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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 575
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  ヒア アフター 《ネタバレ》 
死者と交信する男。臨死体験をした女。兄を事故で亡くした少年。"死" にかかわる、稀有な体験者であるこの三人の人生が、運命に導かれるように交差する物語。私はこの映画の魅力に取り憑かれ数回鑑賞したが、特に少年がジョージを介して兄と交信をする場面について気が付いたことをコメントしたい。交信中、「兄が遠のいてきた」とジョージは言った。確かに、この時点で兄との交信は途絶えたと思う。この後に少年に伝えた「僕はお前でお前は僕なんだ。一卵性は二人で一人だ」の言葉、これは実はジョージの "嘘" だ。死者にいつまでもすがりつく少年の将来を危惧し、踏ん切りをつけさせようと思いついた嘘ではないか、と私は確信している。この言葉は、迷える少年を救うためにはこれ以外は考えられない素晴らしい嘘だ。事実、この言葉によって少年は立ち直った。そして、立ち直ったのは少年だけではない。ジョージは嘘で一人の少年の人生を救ったことにより、これこそが霊視者としての自分に与えられた本当の使命だったと感じたはずだ。彼にとってその能力は重荷でしかなかったが、この時ついにその呪縛から解放されたように思う。こう解釈すると、ジョージが突然に明るい未来を思い描き、唐突に思えたラストも違和感無く繋がる。マリーの手を固く握りしめても、もうそこには死の淵も冥界も見えない。傷ついた者が傷ついた者を救う。少しの思い遣りで支え合い、助け合う。その先には、幸せな未来と希望だけがどこまでも広がるのだ。
[映画館(字幕)] 10点(2014-01-19 16:35:13)(良:1票)
2.  まく子 《ネタバレ》 
冒頭、サトシ (山崎光) が走り出すと目の前に牧歌的な風景が広がりを見せ、その後に一転してまるで坂と階段の迷路に迷い込むように、彼は温泉街へと駆け抜けていく、、。 あっという間に、引き込まれてしまった。この導入部の時点で既に、これは大好きな映画だ、と確信した。 そしてうれしいことに、「笑い」のセンスが私の感性に近い。照れ隠しするように、あたふたと先を急ぐサトシと、そのすぐ後ろをヒタヒタとつけ回す無表情なコズエ (新音) の姿。のどかな田園風景の中に、これが実にシュールな光景で、可笑しくて仕方がなかった。 この映画の面白いのは、彼女は「宇宙人」という大胆な設定でありながら、少年と少女による、根は実にシンプルな青春映画であろうとするところ。だから本作の「SF」とは "青春ファンタジー" と考えた方がいいかもしれない。そして、坂と階段の街、転校生、花火、、その設定の多くは、かつての大林宣彦監督を思い出さずにいられない映画でした。 もう一つ、学校の描写について言うなら、生徒たちの顔立ちはみな平均的で、秀才もいなければ劣等生もなく、いじめっ子もいじめられっ子もいない、という、いわゆる「ヒエラルキー」を生まない、学校という名の理想郷のようなところがあり、そういう描き方もまさに大林監督が好んでいたものでした。(あ、コズエは美人だけど例外ね、だって宇宙人だから笑) その、コズエとの別れは、やはりサトシにとっての一つの青春の終わりであり、大人になるための通過儀礼であったと思う。 君は、大人なんかキライだ、「大人は判ってくれない」だったと思うけど、君もいつしか、「子どもは判ってくれない」になる日が必ず来る。 その時こそ、本当に君という「青春」にサヨウナラだ。
[インターネット(邦画)] 9点(2022-02-07 22:20:03)(良:1票)
3.  パンとバスと2度目のハツコイ 《ネタバレ》 
そもそも、フランスパンで女を殴る女からすでに可笑しくて、この監督面白いなと。始まって数分にして、この映画当たり、と早くも確信しました。総じて、人物たちに対する視線は優しいのですが、主演のふみが少しだけピントがずれている、というのが本作最大の肝で、彼女を軸にクスッと笑える場面がワンシーンに一つ、必ずあるんですね。彼女の一挙一動にハラハラドキドキ、、でも大丈夫、そんな彼女も不思議と目薬のピントは外しません。 (言っちゃった) 次のシーンが楽しみだ早く観たいぞ、その心境のまま始めから最後まで楽しく観させていただきました。たもつはこの歳でバツイチ子持ち、車持ち。だから当然、洋服に散財できるはずもなく、毎度の上等じゃない服は納得で。ふみにいたっては、何度もナイキの同じスニーカーを履いて登場しましたね。こういったさり気ない気配り、重要ですね。付き合っていても、結婚していても、別れの予感はついてきます。だからその一歩手前の、これからそれを迎える期待感で胸いっぱいであること、ハツコイの心境であり続けること、それが何より幸せかも知れませんね。主演女優、ストーリー、音楽、ロケーション、そしてパン、バス、絵や洋服といった小道具 (美術) に至るまで、その全てが奇跡的に相性良くて、映画らしくない不思議な現実感 (空気感かな) がありました。(↓3737さまの) 全然大したお話じゃない、についても全くの同感です。ちなみに、わが行きつけの立川シネマシティ前の散策路が登場しましたね。(たぶん) よってプラス1点。
[DVD(邦画)] 9点(2019-02-18 23:27:34)(良:2票)
4.  ボヘミアン・ラプソディ
レビュー覗いている暇があったら、今すぐ映画館へ行け! 傑作。最高。QUEEN知っていようがいまいが、あまり関係ない。音楽が好きなら絶対に観ろ。そして泣け。 そして観た後に、自分が誰なのか、お前も自分で決めてみろ!!
[映画館(字幕)] 9点(2018-11-15 21:50:52)(良:2票)
5.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 
スクリーンから溢れ出す心躍る映像と音楽の洪水、この感動はもはや理屈じゃ語れないだろう。本当に、映画館で映画を観る悦びに満ち溢れている。ミュージカルシーンのダンス一つ取っても、飛んだり跳ねたり、頭のてっぺんから指先つま先まで、そのリズミカルな動きは、観客たちが一緒に心弾むように完璧に計算されている。これこそミュージカル映画だ。シェルブールの雨傘や往年の名画はもちろん、目をこらせば、(500)日のサマー、ファビュラスベイカーボーイズ、ミッドナイトインパリなど近年に監督が愛した映画たちへの想いも見逃せない。これは二つの類希な才能が、人生のほんの一時の間だけ並走し、支え合い、ぶつかり合い、愛し合い、高め合い、その結果、愛よりはお互いの "才能" にとって最良の選択をした話、と思っている。この結末は、男が女の幸せを第一に考えたように見えるが、真実は自分が幸せボケによって "感性" を失うことを何よりも恐れたから、と思う。間違いなく一つ言えるのは、何も結婚して幸せになることだけが愛ではない、ということだ。かつてジャック・ドゥミは言われた。映画はおとぎ話だと。終わらないおとぎ話はない。そして、覚めない夢は、ない。映画が終幕し、まさに夢から覚めたようにふらふらと暗い夜道を一人帰路に着く。現実に戻されると、映画の二人にとっても、そして自らにとっても夢のような時間であったと改めて思う。また明日から平凡な日々が待っている。でも映画を愛した人には、いつかきっと夢の続きが待っていることを信じよう。
[映画館(字幕)] 9点(2017-03-03 00:03:35)(良:3票)
6.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 
戦争を題材にしたよくあるアニメーション映画だろう、と軽い気持ちで鑑賞に臨んだことを後悔するほど、心に強い衝撃を受けました。この映画、"戦争"を題材にしながらも人間の狂気は見えません。あくまで物語の中心はその時代の人々の生活、戦争はあくまでそこに存在した一つのできごと。まるで"日常"のように、近くで軍が大砲の演習をして、夕焼け小焼けではなく空襲警報が鳴り響く。悲しいことに、人々は誰もが悲劇が"悲劇"である感覚を失っていた。でもそれが戦争の本当の恐ろしさでもあると思います。アニメならではの見どころも多く、特に防空壕の中で感じる空襲の生々しさなどは、想像をより掻き立てる分、ある意味で実写よりよほど恐怖をそそるかもしれません。草木や花や海の繊細な優しさ、戦艦の雄々しいたくましさ、終戦後に部屋に灯る希望の明り。絵から一貫して伝わってくるのはあの時代を強く生きた、先人たちの"心"です。そして、人生に必要なものは、勇気と想像力とほんの少しのお金。先人たちは生活の中にそれを心得ていた。この映画は日本人の心の歴史そのもの、どうか後世に伝えていきたい。
[映画館(邦画)] 9点(2016-11-24 23:11:44)(良:2票)
7.  ぼくたちの家族 《ネタバレ》 
最悪な事態にならずに、まずはよかった。そしてこの家族に俊平くん (池松壮亮) がいて本当によかった。彼がいなかったら、ちょっとヤバかったかもね。彼の軽いキャラが、重苦しくて沈没しそうな家族を救っておりました。しかし軽いばかりではなかった、執刀医を探し出した超ファインプレー。 それにしても、家族の連携のよさとは対象的に病院同士の風通しの悪さ、これ何とかならんかね。重病患者の家族にこれほど走り回らせたらあかんだろう、本来なら最初の病院から電話一本かければ済む話だろう、でもこの映画って、これを医療現場の問題提起として伝えようとしている気がする。 映画としては、回想で説明することをせず全て現在進行形で進んでいき、起承転結もわかりやすい。時や人や状況を変えて、映し出される自宅の最寄り駅の光景。とりあえず、前に向かって走り出すお父さん。兄弟が階段を上って見下ろすこの街の風景。母の手術後に、三人が病棟で組んだ涙の円陣。久しぶりに、「家族」を題材にしたよい映画を観た気がする。 なお、家族の難病を機に疎遠だった家族が一致団結して前に進む、これは必ずしも映画に限った話しではない。なぜなら、数年前に私の父が脳梗塞で倒れた時、ほとんど疎遠だった私の家族たちですら集結したからだ。兄とは久しぶりにまともに口をきいた。いつもはおとなしい弟がこんなに頼りになるとは! そんなわけで、本作はとても他人事ではなく感情移入しやすい映画でありました。 ・・あれから父は何とか持ち直し、体は不自由にはなったけど、家族みんなで協力して見つけたバリアフリーの家で、今は何だか嬉しそうだ。
[DVD(邦画)] 9点(2016-08-17 00:04:42)
8.  キャロル(2015) 《ネタバレ》 
現役女優の中でも最高峰の大女優と、近い将来にその仲間入りをするであろう女優、その二人の奇跡の共演を観てきました。 これは一言、"目は口ほどに物を言う" 映画。ケイト・ブランシェットの魅惑的な視線、ルーニーマーラの羨望や敬慕の視線。二人の目の力によって成立した映画と言ってもよいほど、目の演技に圧倒された映画でした。そして、優雅で完成された美とまだ若々しく完成を心待ちにする美。対象的な二人の "美" をうっとりと見惚れる至福の2時間でもありました。 その対象的な二人の個性を一層華やかに際立たせた衣装、1950年代のニューヨークを完璧に再現した街並み、画面の細部まで拘りが行き届いた美術、本作は衣装や美術スタッフの素晴らしい仕事にも拍手を送りたい。 展開は覚悟をしていた内容でしたが、これはレズビアンや同性愛のたった一言で括れる愛の形ではなく、もっと奥が深い感情だと思いました。人が人を愛すること。それは理屈では決して説明はできません。きっとキャロルとテレーズもこの感情を言葉で説明することはできないでしょう。だから、これは恋愛映画であり、真っ当なミステリー映画。人が人を愛すること、これは解き明かすことのできない深遠なるミステリーであり、そして女は永遠に "謎" なのである。この謎は、今までもこれからも、僕らを永遠に惹きつけてやまないのだ。
[映画館(字幕)] 9点(2016-02-14 19:13:35)(良:3票)
9.  くちびるに歌を 《ネタバレ》 
まず、舞台である五島列島の美しさに、否応なしに惹き込まれました。海に港に坂道に教会・・。どこもかしこも、実に映画映えするロケーションばかりでございました。 そして、女王様のようにお高くとまってるガッキーには、むしろいつもよりドキドキしたし (笑) 、道徳の教科書のように正しく、カルピスのCMにでも出てきそうな爽やかな生徒たちも、皆よかった。 もちろん、本作のテーマでもある、彼らの歌も素晴らしかった。序盤の「マイバラード」からして、すでに心をつかまれたというか、、それがまた最後に待ち構えていて、その大合唱の圧巻に私も心燃えました、、。 柏木先生の言葉、「ここにソプラノがいるね。アルトもいて。例のやつ、するしかないね」←これ、なんか好きでした。 「冷蔵庫にジャガイモがいるね。たまねぎもいて。にんじんもいて。カレーライス、するしかないね」←私はいつもこう (笑) ラストは見ての通り、「船出」ですね。それは生徒一人一人、そして柏木ユリにとっての、新たな人生の旅立ちも意味します。 もちろん、新たな旅立ちを戸惑うあなたの背中を力強く押してくれる映画でもある。 3月~4月あたりの、別れと出会いの季節にまた観たくなる映画です。
[映画館(邦画)] 9点(2015-03-14 19:08:28)(良:1票)
10.  インターステラー 《ネタバレ》 
実はSFという題材すら映画を形成する一つのモチーフに過ぎず、要するには人間の愛の物語だと思います。正直に言うと、飛び交う会話は私の凡庸な頭脳では理解できないものも多かった。瞬時では状況が呑み込めない場面もいくつかはあった。それでも、170分という尺の長さは全く感じさせないし、観終えてみれば大満足だ。結局はこの内容を超一級娯楽映画に仕上げてしまう、クリストファー・ノーランの手腕なのだろう。映像美に圧倒され、広大な宇宙へのロマンに思いを馳せ、人間の愛の偉大さに涙する。そして高揚感と余韻冷めやらぬまま映画館を後にする。思わず、あたりの光景を見渡してみる。夜空の星は美しく、あたりには砂塵なども舞ってはいない。さっきまでの体験が映画の世界であったことに安堵する。まさに至上の映像体験でした。
[映画館(字幕)] 9点(2014-12-23 17:15:40)(良:2票)
11.  ミッドナイト・イン・パリ 《ネタバレ》 
しっとりと降る雨、街灯が灯る夕暮れ。美しいパリの街並みを、ロマンチックな音楽にのせて映すオープニングの美しさに冒頭から思わずため息が漏れます。現在も過去も、登場人物たちはみな個性豊か。イヤ~な性格のインテリと尻軽の嫁さんに嫌気がさし、ますます現実逃避したくなる主人公は普通の人間くさくて面白いし、数多く登場する偉大な文豪や芸術家たちは、役者陣のハマリっぷりというか、演じるのが楽しくて仕方がないといった空気がよく伝わってきて、観ているこちらまでウキウキしてきます。過去の人間ですら、その過去に憧れているというその堂々巡り、そして目が覚めたように現在に目を向ければ、すぐそこに何と素敵な娘が待っている。懐古主義はほどほどに、今を楽しめというウディ・アレン監督のやさしいメッセージを感じます。良質な大人のファンタジーを堪能しました。
[映画館(字幕)] 9点(2013-11-24 22:49:39)(良:1票)
12.  台北暮色 《ネタバレ》 
冒頭の列車内、携帯をかけていたフォンが、ワンカットでリーに切り替わる。まず、その鮮やかさに唸らされる。そのリーは、車内にシューを見つけて、声をかける。この二人は他人と思いきや、実は知り合いであることに驚かされる。その微妙な距離感を維持したまま、二人は同じアパートへと歩いてゆく。やがて、導かれるようにフォンが合流し、三人のドラマが交差していく・・。 本作は、この三人の、近すぎず、そして離れすぎない関係性が、なぜか不思議な安心感を与えてくれる。 逃げたインコの、捕まりそうで捕まらない、その距離感のもどかしさ。 シューの元に「ジョニーはそこにいますか?」という、他人からの電話が何度も鳴り、片や、彼女には、ほとんど電話をしてこない、実の娘の存在がある。 シューとフォンは、恋人のようでもあるが、その一線は越えない。 このいくつかのエピソードや、「距離が近すぎると、愛し方も忘れる」という忘れ難い台詞に要約されるように、この映画は、人と人との、「距離感」を描いた物語である。心、住まい、人間関係、、ありとあらゆる距離感によって、人は無意識のうちに生かされもするし、時には行き詰まったりもする。 本作は、フォンが動かなくなった車を諦めて、乗り捨てる場面から始まる。しかし、例え故障していても人が力を合わせて押せば、少しずつ前進してゆけることを示唆して終わる。これは、リーの行き詰まった人生を後押しすることを予見させるものである。 やがて、カメラは俯瞰的な視野に変わり、街灯にライトアップされていく「台北」という大都会の夕暮れが美しい。 台北で暮らす若者の現代を的確に描いている、といった評価の本作であるが、私の感覚ではどこか懐かしい空気を感じさせるものだった。その風景が、どことなく東京に似ているからかもしれない。 一見しただけでは、嵐の前の静けさのごとく平穏、しかし長い年月を経て私の中で大きく存在感を増していくならば、この黃熙 (ホアン・シー) という監督は、楊徳昌、侯孝賢といった台湾の巨匠たちに、いずれ肩を並べる予感がするのである。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-05-08 23:53:19)(良:1票)
13.  あなたを抱きしめる日まで 《ネタバレ》 
本作について、奇跡の実話という紹介も目にしたが、それは映画や我々 (第三者) にとっての謳い文句でしかなく、当のフィロミナ (ジュディ・デンチ) を含む当事者たちにとっては、悲しくも数奇な物語。 彼女の修道女時代、つまり過去の場面に限って、年代モノのカメラで撮影したような古めかしい映像美。現代と過去を繰り返すことによる相乗効果もあるだろうが、実際にその時代 (1952年) に撮影したような重々しい空気を確かに感じさせるものでした。 さて、本題。 本作、ストーリーは壮大、でもテーマとしては、いたってシンプル。「赦し」のお話。フィロミナという、ただの人間であり、慈悲深い女性がわかりやすく教えてくれました。もちろんそこには、宗教 (神) への当て擦りや皮肉が込められているのでしょう。 しかし、、息子アンソニーの大出世と文明の進化 (インターネットの普及) は、人身売買を副業とする修道院と神さまの大誤算だったのではないだろうか (笑) なお、原題「 Philomena (フィロミナ) 」に対して、邦題は彼女が50年もの間、来る日も来る日も生きる糧にしてきた願い (思い) のこと。だから嘘ではないし、とても秀逸だと思います。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-02-23 22:49:33)
14.  ボーダーライン(2015) 《ネタバレ》 
ケイトさん (エミリー・ブラント) としては、ちょっと切ない役どころ。なんせ、対麻薬カルテルチームの内部統制上、「FBI」の肩書きだけを必要とされて選ばれただけですからねぇ・・。それともう一つ、彼女が美人だったから、ですかね。ここは、荒くれの猛者ばかりの世界です。だから、連れていけば敵の尻尾を掴むための色仕掛け担当として役にたちそうやな、、そんな期待が上層部側 (特にマットのオッサン) にも少なからずあったと思います。実際、成り行き上とは言え、BARのくだりでは "女" であることが役に立ちましたよね? 表題は、決して国境だけではなくて、階級や男と女といった、ありとあらゆる「ボーダーライン」を指している、そう思ってます。 麻薬戦争の凄惨さは目を覆いたくなるものでしたが、またそれを増長するように音楽と映像が素晴らしい。特筆すべきはラスト近く、地下トンネルに突入する直前の、紅い夕陽の異様なまでの美しさ。今から多くの血しぶきが飛び散るであろう光景を予感させて、その戦慄に身震いしたものです。 そして、麻薬王の大邸宅に一人潜入する、アレハンドロ (ベニチオ・デル・トロ) 。この場面は、かの「スカーフェイス」のラストを目線を変えて映したような趣きがあり、アレハンドロの姿にあのターミネーター風のグラサン男がかぶって見えたのは私だけではないはずだ。 以下余談。本作は数年前の真夏に部屋で初鑑賞しておりましたが、劇中の「花火は好きか?」のあたりで、部屋の外からは多摩川花火大会の ドーーーン!! が鳴り響いておりました。(実話) ここ (日本) は平和だな、、と改めて感じた次第 (笑)
[DVD(字幕)] 8点(2023-10-02 21:54:36)
15.  ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。 《ネタバレ》 
この映画は、主題のクジラをとても愛情込めて撮影しているので、そこは安心して観れますが、「人」の撮り方もうまくて、最後まで飽きることなく観れました。 まず、クジラおたくの鯨井クンに「さかなクン」そっくりな矢野聖人クンと、唯ちゃん役はウェットスーツと海がよく似合う武田梨奈 (代表作は "海すずめ" ) ということで、テーマに絶妙なキャスティングが素晴らしい。 そして面白いのは、人の撮り方に一つのこだわりがあって、それは、「クジラ」に愛情がある人ほど、美しく、そして、カッコ良く撮っている、ということ。 最もわかりやすいのが、唯ちゃん。登場した当初、彼女は自分が成功することしか考えていません。彼女にとって、私の為のクジラ、だから、映画もそういう撮り方 (扱い) をしてる。それがやがて、「クジラの為の私」に変わった、、だから、最後のサーフィンと、クジラに乗る彼女の姿は美しい、、。これは、彼女 (の心境の変化) に対する、この映画の回答に他なりません。 始めにリーダー降格したあの人などは、まぁ出世志向で、私の為のクジラ、のままではスポットは当たりませんし、鯨井クンは言わずもがな、ですね。最後のクジラショーのカッコ良さ、、この映画は彼を単なるクジラおたく (のまま) で終わらせるはずがありません。 さて最後に。さんざん、何食わぬ顔してコメントを書かせていただいたが、私はと言えば、昔から、行きつけの居酒屋でクジラベーコンをわんさか食べてきた、根っからの「私の為のクジラ」人間です (笑) しかし、そこは本作のテーマとしては無関係であり、多くを語られなかった捕鯨反対派の問題と同様に、"別問題" なんだろう。 クジラを題材にしたこの映画は面白かった、感動した、そして勉強になった、、ただそれでよいのだと思えます。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-08-08 23:02:06)(良:1票)
16.  知らない、ふたり 《ネタバレ》 
今泉監督の佳作、いや、秀作。 監督は毎回、人を好きになることの肯定、をテーマに数多くの傑作恋愛映画を撮られていますが、ストーリーと見せ方のアイデアが豊富であり、どれもが全く違った色合いの映画になるところがすごい。そして、パンとか、お花とか、古着とか、本作の靴とか、、映画を彩る小道具も毎回楽しみにしてます。監督 (の日常生活) はきっとおシャレだろうな、お会いしなくとも私には手に取るようにわかります。 そうそう、監督の映画には、よくストーカーがご登場されます (笑) でも当事者たちは、いつも威風堂々としていて、決してその行為を (第三者に) 隠そうとしない、、そこが笑えるし、なぜか清々しいところ。誰にも隠したらヘンタイ (ストーカー) 、そうでなければ純愛。そこ、重要な境界線。本作の彼らは一見「ストーカー」ではありますが、もしかしたら、それはまだ呼び名のない、全く新しい恋のカタチなのかもしれません。 一人が二人を同時に好きになること。どちらにも隠したら二股 (浮気) 、隠さなければ (どちらも) 純愛。そこ、重要な境界線。それもまだ呼び名のない、全く新しい恋のカタチなのかもしれません。(また言っちゃった) 監督はいつも、恋する人たちの「内面」を優しく描いています。だから、私たちが意識するほど、この映画にとって、日本人とか、韓国人とか、あまり関係ないのかもしれない。大切なのは、国籍や言葉ではなくて、その人、その心の内面なのだから。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-12-27 23:09:19)(良:1票)
17.  馬の骨
「イカ天」がテレビでやっていた頃の1989年~1990頃、私はと言えば、青春真っ盛りの15~16歳で、時代はまさに空前のバンドブームでありました。番組詳細については、前段にて記載済のため割愛。(かっぱ堰さん、ありがとうございます) そして本作、「馬の骨」。まず、フロントマンの熊田 (桐生コウジ) の出で立ちが、明らかに忌野清志郎を意識しまくりで笑えます。ユカ (小島藤子) はかわいかった、そして、しれっと彼女と同居しているストーカーな彼、ちょっと危ないヤツだが、悪びれることなく、熊田さんをストーカー呼ばわりするところがまた笑えます。(おまえが言うか、って 笑) 全体的に、音楽で成功を夢見る人たち、インディーズの舞台裏やライブハウスの描き方は、成功するばかりが成功ではない、、そういう、音楽を (真剣に) すること、、それそのものへの愛が感じられてよかったです。 イカ、、じゃなくて、以下は余談。(忙しい方は読まなくていいです) あの頃 (1988~90年頃) は爆発的にCDが普及したこともあり、友人同士でCDを貸し借りするのがコミュニケーションの一つの手段となっていた。ちなみに、私が生まれて初めて買った記念碑的なアルバムは、光GENJIの「Hey!Say!」という、何ともトホホ・・な感じでして。 ← 時代が平成に変わったばかりの1989年2月発売、だから HeySay (平成) ね。(どうでもいいけど笑) その当時、おままごと程度にお付き合いしていた彼女が彼らの大ファンで、絶対いいから!! と、ゴリ押しで買わされたんです(T T) なんだかこっぱずかしいので、知り合い筋には、ブルーハーツの「TRAIN-TRAIN」てことにしてある。 以上、、ガラスの四十代、タケノコの告白でした。 ・・・内緒だよ。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-12-16 22:09:13)
18.  きみはいい子 《ネタバレ》 
モンスターペアレント、幼児虐待と育児放棄(ぎみ)、認知症、、心が痛くなるようなエピソードばかりを集めた、まるで不幸の見本市のような映画でした。 それでも、最後は救われたような気持ちになるのは、力の弱い者同士、助け合って生きていこう、というメッセージに共感できるから。孤独な認知症の老人と知的障害の少年が寄り添う姿、それをこの映画は「惨状」ではなく「希望」として描いているから。 おそらく、この映画は不幸を「個人」の責任ではなくて、介護や保護を支援するべき社会全体の問題として提起しています。物語を俯瞰的に観れば、教育や生活に内在する問題に真剣に目をむけない学校や自治体があり、さらにその上に国がある、、。そういう、暗に体制批判の物語、ではありませんかな。 はるか上流から流れ着いた「責任」が社会の底辺で行き場を無くして渦を巻き、その底辺では、責任を背負わされ、難しい問題に向き合いながらも、支え合い、ひっそりと生きていこうとする人たちの姿がある。 この映画は、その姿に優しく光を当てています。
[DVD(邦画)] 8点(2022-02-21 21:35:08)
19.  種まく旅人〜みのりの茶〜 《ネタバレ》 
本筋である「お茶畑」サクセスストーリーの裏で、いくつかの興味をちらつかせることによって、最後まで客をうまく惹きつけているのが本作の面白いところ。 ①金ちゃん (陣内孝則) と木村 (吉沢悠) のうち、みのり (田中麗奈) のハートを射止めるのはどちらなのか? しかし、金ちゃんはみのりどころか何の見返りも求めずに、ただお茶畑の繁栄を見届けて去っていくという、まるで西部劇のC・イーストウッドのように高潔なお方であった。 まだある。 ②みのりは、いつになったら金ちゃんの正体 (農林水産省) を知るのか? ③木村は、いつになったら局長 (金ちゃんだけど) に会えるのか? (ニアミス続きすぎやろ笑) とうとう最後までじらしたあげく、、彼が農林水産省の閣僚として二人の前に参上する表彰式が最高だ。この場面には、驚きと笑いがあり、爽快感があり、そして何より、目線だけで言葉以上の会話を交わした二人の姿に胸が熱くなる。 以下余談。 陣内孝則さんは久しぶりに観たが、改めてよい俳優だと感じた。 田中麗奈ちゃんは「なっちゃん」らしく「ミカン畑」で勝負してほしかったが、大人になった今、茶畑のみっちゃんでも悪くはなかろう。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-01-08 18:11:57)
20.  チチを撮りに 《ネタバレ》 
中野量太監督の作品では、湯を沸かすほどの熱い愛 、長いお別れ 、を先に鑑賞させていただき、続いて本作を鑑賞。 全作品でブレることなく一貫しているのは、「死」をうまく笑いに昇華していること。不思議と不謹慎な感じがしないのは、監督の視点 (人物の描き方) が優しいからだろう。 姉妹の顔を確かめるように撫でる祖母、母のチチに興味津々でふれる姉妹、、そういう身体的スキンシップによる愛情表現もとてもよかった。 父のもとへと向かう道中、妹に重い荷物を持たせていた姉が、予期せぬ弟の登場を契機に、その荷物を姉妹二人で力を合わせて持つ。やがて、弟もふらふらとしながらも手伝う。親が残した "重荷" を一人で、そして時には力を合わせて持って、疲れたら誰かに代わり、いずれにせよ前に向かって歩かざるを得ない、それが人生の順番というセオリーだ。 「死」はお別れではなくて、お互いがそれぞれ生きてきた健闘を最後に讃え合う、人生の「ノーサイド」だ。誰だって生きていたら色々とあるけど、最後だけは笑って、そして堂々と送り出してあげようじゃないか。 夏の終わりに、とてもよい映画を観させていただきました。
[インターネット(邦画)] 8点(2021-08-28 13:02:46)(良:1票)
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