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プロフィール
コメント数 2061
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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1.  ラストナイト・イン・ソーホー 《ネタバレ》 
夢が叶わないことは悲しい。特に60年代を生きたサンディは残酷に夢を踏みにじられ、暴力と搾取の犠牲者。 女子同士の痛みを60年の時を超えてもひしひしと感じ取るエリーを演じるトーマシン・マッケンジーがハマり役。サンディを気遣い、暴力に対して怒りをあらわにするエリーは優しい。対をなすサンディは売れっ子アニャ・テイラー・ジョイ。目力の強い勝気な彼女は夢を叶えたいその一心でエリーとシンクロしたのかも。 アニャ、素敵でした。トップを盛った60年代のヘアスタイルが良く似合って、身体の動きも優美。主演女優二人の存在感と、血の色すら艶めかしく撮り上げた色彩の強さでこの作品は脚本の諸々の粗(殺人犯と思い込むミスリードがやや雑なことやエリーの母親の存在意義が思いのほか薄いことなど)を凌駕しました。 暴力と亡霊とでグロテスク味の強い本作だけども、エリーの彼氏のジョンが献身的な優しさを見せていて息抜きができます。エリーの不安定なメンタルパニックにけっこうな回数巻き込まれているけど彼女を見捨てないでくれている。ジョン優しいな。世の男子はこうであってほしい。「僕のおばさんもそっち系の人なんだ」がたとえ嘘でもかまわないのです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-11-23 17:31:01)★《新規》★
2.  岸辺露伴 ルーヴルへ行く 《ネタバレ》 
中盤までの雰囲気はすごく良いんですけどね。露伴のアトリエ、年代を経た旅館、山の緑と謎の女。画のレベルがミステリー映画のクオリティとして文句なし。わくわくしました。 でもパリに舞台を移してからは、撮影に制約があったんでしょうか、今ひとつせせこましい演出になってしまってせっかくルーヴルと謳っていても看板倒れな感じです。黒い絵が怨念パワーを炸裂させるシーンも陳腐。露伴さん自前の能力ここでこそ発揮しないと。あれ、使えないの? 時代劇もちょっと長い。あんなに丁寧に謎明かししたら怖くなくなる。昔黒に取り憑かれた絵師がいました、禁忌を犯して処罰されました、とざっくり数カットで収めた方が見る側の想像がふくらんで怖かったような気がする。 オカルトもどきの食い足りない出来になっちゃいましたが、高橋の仕事がさすがです。評判通り。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-11-21 22:27:34)《更新》
3.  スワンソング 《ネタバレ》 
ウド・キアーが数十年ぶりに主演!なんという円熟、いぶし銀な演技でしょうか。いぶし銀というよりはラメ入りパープルといった趣だけども。 人生の終盤に、かつて愛した街を歩くパット。失われた面影の多いことが、世の常なれど寂しい。施設から抜け出て、街の人と触れ合うことで往年の調子を取り戻してゆくパット。彼と歩を合わせるようにして、過去がちょっとづつ見えてくる。恋人も家も失ったし、子どもがいない自分のことなど誰からも忘れられてしまうだろうと思っていたパット。 でも違った。過去の自分が蒔いた種がたくさんの人の心に芽吹いていたことに気づいたし、抱いていた親友へのわだかまりも綺麗に解くことができた。心の整理は自分自身でつけるもの。実に見事な人生の畳み方でした。 旧友と海辺で語る場面、派手めのスーツを見事に着こなす場面、弁護士から必要経費としてむしり取ったお金でワイン飲んでる(しかもチップまではずんじゃってる)場面、電動車いすで渋滞引き起こす場面・・、たくさん好きなシーンがあるけど施設の車椅子の婦人の髪を美しくまとめてあげる場面が一番好き。 サントラもひとつひとつがシーンにぴったりだし、サンダスキーの街並みも素朴でどこか懐かしい。 実在のヘアドレッサーに監督がインスパイアされたという愛すべき一品。大好き。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2024-11-06 23:59:54)
4.  Pearl パール 《ネタバレ》 
エグいホラー仕立てだけど、現在に通じる問題をたくさん内包していて唸ってしまった。娘を窒息させる毒母、ヤングケアラーの問題、夢を追いきれない構造的な不自由さ。 ラストのパールの長広舌に圧倒されるという感想を多く見るけれど、わたしは母ルースのキレた場面に身がすくんだ。これでもかと娘にぶつける酷い言葉。自分の人生の怨念を吐き散らかすその姿。パールはモンスターになってしまったけれど、そうなったのは母親のせいではないのか。綿々と呪いの言葉を浴びせられてパールは壊れた。一部の母親はなぜ自分の重荷を娘も背負うべきと思うのか。 一昔前のテクニカラーを意識した鮮やかすぎる色彩も毒々しい。ロートルファンなら卒倒しそうな「オズの魔法使い」の悪趣味なパクリ。 ミア・ゴスの怪演は一度見たら忘れられない。内気で素朴なパールの外皮を破るようにして、内側から鬱屈した狂気がほとばしる。その憑かれたような表情。そもそもミアの薄眉顔が怖い顔立ちというのもある。 締めのロングショットもつらすぎる。ああいう引きつった笑みは被虐児童にもよく見る痛々しさ。「どうしてわたしを嫌うの?」と母に問うたパールのその台詞が悲しくて胸に刺さった。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2024-10-30 16:15:35)(良:1票)
5.  17歳の瞳に映る世界 《ネタバレ》 
なんとも胸が痛かった。オータムをこんな目に遭わせたのは一体誰なの。妊娠させた男どこ行った出てこい。 彼女の周囲はほんと暖かくない。高圧的な継父。妊娠を相談できない母親。お母さんさあ娘まだ17なのにもっと気遣ってやれないもんだろうか。バイト先の店長も何なん。具合悪いって言ってんのに。たった2時間じゃねえよ。学校の男子どもったら。女の子に意地悪するその性格がもうダサい。 窮地のオータムに寄り添ってくれるのは従妹のスカイラーだけ。身を張って当座の資金を得てくれる彼女。この娘の友情の深さはこの話のオアシス。泣いた。 アメリカってこんなんなんだね。地域の色が違い過ぎる。女子はないがしろにされ権利を取り上げられる所もあれば、場所を移せば相互扶助の社会システムが機能している。 オータムとスカイラーがつないだ手。どうかその手をずっと放さずにいてほしい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-10-23 19:23:51)
6.  ハウス・オブ・グッチ 《ネタバレ》 
ハイブランドのお家事情だわリドリー・スコットだわで画ヅラがとにかくゴージャス。役者も一流揃いだし、見た目の風格にうっかりパワー負けしそうになるけど、でも話はいかんせんゴシップ誌のネタレベル。品は相当に低い。 お金がありすぎるってのは骨肉の争いとセットなんですなあ知らんけど。 三十余年もの話を2時間強にぎゅうぎゅう押し込んだ割にはちゃんと要領を得てる脚本だとは思います。 感心しちゃうのは演者が実在の人物とすごく似てる、ということ。レディ・ガガなんてパトリツィアそっくりだもん。リドリー作品に呼ばれて光栄なこととばかりに、不名誉な女の役を嬉々として(?)怪演してみせたガガ。そうそうたる役者陣のなかでも怖じ気ず天晴れな仕事してます。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-10-08 23:24:01)
7.  侍タイムスリッパー 《ネタバレ》 
脚本の出来が良いです。面白い!定番の「タイムスリップで生じる時代ずれが引き起こす笑い」も上手いんだけど、コメディにとどまらず幕末に侍として生きた男たちの生きざまをも見据える胸アツかつ骨太な物語です。 上手い役者と、すごく観易いカメラと、流れるような殺陣。 本作の殺陣のシーンは白眉と言っていい。ここ数年に観たアクションもの全般の中でも飛び抜けて迫力があって美しかった。「あの夜の続き」である決戦は手汗がにじむほどの、どえらい緊張感がありました。劇中スタッフが「本物の侍がいる」と言ったけど、山口馬木也も冨永ノリマサもほんとに140年前の日本人に見える。彼らの放つ凛とした武家人の気概に酔っ払いそうになりました。 館内の皆と一緒に笑い、息をつめて見守ってそして(少なくともわたしは)泣いた。 ラストのオチも思いがけなくて洒落てて(?)、もうひと笑い。うまいなあ! 低予算でも映画への情熱が連鎖してこんなに素敵な作品が作れる。他国の豪勢な作品と比べてどうこう言う必要全く無いよな、とここ数年邦画に誇りと喜びを再び見出すことができてとても嬉しい。(でも予算はあるに越したことはない)
[映画館(邦画)] 9点(2024-09-28 23:40:28)
8.  デリシュ! 《ネタバレ》 
美術やセットの時代考証が行き届いている(ような気がする)、フランスの時代劇。 18世紀後半のフランスの風景、特に人々の生活の様子が垣間見られて興味深かったです。厨房での火の扱い方や、庶民の履いている革製の履物。時計がすでにマンスロンの厨房にあることにも驚いたり。やはり一流の料理人は調理にかかる時間を正確に知る必要があったのでしょうね。高価な物だったろうから、召し抱えられていた領主から特別に賜ったものかな、とか想像がふくらみました。 そして大事なのが当時の貴族と庶民が抱いていた互いへの見方。貴族らの下々への蔑視がこうもあからさまに酷いもんだったとは。 教科書を読むだけでは見えてこない実相、革命前夜の社会に流れるピリついた空気感も伝わってきます。勉強になりました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-09-05 23:13:02)
9.  ブレット・トレイン 《ネタバレ》 
ハリウッド映画を観た時の、外国人から見た日本ってこんなんなのかあという驚きが21世紀版にアップデートされた感覚でした。 いやー、参ったな。一々手を合わせる仕草とか邪悪なゆるキャラが車内にいるとかはまだしも、時々差し挟まる日本語のフォントが嫌だな。 それはともかく中盤まではクセ者だらけの暗殺者らがすれ違い、邂逅したりするプロットは伊坂作品ぽくてちょっとわくわくしました。 終盤に向かうにつれガチャガチャした凡庸なアクションムービーになっちゃったのは残念。 ヤクザに日本刀、血しぶきを盛大に上げての活劇はタランティーノに大いに影響を受けていることは想像に難くない。だけど制作センスが決定的に違っていると思う。走行中の新幹線の窓をぶち破って車内に侵入するなどといったあまりに荒唐無稽な筋はタラならやらないはずです。リアリズムと虚構のギリギリの線をつく、その塩梅はやはり感性がモノをいうのでしょう。 選曲も残念だ。真田の殺陣のBGMにHEROって。そうじゃない感が強すぎる。タラなら梶芽衣子だもん。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-08-31 22:41:34)
10.  すべてが変わった日 《ネタバレ》 
これはいろんなポイントで驚いた映画でした。まず主演の二人、初老の夫婦を演じるコスナーとD・レイン。30年前、スターの絶頂期に輝いていた二人がいい感じで年齢を重ねている姿にちょっと感動を覚えました。佇まいからして抜群の安定感と演技力。彼らと共に時代を生きてきたわたしなんかの世代はこの夫婦にぐっと興味と共感を覚えるのでした。 このご夫婦、“婦唱夫随”なスタンスで年月を過ごしてきたみたいで。妻の意見が強くて夫が彼女の意を汲んで(しぶしぶ)従う、とよく見る夫婦の形態笑。 傍から見たら妻の「孫を取り戻したい」願望はちょっと暴走気味。手に負えないや、という困り顔のコスナーになんとなく肩入れしつつ、まあ結局のところは奥さんも現実と折り合ってあきらめざるを得ないのだろうな、人生の後半に喪失を経験した夫婦の心の整理を描いた物語なのだろう・・とアタリをつけて鑑賞してましたら驚きその2。 まさかまさかのタランティーノばりのバイオレンスムービーに展開するとはねえ!演出と言い、緩急をつけたカット割りといい、本当に恐ろしくて肝を冷やしました。 米国の田舎の排他的な陰気さ。ヨソ者が来たことがすぐに噂になる不気味さ。ラスボスに暴力女帝登場と、気が抜けない中盤以降の怒涛の展開。予想だにしなかった結末。 残念な邦題が足を引っ張ってるけど、”2時間サスペンス”として書き上げた脚本にしてはかなりの熱量が注がれている作品です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-08-30 23:11:31)
11.  オールド 《ネタバレ》 
シャマランらしい不可思議アイデア一点突破モノ。謎は十分魅力的だけど、そこからの広がりや深みがやや足りなくて映画作品というよりはテレビのドラマ感が強い。 だけども観ている間はずっと怖かった。「人は死について考えることを棚上げして日々生きている」と言った作家がいた。このビーチでは突如として老いと死に向き合わなくてはならなくて、その恐ろしさといったらもう。 だから、人生のいろんなもやもやにきちんと落とし前をつけることができた夫婦の穏やかな表情には救われた思いがしました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-08-29 23:10:47)
12.  スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム 《ネタバレ》 
わたしはマーベルのファンというわけではないし、MCUの「一見さんお断り」な制作姿勢はどうかと思う。懐古趣味が炸裂している本作も一緒にノレるわけではなくてちょっとヨソ者の気分。 そうはいってもこのスパイダーマンホームシリーズは娯楽作として良く出来ていて、それって人物のキャラ作りが上手くて物語の厚みを増しているからと思うんですよね。 高校生らの普遍的な青春っぷりと彼を支える周囲の大人たち、皆いい味出してて親近感を覚えます。特にトム・ホランドの“善良なフツーの10代”な雰囲気がスパイダーマンの「無敵に強いわけではない」感にぴったりなのでした。 すぐ友人に頼る、超人の仕事より恋や学業とかの日常を優先したい、そんな彼が厳しく悲壮感漂う決意をするとは。 ヒーローとは孤独なもの。マルチバースの先人らと同様、トム・ホランドのピーターも温もりを捨てて一人で歩み出す。ラストシーンは泣けました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-08-14 23:08:06)
13.  MEN 同じ顔の男たち 《ネタバレ》 
これは分からん。困っちゃうなあ。中盤までは田舎の風景も屋敷も素敵なので期待はキープできてたのに。 不気味だけど意味不明。 グロテスクで画が不快。 命の危険があるのは確かなのに、奇妙なことにヒロインがどんどん怯えなくなっていく。終盤の4連続男性出産の場面に至っては彼女の表情は「げんなり」とか「うざ」。や、分かるけど笑。 タイトルに同じ顔の~とあるから、ヒロインが恐慌をきたす筋運びになるのかなと思ったのだけど違った。同じ顔だということに気づいてないみたいだった。わたしもだ。ロリー・キニアの怪演のせいなのかそれとも監督の狙いが客に届いていないのか。 難解な映画に当たった時、解説を求めに行くこともあるけれど、本作はそんな気にもならなかった。なんとなく「どうでもいいや」という気分。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2024-06-24 22:51:27)
14.  マッドマックス:フュリオサ 《ネタバレ》 
面白かったー、普通に!巻き上がる砂塵と砂の地平線と、爆走するメカ群。世界観は完璧に継承されている。 でも「怒りのデス・ロード」は最大級に究極にこれ以上ないほどに面白かったからさあ!あの血がたぎる体験をもう一度、と思うとそれは叶わなかったなあ。面白かったけど。 アニャも子役のフュリオサもとても良かったけど、でっきり復讐の相手はイモータン・ジョーだと思ってたからディメンタスなるチンピラ風情が出てきたときは面食らった。誰? いやあー、クリス・ヘムズワースでは我らのイモータン・ジョーとは風格が違い過ぎるよ。案の定罠にはまって遁走することになるバイク軍団。大いに指摘されているトコだけど、なぜここの砦での決戦場面をまるっとカットなのだろう。九割の客がわくわくと待ってたと思うんだけど。 カメラワークは凄いし、アニャがほんとにサスペンションに張り付いてアクションしてるかのように思っちゃうし、長尺だけど飽きさせずにラストまで引っ張ってってくれる。 でも「デス・ロード」は音楽も良かったしなあ。ウォーボーイらの人間振り子やらギタリストやら狂ってる感が振り切れてたなあ・・や、「デス・ロード」が珠玉で奇跡で尊いんだわやっぱり。MAD MAXサーガの本作は普通に面白い映画作品です。
[映画館(字幕)] 8点(2024-06-12 23:42:47)(良:1票)
15.  ハッチング―孵化― 《ネタバレ》 
毒親と、機能不全家庭と、その犠牲になるこども。フィンランドにもこの手の社会問題はあるのですね。誇張されたホラー仕立てであるけれど、問題の根っこは現実的でそこが怖かった。 冒頭からヤバさ全開の母親がキツイ。自己実現欲求の塊なSNS動画には吐きそう。この家族、母親が上げる幸せ動画とは実態は真逆だもん。往々にしてそうだけど。自分の理想にかなう子どもだけ可愛がる母親と、妻の浮気に気づいていながら何もできない父親と、姉ちゃんだけ贔屓されてひねてしまっている弟。 長女ティンヤは12歳、大人の欺瞞に気づき始める年ごろ。“ママの良い子ちゃん”で幸せに生きてきた彼女の心の深層に芽生えてきた抑圧されている自己や、他者への妬みや母親への不信等の大胆なメタファーがあの怪鳥なのだと気づいた時はざわっとしましたね。 母親が刺したのは優しくて社会性のある方のティンヤ。もはや双子の片割れのように生き残った方を、これから家族の一員として受け入れ生活していくんだろう あの脆弱な家族は。 恐ろしい結末だけどホラーとしては上出来。加えて画が清潔で美々しいので目に優しく、引き込まれて鑑賞しました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-06-05 23:28:51)
16.  プロミシング・ヤング・ウーマン 《ネタバレ》 
てっきりスリラーかと。女の子が復讐で強姦野郎どもを抹殺していく系の。宣伝の“狂気のナース”の画が強烈なんだもの。それに冒頭のハンバーガー歩き食いの際は腕に一筋血が(汁が)流れているし。 全然違いました。キャシーはもっと現実的に悩み苦しんでいて、大学中退からあっという間にアラサーになってしまった。いわゆるきちんとした定職につかず、親には心配と苛立ちをぶつけられ、夜な夜な酔ったウソ芝居で男を引っかけては手ひどく突き放すというしょうもない小復讐の人生を生きている。 やっぱりこんなのダメでしょ、キャシー。他ならぬ親友のお母さんまでが前に進むよう進言してる。それほどにキャシーの痛々しさはしんどい。 キャシー、幸せになってほしかったな。ライアンと上手く行ってた時は見てるこちらも嬉しかった。 だけどもキャシーは赤穂義士さながらの「義と信に生きる人」だったのだな。不正義に目をつぶることがどうしてもできなかった。 もちろん男たちには猛省してもらわないといけないし、あの動画をご丁寧に持ってきた意地悪女にも天誅が下ってほしい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-05-19 23:30:39)
17.  シャドウ・イン・クラウド 《ネタバレ》 
エンドロールに流れる40年代当時の従軍女性兵士の映像から察するに、あの男性優位の時代に頑張っていた女性らへのリスペクトを表しているのでしょうけど。 それを映画作品にするにあたって、21世紀の女版イーサン・ハントを撮ろうというアイデアもまあ悪くはないけれど。 だけども何故あんな怪物が必要なのだろう。アイツがいなくたって、クロエの身分詐称疑惑や、女性蔑視の中で孤軍奮闘を余儀なくされるクロエへの共感、敵機襲来と自機の故障、などなど物語の構成要素は盛りだくさんではないですか。 下部銃座に追いやられたクロエ・モレッツの一人芝居はなかなか真に迫るレベルだっただけに、幼稚な怪獣が出現したことで一気に萎えました。クロエファンならば彼女のファイト溢れる漢気(?)にグッとくるかもですが。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2024-04-30 23:26:33)
18.  ティル・デス 《ネタバレ》 
怖がらそうとしてショッキングな演出に力を入れているけれど、全体通してはさして怖さを感じない。スリラーとしては微妙な出来。 細部の詰めが甘くてガバガバという印象です。この手の映画を観る姿勢として言ってはいけない「それはありえないでしょ」が口をついて出ることたびたび。 いっぱいあるけど、なによりヒロインの体力がありすぎる。厳冬期の湖畔でシャツ一枚であの機動力はさすがにウソ臭い。男性の死体って思いよお? シチュエーションスリラーの金字塔「暗くなるまで待って」のヘプバーンの置かれた”どうにもならなさ”をスリラー脚本を書く際にはぜひとも参考にしてもらいたい。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2024-04-21 23:53:32)
19.  キラー・ジーンズ 《ネタバレ》 
一応スプラッタ・ホラーのジャンルに入るのかなあこれは。殺人を行うのがジーンズだというB級丸出しテイストのせいもあって、大して怖くないです。いけすかない奴から殺られていく展開は客の期待通りでそれ以上でも以下でもない。 ところで時々見かけるんだけど、本作もしかり、大仰な社会問題を噛ませてくるんですよね。アパレル産業界の児童労働問題がそもそも殺人ジーンズの遠因なんだそうよ。いや、B級なんだから、ジーンズが人を襲うってんだから、そんな身の丈に合わないテーマを用意しなくたっていいのになあ。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-04-10 23:14:56)
20.  アイダよ、何処へ? 《ネタバレ》 
この事件の顛末を知っているからこそ、観続けるのがしんどかった。 キャストはプロの俳優さんなのだろうけど、なじみがないうえに芸能人の華やかさというものを一切排した顔ぶれなので市井の一般人にカメラを向けたドキュメントのようにも感じられます。作り物じゃない肌感覚の恐怖がそこにあります。 終始険しい表情で修羅場を行ったり来たりして、家族を助けようと必死の国連職員アイダ。職の分を逸脱しているようにも見える行為だけれど、それは時が下って安全な場所から発する感覚でありましょう。あの時あの場にいたら、わたしもアイダと同じ行動をとっただろう。 人間ていつまでこんなことを続けるんだろう。今現在だって、将来このような映画になるだろう事象が進行形で起こっているなんて。ブチャしかりガザしかり。なんでなんだ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-04-05 23:28:37)
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