1. 天国と地獄
黒澤作品では、これだけ何故か未見だったので、今更ですが、観てみました。プロットのおもしろさは完璧ですね。特に、捜査会議のシーン、省略なしで描かれていて、すごい緊張感でした。一方で、ほとんどのセリフが物語を進行させるための人工的なものに感じられて、無駄がなさすぎて、特に前半の、人物の感情の動きが中心の場面で、不自然さが目立ってしまいました。部屋の中で、セリフのない人がそれぞれの方向を向いて、顔を下に向けているのも、下手な演劇の舞台を観てるみたいで、作り物っぽすぎたように思います。 [DVD(邦画)] 8点(2008-01-02 13:29:38) |
2. 猿の惑星
エンディングが有名なんですけど、どちらかというと、不時着後の徒歩シーンの無力感とか、声が出ないときのイライラ感の演出にたっぷり時間を使ってるところが、好きですね。最近の、ストーリーを追うためのシーンばかりになりがちなアクション映画では、中々味わえない感覚なので、傑作とは思いませんが、自分にとっては貴重な作品です。 [ビデオ(字幕)] 6点(2007-11-18 17:19:39) |
3. ロミオとジュリエット(1968)
これはストーリーや登場人物中心に観る映画ではないと思います。舞台演出の雰囲気を保ちつつ、かつ、舞台では表現できない映画ならではの奥行きのある動きを使って、今やベタとしか言いようのない単純な物語を、まさに映画的に表現することに成功していると思います。バルコニーのシーンの上下の移動や、毒を飲むシーンのアップの使い方なんかに監督の工夫が強く出ていて、それだけでも楽しめます。出会いの舞踏会のシーンで、カメラ中心にぐるぐる回るカットもおもしろいし、ずっと後になって、「タイタニック」のダンスシーンに使われていて、ちょっとうれしかったです。 [地上波(字幕)] 9点(2007-11-11 09:10:36) |
4. 冒険者たち(1967)
船の上の3人のシーンがとっても楽しそうで、観てるだけで幸せな気分になれます。「3角関係」映画としては、「明日に向って撃て!」より上質な感じ。ただ、ドラマとしては意味不明の場面も多いし、音楽もつぎはぎだらけな印象が強くて、夢中になって観るような映画ではないかも。 [地上波(字幕)] 6点(2007-08-02 21:47:44) |
5. 大列車作戦
フランケンハイマーは、こういう「足」を使ったアクション映画を作らせると、ほんとうまいですね。フルスピードのカーチェイスも、ミサイルばりばりの空中戦もなくて、トロトロ走ってるだけの汽車と、ひたすら走って追い続けるランカスターぐらいしか出てこないけど、逆にリアルなスピード感に満ちていて、なんとかして列車の進行を遅らせないといけないという状況を実時間で体験しているような不思議な迫力があります。今作ったら、派手なぶち壊しアクションと比べて、地味すぎて、客受けしないと思いますが、古典として充分楽しめると思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-06-16 02:15:22)(良:2票) |
6. ドクトル・ジバゴ(1965)
わくわくするとか、ドキドキするとか、夢中になるとか、そういう刺激のある映画ではないのですが、描かれる時間の長さと風景の美しさに身をゆだねる感覚で観たら、長編小説を読みきったときのような、すっきりした気分を味わうことができました。小説を原作にしてるんだから、当たり前か?。大河ドラマとしては、傑作だと思います。しかし、もっと濃い人間ドラマの好きな人には、薄味気味で、退屈な作品かもしれないです。ラストの、ダムの放水シーンの、力強いイメージも、大河ドラマのエンディングとして、最高のアイデアだと思いました。 [ビデオ(字幕)] 8点(2007-02-25 11:30:26) |
7. 明日に向って撃て!
二人のおじさん悪党が、自分ではもうどうにも解決できない状況に向かって、どんどん追い込まれていく様を、見事なドラマに仕上げていると思います。自転車のシーンのように、時折明るいシーンを入れることで、逆に、破滅に向かって有無をいわさずに進んでいく時間の流れが際立って感じられます。そして、その「破滅への流れ」を、ほとんどセリフだけで伝えているところが、シナリオのすばらしさだと思います。「銀行も変わったな」という冒頭のセリフ、自転車を「未来」と呼び、保安官に「お前らはもう死ぬしかないんだ」と言わせ、最後には「オーストラリア」という、ありえない夢を語らせ…。表のカッコいい映像と、裏の破滅のストーリーの重ね合わせが、しびれるほど効果的です。残念なのは、表の映像と出演陣があまりにカッコよいので、全体の印象がそちらに引きずられてしまうことでしょうか。一番のお気に入りは、荒野を追っ手から逃げる途中で何度も言う「あいつら何者だ?」という、象徴的なセリフです。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2007-02-15 22:19:44) |
8. 華麗なる賭け
ノーマン・ジュイソンの真骨頂ですね。ストーリーが何であっても、カッコいい映画にしたててしまう職人芸がすばらしいです。ストーリー自体は、あまり盛り上がらないので、これをサスペンス映画だと思って観てしまうと退屈なだけなのかもしれませんが、おしゃれで長いCMを気楽に観る感覚で観れば、そのカッコよさにしびれてしまいます。ただし、それ以外には映画的なおもしろさがほとんどないので、採点は辛いですし、わざわざお金払って、何度もレンタルする気にもなりませんが。 [ビデオ(字幕)] 5点(2007-02-14 22:07:00) |
9. 真夜中のカーボーイ
エンディングがあんな感じなので、悲しくて暗いストーリーのはずなんでしょうけど、途中のコメディタッチのシーンや、皮肉っぽいシーンのせいで、全体の印象がちぐはぐになってしまい、期待したほどにはおもしろいと感じませんでした。もう少し主人公二人と、それ以外の人々との関係がリアルに描かれていれば良かったのかもしれません。それに、どこからボイドはホフマンに友情を抱くようになったのでしょうね?その辺を整理してリメイクすると、本当の傑作になるかも。 [ビデオ(字幕)] 4点(2007-02-03 22:26:55) |
10. 2001年宇宙の旅
《ネタバレ》 色々文句を言いたくなる点もあるのですが、それでも、何度も観て、その度に「おもしろかった」と思ってしまうのです。好きな絵画を飽かずに見ている感覚に近いでしょうか?HAL9000がプールを襲わせる直前のスペースポッドが、静かにゆっくりと両手(?)を広げながら画面一杯にせまってくるシーンは、今まで観た映画の中で、最も怖いシーンの1つです。 [映画館(字幕)] 10点(2007-02-03 21:35:09) |