1. モダン・タイムス
数十年ぶりに再見しました。 チャップリンのパントマイムは仕草の一つ一つがおかしくて、本当に才能のある人だなと改めて思いました。冒頭の工場でのスパナや機械油を使ったパントマイムのセンスの良さ。名人芸ですね。 この映画は、喜劇としての面白さに加え、ローラースケートや歌声などチャップリンの芸達者ぶりにも驚かされ、社会に対する風刺も効いていて、そして希望を感じさせる印象深いエンディング。 チャップリンの才能が凝縮された傑作だと思います。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-09-25 13:21:19) |
2. 浜の朝日の嘘つきどもと
《ネタバレ》 テレビドラマは見ていないのでその前提での感想になります。 あさひの高校生の頃のエピソードが良かったと思いました。震災成金と呼ばれた父親のために、友人を失い孤立したあさひ。悩みがこじれやすい年頃に、茉莉子先生と出会い、地域や学校の狭い世界とは違う価値観を知る。貴重な出会いに救われて本当に良かったなと思いました。 一方でこの映画は、家族をテーマにしつつも、あさひと父親の関係に踏み込まなかったのが残念でした。 原発事故時、「誰かがやらなければならないから」と、多くの人が放射能を恐れる中、南相馬市に乗り込み住民避難に奔走した父親。愛する娘の名前を自分の会社の名にした父親。 そんな父親を理解しようとせず、原発事故時の行動のために家族が崩壊したと、大人になった今もわだかまりを抱え続けるあさひ。朝日座の存続も、娘のために高額な寄付を寄せた父親のお陰なのに、それでもあさひは、父親の愛情を素直に受け入れられない。 原発事故時に深く傷ついたのは想像できますが、あさひの父親や家族に対する感情は、まるで一方的な被害者のようで、高校生の時から時間が止まっているかのような幼さを感じます。 震災や原発事故が絡んで難しさがあるのは分かりますが、父親の悪評が事実であれ誤解であれ、それでも心の整理を付けなければ前に進めないのではないかと思います。 もし次作があるならば、父親や家族に対する感情に整理を付け、人生の次の段階に踏み出すあさひを見たいですね。 全般的にストーリーのスカスカ感が否めず、かなり物足りなかったので3点としました。 [映画館(邦画)] 3点(2021-09-24 03:10:18)(良:1票) |
3. ダイヤルMを廻せ!
《ネタバレ》 不倫している妻を殺害し、妻の資産をせしめようと完全犯罪を目論む夫。殺害は失敗するものの、夫はすぐさま新たなシナリオを練って妻を死罪に追い込もうとする。ところがほんの僅かな綻びから・・と。刑事コロンボに通じるところがありますね。本格的な推理小説を読んでいるようで、よく練られたストーリーだと思いました。最後は、不倫していた妻(とその相手)が救われる結末を迎えることとなり、モヤモヤが残りましたが。中盤まではとても良かったのですが、終盤、主人公の逮捕に至るまでの過程が少し性急に感じられたので6点としました。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-06-15 04:23:03)(良:1票) |
4. ソフィーの選択
かなり前に見た映画ですが、胸が引きちぎられるような悲劇に、思い出すだけで痛ましくなります。あまりにも悲しい名作ですね。 ソフィーが精神的に不安定なネイサンに添い続け、不自然なほど陽気な生活を送っていたのは、こんな悲惨な過去があったからなのかと、その心情を思うと本当につらくなります。 [DVD(字幕)] 10点(2020-06-14 02:43:43) |
5. 鴛鴦歌合戦
昭和14年に作られた約一時間程度の時代劇オペレッタです。ストーリーは簡単な恋愛もので、最初から最後まで、チャンバラシーン以外は全編がほぼ歌です。 軽くて緩い楽しい映画でした。ディック・ミネの陽性のキャラクターが作品の雰囲気とよく合ってます。和楽器でジャズっぽい演奏をするなど遊び心があり、発想が自由で、開放的な印象を受けました。 歌も古臭くありません。どう表現すればいいのか分かりませんが、当時の流行歌よりも、明るさとテンポの良さをワンランクアップさせた感じというか。心地よく耳に入ってきました。 日本にもこんな映画があったんですね。完成度がかなり高いと思いました。背伸びして海外ミュージカルを真似ている感じでは無くて、そこも良かったと思います。 [DVD(邦画)] 8点(2020-06-14 02:41:13) |
6. 白い恐怖(1945)
殺人の疑いで警察から追跡される記憶喪失の男と、彼の無罪を信じる精神分析医の女の話です。いつもながら、地味で(おそらく)低予算なのに、面白い映画を作ってしまうヒッチコックは凄いなと思いました。 [DVD(字幕)] 7点(2020-06-14 02:40:28) |
7. 第十七捕虜収容所
ウイリアム・ホールデンが演じる米兵捕虜が、ナチスの捕虜収容所で仲間の捕虜たちからスパイの疑いを掛けられ、孤立しながらも独りで本当のスパイを探そうとする話です。 「ディア・ハンター」のような、精神の限界を超える極限の捕虜生活でも無く、捕虜同士が和気あいあいと暮らしています。コメディタッチな演出もあってあまり現実味を感じません。 脱走物として「穴」とも比べてしまいますが、リアリティは天と地ほどの差があります。 ストーリーはそこそこ面白いし、例えば電灯の紐でもってスパイが情報の有無を知らせるなど演出が巧みだとも思うのですが、戦争モノとしてはリアリティが乏しく物足りなく感じました。 [DVD(字幕)] 5点(2020-06-14 02:39:49) |
8. 見知らぬ乗客
《ネタバレ》 犯人を知っているけど言えなくて、自分が疑われて追い詰められ、八方塞がりになってしまうというプロットは、同じヒッチコックの「私は告白する」を思い出しました。 でもラストの「ブルーノよりも早く殺害現場に行く」ところが、どうしてその必要があるのか全く理解出来ませんでした。ブルーノが早く着いたところで、今更証拠の偽装工作なんて出来るわけがありません。 (そこに至るまでの、「テニスの試合がなかなか終わらない」、「ライターをドブに落としてしまってなかなか取り出せない」シーンは、焦燥感を煽る上手い演出だと思います。) 背景にあるブルーノの異常性。つまりマザコンで、自我を肥大させまくりの不気味な存在、と描きたかったのでしょうが、役者が悪いのか演出が悪いのか分かりませんが、「サイコ」の主人公と違いさほど異常性が伝わって来ませんでした。 メリーゴーランドのシーンに至っては、クライマックスの緊迫感を煽っているものの、冷静に見ればそんなことをやる必然性はどこにあるのだろう?と思いました。 巧みな演出が随所に見られ、名作と言われる作品ですが、リアリティに欠けるちょっと軽い映画だなと思いました。 [DVD(字幕)] 4点(2020-06-14 02:38:54) |
9. 深夜の告白(1944)
よく練られたストーリーで本当に面白い映画だと思います。同じビリー・ワイルダー監督の「情婦」も面白かったですが、この映画もお薦めです。一緒に見た妻も楽しめたようで、「昔の映画という気がしない」と言っていました。 [DVD(字幕)] 8点(2020-06-14 02:37:37) |
10. ディパーテッド
アカデミー賞を受賞したとても評価が高い映画だけど、私には良さが分かりませんでした。豪華な俳優陣だし、雰囲気もいいし、映画としての完成度は高いと思いましたが。 しかし、ディカプリオもマット・ディモンも(特にディカプリオ)、「いつ正体がバレるか?」というヒリヒリした極限の精神状態に置かれている筈で、そこがこの映画の見所の筈ですが、あまり伝わってきませんでした。全体的にサラリとしていると言うか。 それはそうと、ネズミ何匹いるねん!と思いました。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2020-06-14 02:36:30) |
11. 断崖
派手で男っぷりはいいが、大ホラ吹きで借金に追われている男と、それに簡単に騙されてしまったオールドミスになりかけの女性。こんな3四半世紀も前の映画なのに、今見ても一級のサスペンスなんだから、やっぱりヒッチコックって凄いんだなと思いました。 [DVD(字幕)] 8点(2020-06-14 02:35:28) |
12. 不思議惑星キン・ザ・ザ
旧ソ連の共産主義体制下で、「こんなのよく許されたな」と思う遠慮の無い社会風刺と、かつヤケクソかと思う程どうしようもないギャグばかりのこんな映画が作られたことが、奇跡と言うか何と言うか。やはり一度は見ておくべき映画と思います。 [DVD(字幕)] 8点(2020-06-14 02:33:01) |
13. 切腹
仲代達矢と三國連太郎が、役者としての格や力量を賭けて正面切って対峙する作品です。二人の大物のぶつかり合いの、ギラギラ感が凄いです。ストーリーも面白いですし、この作品は日本映画の中でも屈指の傑作だと思います。 [DVD(邦画)] 9点(2020-06-14 02:30:49) |
14. マーダー・ライド・ショー
狂気的な演出をして、次々とトラウマっぽい展開を畳み掛ける。単にそれだけの映画に思えました。ぶっ飛んだ狂気ということでは、「悪魔のいけにえ」の方が奇跡的。 [インターネット(字幕)] 3点(2020-06-14 02:29:26) |
15. タイタンの戦い(1981)
長男が「ギリシャ神話って何?」と尋ねてきたのをきっかけに、「タイタンの戦い」を見ました。 私はこの映画を、小学生の頃にテレビの洋画劇場で見て夢中になりました。レイ・ハリーハウゼンの人形を使った不思議な映像が面白くて、「シンドバッド黄金の航海」など、彼が手掛けた映画がテレビで放映される度に録画して見たものです。 今回、自分自身がもう一度見たい&子供にも是非見て欲しいと思い、CGを使った2010年版では無く、オリジナルの1981年版を借りてきました。 改めて見ましたが、約40年前の映画とは思えない特撮。映像から目が離せませんでした。CGでは全く比較にならない手作り感は何とも言葉になりません。「人間のアナログ的な手技でここまでのことが出来るのか」と驚かされます。やっぱりこの映画は凄いと思いました。 子供たちが映像の見事さを感じてくれていたかどうかは分かりませんが、三人の魔女、ペガサス、メデューサなど、子供が喜ぶ空想のキャラクターが次々と出て来て、それなりに楽しんでいたようです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-06-14 02:28:41)(良:1票) |
16. マレフィセント2
長男にせがまれ観に行ってきました。大人でも楽しめる映画でした。主役のマレフィセントの圧倒的な強さがカッコいいです。 [映画館(吹替)] 7点(2020-06-14 02:27:39) |
17. 黒蜥蜴(1962)
かなり昔に見ました。「黒蜥蜴」といっても、有名な美輪明宏版ではなく京マチ子版。全体的にとても馬鹿馬鹿しい、愛すべき迷作だと思います。 ミュージカル仕立てということで、ところどころで中途半端な踊りが始まりますが、男装した黒蜥蜴のステップは宝田明と萩本欽一を混ぜたような感じだし、部下達はショッカーっぽい。 他にも、トランペット吹くと京マチ子がナヨナヨと悶え出すとか、「は虫類の位」とか、ネタがいっぱいです。 でも京マチ子が演じる黒蜥蜴は、美輪明宏の黒蜥蜴よりも女っぽさがムンムンしていて、それはそれでいいなと思います。 [ビデオ(邦画)] 6点(2020-06-14 02:26:40) |
18. 羊たちの沈黙
高校生の頃に、ジョディ・フォスター好きの同級生と新宿の映画館で見たのを覚えています。最高の傑作ですね。 [映画館(字幕)] 9点(2020-06-14 02:25:55) |
19. 泥の河
終戦から10年が経った大阪の、子供達の交流と、彼らを見守る貧しい大人達の心情を丁寧に描いた作品。正直、この映画を見るまで当時の大阪の(おそらく底辺の)庶民が、こんなに貧しく厳しい生活を送っていたということを知らなかった。このため感想を言葉にしづらいが、悲しさは伝わって来て胸が締め付けられる。田村高廣の優しい笑顔は、父親である「王将」や「無法松の一生」の阪東妻三郎を思い出させる。 [インターネット(邦画)] 8点(2020-06-14 02:25:01) |
20. 昼下りの情事
《ネタバレ》 オードリーの可憐さが強く印象に残っています。 オードリーが演じるのは奥手な音大生。恋愛経験も乏しく垢抜けない部分が残ります。そんなオードリーが、ゲイリー・クーパーが演じる世界的にも有名なプレイボーイと出会い、あの手この手を尽くして恋愛遍歴が豊富な大人の女性を装い、自分に夢中にさせることに成功する・・。そんな話です。ただの小娘が経験豊富な大人の男を手玉に取るなど、多少無理がある話ですが、コメディなのでそこはご愛敬ということでしょう。 全般的に「大人の男性に憧れ、目一杯背伸びをする娘」を描いたロマンチックさがこの映画の魅力ですが、私が特に好きなのはやはりラストです。オードリーの父親から全てを聞かされたゲイリー・クーパーは、汽車に乗ってその地を離れることを決意します。それを見送りに来たオードリーが、既に汽車は動いているのに、涙を流しながらホーム上をいつまでも追い掛け続けます。そんなオードリーの思いがとても切なく愛おしく感じられます。 ビリー・ワイルダー監督ならではの小道具を活かした軽妙で洒脱な演出。そしてこの映画では「ちょっとイモっぽい垢抜けない娘」を演じつつも、その可憐さで魅了してくれるヘップバーン。思い出に残る大好きな映画です。 [DVD(字幕)] 8点(2020-06-14 02:23:57) |