1. ヤギと男と男と壁と
この映画が好きな人には『ダーウィン・アワード』という作品も是非お勧めしたい。2作とも、バカでピュアで憎めない男たちの、斜め上を行った人生を描く、笑える良い映画である。おそらくこの映画がつまらなかったという人は、ずれた観点で観てるか、彼らの良さが分からない、或いは良いと思わない人達なのだろう。役者の個性がよく生かされた豪華で絶妙な配役が素晴らしい。彼らの演技がこの映画の笑いに大きく寄与している。また、千原ジュニアが考えた邦題もこれ以上ないものである。終わる頃になってふと「壁」の意味って何だったんだろうと考えていたら、最後の最後に「壁」の意味が鮮やかに浮き彫りになり、同時に作品の本質を捉えてもいる。そのとき余計にこの映画が好きになる。 [地上波(字幕)] 7点(2013-05-15 19:59:48) |
2. フローズン・リバー
《ネタバレ》 主演のメリッサ・レオの演技も然る事ながら、チャーリー・マクダーモットが繊細な演技で長男の内にある思いを過不足なく表現していて素晴らしかった。母親の行動は息子にとっては不安や心配の種だったろうし、当然のことながら悪い方向へ転がって行っちゃったけど、お互いがお互いのことを考えてるし相手の思いも分かっているからラストのあの落ち着きがあるのだろう。この息子はきつかったと思う。だけど母親が捕まったことで、伸し掛かってきていた不安や問題から逆に解放されて、肩の荷が下りたんじゃないかな。清清しいラストで良かった。グラントリノと比較されてるようだけど、イーストウッドの凡庸な演出が嫌いな自分は、今作は別物だと主張したい気持ちになる。 [DVD(字幕)] 8点(2011-02-14 22:01:32)(良:1票) |
3. トラブル・イン・ハリウッド
最初に投稿された方が指摘されてるように、自分もロバート・アルトマンの「ザ・プレイヤー」を思い出した。悪くはないけど切り込み方が弱いから、これなら「トロピックサンダー」を見てバカ笑いしてるほうがいいかな。毒っ気と着目点もベン・スティラーの方が上。鑑賞目的だったショーン・ペンはやはり出番は少なく、面白く扱われてるわけでもなかった。 [DVD(字幕)] 6点(2011-02-14 12:19:51) |
4. イナフ
中途半端な作品。「ロング・キス・グッドナイト」くらいの突き抜け方をしてほしいところ。ジェニファー・ロペスはジーナ・デイヴィスにはなれないだろうけど。 [地上波(字幕)] 3点(2011-02-14 11:53:05) |
5. 落下の王国
《ネタバレ》 映像の美しさは然ることながら、自殺願望のある青年と無垢な少女のストーリーにも目が離せなかった。映画の中での物語と現実が作用し合い、互いに変化を与える様が面白い。終盤の、物語を交えたロイの葛藤とアレクサンドリアの「立って」という懇願のクライマックスは涙なしには見られなかった。役者の演技に後押しされてる部分も大きいだろう。ロイを演じるリー・ペイスの、優しくも暗い眼差しがあの役にリアリティを与えていたと思う。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2010-10-06 19:06:35) |
6. ラスト、コーション
《ネタバレ》 主役の女優さんが自分にはいまいちに思えました。そしてアン・リーの作品は美しいけれども、いつも心を揺さぶられるまでとはいかないのが残念。キャラクターがキャラクターという枠を超えられてないような印象を受けます。セックスシーンもあそこまで映したのだからもっと官能が欲しかったです。でもイーが逃げるシーンは鮮烈で良かった。 [DVD(字幕)] 6点(2009-04-03 03:26:28) |
7. この道は母へとつづく
《ネタバレ》 あらすじを読むと泣かされるのが分かるような映画だったから少し躊躇したんだけど、やっぱり泣かされた。子供は駄目だ。孤児院での生活の場面で、年が上の子たちの様子がリアリティあって良かった。後半は主人公だけじゃなく孤児院の子たちにも少しスポットを当ててほしかったな。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-22 17:32:12) |
8. フローズン・タイム
言わんとすることが少し分かりにくかったけど、表現したかったものは何となく伝わってきた。主人公の大学生がかわいいです。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-22 17:15:49) |
9. 地上5センチの恋心
知性的な人や上級志向の方々からとかく批判されがちな「低俗」な人たちに優しいドラマ。期待していたものとは違ったけど、こういうのも有りかな。 [DVD(字幕)] 5点(2009-03-22 17:07:11) |
10. ライフ・アクアティック
《ネタバレ》 同監督の「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」や「ダージリン急行」は乗れなかったんだけど、この映画は何故だかツボった。音楽の使い方が巧くって、海賊の居るうらびれたホテルに潜入するシーンなんて面白すぎる。潜水服が宇宙服に見えるこの不思議。また豪華な俳優陣が揃いも揃って良い演技を見せてくれている。ビル・マーレーはこういう役はもうお手のものだろうから置いといて、何より笑わせてもらったのがウィレム・デフォー。一人短パンで頑張ってる姿が可笑しくて可笑しくて。それからオーウェン・ウィルソンも今までとは異なるキャラクターを見事に演じてたと思います。最後のほうのサメのシーンはバカみたいだけど美しかった。 [DVD(字幕)] 8点(2009-03-22 16:45:07) |
11. イカとクジラ
先にマーゴット・ウェディングを観ていて独自性を感じたのでこっちも借りて観たんですけど、この監督気に入りました。そしてこの監督は絶対マザコンです。脚本が素晴らしく、小説的な映画でした。 [DVD(字幕)] 8点(2009-03-20 22:05:25) |
12. スタンドアップ
絶対セクハラ野郎の役だと思ってたウディ・ハレルソンが真面目な弁護士役で登場したことに何より驚きました。でも意外と似合ってて良かったです。それからフランシス・マクドーマンドとショーン・ビーンの夫婦は素敵でした。マクドーマンドはやっぱり上手いし、ショーン・ビーンの繊細で優しそうな演技は良い。実話をよりドラマティックに脚色したのがよく窺える作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-20 21:49:51) |
13. 俺たちフィギュアスケーター
おバカ映画は嫌いじゃないんですけど、この映画はその中でもあまり笑えませんでした。欧米の元フィギュアスケート選手が結構出てきてたんで、その辺りで楽しみました。 [DVD(字幕)] 4点(2009-03-20 21:33:58) |
14. エンジェル(2007)
《ネタバレ》 私はこの作品、なかなかの傑作だと思う。オゾンが普通のメロドラマ?と思って観始めたんだけど、いつの間にかこの世界にどっぷり漬かってしまい途中からずっと涙が止まらなかった。エンジェルというキャラクターをここまで昇華させてしまえる監督はなかなかいないでしょう。夢の世界に居るエンジェルと退廃的な世界に居る夫。この組み合わせはなんと悲しいことか。2人ともが憐れで観てて胸が痛くなった。オゾンはまたもやたまらない作品を作ってくれました。 [DVD(字幕)] 9点(2008-11-28 21:54:07) |
15. リバティーン
《ネタバレ》 映像や音楽は良いんだけど、おそらくこのストーリーを語るには描ききれてない部分がたくさんあって、どうしても作品の中に入り込むことができなかった。まあ、ロチェスターの転落までを描いた作品だから何から何まで描いていたら長くなりすぎてしまうっていうのは分かるんだけど、もう少し巧く繋げられなかったものか。それから「危険な関係」のマルコヴィッチが好きな自分としては、ロチェスターとタイマン張ってほしかったのだけど叶わずに残念。 [DVD(字幕)] 5点(2008-11-28 21:36:29) |
16. 300 <スリーハンドレッド>
《ネタバレ》 興奮したくて観たんだけどいまいち乗れずに終わってしまった。アクションシーンを見る映画だから他はまあどうでもいいんだけど、もう少しかっこいいハチャメチャ具合だと良かったな。それから、後世にこの戦いを伝えねばと主張していたことを考えると、ナレーションを多くした意図もまあ納得。アルカディア人の扱いは面白かった。「素人は役目を果たした」って(笑) [DVD(字幕)] 4点(2008-11-28 21:24:12) |
17. ダークナイト(2008)
山場山場のオンパレードで飽きさせない作りに圧巻。一級品の作品に仕上がっていると思う。ただ、アクション映画として心躍るシーンはいくつかあったが、自分にとっては心を揺さぶられるほどの作品ではなかった。やはりこの作品のテーマである、ヒーロー云々善悪云々という話に全く興味が持てなかったのが要因だろう。はっきり言って薄っぺらい。しかし役者陣の力には素直に拍手を送りたい。特にヒース・レジャーは完全にジョーカーになりきっていて、彼を観に行ったはずが、そこにヒースの姿は全く無かった。一挙手一投足見逃すまいと、貪るように彼の動きを観ていた自分。本当に素晴らしい俳優を亡くしました。 [映画館(字幕)] 7点(2008-09-23 18:59:26)(良:1票) |
18. イントゥ・ザ・ワイルド
観る人の人生観や価値観、人生経験によって評価が全く変わってくる作品だと思う。私はただただ素晴らしいと思った。今あるものを捨てるしかない、それしか道がない、そういうときが人にはあると思う。主人公クリスの行動を非難する人も居るかもしれないけど、彼の繊細さと人生に対する真摯さを思うとそんなのがばかげてくる。今この時代にこういう作品を撮ってくれたショーン・ペンは、本当に素敵な人だとつくづく思った。敬意を込めて。 [映画館(字幕)] 10点(2008-09-23 18:24:46) |