1. 告白(2010)
《ネタバレ》 迷わず10点。人物の描き方、冷たい映像の色、テンポ、最後に向かうカタルシス、何をとっても一級品。中島監督最高作だとおもう。満席の映画館で最後のタイトルの時に席を立ったのはほんの数人だったほど。俳優陣のがんばりもすごい。特に松たか子の「抑えた演技」と「爆発する演技」、その落差に心をつかんで揺さぶられました。彼女の天才っぷりを楽しむだけでも1800円に値します。これを見ずして今年の日本映画はきっと語れないでしょう。 [映画館(邦画)] 10点(2010-06-07 18:11:40) |
2. 時をかける少女(2006)
《ネタバレ》 ヒロインとぼくはたぶん20年以上も世代が違うはずなのに。なんなんだろう、この共感は。この共感こそが、この映画を名作たらしめている最大の要因。(共感をよぶために細田監督は夏の風景やプリンやカラオケなど最大限の努力をしているけれど)胸がしめつけられるような切なさが最初から最後まであふれています。なんというセンチメンタル。すばらしい。 [DVD(邦画)] 10点(2010-03-01 11:50:36) |
3. 時をかける少女(1983)
中学生の時にスクリーンで見て、そのあと何度もDVDで見て、こないだ「時かけ映画祭」でまたスクリーンで見てきました。2006年のアニメや2010年版に比べてツッコミどころが多いのは確か。間抜けなセリフやこっぱずかしい歌の入り方、高柳良一の比類なき大根っぷりなど、マイナス点はいっぱい。でもね、この映画には他にはない「せつなさ」がたっぷり入っています。こんなせつない映画、つくろうとしてつくれるもんじゃない。知世と原作と尾道の風景、どれか1つ欠けてもなしえなかった奇跡のような偶然の産物です。見てない人はぜひご覧あれ。 [映画館(邦画)] 10点(2010-03-01 11:21:48)(良:2票) |
4. サマーウォーズ
《ネタバレ》 古くはマシュー・ブロデリックの「ウォー・ゲーム」、最近だと「イーグル・アイ」、 題材に新しさはない。が、この映画のイマジネーションの炸裂ぶりはすごい。長野の美しい自然の描き方、バーチャルシーンでのまるでフリーダムな描写法、なにをとっても一級品。観ているあいだ脳汁があふれまくります。こんなアニメ、世界中でも日本でしか作れない。アニメ文化が真に成熟した国でないとこの映像は出てこない。久々にこの国の国民であることを誇りに思う映画でした。DVDが出たら観ればいいやとおもってるあなた、いますぐ映画館へ! [映画館(邦画)] 10点(2009-09-06 21:26:33) |
5. グラン・トリノ
《ネタバレ》 悩んだ挙句に10点献上。ウォルトの人物像に激しく共感。少々政治的な寓話の匂いを感じ取ることもできるけれど、クリント・イーストウッドが真に言いたいことは「良識とはなにか」でしょう。映画のテーマとしてそんなど真ん中のものをケレン味もなくストレートに描ききった、その勇気と力量に感服しました。たぶんDVD買っちゃうな。 [映画館(字幕)] 10点(2009-05-04 00:53:16) |
6. Wの悲劇
アメリカに「バーバレラ」があるように、日本には「Wの悲劇」がある…。これは日本のゲイにとっての超カルトムービーであり、永遠に不滅の一本です。三田佳子のセリフを一言一句残らず胸に刻んで生きているオカマがこの国にいかに多いことか。オカマとしてどう生きていけばいいのか、オカマとしてどう果てていけばいいのか、それを考えるに当たり、この映画はあまりにも偉大な道標です。 [映画館(邦画)] 10点(2009-02-03 01:51:12) |
7. キス・ミー・ケイト
アン・ミラー、太ももの魅力大爆発!フォッシーのダンスと、アンのソロダンスを何度も見たくてDVD買っちゃいました。こじゃれてて、軽妙で、楽しい。ダンス・ミュージカルが好きなら絶対に買うべき一本です。 [DVD(字幕)] 10点(2008-12-08 14:49:04) |
8. イースター・パレード
冒頭の「ドラム・クレイジー」…何回見ても泣けてきます。こんなにすごい人が世の中にいたことの奇跡、そしてそれを何度も見られる環境にいることを神に感謝したくなる。いや、ジュディもアン姐さんも大好きなんですが、このアステアにはかなわない。反重力装置でもつけたかのような体の軽やかさ、音楽との整合性、そしてとびきりのスタイリッシュ感。まさに神の領域です。自分が死ぬときはこのDVDを棺桶に入れて欲しいです。 [DVD(字幕)] 10点(2008-12-08 14:40:53)(良:2票) |
9. 崖の上のポニョ
《ネタバレ》 宮崎監督、ジジイの妄想大爆発! そのイマジネーションの引き出しの多さに完全にノックアウトされました。どこからが現実でどこからが夢なのか、それともすべてが夢なのか、そんなストーリーの穴なんかどうでもいいぐらい、いろんなシーンにメロメロです。高波の上をポニョが走るシーンなんておしっこもらすかとおもうぐらい感動しました。ここまで妄想して、その妄想をここまで映像化できるというのは、映画文化の成熟した国の人間にしかできないことでしょう。日本人に生まれてよかったと心から想いました。 [映画館(邦画)] 10点(2008-10-06 12:12:21) |
10. シャーロック・ホームズ(2009)
欧米発「やおい」映画キター! 腐女子文化がアングロサクソンにも浸透したのかと確信してしまうほど、ロバート・ダウニー・ジュニアとジュード・ロウが組んず解れつ、付かず離れず、ステキ光線だしまくり。2人のイチャイチャっぷりが楽しさの約半分を占めますが、演出のテンポもよく、薄汚れたロンドンの雰囲気もおもしろく、見どころは満載。あちこちの映画館で満席が続いているようですが、これなら納得。映画らしいダイナミズムもケレン味もたっぷりなので、ぜひ映画館で見ることをおすすめします。 [映画館(字幕)] 9点(2010-03-23 11:46:32) |
11. スペル
サム・ライミという人はキリスト教的価値観にとらわれない人だなあ。「がんばれば道は開ける」とか「許しを請えば許される」とか、そういう安っぽい(西洋的ともいうけれど)考え方を、鼻クソのように丸めて捨ててます。場内爆笑のテンポ感あふれるホラー描写、すさまじいスピード感、すべてが一級品。サム・ライミよ、古巣に帰ってきてくれて本当にありがとう。文句なしに10点っていきたいところが、邦題が最悪、-1です。ていうか原題がすばらしすぎるんだけどね。 [映画館(字幕)] 9点(2009-11-14 16:13:09) |
12. チェンジリング(2008)
《ネタバレ》 感動しました。まっすぐな一本道をなんの迷いもなく最後まで歩ける映画です。見ていて邪念が起きませんし(この人なんでこんな服きてるんだろ、とか、このエピソード辻褄あってない、とか)、主人公に素直に感情移入できます。そんな映画、実は少なかったりしますもんね。アンジェリーナ・ジョリーってこんなに素晴らしい俳優だとは、これを見るまで知りませんでした。いやあ、実に感動。 [映画館(字幕)] 9点(2009-04-28 18:30:54) |
13. パコと魔法の絵本
《ネタバレ》 最初の20分ほど、人物紹介がちょっとたるい。が、それを乗り越えると俄然おもしろくなります。ファンタジー感あふれるすばらしいCGに負けない役者たちの熱い芝居も見どころ。なんといっても役所広司がすごい。この人の俳優としての底力をまざまざと見せられた思いです。登場人物が多すぎるかな、という点でマイナス1点。 [映画館(邦画)] 9点(2008-10-06 12:19:23) |
14. おくりびと
日本人の「死ぬ」尊厳をていねいに描いた秀作。冬の山形の白っぽい風景描写や、建物のちょっとした洋風趣味を取り入れたのも、映画の雰囲気を創りだすのに成功しているようです。ところどころ小っ恥ずかしいセリフがあるのと、広末の年齢不祥な演技が気になったのでマイナス1点。 [映画館(邦画)] 9点(2008-10-06 11:48:37) |
15. バーレスク
《ネタバレ》 ミュージカル映画としちゃ、楽曲がいかんせん弱いので(映画館出た後、一曲も憶えてないし口ずさめない)、あまりデキがよろしくない…と言いたいところだけど、シェールとアギレラの芸がそんな問題を吹っ飛ばすほどイイの。全力でショーチューンを歌い踊る彼女たちのプロ根性にシビれた。スタンリー・トゥッチやエリック・デインに歌わせないのは主役2人をより強力に印象付けるためだろうけど、ちょっともったいない。ミュージカルナンバーを見せるのがほぼ2人だけなので、ミュージカル的重層感に欠ける。まあそれでも物足りないとは思わないほど、シェールとアギレラが秀逸。点数は8点ですがぜひ見に行くべきだと思う。映画館でね。 [映画館(字幕)] 8点(2011-01-18 16:19:10) |
16. セックス・アンド・ザ・シティ2
「ドラマのSATCだいすき~」なバカ女子は見ないほうがいいです。ものすごくあなたたちに対して裏切ってますからね?とクギを刺しつつ感想を述べると、1はある程度ドラマを見てないとピンとこないつくりだったのに対して、2は知識がなくても楽しんで見られる(逆に言うとドラマファンに媚びてない)つくり。全体にまぶされるゲイネタがかなり笑えますが、これはアメリカのゲイの知識がないと笑えない。つまり、映画として1よりもかなり普遍的なものにシフトしているのです。とはいいつつも、このシリーズの当初からある「女性として保守と革新の狭間に生きるためにはどうしたらいいか」というテーマには揺るぎがない。だから、どんな人が見ても、ドラマに対する知識がない人にも、楽しめるものになっています。カメオ出演する人々も豪華。ぼくはかなり好感もったけどな。いいと思いますよ。ちなみにぼくはWOWOWで99年の初日から見てるドラマファンです。 [映画館(字幕)] 8点(2010-07-05 13:08:01) |
17. ハート・ロッカー
ハッキリ言わせていただくが、これはれっきとしたエロ映画です。過剰なまでのオスの表現が最後までみっちり詰まってます。男の記号【無茶・無謀・大酒のみ・無意味な裸】が満載。個人的にはかなり萌えましたが、日本女子にはうっとうしいだけかもね。気になったのは全体にわたる手ブレ映像。ライブ感があるけれど、だんだん見るのに疲れてくる。それでもスクリーン全体から匂いたつようなオスの香りでチャラになります。なんていやらしい。 [映画館(字幕)] 8点(2010-03-08 11:35:14)(笑:2票) |
18. アバター(2009)
《ネタバレ》 引き合いに出して悪いんだけど、CGがすごい映画という意味でどうしても『2012』と比べてしまう…もちろんあっちが薄っぺら。こちらは映像美を堪能できるだけでなく、舞台設定の奥深さ、人間描写の細かさなどもしっかり楽しめます。この描き出される世界に、目も心も入り込んでしまいます。まさに夢心地。とはいえ、SFとして見るならば異人種の造形がちょっと類型だったり、ストーリーがありきたりだったりするのは小さくない欠点ですが、それでも魅力にあふれた映画ではあります。余談ですがシガニー・ウィーバーがナヴィになっても顔がまったく変わらないってのはいかがなもんだろう。本人怒らなかったのか? [映画館(字幕)] 8点(2010-01-14 15:53:37) |
19. 少年メリケンサック
テンポ良く、変な脱線もなく、言いたいこともハッキリしていて、実に楽しい映画。宮崎あおいは「篤姫」よりこっちのほうがイキイキしていて魅力的に見えます。あ、あと小汚くても佐藤浩市は佐藤浩市。なんかカッコいいのが玉に瑕です。 [映画館(邦画)] 8点(2009-04-28 18:23:47) |
20. 007/慰めの報酬
《ネタバレ》 ずいぶん時間がたったので前作のストーリーはほとんど忘れてましたが、それでも十分に楽しめました。つまり、前作見てなくてもまったく問題ないと思います。というか、ストーリーはぶっちゃけどうでもいい、というスタンスの映画かも。初頭20分のアクションは見逃すべからず。映画の開始時間に遅れたら次の回を待ちましょう。そのぐらい初頭20分がすごい。というわけでアクションを楽しむならぜひ。難点はボンドの「人間性」。たぶんダニエル・クレイグの芝居のせいだと思うのだけれど、ちょっとサイボーグっぽいの。恋をしたり、眠れなかったり、と人間くさいエピソードが出てくる割には、いつでも最強・最悪・最凶。かっこいいし、スタイルもすばらしいんだけど、人間としての体温を感じにくいので「あこがれの対象」にはならないかなあ、と思いました。ショーン・コネリーとの違いはそこかもしれない。 [映画館(字幕)] 8点(2009-01-26 01:46:34) |