1. シン・ウルトラマン
《ネタバレ》 庵野監督と同世代のやつしか共感出来ない部分はあるよこの映画。俺は庵野の世代だからわかる。 昭和40年頃にあったウルトラマンというテレビ番組は現代までおよそ50年の長きにわたり語り継がれてきた。月日の流れる間にウルトラマンというコンテンツはウルトラマンをウルトラマンたらしめる因子が抽出濃縮デフォルメされ、単なる子供向け怪獣映画とは異なる存在として現代まで生きて在り続けてきた。 このシン・ウルトラマンはそう、その現代に存在する人々のイメージ、もうセピア色に色褪せているはずなのに今も生き生きと身近に在るその姿を忠実に映像化したものと言えるだろう。 変にオリジナリティや改編を施すことなく、語り継がれ変化した現代の標準的イメージ、「おまえらこういうイメージだろ?」というポイントを突き詰めて制作したに違いない。 詳細を挙げればキリがなくなるが、 例えばゼットンは当時は普通に登場したカミキリムシの怪獣に過ぎず、しかし唐突にウルトラマンは負けてしまったのだ。ゼットンが強かったわけではなく何故か唐突にウルトラマンは敗け、井出隊員の作成した冗談みたいにチャチなペンシル爆弾であっさりやっつけたというのが正直なところであろう。しかし長い年月を経てゼットンはその本来の映像から変わっていき、ある意味神格化された存在にまで成り上がって今日がある。 この映画のゼットンはまさにその神格化された存在としての描写にこだわっていた。ゼットンと言えば今や”一兆度の火球”なのであるが、当時そんなスペックが注目されたことはなかったよ。映画では一兆度の火球という単語をきちんと投入していた。 現代のウルトラマン像はでは一体どうやって調査したのかと考えれば、それはやはり庵野だろうね。庵野氏の中にある今のウルトラマンを描いたんだろう。 彼と私で異なると感じたのは、ザラブ星人とメフィラス星人のキャラかな。そこはちょっと違うんじゃねって感じ。ザラブ、メフィラス出すならさ、あれよりもさ、そこはダダでしょ。ダダ。あとバルタン星人。 冒頭のウルトラQのゴメスあたりの導入はなかなか良かったよ、懐かしくて。 効果音も当時のものに似せてあったね。 俺はウルトラマンのリアルでテレビ見てた世代だからよーくわかってるんだけど、そういう世代じゃないとピンとはこないかもなあ。 ゴジラはもっと普遍的に全世代に親しまれていたわけだから映画評価はウルトラマンのほうが低めになるんだろうなあ。 [映画館(邦画)] 10点(2022-05-19 00:14:02) |
2. セッション
《ネタバレ》 いやあ~とにかくカッコいい。硬派な映画だ。ハードボイルドと言っていいんじゃないの、渋いねえ。内容ですが彼女は会場に来ていたのか。これは気になりましたなあ。映画館で最初にデート誘った時もあの彼女はあり得ないようなジョークで誘い文句を受けていたからねえ、油断ならない彼女だから今度も・・・って。それから、教授は本気で生徒を恨んで仕返しするために罠をしかけたのか、それとも自分の指揮者としてのJVC出演を棒に振るリスクも負ってまでこの生徒を一皮むけさせるために賭けたのか。気になりましたねえ。 でもそんなことは見る人がどっちでも取れるように、もっと言えばそんなことどうでもよくなってしまう終盤。熱い演奏と熱気の中、二人が満足気に視線を合わせていくラストシーン凄い。(教授の意図はもう明白かな。) [DVD(字幕)] 10点(2015-10-01 21:11:04) |
3. 冷静と情熱のあいだ
《ネタバレ》 感想を書こうと思って得点を見てびっくり。あまりに自分の評価と違いすぎて。まあ、そういうこともあるのでしょう。出会いから二人が愛情を深めていく回想シーン。年代がちょうど自分たちと同じ上に、結婚までつながっていった自分たちの思い出と重なるシーンが多くて、ちょっと「来て」しまった。ラブストーリーは登場人物のキャラをなるべく明確に浮き彫りにすることが大事であるが、その点、この映画ではこれ以上望めないほどに成功している。つまりケリーチャンという香港人を起用したことがこの映画の大きなポイントだ。好き嫌いが分かれる点ではあろうが、香港人という、「自国から出て海外で人生を切り開いていく国民性」そのものが描かれ、単に日本と香港で終わらずイタリアを舞台にした点、華やかで、他の邦画にはない、ロマンチックで自分にとってはノスタルジックな、手元に置いておきたいような映画だった。 映像も細部にわたって美しく、構図とか明るさとか絞りとか、上手いな~と感心しながら鑑賞できます。 [DVD(邦画)] 10点(2011-09-15 23:19:28) |
4. マイ・フェア・レディ
《ネタバレ》 自分が生まれた年に制作された映画。そう思いながら見た。映画の内容や出来とは直接関係ないが、この映画には巷でよく耳にする曲が多く使われているのだけれど、自分は今までこの映画とともに時を経てきて、この映画を一度も見たことがないのに、その曲だけは何度も耳にしながら人生を過ごしてきているのだと思うと、もっとこのような名作といわれる映画を見ないともったいない。そういう気がしてきた。 [DVD(字幕)] 10点(2011-06-20 23:40:42) |
5. あの子を探して
《ネタバレ》 失業すれば国の政策が悪いだの、企業が悪いだの、自分を棚に上げる。病気になって死亡すれば治療の仕方が悪いと病院を訴える。殺人が起きれば犯人ではなくて警察の捜査をやり玉にあげる。そういった甘えきった考え方に馴染み、それが当たり前という感覚を持っている人間には良さがわからない映画。中国人が10億もの人間を抱えながら国体を維持している内実が実によく伝わってくる。近年の経済発展もあって中国は豊かになったと言われてはいるが、10億みなテレビでみるような上海、北京だったら、GDPはこんなものじゃないはずだから。誰にも期待せず、なんでも「自分でやる」ことが自然に身に付いているこの少女が素晴らしい。恥や外聞もなく、生きるために、誰かを頼らず、馴れあわず、自分で聞いて、自分で歩き、自分で立って・・・。人、一人で何ができるか?自分がいかに甘えた世の中で暮らしてきたか、恥じ入りたくなる映画だった。素晴らしい。 [DVD(字幕)] 10点(2010-08-22 07:24:54) |
6. 2012(2009)
《ネタバレ》 含蓄ある映画だった。太陽フレアにまつわるパニック映画としての体裁をとっているが、リーマンショック後の世界同時不況とその後の壊滅的な世界経済をもじったものだろう。2012年にドル暴落により米国経済が壊滅的打撃をうけるのでは?との予測がある。アラブの王族にチケット購入を勧める場面での「ドルではなくユーロだ」との台詞はまさに基軸通貨としてのドル終焉の意味が込められているし、方舟建造場面での「さすが中国人」という台詞は今後の世界経済の命運が中国の成長にかかっている現実を表している。太陽フレアによるパニックはそれはそれとして、「現実にすでに世界に起きた未曾有の大災害」米国の一部資本家による強欲がそれを引き起こしたとされているが、「大災害はすでに起きてるんだよ」というメッセージにとれた。ロシアの金持ちももちろん今回の経済危機に深く関与しているため、準主役級で登場させたと思われるが、その金満ぶりを否定的に描いている。美容形成外科医も制作者からすると「金をふんだくる悪人」なのかな。金、金、金の世の中を否定する主題が強く込められていた。オバマが経済立て直しを民衆に訴える演説イメージが重なる。映画自体の造りも映像のダイナミックさは映画としての楽しみを十分満たしてくれるものであったし、「信じられないような奇跡の連続」にしても、だいたいが80億人の人間が死に、わずかな人間が生き延びるわけで、「それくらいの奇跡の連続を体現」できた人でなければ生きのびられないわけで、当然の描写である。世界同時不況で現実にどれくらいの人間が不幸に陥れられ、命を絶たれたか、そう考えずにはいられない映画だった。 [映画館(字幕)] 10点(2009-12-14 12:47:54)(良:2票) |
7. シェルブールの雨傘
《ネタバレ》 きれい。おしゃれ。音楽も有名なテーマ曲はもちろんのこと、ジャズっぽいものも自然に使われ、どこをどうやったらこんなに奇麗でおしゃれな映画ってできるのだろう?と感心するしかなかった。ストーリーも単純なようではあるが、じゃあ、これほど悲劇的な物語が他にあるだろうか。二人の心情を思い測ると切なく、気の毒で、思い出すだけで泣けてきてしまう。 [DVD(字幕)] 10点(2009-10-26 21:33:27) |
8. 慕情(1955)
《ネタバレ》 あらすじはわかっていても、観るとやはり涙がとまらず・・・。映画はやっぱり映像の力なのだと痛感させられる。女優の表情、仕草、音楽、風景、そういったものが感情に訴えてくる力の偉大さ。映画の醍醐味です。 [DVD(字幕)] 10点(2009-10-11 22:15:58) |
9. ロッキー・ザ・ファイナル
人生を歩む一歩一歩は、歩いているその時には何も自分に変化をもたらさないように見える。が、振り返ってみると、二度と戻れないその道程は遥かである、まるで水滴が岩を穿つように。映画を観ながら己の人生を振り返らなかったものはいないに違いない。誰にとっても宝石のように甘美な輝きを持つ大切なものとして心のうちに秘められている物、それを「さあ、それを脇に置いて先へ進もう」とやさしく観る者に語りかける。観客が「脇に置いておく」ように勧められるのは他ならぬロッキーをも含む。年齢的な意味でこの映画のストライクゾーンはスタローン実年齢60歳前後ではなく、実は40~50代であろう。人生を振り返りながらそこで過去の数少ない栄光、良い思い出にすがって生きるか、それを振り切って新しく良い思い出を作っていこうとするかの選択をする時期である。苦しい選択になろうとも前に進むとのスタローンの意欲に勇気付けられる。「思い出は美しすぎて、それは悲しいほどに」と表現したくなるような熱くセンチメンタルな「ロッキー」の締めくくり、カッコよすぎです。 [映画館(字幕)] 10点(2007-05-02 23:54:48) |
10. トゥモロー・ワールド
これは凄い。久しぶりに感動した。次々に死んでいく命の軽さと一人の赤ちゃんの命との対比をこれほどまでに見事に描いた原作も素晴らしいし、映像もまた素晴らしい。戦闘シーンはリアルで迫力と緊迫感がある。映像はどれもシックで落ち着きがあり美的に描かれている。今までのどんな戦争映画もSFもかすんで見える。 子供を育てた経験のある人なら必ずわかる、心の奥にある人として持つ子供への愛。それをもう一度呼び起こして心を揺さぶってくれる。必見、本当に必見。 [DVD(字幕)] 10点(2007-04-09 23:24:04)(良:1票) |
11. スクール・オブ・ロック
久しぶりに清々しい映画だった。サウンドオブミュージックのようでもあり、パッチアダムスのようでもある。人に物を教えるってことは凄くエネルギーが必要なのだなと改めて感じた。自分は人になにか物事を教える際に、ああして熱意を持って、まめに準備して、相手を信頼し、仲間意識を持って、愛情持って取り組むことができるだろうか、とても出来はしないと思った。更に、自分に何か人に一生懸命伝えるべき物を持っていることが素晴らしいのだとも教えられた。ためになった。頭が下がる。 [DVD(字幕)] 10点(2006-05-14 00:58:40) |
12. 死霊のはらわた(1981)
この映画は怖かった。衝撃的な残酷さだった。スプラッタというジャンルがそれほどコナレテきていなかった時代、ホラーといえばオカルトが主流であった時代に登場したグロ映画の極致。この映画以後のスプラッタは全て2番煎じと言っても過言ではなかろう。当時、友人たちと観にいったが皆凍りついていた。「あそこまで追い込まれたら自分も死霊になったほうがずっと良い。」というのが一致した感想だった。今の時代にビデオで見てもそれほどではないだろうが・・・。 [映画館(字幕)] 10点(2005-11-14 21:23:33)(良:1票) |
13. ダーククリスタル
最近の映画ではないが。当時としては非常に斬新だった。ストーリーのまとまり、映像の綺麗さ、キャラクターの突飛さ。今観ても遜色ないが、スターウオーズの小動物のキャラやそういうのに慣れている世代には面白くないかもしれない。当時こういう映画が他にあったか?この映画が出たあとだからネバーエンディングストーリーには新鮮さを感じなかった。 [映画館(字幕)] 10点(2005-11-07 22:48:03)(良:1票) |
14. 裏切りのサーカス
《ネタバレ》 予めあらすじ把握してからの鑑賞推奨。凝ったストーリーは映画だけでは無理だ。映画は映像と音のためだと割り切れ。 映画では「イギリス人らしさ」を強調する小道具としてのロンドン文化が端々に登場する。 しかしフィッシュアンドチップスとかいう下賤な食物は登場しない。薄切りでカリッと焼いたトーストを「親ロンドン」を強調するロシアスパイがブダペストで食べ、イギリスのスパイ部門トップがロンドンで食べる。 ロンドン市内にある自然池でMI6の面々は水泳を日常的に楽しむ。 まあそういったロンドンらしさを散りばめた描写を楽しむべきか。 しかしラストシーンは「ラメール」というフランス懐メロが飾る。しかもフリオイグレシアスのライブ録音を使っている。 ラメールというのは海を描写した歌だが、時の流れにより朽ちる海小屋(スパイとの闘いで散った人々かな)や永遠に変わらない海の美しさや偉大さを(イギリス、MI6)を敬う哲学的な内容を含む歌であり、監督がこの物語をどう捉えて描いたかが伝わってくる選曲である。 [インターネット(字幕)] 9点(2022-02-28 07:29:55)(良:1票) |
15. 検察側の罪人
《ネタバレ》 私のような50半ばに至ったオジサンからしたらキムタクや二宮和也というのはジャリタレアイドルの範疇。 そんなジャリタレ総出演のハリボテ映画の一つだろう、夏休みのおこちゃま向け怪獣総進撃と変わらん!などとナメタ感じで映画館に行った。 しかしこれが良い意味で期待外れの大当たり。私のような渋いネトウヨナイスミドルが好む麻生幾系ハードボイルド! このハードボイルドはキムタク&二宮目当ての婦女子には相当荷が重いと思われる。私は原作未読であり原作との比較は幸いにもしていないが、映画から推測するに、おそらく原作には様々な重厚複雑な伏線やサブテーマがちりばめられているものと思われる。 映画では特に第一部において非常にテンポよく、パッパと場面ごとの繋ぎがオシャレに洗練された形で作成されており鑑賞しやすい。原作を知っている人からはおそらく相当な非難もでるのであろうが、映画としてはよくできていると感じた。 肝心のテーマだが、検察官個人がその正義感から暴走してしまう危うさを提示したものになっている。 検察官がいかに熱い正義感を持ってその職務に就いているかを様々な場面で映画は描いており、実際そういった検察官の「尊い」正義感のお陰で日本の正義が守られているのであろう。しかしその人一倍の正義感という個人的素質は一方で強大な力の暴走につながる場合は確かにありそうだよねえ。 冒頭キムタクが検察官が持たされる力の威力と恐ろしさを研修生に講義していた。その講義し若手に戒めていた教官ですら己の強い正義感から暴走していく。熱い正義感とクールに自己を客観視するというバランスを取る能力を相当に訓練していたはずの人間ですら、そうなってしまうことだってあるんだよと。「だってにんげんだもの」、みたいな。 そういったことを始めて世間に知らしめた、画期的映画でもあると思う。 [映画館(邦画)] 9点(2018-08-26 07:09:56) |
16. シン・ゴジラ
《ネタバレ》 監督!あんたはわかってる。 ゴジラはもとより円谷特撮映画、ゴジラ、ウルトラセブンの本当の魅力ってやつを!逆にわかりすぎちゃって、客に悟られ恥ずかしくならないかな。 ゴジラ、ウルトラセブンの魅力ってのは実はフェティシズムだ。 女性のピンヒールとライン入り黒ストに興奮する輩がいるように、自衛隊の出動、指揮系統のピシッとした言い回し、制服、肩書きそのもの、銃器や兵器の名称やら型番号、自衛隊マーチに代表される音楽。ただそれだけでもある種性的快楽の匂いを感じる変態性的倒錯、それこそが実は円谷ゴジラ、ウルトラセブンの真髄なのである。 他に例を挙げればガッチャマンにおけるベルクカッツェの紅い唇、仮面の忍者赤影の赤い唇などがその付近を狙ったものであることは間違いないであろう。ウルトラセブン変身時の音など、あれでイってた男の子もいたはずだ。男の子向けのこういう特撮には必ずこういう要素が必要なのだ。 このゴジラでは監督がそこを、そこだけをデフォルメして、痒いところに手が届く、フェチどもをイカセテくれる映像を作ってくれた。この映画はフェチ的要素の固まりである。石原さとみの英語、厚めの唇もそれであるし、わけのわからない医学、生物学的用語をまき散らし不気味さを醸し出すのもそれである。このフェティシズムを刺激することに主眼を置いた監督の頭のなかをみてみたい。俺はフェチではない・・・けども。 [映画館(邦画)] 9点(2016-08-02 23:47:26)(笑:5票) (良:5票) |
17. インターステラー
《ネタバレ》 物理の抽象的理論を映像表現したり、ストーリーに組み入れることはかなり難しかっただろうと思う。光速で宇宙旅行して地球に戻ると浦島太郎になるという話は有名だが、それを父娘、子供部屋での異常現象と絡めたところがストーリーとしては秀逸。SF物では細かい突っ込みどころがあるのは致し方ないところで、例えばブラックホールに突っ込むなら地球じゃあ何億年も経ってるんじゃあないのかい?とか、長~く引き伸ばされて素粒子まで分解されちゃうんじゃないの?とかいろいろあるが、でも、私は本棚裏に戻ってきたあたりから切なくて涙がとまらなくなってきてしまった。理屈はどうでも、涙が出るような映画は久しぶりだった。長尺の映画で心配だったけど、観に行ってよかったなと思った。 [映画館(字幕)] 9点(2014-12-07 00:14:01) |
18. GODZILLA ゴジラ(2014)
《ネタバレ》 これは「ダーククリスタルに捧ぐ」と副題を付けてもいいんジャマイカ?ゴジラの下眼瞼に皺を寄せる特殊メイクは日本で1983年に公開されたダーククリスタルのスケクシーだし、敵方のギャオス改もダーククリスタルにおいてキラが呼び寄せる脚長の乗り物動物そのものじゃん。もちろん日本映画のガメラ忘れてはいません、もう一度改めましてギャオスの頭を使ってますねえ。あ、ゴジラについては表情によっては「おいらジーラ」ってばかりに猿の惑星って見方もアリですかね。さて、ストーリーはよく練られていてテンポよく無駄少なく、ラスベガスやシスコや日本と場面が散らばるにも関わらず各場面のつなぎが工夫され、とても見やすい映画だった。細かいところでは、あの高度9000メートルからのアプローチは、もう少しその難易度を表現してほしかった。また、ここは多くの人が感じるところだろうが、ゴジラの着ぐるみがあまりにも「ふなっしー」で、手関節、肘関節、肩関節、膝関節、諸々その長さバランスが人間チック。ただしこれはあえてそこを狙ったという可能性も大いにあると思うけど。 [映画館(字幕)] 9点(2014-08-03 23:13:31)(良:1票) |
19. パシフィック・リム
《ネタバレ》 怪獣映画で大事なことは「スケール感」。大きいからこそ怖い。ストーリーでハラハラするとかそんなのはっきり言ってどうでもいい。言うなればシマヘビとニシキヘビでどっちが怖い?トラザメとホオジロザメでどっちが怖い?見るだけで怖いのが怪獣。そこをどう迫力ある映像に仕上げるかがすべて。 この映画はそういう視点からみて、非常に迫力がある。おそらく史上最高の映像だろう。怪獣だけでなく、迫力を増幅させているのが対戦相手のロボットだ。これはダムとかでかい橋脚とか水に遣った巨大建造物が人間に何がしかの恐怖を与える理屈と同じで、あのロボットが水に濡れつつ海で戦いつつ、というのはなかなか怖い。 そのほかの人間ドラマ的な部分は「カレーライスの福神漬け」。この映画を見てそんなとこにアラを探しても楽しくはない。 iMAXのせいかもしれないが、この迫力には度肝を抜かれた。 [映画館(字幕)] 9点(2013-08-15 23:17:30)(良:2票) |
20. 藁の楯
《ネタバレ》 法律は専門外だが、警察というのは社会の治安を維持するためにある。個の事情は国家体制維持より優先順位が下にあるわけで、それゆえどんな犯罪者でも私刑させるわけにはいかない。「こんなクズを守るのか?」ではなくて、守っているのは国家によって保たれた社会秩序だ。劇中そんな基本的なことすらわかっていないかのような人間が多数登場して驚いた。それから、犯人であるが、これは非常によく描かれていた。本質的に精神異常者なので常識は通用しない。なので、何を言い出しても驚くにはあたらないし、いちいち理屈や常識が多少は通じるなどと考える事自体、知識不足。「そんなもの」として扱うべきだが、最前線の警察官なのにそんなことすら知識として持っていないのかと、そう描かれており現実社会で頑張っている現場の警官に気の毒だった。しかし、設定、展開、映画のテンポ、テーマ、犯人の異常者ぶり、本来美貌の松島菜々子の疲れ、老けぶり。アクション入った日本映画も面白いな、よく作ったものだなあと感心しながら素直に楽しめた。 [映画館(邦画)] 9点(2013-05-23 23:13:20) |