1. 12人の優しい日本人
《ネタバレ》 「どいつもこいつも先入観で判断しやがって。これだから日本人はダメなんだ。」本家を先に見ていたのでこう思いながら鑑賞していました。ところがどっこい、最も先入観に影響されているのは「最後は有罪派が勝つに決まっている」と考えていた自分でした。こりゃ一本取られましたな(笑) [DVD(邦画)] 8点(2006-11-29 17:49:00) |
2. 書を捨てよ町へ出よう
《ネタバレ》 評判通りのイタイ映画。面白いシーンも多いのだが、演出があまりにも押し付けがましくて目が痛くなる。コーラスを多用する音楽も演劇ならばよいのかもしれないが、映画ではダサいし空回り。「田園に死す」はなかなか良かったので期待していたのだが、期待を完全に裏切られた。映画のラストでミケランジェロ・アントニオーニや大島渚といった実験映画監督の名が出ていることからも、彼らに対抗意識を燃やしているわかるのだが、「欲望」や「青春残酷物語」といた歴史に残る名作と比べるとどうしても力不足。いやセンス不足です。 [DVD(邦画)] 4点(2006-11-26 01:37:58) |
3. エレファント
蝉丸さんに全面的に同意です。ヴィム・ヴェンダースや小津安二郎 の映画は、何の事件もない日常を描きながらも心に強く訴えるものがある。 しかし、エレファントは映画としては格好のネタを題材としておきながら、 心に訴えるものがない。政治的、思想的なメッセージを押し付けずに、 観客の判断に委ねるのは大いに結構です。しかし、それでも映像や音楽の力を 駆使して心に訴えることは必要でしょう。本ではなく映画で表現しているのですから。 映像はテクニックに懲りすぎて芸術性とインパクトに欠け、音楽もただ淡々とした 映画に合いそうな綺麗な名曲(エリーゼのために)を選んだだけで残念ながら手抜きでありミスマッチだというのが個人的な感想です。 [DVD(字幕)] 3点(2006-11-04 02:07:19)(良:1票) |
4. 地獄に堕ちた勇者ども
《ネタバレ》 「退廃の美学」「デカダンスの極致」といった物々しい形容をされているので 身構えて見てみたけど、ドラマの部分がヴィスコンティにしては意外(?)にも エキサイティングで、素直に楽しむことができた。 精神面でも頭脳面でも傷が多くエキセントリックなマルティン、 巧妙かつ論理的な心理操作で一族を操る冷酷なエッシェンバッハ、 正義感に溢れる反ナチス主義者のヘルベルト、 頭が筋肉で出来ているかのようなマッチョ主義者のコンスタンティン、 野心家だが小心者であるために周りの人物に振り回されるフリードリヒ、 繊細で自己主張ができないナイーブなギュンター。 人物が適切にデフォルメされ、キャラクターが立っている。 ただ、ソフィーに関してはやや疑問が残った。息子や愛人を自分の欲望のために 利用する悪女なのだが、ラスト近くではマルティン幼児期の思い出 の品を見て涙している。 親戚の生死はお構いなしという感じの彼女だが、実の子供への愛情はやはり別なのだろうか? [DVD(字幕)] 9点(2006-09-11 02:29:03) |
5. 嫌われ松子の一生
とにかくクリエイティブ。 今まで見たこともなかったハイセンスな映像と音楽がシャワーのように 途切れることなく降り注いできます。 そこらのハリウッド映画なんて目じゃありません。 それも、ただ勢いがあるだけではなく、心に訴えることも忘れない。 何度も鳥肌が立ち、泣きそうになってしまいました。 時間軸がテクニカルすぎて映画のリズムを崩してしまったのと、 「不幸な人生なのに、彼女にとってはすっごくハッピー!」 という宣伝のわりには松子がハッピーに見えなかったのが 難点ですが、そんなことはどうでもよいと思わせるほどの 圧倒的なパワーがこの映画にはあります。 中島哲也監督にはこれからも日本映画界を引っ張っていって欲しいですね。 [映画館(邦画)] 9点(2006-05-27 16:49:45)(良:1票) |
6. ダ・ヴィンチ・コード
《ネタバレ》 ロン・ハワード監督といえばビューティフル・マインド。 ナッシュ均衡という重要な発見をした数学者を主人公としているのに、数学は無視。 そして、ひたすら暗号解読(あれは数学とはいえない)のシーンばかりを描いてきた。 しかし、本作は暗号の解読がメインテーマというではないか!! まさに水を得た魚、鬼に金棒状態だと思った。 しかし、映画を観たあとのこの脱力感・虚無感は何だろう。 ストーリーは二転三転し、全体的には決して悪くはない。 しかし、一つ一つのイベントがあまりにも軽く描かれていて、情熱が感じられないのだ。 暗号の解読シーンは知的スリルを味わう余裕もなく、ラングドン教授が簡単に 片をつけてしまう。また、ラングドンとソフィーは共に幼い頃のトラウマを背負って 生きているのだが、回想シーンでそのような場面が軽く描写されるだけで、演技からは その重荷は全く感じられない。カーチェイスのシーンもやっつけ仕事という感じで 迫力はない。 それでも、美術と音楽がよければ個人的には納得 できる映画ということになるのだが、これも期待外れ。美術はせっかく格調高い教会 や名画を使っているのに、いいかげんな構図&カメラワークで魅力は全く伝えきれていない。 また、音楽は悪くはないのが、あまりにもステレオタイプで印象に残る曲が無い。 あの指輪物語でさえ見事に映像化され傑作となったのだから、 ダ・ヴィンチ・コードも細かい部分のクオリティを高める努力を厭わなければ 名作にするのは決して難しくなかったであろう。 だが、突貫工事的な映画製作で監督はせっかくのチャンスを無駄にしてしまった。 とても残念でならない。 [映画館(字幕)] 5点(2006-05-23 02:14:02) |
7. ミュンヘン
スピルバーグらしく、アクションシーンは大変迫力があった。 人物描写も意外としっかりしていて、テーマ性も豊かなのだが、 なぜかあまり印象に残らない。 テロシーン意外の演出が少し大人しすぎたのが原因かな。 [映画館(字幕)] 7点(2006-05-16 03:12:37) |
8. スティング
ラグタイムのオールドファッション感が素晴らしい!! 雰囲気だけでも評価が高いのに、ストーリーまで軽快で面白いの だから、もう言う事ありませんね。 [DVD(字幕)] 10点(2006-05-16 03:03:06) |
9. 七人の侍
映画のありとあらゆる要素が詰め込まれている感じ。 ただ、一部の侍の人物描写が甘いのが玉に瑕。 そのせいで、終盤まで人物を区別できなかった。 三船敏郎といえば渋いイメージがあったので、 この映画の菊千代はちょっと驚きだった。 [DVD(字幕)] 8点(2006-05-16 02:59:21) |
10. Mr.&Mrs. スミス
音楽は意外と良かったけど、脚本は実にいい加減ですな。 ザ・ハリウッド映画という感じ。 [DVD(字幕)] 3点(2006-05-16 02:44:36) |
11. SAYURI
日本らしいが少し中国っぽくもある独特の世界は、 西洋人の東洋に対する憧憬が素直に投影されていて、 なかなかファンタジックでした。 ストーリーもよく出来ていたので楽しめたけど、 やっぱり最後は悲劇にして欲しかったな‥‥ [DVD(吹替)] 7点(2006-05-16 02:43:07) |
12. 晩春
原節子の演じる紀子が予想以上に幼稚なので少し違和感があったが、 笠智衆の演技は素晴らしかった。 優しい性格の自分に鞭を打って娘に説教する父親の姿に、 いかにも日本らしい温かさを感じました。 [DVD(字幕)] 8点(2006-05-16 02:30:19) |
13. クラッシュ(2004)
これは差別をテーマにしたエンターテイメントだ。 映像や音楽は洗練されていて、緊迫したシーンも多く 楽しめる。それに、登場人物の複雑な心情も見事に描いている。 だが、面白さを優先したためにメッセージが薄れてしまったような部分 がこの映画には多い。 確かに、バラバラだった人物関係が後半からまとまって いくのだが、表面的なイベントで繋がっていくだけであって テーマとしては繋がっていない部分が多かったような気がする。 個人的には、ハッピーなシーンでイージーにまとめるのではなく、 もっときっちりとまとめて欲しかったかな。 [映画館(字幕)] 7点(2006-05-14 03:46:22) |
14. ツィゴイネルワイゼン
日本の芸術映画の頂点に君臨する大傑作。 リンクが張り巡らされた奥深いストーリー、効果的なカメラワーク、 鮮烈な色彩、生々しくリアリティのある音、俳優陣の個性あふれる演技、 掟破りの演出。そのすべてが超一級であり、観る者に強烈な印象を与える。 [DVD(字幕)] 10点(2006-05-10 00:28:37) |
15. ドリームキャッチャー
A級に始まりC級に終わる [DVD(字幕)] 0点(2006-05-07 03:00:47) |
16. ブロークバック・マウンテン
《ネタバレ》 ゲイの映画といっても、どうせたいしたことないだろ。 そう思っていましたが、とんだ間違いでした。 キスや告白もなく、いきなりコトが始まります。 これが噂の「純愛」ってやつか?? 映像と音楽のセンス、そして二人の男優の演技は素晴らしかったので、とりあえず6点。 マッチョな世界観はヘミングウェイにどこか通じるものがあるように感じる。 仮に男がナヨナヨしていたら、保守的なアメリカ人にはたぶん受け入れられなかっただろう。 [DVD(字幕)] 6点(2006-05-07 02:57:43) |
17. 山猫
《ネタバレ》 完全版を見た。 皆さんが仰るように美術は大変素晴らしく、古典画を実物で再現しているようだ。 柔軟だがポリシーのない若者と信念を持つが頑固な老人、 下品だが素直な新興勢力と上品だが嫌らしい貴族。 それらの対比が全編に貫かれていて、完成度の高い作品に仕上がっている。 個人的には、タンクレディを深く愛しながらも、彼のミーハーぶりに失望する コンチェッタが興味深かった。ある意味、親父以上に頑固で高潔である。 [DVD(字幕)] 8点(2006-05-07 02:25:22) |
18. メメント
《ネタバレ》 この映画の脚本は、ある意味、映画史上最高レベルだと思います。 特に、ラストで主人公が意図的に事実を消し去った場面では、全身に鳥肌が 立ちました。 時間軸を逆にするというアイデアを、それだけで終わりにしてしまうのではなく、 ストーリーの本質的な部分に直結させてしまうところが素晴らしい。 自分が現実世界だと認識しているものは、所詮、あやふやな記憶に過ぎないという、 哲学的なテーマを見事に具現化しているところも、そんじょそこらの新感覚映画 とは一線を画します。 [DVD(字幕)] 10点(2006-04-24 05:59:19)(良:3票) |
19. キング・コング(2005)
物凄い迫力とリアリティ。ロード・オブ・ザ・リングでもそうでしたが、 この監督の「CG をリアルに見せる技術」は驚異的です。 ストーリーは少し単純ですが、エンターテイメントと割り切ってみれば 非常に出来の良い映画でしょう。 キングコングを「一般男性のメタファ」だと捉えれば、 オリジナルと比べ、キング・コングの暴力性が弱くなる一方で母性が強くなっている ところも妙に納得できます。 [映画館(字幕)] 8点(2006-04-24 05:39:39)(良:1票) |
20. ネバーランド
《ネタバレ》 期待はずれでした。ストーリーは起伏がなく詰めが甘い。 テーマは表面的で浅く、映画の初めからほとんど発展しない。 映像は綺麗ですが、創意工夫を感じるシーンの時間がとにかく短い。 淡々とした映画には良いものが多いと思いますが、この作品は 単にリスクを避けた無難でつまらない映画という印象しか受けませんでした。 ネバーランドのシーンの美術に一応4点献上。 [DVD(字幕)] 4点(2006-04-24 05:17:25) |