1. アメリカン・スナイパー
秀作。クリスカイルという人物を面白く描いていた。史実がとかどうのこうのな意見もあるが、原作本の記述のぼかされ具合からいって映画なんだし史実って一体何???創意工夫の余地が大きいのは当たり前ではないか??? あと、非正規戦だし。もはや戦争ですらない。殺人が大好きな団体の抑制と排除という仕事をよく描いていた。テロリストに同情する人ってまだいるみたいだけど、彼らが一方的に悪いんだけどな。変な同情する人変なの。子供に爆発物もたせれば米兵の奴らPTSDになるぞ、って腹抱えて笑ってる人たちなんだけどな。 合衆国軍がイラクでなにをしなければいけなくて、何をしてきたか理解してる人あんまり居ないのだろうなと思った。 先進国が抑制して制御しなければ、中東の倫理観や社会性で国家運営どころか、行政の運営一つ出来ないことを知った方が良い人がネットに多い。ほんとに多い。 宗教観の違いなんてものは私人間のエチケットであって、公的な場では同情を得られる事はあっても、それで利益が得られる事や要求が通ることなんか無いこと知らない人多すぎて失笑だ。 また、中東の石油産業程度の経済を動機に先進国がこれほど親切に治安維持に出動することなんか無い。単に、ほんとに倫理観が欠落した人間を抑え込むために派兵してるんだって事理解するべき。この映画を楽しむ土台がない人がネットに溢れてる。震災後のネットってほんとにまともじゃないんだけどなんで? この手の映画見ても意味分かんないんじゃないのかな。 宗教問題だから、とか、私人間の争いじゃないんだからそんな事は理由にならない。西洋が死人を出しまくって作り上げたルールの世界を逆恨みしてテロリズムで遊んで暮らそうとする人に立ち向かう、そういう世界観なんだけど理解してんだろうか? 宗教やら社会主義やら中華思想やら。今更もはや家庭内の問題。経済とかビジネスに持ち込むな。それが出来ないから揉めている。 騙されて信じてる人も、信じている間は本物のテロリストだ。それを殺してしまうかどうかでダラダラ先送りしているのが現在。 いつまでもアメリカが悪いとか、宗教がとか。フィクションをフィクションとしてとらえられないネットのとらえ方に心から失笑。 あと、こう言う文藝調の映画で、1から10まで説明してもらえる訳無いじゃん。説明不足とか言うひともネットに多くて失笑。 そんくらいスマホで調べろよ。ほんと自分の頭で考えてんのかって映画と関係無いところでこの映画でイライラする。 [映画館(字幕)] 9点(2016-01-11 04:23:36) |
2. スター・ウォーズ/フォースの覚醒
《ネタバレ》 なんでハンソロ殺しちゃうのかが訳解らない。ハリソンフォードの年齢とか健康とかで退場せざるを得ないんだろうけど、もうちょっとやり方あるだろう!と、思った。 白兵戦や、風景などのリアリティはもはやCGの方がリアルなので、未だにCGCG言ってる人を見ると、張りぼてとフィルタでここまで出来るわけないよね、ってだれか教えてあげてください。完璧です。 話にならないからしょうがないとは思うけど、理由もなく共和国(こんだけ科学が進んだ世界で共和制て!と失笑するところだが)が、残党(このファシズムの概念も失笑だ)に追われまくってる状態も失笑。ストーリー以前の設定がガタガタ。エンジェルダッシュみたいに、口で言ってるだけですよね?そうはならないだろ?って笑ってしまう最低レベルのSFです(笑)。ルーカスなのか誰なのか知らないけど、パワーバランスをきちんと描いてきたシリーズだけにあー、企業が中身考え始めたな感に変な感慨を覚えた。 別に他の映画では普通なので、SWとして異質だなって思った部分だ。 あと、チャンバラが雑!雑です!棒立ちで殴り合わないでください!もうジェダイとか能力関係無い(笑) 神秘性とか超能力とかを嫌ったんでしょ?どうせ。っていうマーケティングをガリガリ感じる!(笑) まあ、もうディズニーなので受け手が頭切り換えるところでしょう。もう旧作みたいな殺陣はない!諦めろ! とは言え、視覚的に凄くリアルなので、それはそれでいいじゃないかと。お話しが懐古趣味だからなんだ。お話しの作り手としては下の下なんだろうけど、観る側としては非常に親切だ。お話しの創造性ゼロで、全く創作能力がない人達の集まりでも、ゼロなりの戦い方があるじゃないか。それをやってのけて、映像を作る才能たちがしっかりと受け止めて良い物を作り上げている。 ネームバリューがなかったり、SWの設定を使わないでやれと言われたらたぶん同じレベルの物を作り出せなかっただろうけど、有る物をきちんと能力限界まで使い切ったんだから尊敬すべきだ。ストーリー以前の話作りがガタガタでもここまでの物を作るディズニーに、作った人にリスペクトだ。 [映画館(吹替)] 8点(2016-01-10 18:20:37) |
3. スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
《ネタバレ》 無駄なシーンがほとんど無く、これまでのように興味がどうしてもわかない人も散見されるレースとかの弩級映像シーンが挟まれないのが最高のテンポを生み出してます。 特に1のポッドレースのような好き嫌いがはっきり分かれそうな物がなく集中がとぎれないのが良い。あれはいらない側の人間にはどうしようもなく暇だ。ハリーポッターとかにもあるけど、メディアミックスするなといいたい。 最小限のつっこみどころのみで4以降に綺麗につながりますし、アクションとCGIのバランスも絶妙すぎで悶絶物ですし、とにかくこうして欲しいところを完璧に作ってくれたという感じでか。 暗黒面に落ちる動機が非常に人間的で良い。国家や組織の裏切り程度なら、辞めちゃえば良いだけなので嘘くさいんですけど、恩師と思ってた人の画策で子供もろとも奥さん死んじゃったらそりゃあぶっ殺す的に狂うんじゃないですかね。ネットで良く見かける、動機がどうのこうの、ほんとに自分の頭で考えてますか?って言いたい。 4以降が大変古い映画なので、そういうところも含めて現代の作品としては悪の概念が文芸調で、人間味があったりするのが逆に受け入れやすかったり。過去の集大成として完璧といえるのでは。 この映画を見終わった瞬間、20世紀の映画はもう終わったんだ。という感傷のような気持ちが、それが何とも心地よい。過去の良い時代の良い映画に最後の区切りをつけられる作品となった。善と悪という対立構造や悪の境界線という概念が懐かしい。 今の映画は、テロリストや猟奇殺人者のような全く会話が成り立たない悪に正義でも悪でもない「人間」が立ち向かったり立ち向かわなかったりと、現実世界の悪の扱い方そのものの映画が増えている。 そんな映画に疲れてしまっても、こういう戻れる世界があるって言うのがうれしいものだ。 あと、情報サイトに書かれた、ひょうひょうとしたレビューをカッコイイと思って真似してる人をネットにてよく見かけるけど、あれら見落とし凄いから!的外れ!!そんなもんに付和雷同するなと。 もうね、作った人に失礼。もっとリスペクトしろといいたい。 [映画館(字幕)] 9点(2016-01-10 17:59:12) |
4. スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃
《ネタバレ》 これがなかなか面白い。 ストーリーはSF然としていて結構いけるんだが、時間の使い方が訳解らん。恋愛シーンとか長すぎ。何で無駄きわまりない時間の使い方をするんだろう。 しっかし特殊効果の進歩はすごかった。これのために何度も映画館に通った。本作ではいらないシーンが始まるとトイレに行った後ポップコーンを買って、友達に電話した後ホールに戻るみたいなサイクルができあがっていた。この映画以外でこんな事したこと無いが。でもそれはそれで楽しい時間を過ごせるんだからたいしたものだと思う。 ともかく殺陣とかアクションの品質は順調に上がって、後はCGモデル同士の演技を残すのみとなった。残念ながら戦闘機のドッグファイトとかクローンの総攻撃はモーションが今一歩かつ、格闘のプロットが甘かった。これは2015年の7ではほとんど解消されている。もうCGを馬鹿にする人はネットの文字ばっかり鵜呑みにして映画見てないんだな、という印象。既にこの時代には実際に米軍から戦闘機借りたって、実際の戦闘を当時の水準の映画的に撮るのは困難なレベルに達しているから、当時からしてすでに映画見てないんだな。という。 とにかくネットの悪評信じて、自分の目でしっかり特殊効果やチャンバラを見たのだろうか?と言いたくなるような文章がネット上に溢れている。この映画、間違いなく2002年には抜群に良く出来た水準で、最近の物と比べても何も遜色ない。ケチつけるために見た。というような文章を見ると腹が立つ。作った人達に失礼だ。映画を侮辱するなだ。 脚本がザルだったが、ストーリーと設定は非常に骨が太くて、高級素材な感じが今でも好きな映画だ。あれこれ妄想すると楽しい。いろいろな含みを残すので3への期待は盛り上がったものである。 [映画館(字幕)] 8点(2016-01-10 17:44:00) |
5. スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス
《ネタバレ》 やはり、そこそこ面白い。 フォースの覚醒と比較すると、こちらの方が格段に神秘的で、チャンバラが楽しい。ジェダイの強さや頼もしさに憧れるし、フォースって言う概念の力と限界に興奮する。また、吹き替えの完成度がこのシリーズは異常に高いため、見逃せないポイントだ。ていうか、雰囲気やニュアンスなんて言ってる人、字幕を読んで英語のプロソディとかプロミネンスが理解できるんですか?文字なのに。 と言いたい。作った人に失礼だ。 これを公開当時、何度か映画館に観に行った。何しろ旧シリーズよりも殺陣が速くなっているし、決戦の流れが好きだったからだ。決着はもうちょっと考えろよって思わないでもないが、少年マンガやアニメのように回想を挟んでいきなり強くなったりしたらそれはもはや映画ではないから言う方が変。 当時上手い表現方法がまだ無かったんだろう。 とは言え、ポッドレースとかジャージャーとかいらないシーン満載で、ホントに参った。2度目以降はレイトショーの少ない客の中、これが始まるとトイレに行ったりポップコーン買いに行ったり。とにかく時間の無駄に感じられて。殺陣のシーンが待ち遠しくてイライラしたのを思い出す。 ジャージャーの様なマスコットにも色々言いたい。ジェダイの復讐(だっけ)で縫いぐるみが出てきて雰囲気を変えてしまった余波はこんなところにも残っていたわけか。とにかく話の筋と無関係な時間が長くて死にそうになった。もっとまじめにハードに作るっていう選択肢は無かったんだろうか。 だが、言われているほど駄作か?って思う。ネットの評判を眺めていると、それただどっかで読んで来たヤツのコピペじゃねえか?っていうのが多い。というかほとんどそればっか。 違うこと言っていじめられたくないだけな文章に段々腹が立ってくる。ネットで匿名なのに、そんなに人と違うこと言うのがあ怖いのか?という。SWくらいの有名シリーズになると、そう言う社会的側面とか人間の中身が出てきて、感想も面白い。 [映画館(字幕)] 7点(2016-01-10 17:33:00) |
6. ロボコップ(2014)
《ネタバレ》 高品質な脚本は、単体の映画としてみても非常に完成度が高い。また、特殊効果、襲撃プロットなども相当な高品質だった。 キャストの力量も高く、土台の揺るがなさ、見応えの大きさ、真摯な作りがうかがえる。正しく高度な、まじめな面白い映画であったと思う。 引き替え、受け手側のオリジナルとの対照が実に滑稽であり、ただの思い出自慢が非常に煩わしく鑑賞後の余韻をかなり削いでくれた。 劇中で、中国人や中東の人達が勘違いしている狂ったアメリカを、事実だと思い込んでいる人が、アメリカを風刺した作品であるかの如く勘違いしている様などは実に、映画作りに立ち向かう方たちへのディスリスペクト以外の何物でもなくなんて事をしてくれているのかと聞いてみたいところだ。 映画の魅力を映画とは関係無いところで削いでしまう作品というものがあるが、本作品がそれに該当するかも知れない。 近年の作品では、作り手側が受け手に対して要求する情報量の水準が高まりつつある事が明確になりつつある。 本作品のように、素人お断り感の強い映画では理解力が及ばないということが、不満が、自分が悪くないんだと言うことが、ネットに書き連ねられている。 ただ、中国経由の平行宇宙のアメリカ像しか知らないひとや、過去のオリジナル作品をみただけのひとにとって、閉め出すかのような攻撃性も確かに感じられ、そこはやり過ぎではないか?と感じたのもの事実だ。 取材の一つも、なんやかやもやったことのない素人が好き勝手言う場に追いかけてきてまで、プロが彼らを追い詰めるような本気の作品を作ってしまうところが今のアメリカ映画の妥協のなさだろう。 文芸作品と比べたら取るに足らない等とようなことを言う素人が、結局分かりやすいアクションしか理解できない事実を、作っている側が知らないと思ったら大間違いであり、見てみぬ振りをしてもらえた時代が終わりつつある。 正直、それが痛快でもある。スッとした。 [ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 9点(2015-12-26 04:45:23) |
7. アドレナリン(2006)
《ネタバレ》 絶望度のほどよいアホな映画だった。 [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2015-12-06 14:27:47) |
8. 火垂るの墓(1988)
《ネタバレ》 祖父母がセイタさん世代で存命の方は、彼らとこの映画を一緒に見ると感慨ひとしお。 うちの祖父さんのセリフは「現代っ子かよ、ちったあ手伝え」 でした。こっち見て言うな。 ここ数年になって高畑勲のインタビューの紹介や、プロットの解明が進んで叔母が批判されることは、ほぼなくなりました。 しかし、相変わらず清太が日本の良心のような誤読はされ続けていますね。彼らはたぶん二〇〇〇年代に生きる自分そのものと清太を重ねてるんじゃないかなと思ったりするわけです。彼らにとってテーマは「居場所」なんでしょう。トトロの都市伝説の如く、この映画も勝手読みで別のお話として楽しまれているようです。 なお、兄妹が死んでしまう事って、これ戦争関係無くない? 2015年に生きてても彼ら、巣鴨置き去り事件とかの類の結末に至るのではないだろうか。 [地上波(邦画)] 0点(2015-10-06 00:08:04) |
9. 007/慰めの報酬
《ネタバレ》 追い詰めきれない。 「君は、ぼくにとって最悪の結末を用意してくれたみたいだよ」そう言うと不服そうに彼は、 「そうでもないさ、こんなことじゃ誰も死なない。君だってそうだろ?事実、死ななかった」 死ななかったならそれでいいのか?そうじゃないだろ。ふざけんな。そう言いかけたが、僕は彼を殴り倒すことにした。そして近づいた瞬間に、視界は黒くなって、花の色のような輝きが僕の視界に現れると、ぼくはもううごけない。 なぜ、協力者がいると言う当たり前の発想に至らなかったのだろう。浮遊感を感じながらぼくはその中を泳ぎ切って、眠った。 と言うレベルの間抜けさが、ボンドに襲いかかる。2時間目一杯にだ。だけど、現代のボンドは昔と違う。間抜けな敵が助けてくれるかの如くヘマをするわけじゃない。相変わらず銃弾がボンドに命中するわけでもなく、捕まったり毒を盛られたりするのも通常操業だけれど、なんとなく自力で切り抜けてしまうあたりが新しい。 そう。ボンドはすっかり工作員として有能だ。米軍に一報入れれば10分で解決しそうな事案に男女でのこのこ現れて、秘密基地にまで乗り込んでしまうあたり、盤石のらしさではあるのだけれど、なんだろうかこの説得力は。だけど、ボンドに必要なのはこう言うことなんだったろうか。 どうしようもなく間抜けで無能でいい男なボンドの、スクリーンに映らない凄い部分を勝手に想像して、スクリーンに映らない凄いスパイを作り上げるという作業の素材なはずなのに、今のボンドは映画本編でそれをやってしまう。ずいぶんとお節介だ。 [ブルーレイ(吹替)] 7点(2015-09-20 22:06:00) |
10. 2001年宇宙の旅
《ネタバレ》 形而上学を地で行くストーリーは表面的につまらなく、興味を保つことが困難ではあるがボーマンの感じた驚きを自分の中にも発見すると、二重三重に折りたたまれた錯視のような世界が持つ映像の説得力はもの凄い。色やデザインの良さもインテリアに取り入れたいと思えるほど良い。映像編集は斬新だし見所が満載。未だ褪せない個性を纏った人工知能の暴走のようなきっかけもスリルがある。 つまらなさと同居する刺激がある。ストーリーは驚くほどにつまらない。全く面白くない。 しかし、万博のパビリオンに誰もストーリーなんて求めていない。そこで展示してるしょうもない技術に将来があるとも思えない。純粋に眺める。そう言う多面的な要素が実は土台になって作られてるんだと思うととても大切な話に思えてる。 正直、ふと正気に戻れば最新の万博の展示物の方が張り子の虎でプラスチックの玩具にしか見えない。しかしこの作品は正気に戻させない何かがある。それほどこの映画は強烈に未来的でアトラクティブで、迷い込める思索の樹海である。未だに。 そして、何年ぶりかで見直すと、びっくりするほどつまらないストーリーと、年代を差し引いてもゆるすぎるプロットに心の底からもう一度、同じように驚くのである。 [DVD(字幕)] 8点(2015-09-20 02:23:32)(良:1票) |
11. 映画 鈴木先生
《ネタバレ》 原作への尊重と、映画という媒体への導入という作業を両立させることの難しさがうかがい知れる。 原作漫画のメッセージ性はそもそも行間に含まれた意図が複雑で、さらにいうとこの漫画でテーマになっているような側の人間にとってことさら痛い物だ。教育者というキャラクターを使うからには、その周辺の分野も取材したのであろう事が覗われ、その成果が出ていると言える。精神医学的なことや発達学などの心の構造を上手に作中にも表現方法にも反映していた。 この映画にも、表面的な面白さと、行間の構造両面での試行錯誤が幾つも発見できるのだが、恐らく受け手全員がそれを発見できる、あるいはそれを快く思うかは分からない。 感受性の維持や、ステレオタイプを切り替える事、自分だったらこうした。と言うような事は人によってはその能力の維持が難しい事だ。だが、そうした事の低下に気がつかなければ色々な映画の表面的な部分しか理解できずスカスカに見えてしまう事だろう。この映画はそうした危険性を気にせず作られている様に感じたが、読み取る事が出来なかさそうな人には見てもらわなくても良いような仕掛けをどこかで設けるべきではなかったかと、テレビ東京に感じた。 が、ここは映画の出来とはまったく関係無く、むしろ色々な人がちゃんと見られれば問題ないところではある。 [映画館(邦画)] 8点(2015-06-14 02:38:51) |
12. バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
《ネタバレ》 込められた一つ一つの意味を、一つ一つの悪意で見もしない。 丁寧に設計された薬理を、テレビ番組の非科学が否定するかのような。複雑な機序に織り込まれた医術を嘲るようななんら医学の根拠に基づかないウェブサイトのような。 そう言った批判に疑念をいだく。その、雑誌やテレビでありきたりな、なんのひねりもない借り物の批判は、いろいろな有様をさらけ出していることに気付いているだろうか? 架空の人物を作り出して、描くという作業の難しさを借り物のことばで理解する世界にしか、ただの人は普通は生きられない。 でも、完成品への敬意も忘れてすっかり見下すことに夢中な人たちの目には、苦しさや開放が見えてこないのだろう。分からないなら分からないでいいではないか。なぜ理解できない対象への攻撃性を丸出しにするのか。 [映画館(字幕)] 9点(2015-06-08 02:01:10)(良:1票) |
13. 機動戦士ガンダムUC/episode 5 黒いユニコーン
《ネタバレ》 このガンダムって言うアニメは、テロリストに寛容すぎる。 「視点によって正義は変わる、誰が正しいとは断言できない」 ガンダムとか言うテロリストまるだしな嘘を、コミュニケーションに癖のある人間をターゲットにしてわざと書いてるでしょ?信じるから止めなさい、と思う。 今作は特にヒドイ。この間までテロリストだった人がその罪や間違った思想をすっかり忘れている。贖罪の観念が無い事がこのアニメの最大の難点だ。 モデリングとモーションのしっかりしたアニメが今までに無い絵的説得力を押し出してると思う。技術は高いけど、信じやすい人には毒。 [DVD(邦画)] 5点(2015-04-13 00:27:36) |
14. 007/消されたライセンス
《ネタバレ》 残り、三発。弾倉を目視で確認してため息をつく。追いかけている側が、追われている人数以下の弾丸しか持っていない。明らかにストッピングパワーの足りない弾丸が3つ。不意に何をしに来たんだ、僕は。と自問自答する。 ふんだんに用意してきたんだろう。彼らは僕に好き放題威嚇の銃声を浴びせるわけだけど、応射が無い事に疑問を持ち始めたようだ。疑わずそのまま逃げていれば良いのに、いよいよまずい。煙草でも吸ってしまおうか、諦めが頭をよぎる。その内彼らのうちの1人がなにやら確信めいた足音を立てて僕の方へ歩いてくるのが分かった。 僕の手のひらサイズのこの拳銃とは比較にならない大きさの彼のベレッタは、まがまがしく光を吸い込んで。僕に近づいてくる。 ような、そんな展開が顔を見せ始める最初の世代の007な訳だが、やっぱり007はシリアスになりすぎると一体なぜ007でそれを?と言わざるを得ない。そこはそれ、007なんで。ライセンスの失効とか意味あったのか?とか、フィリックスを退場させる意味はあったのかとか、顔が写ってるときと、迫力のスタントでは動きのクオリティが違いすぎるとかそう言うことは気にしないのが作法だ。 僕は、僕がインストールされた肉体を失ったんだ。殺人を赦された僕の肉体はその許可の認証を取り下げられた。事実上、この肉体にインストールされた僕という魂は、一体誰の物なんだろう。陛下の物? それとも、僕の物? 政府の物? いま、それはもうどうでも良いことであるかのように、僕は、僕の憎しみを込めて赦されない殺人を繰り返すんだ。そして、それももうじき終わる。 みたいな、トレーラーの巧妙な脚本はどこにも見当たらず、いつも通りにいつもの人が間抜けな秘密兵器を持ってくるし、いつも通り迷いなくそれで死んじゃうの?な死に様で人がバタバタ死んでいく。 もしかして、作ってる人達は。恐ろしいことだが……この映画が007であることを時々忘れてはいないだろうか?その結果どうしようもなく007になっちゃっているところがこの映画が秀逸なできばえたるゆえんだ。(007として) [DVD(吹替)] 6点(2015-04-12 04:01:35) |
15. GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0
《ネタバレ》 CGの品質設計が悪い。改悪じゃないのかと感じた。モデリングしているなら、そのパースで画にしてしまえば良かったのでは?と思うのだがゲームのおまけCGみたいなまま製品にせざるを得ないほど予算カッツカツだったのだろうか。作り始める前の検証不足か、予算不足と思われる。 日本のCGのレベルは日本製RPGを作ることに最適化しすぎて、ガラパゴス化してしまっているんではないだろうか。これではちょっとした外圧で絶滅するような気がする。現実にゲーム業界ってその入り口ではないだろうか。と、2011年くらいに考えてたが、今は一層そうなんじゃなかろうか。 CGをそのまま絵にぶっ込んでしまうというのはあまり感心できない。有名作品にやってしまうのは考え物だ。CGを使うということのリスクの高さをよく理解した上で始めるべきだった。 レンダリングするだけが絵じゃないぞ。パースを伴ってぐりぐり動く普通のアニメに見えるCGアニメも多数ある。一方で同年のスカイクロラは非常に良くできていた。違和感を演出として機能させていた。この映画の場合は全く違う制作会社が作っていて、宣伝の道具だったのではないかという気さえする。スカイクロラでは作画の統一性があったが、こちらは別物感が強かった。もう一手間掛ければ良かったのに。 一方でパネル表示のような、コンピュータ然とした演出は新しくなったことでグッと現実感を増した。この部分ではイノセンスのような洗練を感じた。しかし各戦闘シーンが待ちすぎでマッタリし過ぎていることや、狙撃のプロットが雑なことが悔やまれる。そこ直せ2008年製なんだから! 人形遣いの声だが、これってたまたま入った擬体を介さないやりとりなら擬体の声帯は関係ないのではと思った。実際はどうあれ内容の濃さを考えたら、人形使い自身のアイデンティティに依存するはずの声だろうと思うし、それを説明するために家弓家正だったのではないか。オリジナルは意外性とか面白さとかを狙って声を男にしたわけではないだろう。絵的にわかりやすい方向に変更して受け入れ口を広げる措置だろうけど、好かない。 緊張感や、統合される事への違和感が薄れてしまってはテーマがぼやけるようにしか思えない。 が、何回も見てると慣れてしまって、なるほどいつもの攻殻機動隊だ。攻殻機動隊なら何でも許せてしまう。ズルいなこう言う作品。 [ブルーレイ(邦画)] 8点(2015-04-05 01:08:53) |
16. ブレア・ウィッチ・プロジェクト
《ネタバレ》 なかなか面白かったと思う。 公開当時、ぜーんぜん興味が無かったので音として「ぶれあういっち」とか言うかんじのタイトルの映画があったな。という程度に覚えていた。翌年レンタル店で借りたのも、昔みた物をなん本も借りなおしたとき、未見作品も一本借りっかと思ったら予備知識が一つもない映画がこれしか目に入らなかったからだ。 そういうわけで、いったい何の話かまっったく解らない状態でダラダラみたおかげでなかなか楽しかった。基本的に森って怖いじゃないですか、シャンプーしてるとき後ろに誰かいるかもね的な怖さを上手に造ったなぁって思う。中盤くらいまでは結構ノリノリでみることが出来たけど最後の方がなぁ。最後の最後に隙があったかな。何人かのうち1人だませれば相当な人数になるのではないかという計算高さが漂っていていやだなぁこう言うのは、って思ってしまった。 とはいえ森が怖い、迷うと怖い。ちゃんとこれが映像になってるから予備知識があってもそれなりに楽しいんじゃないかと思う。 学生のとき、暇だなぁって百キロも二百キロも離れた地方都市に金もないのにほぼ寝間着で、お金も持たずに夜中よくドライブに行った。オモシロ半分で市街地から外れてみて元の道に戻れなくなって当然迷う。延々と森や畑と古い家ばかり続く道で、高速道はおろか、市街地への方向を示す表示板すら全然出てこないとき、もの凄い後悔と恐怖が襲ってくる。 正常な判断が出来なくなってる丑三つ時、まばらな古民家にすいません迷いましたと訪ねられる神経の人ってそういないと思う。そういう恐怖がこの映画にもあった。タイムリーだったんだ。でも違うのは、明け方に家にこっそり何事もなく帰ったら授業をサボって昼まで眠りこける安心な現実と、無理矢理恐怖と絶望を感ようと努力し過ぎちゃったしらけた結末。あの異世界に迷い込んだかのような恐怖感と、帰ってきたときの安心感、道を覚えたからまた行ってみようかなっていう風景。作り物なんだけども。 それでも造った人たちが意図しない方向に現実的なおもしろさがあったところがこの映画が意外とウケた原因じゃないのかなって思う。設定に恐怖感を作り出せない人は、先駆的な視点に気づかなければ何にも響かないんじゃないだろうか。 [ビデオ(字幕)] 7点(2015-03-26 03:21:14) |
17. 遊星からの物体X
《ネタバレ》 古典SFの映画化です。当時の貧弱なマーケティングで機会を得たとは言え、映画然としたエイリアンの脚本との相関性はそれほど高くないと思います。 大変高品質な映画であって、秀逸な短編小説へのリスペクトに溢れています。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2015-03-23 05:18:35) |
18. 007/カジノ・ロワイヤル(2006)
《ネタバレ》 僕の最初の患者は、僕よりも少し年下の彼女だった。少し暑いくらいの部屋の空気に混ざる、朝の静けさは彼女の心にどう映っただろう。僕はそう言うことを考えられないまま、機械的な質問ばかりを投げかけた。本当は分かっていた。僕は彼女の事を、彼女たちと僕たちの持っている関係以上に考えてはいけないなんて言う事は、とうに。 「先生、明日帰りたい」 悪い笑顔でそう言う冗談を言う彼女に、僕は頑張って寝ていなさい、と言葉を掛けるけどそれ以上のことは出来ない筈だった。 「散歩、いこうか」 ナースの足音が遠ざかるのが聞こえて、え?と二人共が言う。言うつもりのなかった言葉がするりと口から零れていた。疲れていたのだと思う。けれど、僕の心の中に毎日少しずつ詰まっていく重いものがだんだんと大きくなっていった。 忍び足で、堂々と連れ出した彼女はいった。 「外ってやっぱり寒いんだね、先生」 悪い笑顔で車椅子を押される彼女は、僕の気持ちを知っているのかもしれない。 彼女がいなくなる日、熱病にうなされた僕はそこにいる事が出来無かった。 彼女が僕と過ごした部屋で、僕の心の重りは二度と外れなくなった。僕に力があれば。目を閉じて呟いた。 後ろから肩を叩く同僚が僕を励ます。彼女は無事に退院したから大丈夫。あとは僕に任せてよ、と。 余り違わないはずの僕らの、致命的スペックの差が、さらに大きい差を生む。僕よりもずっと上手く隠密行動をして見せたのだ。空いた時間にいくら呪ってみても、僕の呪いを跳ね返す頼りがいのある性能の彼には全くもって通じないのだった。 今日のジェームズは凜々しくて、知的で、機敏で。だけど何回死んでもおかしくないくらい、ヘマをする。 いつものジェームズも何回死んでもおかしくないくらいなんだけど、間抜けなんだ。見た目もいつもの彼らの方が精悍でとても業務に耐えられる感じがしないくらい端麗で見栄えする。でも、今日のジェームズの方がずっと仕事が出来そうだ。 たぶん、僕らが愛して止まないジェームズとは何か根本的に出来が違うんだろうな。 あれだけ大雑把で、毒を盛られて捕まって。通常操業のはずなのに、どうしようもなくジェームズなのに、意欲旺盛で頼もしいもんだから従来のジェームズをこよなく愛する僕たちは、新しいジェームズには敵意むき出しなのである。 そして、面白いだけになんか腹が立つ。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2015-03-21 00:55:16) |
19. プラトーン
この映画の描くベトナム戦争は、誰にとっても無価値な嘘だ。社会主義と世界征服のために嘘を展開した本人らも忘れてしまっているが、戦争に参加すらしていない日本人が半世紀近く経った今も肩代わりしている。滑稽ではないか。 軍事作戦的には話にならないほど弱い相手と長く戦わなければならなくなったアメリカにとってのベトナム戦争は、社会主義の拡大路線を推進していたソ中の平和主義偽装されたマスコミキャンペーンで間違った平和主義でまみれ、泥沼化した。 韓国軍の嗜虐性によって玩具のように虐殺されたベトナム人ではなく、米軍が非人道的に蹂躙する北ベトナムに哀れみを感じるように“作り上げられた反戦動画”や“情緒に溢れる反戦演説”は、結果として効果的に信心深い嘘の平和主義者を国内で生んだ。 「この国の従軍者を、ベトナム戦争で殺しつくし、帰還兵は社会的に殺そう」 正気とは思えない思想が国内に蔓延する事になった。現在残る平和運動の写真の多くを見て分かるとおり、今よりもずっと堅かったアメリカ社会にあって普通の社会人では無い人ばかりがデモ行進を行っている。この様な謎の市民団体の数の多さに政府はおののいたに違いない。 結果として、当然こう言った種類の市民が多数を占める事は無かったのだが、政策や軍事作戦は混乱を極める事になる。 米国民が完全に正気に戻るきっかけはパリ協定後の北ベトナムの協定無視だった。それまで米軍は東側の思惑で空爆を停止させられていたが、その思惑を無視できる基盤を確認すると、すぐさま北爆の再開に移りこの後瞬く間に西側諸国の圧倒的勝利で休戦を迎える。元々、北ベトナムはあまりに脆弱で戦争と呼べる代物になっていない。 しかし米南ベトナムによる完璧な勝利の後、南側を占領したのは完全に戦力を失いつつもソ中の支援により軍備を整えた、平和主義者が完全に正義と信じていたソ中北ベトナムだった。 この映画は、酸鼻極まる戦いの現場を描いていたが、事実とはやや異なる。終戦後10年以上経ってからソビエトや中国のプロパガンダに利用される運命が待っていた事が残念だ。 秩序を護るために戦って死んでいった人達や、主義に利用され死んだベトナムの人たちの名誉を踏みにじるような、米国の敗戦やアメリカの陰謀や侵略、北ベトナムの正義といった嘘を本気で信じている人が一人でも減る事を願ってやまない。 [地上波(吹替)] 8点(2015-01-14 05:34:27) |
20. 子猫物語
この嗜虐性は中国とかのヤツと同じヤツ。 [地上波(邦画)] 1点(2014-09-13 03:22:49) |