1. となりのトトロ
《ネタバレ》 数ある宮崎監督作品の中でもこれは好きです。田舎の描写も綺麗ですし、風や草の匂いが画面から伝わってきます。トトロという架空のもののけの設定も得体の知れない可愛さをよく出しており、特に雨の森の中、ねこバスを待つシーンなどは絶品!不思議な心地よさを感じます。雨粒に喜ぶトトロは、アニメならではの表現なのでしょうが、思わず微笑んでしまいます。声優さんもよく、お父さん役の糸井重里氏にはびっくり。雰囲気のある「声」をもっているんですね。主題歌は覚えやすくて、耳にも優しく誰もが口ずさめるもので、CDも購入しました。ほんと、純粋に見れる、楽しめる、いい作品です。 9点(2004-05-20 17:44:23) |
2. ストリート・オブ・ファイヤー
《ネタバレ》 この映画の音楽にやられました。どの楽曲も素晴らしく、サントラも購入。特に、最後にダイアン・レインがステージで唄うところは劇場で鳥肌が立ちました。物語的には、その昔日本映画であった「流れ者」のような展開で、マイケル・パレが小林旭に見えたり、見えなかったり。無国籍風になっている作りも同じですね。でも、単純だからこそ、見やすかったことも事実です。カッコイイ!だけを成立させようとした作品ですが、今見ても音楽の良さは変わらず、心が震えます。 7点(2004-04-24 13:06:36) |
3. ニューヨーク東8番街の奇跡
《ネタバレ》 メルヘンという言葉がぴったりですね。小さな小さな宇宙船の設定自体から「夢」のような物語を感じます。立ち退きを迫られた古いアパートを、そしてそこに住む人々を、救うお話は、まさに古き良きアメリカ映画が持っていた助け合い、ヒューマニズムそのもの。それを特撮を使い宇宙船という外の星からのお客様として描く所に、現代という時代性をうまく活かしています。「E.T.」では子供が、この映画ではお年寄りが最初のコンタクトを行いますが、やはり心が純粋(年をとると幼児性を帯びるという)な人にこそ、奇跡は訪れるということを改めて認識。名作というわけではないですが、暖かいココアみたいなほのぼのとする作品です。 最初のタイトルバックは、建物とそこに住んで働きはじめた人達の歴史を映して(セピア調だったと思いますが)見るだけで、「ああ、こんな風にすごしていたんだ」「お店もはやっていたんだなあ」と目で見てわかる導入となっており、分かりやすかったですし、登場人物たちへの感情移入も素直にできました。こういう編集はやはりうまいですね。 7点(2004-04-24 12:57:56) |
4. サボテン・ブラザース
愛しいお馬鹿映画などにはそうそうめぐり会えるものではなく、だからこそ、この作品との遭遇はうれしかった。涙が出る程喜びました。勘違いギャグの最高峰と言ってもいいくらいに、3人組のとぼけた演技には感心以上の感動がありました。はい、自分好みです。この笑いのセンスには(大阪人気質か)学ばされることしきりです。何度でも観たい映画です。 8点(2004-04-05 12:01:06) |
5. 風の谷のナウシカ
ごめんなさい。映画館で観た時に寝てしまいました。その後、眠ったところまでまた席についたまま見ようとしたのですが、睡魔が襲ってきます。断念して、その何年か後、TVやDVD(レンタル)でやっと本編を通して見ることが出来ました。何故、眠かったのだろうかと考えると、別に大画面でなくても良かったのかも?という一つの答えが導き出されました。自然と人間が共に生きていくために大切なことって、何?そのひとつの方向性を見い出しナウシカが奔走するのですが、心が震えてこず。メッセージばかりが強くてセル画の裏側から制作者の顔がどうしても浮かび上がってきます。その主張するものが大きくて、ピンとこなかったのかも知れません。大画面を活かした展開でもなかったし、そういうメッセージならば本でも充分伝わるような。どちらかといえば(言葉は悪いかも知れません)宮崎氏の趣味についてのエッセイを見ているような(自然と人間についての僕の覚え書き、みたいな)そんな錯覚が今でもあります。名画と呼ばれ、愛されている作品なれど作家性の出過ぎた点では、自分は少し敬遠したい映画です。 5点(2004-03-29 21:10:53)(笑:1票) (良:2票) |
6. ビッグ
《ネタバレ》 この映画の見所は(人によってたくさんあるとは思います)ラストでしょう。子供から大人になって、願いがかなってもそれは自分の力でも何でもなくただの遊びのようなもの。精神が伴わない大人の状態を面白可笑しく描きながら、映画は純粋でいることの難しさと矛盾、そして疎外感を風刺を交えて描いています。でも、最後にはそんな大人との決別が待っています。普通、少年から大人への階段を昇る試練や苦悩を描くのですが、この作品では 大人から少年へ戻る手順で、それを見せてくれています。肉体は小さくなっても、「心」の成長というステップを踏ませて見せているあたり、上手いと思います。トム・ハンクスが実にうれしそうに(馬鹿っぽく)演じているのがまたいいですね。 7点(2004-03-29 15:46:08) |
7. ブラック・レイン
大阪の街をブレードランナーの舞台のように見せる映像。ネオンとあふれかえる人。光と影。日本であるとか、他国であるとか、そんな領域でおさまらないスケール感がこの作品にはあります。故松田優作が魅せる狂人のハイテンションぶりには、「こやつ人間か?」の疑問も浮かびます。そんな点でも、無国籍めいたムードが漂っているのでしょう。その分、浮いてしまう役者さんも多数いますが。寡黙な高倉健は典型的な描かれ方で面白味に欠けます。アメリカ刑事とのほのかな友情という流れも読めてしまいます。それでも観てしまうのは、松田優作。この人の圧倒的な存在感ゆえ。1人の出演者でもつ映画。俳優の力を誇示する、まさに貴重な作品です。 7点(2004-03-29 12:03:51) |
8. アンタッチャブル
《ネタバレ》 エンニオ・モリコーネの音楽がとても印象に残り、ショーン・コネリーの存在感に幸せを感じた作品です。会社の仕事を無理矢理終わらせて劇場に駆け付けた最終の回。平日の夜にも関わらず、7割ものお客さん。映画はアル・カポネとアンタッチャブルとの抗争を描くアクション・ドラマ。それにしては女性客が多い。ケビン・コスナー狙いか。そのコスナーがいい役もらって、頑張っています。でも、それ以上にショーン・コネリーが最高です。体を張って、会計士の乗る列車の時刻を伝えようとするシーンなど号泣でした。駅の階段シーンもスローモーションを活かし、緊迫感を盛り上げます。4人で結成されたのに、最後は2人になり、コスナーが去るシーンもいいですね。デ・パルマ監督がこのような大作を撮れることに少し驚きました。(反面、普通の監督になったのかな?とさみしくもあり) 8点(2004-03-27 10:53:02) |
9. 火垂るの墓(1988)
《ネタバレ》 切なくつらくやりきれない。映画として、アニメとして、観る者に「戦争」の悲惨さをいやというほど見せつける作品です。知人に、毎年夏になるとこの映画を思い出すわ、と目を潤ませる人がいて、その影響力の凄さに驚きます。戦争による哀しみ、その哀しみに耐えながら必死に生きていく兄妹の姿は、単なる批判よりも「生へのしがみつき」に思えて、「生きる」ことの大切さも教わったような気がします。節子が池のほとりで、1人水面に映る自分とジャンケンするシーンは何度みても泣けます。誰がこんな風にしたのか。声を荒げる「反対」の言葉よりも、自分にはこの1シーンがとても痛く、多くを物語っている気がしてなりません。 8点(2004-03-27 09:42:47) |
10. 夜霧のマンハッタン
都会派のラブロマンス+サスペンス+コメディ映画とでも表現すればいいでしょうか。非常に軽いタッチで明るい印象のある内容です。ですからハラハラドキドキなどは、ほんのスパイス程度で2人の絡みが見せ所となります。重たいテーマや主人公が必死の形相でアクションする映画などに少し疲れたなという人には、いい作品ですね。永遠のハンサム、レッドフォードならではの味が出ています。自分は「ホット・ロック」のノリみたいなものを感じました。 7点(2004-03-26 17:13:13) |
11. ナチュラル
《ネタバレ》 伝説なんて、それを語る人によって多少の味付け、脚色が成されているもの。面白可笑しく伝え残すための工夫は、決して悪い事ではないと思います。その根底に流れるものさえ崩さなければ。映画「ナチュラル」は、野球が好きな人間をうまくおとぎ話として伝え切れている点で非常に好感の持てる映画です。ノスタルジーいっぱいのつくりですが、おじいちゃんから「昔々、こんな選手がいての、目のさめるような花火のようなホームランを打ったんじゃ」なんて聞かされてるような、そんな印象があります。 また、撮影の力でしょうが、全編おだやかなムードの画面づくりで、気持ちの方も落ち着く、不思議な佇まいを見せる作品でもありました。ラスト、夕景の中、キャッチボールをするレッドフォードの笑顔がたまりません。うらやましくなるくらいの幸せな笑顔です。野球っていいなあ。単純にそう思いました。 8点(2004-03-26 17:01:50)(良:2票) |
12. 遊星からの物体X
《ネタバレ》 ロードショーで観た時は、友人が気分を悪くして途中退場してしまいました。自分は別に平気でしたが。「悪趣味」と評価を受け今ではカルトムービー的なポジションを得た映画になってしまいました。でも、個人的には好きです。リメイクなのですが元ネタを知らないので、全く新しく観れたこと。潔いくらいに男しか出てこないこと。うわあ汗臭い。しかし心配ご無用。舞台は南極。寒さの極限故汗の匂いはせず。その代わりに異様なまでの閉塞感を感じます。エイリアンが乗り移っても誰だか分らない。そしてどこへも逃げられない。寒いわ、麻痺するわ、疲れるわの状態が観ている者にもバーチャル体験。造形的にもこの当時ではかなりの衝撃もの。見慣れていない観客の度胆を抜いたのも確か。ラストも本当にこれで終わり?まだ決着はついてないんじゃ?の不安な終わり方。う~ん。物凄いものを観てしまったぞ。面白かったぞ。カーペンター監督作品ではこれが一番だと思います。 7点(2004-03-25 11:49:51) |
13. 超時空要塞マクロス ~愛・おぼえていますか~
《ネタバレ》 歌の力が本編の物語と観ている者に同じように影響を与えてくれるラストの戦闘シーン。今までになかった感情に突き動かされました。派手なドッグファイトにかぶさるリン・ミンメイの曲。完全にツボにはまりました。スピード感あふれる画面にながれる「愛」の唄に、異常なまでの高揚感を覚えレコードも購入。若かったといえばそれまでですが、自分の中ではマクロスの名場面はこのラストだと思います。その他のシーンも作画のクオリティも高く綺麗なのですが、思い出すところがあまりないのも事実。 やはり印象度となると、先に挙げた場面にどうしてもなってしまいます。 7点(2004-03-24 10:44:36) |
14. ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀
これはキャラクター映画なのだろうか。それにしては可愛さのかけらもない主人公をどう見ろと?お正月早々こういう映画を観てしまうと、その年は決していいことが起きないと思いましたが。(実際この年は私生活で大変な目に合いました)悪い予感は的中するもの。決して映画のせいではないのですが、タイミング良く?(悪く)この作品と出会った自分の責任です。面白くもなんともなかったです。続編の話もあったとか。なくて幸いでした。 3点(2004-03-23 16:44:09) |
15. フィールド・オブ・ドリームス
《ネタバレ》 故淀川長治先生は「ドリームズ・カム・トゥルーだね」とおっしゃってた。その意味は映画の最後、父親との時代を越えて、世界も越えたキャッチボールに集約されている。親父と17で別れ、ちっとも冒険的な人生を歩まなかった。平凡といえば平凡。親父が死んでも帰らなかった。最後まで親父とは和解できなかった。そんな男がトウモロコシ畑で声を聞く。これはきっと神の声。野球場をつくれという。本気になれば実現することがある。自分を信じてやり通せば叶わぬことなどない。例えそれが死んでしまった者との再会でも。ファンタジーです。実際には起こり得ないことです。でも、この親子の再会に(途中にも昔の選手達のいいエピソードがあります)泣かぬ人はいないでしょう。噂を聞き付けた人達がアメリカ中から車を飛ばして駆け付けてくるラストの光の行列。「夢」を信じたい。「夢」に出会いたい人の多さを見せながら静かに終わります。出来るなら自分もあの行列に加わりたい。そして、あの木のベンチに座って「夢」を観戦したいと思いました。 10点(2004-03-23 11:49:16) |
16. 普通の人々
《ネタバレ》 アメリカの普通の家庭の普通の人々が遭遇する「悩み」「葛藤」を冷徹なまでに覚めたカメラで映し撮った名作です。愛する長男の「死」から立ち直れない母。兄の「死」を自分のせいだと苦しむ次男。それらの「問題」に対して、良き対処の見つからない父親。超人でもなければ天才でもない、どこにでもいる人間だから 傷つき、途方にくれ、悩みだけが日常の全てになる。しかし、淡々と描きながらも監督レッドフォードは、「家族の再生」を ラストに見せます。母が家を出て、父親と2人で始める生活。最適な解決法はなくても、生きて行くために向き合わなければならないこと、乗り越えるために逃げてはいけないことを、伝えてくれています。厳しいながらも家族の本当の「愛」の在り方について、色々なことを考えさせてくれるいい映画です。 8点(2004-03-19 10:05:48) |
17. ロボコップ(1987)
日本であるならば「ロボット刑事K」というところでしょうか。TVのお子様向けの特撮番組になるような題材ですし、漫画と区別のつかない見せられ方をしそうです。ところが、アメリカではこれを真面目にお金を掛けて作り映画にしてしまうのですね。「エンターテイメント」として完成させた意気込みに感服します。ありそうもないことをどれだけの説得力で見せるか。嘘でもいいからうまい嘘をついてくれればいい。映画とはそういう物でもあるからとスクリーンで観た時、これは、期待通りでした。馬鹿馬鹿しいです。荒唐無稽です。あり得ないです。でも、映画になっているのです。まず嘘をつくという方法をこの映画は潔く捨てています。漫画でもいいじゃないか。と面白いくらい開き直っています。実に堂々と。そして、造形的にもロボコップがよく出来ています。さらに、個人的で申し訳ないですがナンシー・アレンが出ています。(好きなんです。この女優。顔が)そんなこんなで、 例えストーリーがお粗末でも、見せ切ったスタッフの勇気と熱意と創造力に敬意を表して。 7点(2004-03-11 10:31:06) |
18. 地球へ・・・
映画が原作(漫画)を越えられなかった。漫画のコマの方がよっぽど映画的だったといえば、怒られるだろうか。竹宮恵子氏の原作で描かれていたソルジャーブルーの哀しみは、セル画になるとどっか飛んで行っちゃたんだね。情緒のある展開が魅力の内容なのに、普通のSF大作みたいに変身して。ダ・カーポの歌は、なんとも明るく、軽く、まるでジョークですみたいなノリで。「カム・ホーム・ツウ・テ~ラ」なんて。ちょっと悲しくなりました。原作は今読み返しても面白いし、名作ですね。 6点(2004-03-10 17:34:55) |
19. ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎
《ネタバレ》 スピルバーグ色が出ている映画。冒険ものに徹底させている点は、観ていて飽きませんし、視覚にも場面の転換が多い方が楽しいですし。でも、それだけのような。予定調和はいいのだれど、主演の男の子にあまり魅力を感じず。配役の人選で、自分とは少し会わなかったかな?という印象の映画です。決して退屈はしません。友人などは、コナン・ドイルファンなので大絶賛してました。自分は、それほど好きじゃないから、この評価なのかな。 6点(2004-03-09 17:43:14) |
20. フラッシュダンス
《ネタバレ》 音楽ってすごいなあ。この映画上映の頃、主題歌がどこのレコード屋でもかかっていて、サントラも売れていたっけ。で、この曲がないとこの映画、目を見張るほどの大ヒットにはなってなかったんだろなあ。お話はいたって単純。踊りの好きな女の子のシンデレラ・ストーリー。溶接工しながら、いつしか舞台で踊ることを目標にしている。がんばれ!の声援をおくるのが普通なんだけれど、あんまり苦労を感じないというか、画面全体がファッションの一部みたいに撮られているせいか、感情移入できず。案外贅沢なんちゃうん、と思わせるシーンもあり、(恋人とデートに出て食事したのにも関わらず、大きいピザを購入し、自宅で食べるんだけど、一切れぐらい喰ったら後はほったらかし。ラブシーンに続き、ピザは冷めたままテーブルに。もったいないやないか。 ピザが)女の子を好きになれず(というよりも自分が貧乏症なだけか)ラストの審査会場も予定調和という印象で盛り上がりませんでした。やはり、音楽でしょう。それが全てという気がします。 6点(2004-03-09 12:53:15) |