32:11)
19.  劔岳 点の記 《ネタバレ》 
物語は淡々としているが、陸軍と山岳会の登頂競争やそれぞれのキャラクター付けもしっかりしているし、物語の筋を追うのは難しくない。 演出上では時折唐突にシーンが変わったりするなど、不慣れな仕事故かたどたどしさはあるが、許容範囲だと感じた。 本作最大の宝はオールロケで撮った山々の息を呑む美しさ。 CGや合成でのごまかしの一切無い映像はそれだけで作品に重みをもたらす。映画を鑑賞するに当たって裏方の苦労云々を言い訳に評価を変えるのは反則という考えもあるが、この映像は木村大作が宣伝で撮影の苦労を語っていることを知っても知らなくても素晴らしいものであるということに変わりはない。 ただ、ここまで美しい映像なのにちょっと雑なパンニングや安っぽいズームが散見されたのが残念。画が美しいだけに重箱の隅が目立ってしまう。 それから嵐のシーンで明らかな音声のブツ切れがあったのも残念だった。 主人公柴崎芳太郎を演じる浅野忠信は、どうにも表情が乏しい。実際寡黙な男であったという柴崎芳太郎を意識しての役作りなのかもしれないが、やはりもう少し内からわき出るような情熱を表現して欲しかった気がする。地元の村人で案内人である宇治長次郎を演じる香川照之。彼は対照的に素晴らしい存在感で主役を圧倒してる。宇治長次郎自身も控えめではあるが意志の強い人間だったのだと思うが、それが大袈裟でなく香川の目や表情立ち居振る舞いから自然と醸し出されている。 木村大作の50年におよぶ映画キャメラマンのキャリアは素晴らしいが他の分野で大きな才能を発揮していても、映画監督としてそのまま優秀な作品を撮れるとは限らないという例は沢山ある。本作もそれを危惧していたが総合的には悪くない。 本作では劒岳周辺の地名や測量用語が出てくるので、事前に予備知識を持っていた方が楽しめるかも知れない。
[映画館(字幕)] 7点(2010-12-09 13:24:54)
20.  ターミネーター4 《ネタバレ》 
ターミネーターの面白さは、日常世界に突如現れる非日常(未来世界から来た無敵なロボット)のコントラストと、絶望的な未来を救うであろう救世主、一縷の望みである主人公ジョン・コナーが生きるか死ぬか、という緊張感にあったと思う。 しかし本作の舞台はその「絶望的な未来」である、人類文明がスカイネットという自らつくりだしたコンピュータネットワークに滅ぼされた2018年。 本作はとてつもない予算をかけてこれでもかと人類とロボットの熾烈な戦争を描いていて、ビジュアル的な派手さ故劇場ではその迫力に圧倒されるが、結局それ以上のものはない。 いくら想像力を駆使して新しいメカやアクションを紡ぎ出しても、結局は未来における未来戦争、よくあるシチュエーションなのである。T1~T3のような「日常世界に突如現れる非日常」なコントラストはなくなり、まあなんでもありの世界となってしまう。 また、新型ターミネーター、マーカス・ライトの存在がいかにも中途半端であったことと、抵抗軍の司令官が「このスカイネットの中枢部を破壊すれば戦争が終わる」と本編中盤で発言していながら、結局オチで「スカイネットの中枢は破壊したが、まだまだ世界には多くのスカイネットの基地があり、戦いは終わらない」というナレーションが入るという、どうにも納得できない矛盾があることだ。 何かターミネーターを取り巻く世界観が、宇宙戦艦ヤマトシリーズよろしく続編制作というビジネスのために無理矢理ねじ曲げられてしまったという印象を持ってしまうのだ。 そんな終わり方であることから、この先もT5、T6と製作されていくのだろうが、この後大きな物語の進展が無い限りは、また同じような未来戦争映画となってしまう。 どういうオチを付けるつもりなのか、ちょっと心配ではある。
[映画館(字幕)] 7点(2010-12-09 13:20:51)(良:2票)
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