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1.  ザ・ローリング・ストーンズ/シャイン・ア・ライト
メンバー全員が60代に突入したバンドとは思えないエネルギッシュさに圧倒された。 映像や音源も良質で、時折挟まれる過去のフッテージもなかなかセンスよく編集されていた。 ストーンズの過去の映像作品と較べても、現代的でありつつ、ストーンズというバンドの歴史やエッセンスも抽出しつつ、ライブ劇として成立できている希少な作品だと感じた。2時間があっという間だった。  ストーンズのメンバーたちが70代、80代になってもこういう作品がまた撮影されることを期待して、10点評価で。 それにしてもあの連中、70代80代になっても平気な顔でライブをやってそうな気がするな(笑)スコセッシも何ともない顔で映画を撮り続けていそう。
[映画館(字幕)] 10点(2019-01-21 21:39:36)
2.  メタリカ:真実の瞬間 《ネタバレ》 
今となっては世界で最も成功を収めたメタルバンドであるメタリカが、迷盤セイントアンガーを発表した時期のドキュメンタリー作品。 私がメタリカを知ったのがちょうどこのセイントアンガー発表時のころで、当時を思い出すと、この映像作品が発表されずとも、バンド内のゴタゴタが多くのメディアを通じて伝えられており、様々な問題がバンドに鬱積していたのだろうなと傍目にもわかっていた。改めてこの映像を見ると、バンドメンバーとの確執だけでなく、健康問題や、巨大ビジネス組織に変貌したバンドそのものの停滞や凋落が複雑に絡まる、厄介な問題にメンバーが極限まで疲弊していたのだとわかる。そしてメンバーたちがそうした複雑な問題を処理し切れず、もがき苦しむ姿が延々と映し出され、大変痛ましく思った。  で、映像作品として本作は面白いのか?という点であるが、これが痛ましい内容にも関わらず大変面白い。 スラッシュメタルの覇者と呼ばれ、頂点を極めたバンドが、いつしかメンバーの意志から離れて巨大な偶像、巨大なビジネス組織、まさにある種の怪物に変貌してしまい、中年にさしかかったメンバーたちは若いころのように自分たちのやりたい音楽をやりたい放題やるということが許されず、軋轢や確執に追い込まれていく。胡散臭いセラピストに大金を払う場面はその金銭感覚に唖然とするしかない。だがこれは、メンバー自身も成功を収める中でいつしか怪物になってしまったという象徴的な場面でもある。レコーディングを投げ捨てて引きこもったり、仲間を口汚く罵倒する場面は、子どもの醜い喧嘩を見ている気分になる。そうしたどん底にメンバーたちが追い込まれてから、復活劇は始まる。メンバーたちは互いの絆を確認し、新メンバーがバンドの空気を一気に変える。痛々しい場面の連続だが、最後にようやくメンバーたちに覇気と笑顔が戻ってくる。もう一度、シーンに踏み出そうとするメンバーたちの姿を描いて、映画は終わる。そう、本作は、決して監督が意図したわけではないが、バンドがどん底に追い込まれてからの復活劇、という物語ができているため、映像作品としてみても抜群に面白いわけである。徐々に徐々にバンドが活気を取り戻していく瞬間を見ると、本当に胸がほっとする。  最後にメタリカの大ファンとしては、新メンバーであるトゥルージロの加入はバンドにとって僥倖だったと心から思う。セイントアンガーそのものは賛否激しい作品にはなったが、ここでのバンドの悪戦苦闘が、のちのバンドの順調な経過や良好な人間関係、デスマグネティックの成功などに繋がると思うと、実に感慨深い。
[DVD(字幕)] 9点(2019-01-21 21:29:12)
3.  ビフォア・サンセット 《ネタバレ》 
まあ、あのタイミングで、飛行機に乗り遅れるよと言われても、男の性ゆえ残ってしまうだろう(笑) こういうシチュエーションで世の不倫は始まるのか…と思ったり、思わなかったり。まあでも、男と女だから、そういうことになっても仕方がないか。  あんなにピュアだった学生の二人も、9年経てばこう変わるのか、と鑑賞して思う。二人の顔の皺が印象的。 しかしそれでも鑑賞していると、時間が経った二人にまた会えたという嬉しさが込み上げてきた。 こういう映画ってなかなかないんだよな。
[DVD(字幕)] 9点(2019-01-08 12:59:25)
4.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 
アンジェリーナ・ジョリーの出演作では、もしかするとこれが一番好きな作品かもしれない。 荒唐無稽な娯楽作への出演も多い彼女だが、今作では終始重厚な演技を披露している。  警察の杜撰な捜査や非人道的な扱いなど、ぞっとする展開が多い本作だが、 殺人鬼にこき使われる少年の描き方が大変秀逸で、印象的だった。  砂埃舞う寂寥とした荒野に立ち、人骨が埋まった地面を掘り返すよう刑事たちに命ぜられる少年。 人骨が見つかり、刑事から制止されてもなお、とりつかれたように地面を掘り返す少年の姿を見て、いたたまれない気持ちになった。 "All Right"と刑事は少年の肩に手をやって宥めるが、そんなこと言う前に少年を抱き止めてやれよと思った。 罪悪感に追い詰められて必死に土を掘り返す少年、誰からも守られることなく、生き延びるために殺人鬼の悪行に加担せざるを得なかった少年を、 大人は抱きしめてやらないでどうするというのだ。  監督がどこまで意図したかは不明だが、このシーンは展開の非情さと対照的に映像が非常に浮遊的で、映画的な美がある。 あくまでサイドストーリーなのだが、個人的には最も印象的な場面で、この場面を描けただけで9点に値する。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2019-01-03 12:47:52)(良:1票)
5.  ダークナイト(2008) 《ネタバレ》 
本作を初めて鑑賞した際の素直な感想を書けば、「これってまんまヒートじゃん!」というものでした。  街(特に夜景)の描写、犯罪シーンの雰囲気、善悪の奇妙な対話と共感。 バットマン映画にヒートの秀逸だった要素をこれでもかと盛り込んで、ジョーカーをとことん大暴れさせた映画に仕上げてきたなと思ったものです。  というわけでヒートが大好きな人間からすると、本作の評価は必然的に好意的になってしまう(笑) とはいえ、ジョーカーの新しい魅力を創造したのは紛れもなく本作及びノーラン監督の功績でしょう。 今でも覚えているのが、朝の情報番組で本作の予告編が流れた際、ジョーカーのあまりの怖さに女性アナウンサーたちがざわついていた事です(めざましテレビだったろうか)。 私も衝撃を受けました。ジャックニコルソン版のどこかコミカルなジョーカー像が一気に粉砕されましたから。  バットマン映画としても秀逸、犯罪映画としても秀逸な作品です。  ただ唯一のマイナス要素は、、、、すいませんマギー・ジレンホール、やっぱ美女扱いはちょっと違和感が・・・(大変失礼ですが)
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2018-01-08 10:27:28)(良:1票)
6.  殺人の追憶
当時未解決の事件を取り扱っているだけあり、ジトジトとした嫌な後味が残る映画であった。ただ、要所要所での映像の撮り方、カット構成が抜群に上手く、作品に引き込まれていった。田園、クライマックスのトンネルなど、何気ない風景を、物語の展開に合わせて象徴的な風景に仕立て上げる技量には、唸らざるを得なかった。脚本については不満もあるが、映像面に関しては、監督の天才的なセンスをひしひしと感じることができた。  映画の不満点としては、多くの方が指摘するように、やはり脚本面、特に主人公たちの捜査パートが同じことの繰り返しになっており、かなりストレスが溜まる点だろうか。無実の容疑者に固執→拷問で自白を強要→時間を浪費する→次の事件が起こる。基本はこの繰り返し。地元の刑事二人が、いつまでたっても杜撰な捜査を繰り返すので、観客は最後までいらいらさせられる。しかもこの刑事たち、拷問には精を出すが、足を使う捜査は全然しない(笑)。ソウルから来た刑事の方がよっぽど頭も使うし、足も使っている。結局捜査パートは、ソウルから来た刑事に頼り切りになっているため、物語のテンポやバランスが悪くなっているのだと思う。  とはいえ、クライマックスからラストの完成度は高い。事件から時間が経過し、警察を辞した男が、改めて事件現場を訪ね、何かを悟ったような、あるいは決意を固めたかのような表情を映して映画は終わる。余韻のある終わり方だと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2021-10-27 08:20:10)
7.  ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!
ほんとくだらない映画なんだけど、けっこう巧妙に作っているんだよなあ。物語の緩急の付け方も素晴らしい。 あとキャストが地味に豪華。ケイトブランシェットもカメオで出ているし。  しかし、ショーンオブザデッドでも思ったが、なんでグロだけやけにはっちゃけているのか(苦笑)
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2020-02-06 15:21:41)
8.  インファナル・アフェア
多くの方が指摘する「警察・マフィアの双方がスパイを潜伏させている」この斬新なプロットで映画としての成功はほぼ八割方約束されたようなものだ。 そして忘れずに付け加えておきたいのが、原題でもある「無間道」が示す仏教概念。 仏教の無間地獄の概念を映画に取り込む事で、本作は単なる娯楽映画に留まらない、文学性も獲得する事になった。 一度悪に堕ちてしまえば、もはや善人になることは許されず、無間地獄の道を往く。 これはまさに善人を志しながら、自分自身を欺き続けなければならない地獄に囚われた主人公を指している。  余談だが、日本も含めたリメイク作ではこの仏教概念がオミットされていて、あくまで個人的な印象にはなるが、この概念をオミットしてしまうと、(リメイクを含む)本作はただの娯楽サスペンスに堕するような気がする。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-01-03 14:46:19)(良:1票)
9.  ショーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 
ラストのえげつなさに、英国のブラックユーモアが爆発していて、表情が凍った。 いや、ほんとお前ら鬼だよ。  あと、なんでグロシーンはやけにはっちゃけているのか・・・(苦笑) 唐突なグロに逆に爆笑してしまった。  にしてもショーンたちの自堕落な生活、楽しそうだな。 鑑賞しながら途中でビールを手にしていた。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2018-11-23 13:06:36)
10.  マルホランド・ドライブ 《ネタバレ》 
デイヴィッド・リンチ監督作でも、特に人気が高い作品。  冒頭からシュールでミステリアスな作風が全開。観客が内容をよくわかっていなくても、その不思議な世界観に強引にでも引き込こんでしまうあたりが、デイヴィッド・リンチという監督の真骨頂なのだろう。  いま改めて本作の立ち位置を考えてみると、1990年に放送が開始された初期の『ツインピークス』と、2017年に復活した『ツインピークス シーズン3』のほぼ中間の時期に制作されていることがわかる。新旧のツインピークスに出演している俳優が本作にも起用されているため、実質『ツインピークス シーズン2.5』と捉えることができるだろう。群像劇、現実と超現実の交錯、意表を突くサスペンス描写、異形の人物など、見れば見るほど新旧のツインピークスと本作の要素が重なっていることがわかる。  ただ、ツインピークスとの決定的な違いは、物語の論理性、首尾一貫性を保つのに重要な役割を果たしたマーク・フロストが不在なことだ。本作では、各シーン・各プロットが論理的にどのように関係しているか、(おそらく製作者の意図で確信犯的に)省略がなされていて、もはや意味不明な展開になってしまっている点、物語としての面白みは残念ながら落ちてしまっていると言わざるを得ない。  マーク・フロストが関与していれば、おそらくもう少し物語がロジカルになって、観客に親切な内容となったのではないか。実際、『ツインピークス シーズン3』もリンチ節が全開になっていたが、脚本のロジックは、筋が通っていてわかりやすいという親切設計であった(笑)。  とはいえ、それでも現代ハリウッドのダークサイドを、シュールレアリスティックな手法で描いた名作であることに間違いはないだろう。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2024-01-26 21:58:34)
11.  メメント
ノーラン監督のブレイクスルーとなった作品で、何度か観返してしまう作品である。 時系列の分解、時間の逆進といったノーラン監督のエッセンスが詰め込まれた作品であると今ならそう評価できるかもしれない。  ただ後のノーラン作品にみられるようなヒューマニティは本作では皆無。もちろん予算の関係で、IMAXの映像特性を活かしたシネマトグラフィーや重低音を効かせたBGMといった特徴も本作には存在しない。終始沈鬱で不穏なノワールが展開される。基本的には時系列ネタ一本で勝負するスタイルの作品であるため、点数的には7点くらいが妥当ではないだろうか。ダンケルクやインターステラーのように人間性に訴えかける部分が少ないため、余韻があまりないのも弱点か。  正直に告白すると、初めて本作を観たときは、面白いとは思いつつも、なんか奇を衒った印象の作品だなあと思っていた。いわゆる面白いし評価はするけれども、決して好きなタイプの作品ではない、というのが本作だ。ノーラン監督についてもこのころは、暗いノワールばかりを作る、気取った印象のイヤな監督でしかなかった。しかし、本作の成功をきっかけに、ノーラン監督は色々と成長をしていく。成長の過程で人間性を全開にした作品も手掛けるようになった。ちなみに私はノーラン監督のクールさの中にある生真面目で熱い人間性が大好きだ。久しぶりに本作メメントを観返すと、作品そのものの評価はあまり変わっていないが、監督に対する印象はまったく変わったことに気がつく。今や映画界を牽引する巨匠の一人だが、このころはエッジの効いたとんがった作品を作っていたのだ。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2019-07-31 17:41:12)
12.  トレーニング デイ 《ネタバレ》 
そもそも一日に事件を詰め込み過ぎ(笑)。どんだけハードワークやねん、と心の中でツッコミながら映画を観ていた。 本作はどこかリアリティがあるようでリアリティがない。警察上層部の絵に描いたような腐敗ぶりもそうだし、どういうわけかロシアンマフィアといざこざを起こしているアロンゾといい、ちょいちょい無茶な描写が入る。それに加えて元警官の売人襲撃や、メキシカンギャングとのいざこざまで発生する、しかもたった一日の中に。  個人的に本作は、マイケルマンのコラテラルと並ぶ、”一日の中にいろいろ詰め込み過ぎて、結局変てこな脚本になった映画”の代表例だ(そういえばコラテラルもLAが舞台だったな)。  デンゼルワシントンの演技は、これは凄いのだろうか?あまり良い演技ではないような…。そもそも彼は声が甲高いため、なんか怖さや迫力を感じなかった。イカれてるやつだとは思えたのだが。悪ぶってるけど凄い奴なんだろう→蓋を開けてみるとただのクズ野郎だった。この展開は意表を突いているのだが、あまりに映画的カタルシスがなくて、映画として面白くなかった。  あと映像の撮り方も個人的な好みではない。幻覚の時の映像処理や、時間経過を表す太陽の絵、(今の観点からするとかもしれないが、)ちょいちょい2000年代特有のダサさがある。というわけで、点数をつけるなら5.5点くらいかなと。四捨五入により6点にはしておくが。
[レーザーディスク(字幕)] 6点(2020-04-04 13:12:53)
13.  8 Mile 《ネタバレ》 
いい題材だと思うし、演出や映像にも光るところがあるのだが、結局のめり込むことができなかった、実に惜しい映画。  なぜこの映画に乗れなかったのか考えてみたところ、脚本に問題があるのではないか、と思った。 おそらく本作には、「貧困と閉塞からの脱出」と「白人であっても、ラップで黒人に打ち克つ」という二つの大きなテーマがあると思う。そのテーマ自体はいいのだが、本作はその2つのテーマを同じ分量で描こうとしたために、どちらのテーマも踏み込み不足というか、消化不良を起こしてしまい、さらにはそのような状態で映画が終わってしまう。これが本作に私が乗り切れなかった理由ではないかと思う。  貧困の描写や追い詰めれた若者たちの焦燥、白人が黒人にラップを挑むことへの葛藤は、確かに描写されている。 ただどうにも物語が淡白で、仕事に戻ると言っても結局貧困から抜け出せるのか、バトルには勝ったが次はどうなるのか、という回答が見えてこないため、どこか腑に落ちない。  もしこの脚本が、テーマを一つに絞って、つまるところ「白人であってもラップで黒人に打ち克つ」という点に絞って、シンプルかつもう少し劇的な造りにしておけば、この映画はもっと面白くなったのではないだろうか。実際主演のエミネムも、黒人が圧倒的なヒップホップの世界でのし上がってきた人間なのだから、白人がラップをすることへのコンプレックスや重圧は映画以上に凄まじかっただろう。そうしたコンプレックスや重圧、それに打ち克つ人間をよりシンプルに、よりヘヴィに描いていた方が、より多くの人の共感を集める映画になったのではないかと思う。貧困をテーマにするのは悪くないが、貧困を言い訳に自暴自棄になっている人間や狼藉を繰り返す人間の様子を延々と見せつけられても、あんまりいい気はしないでしょ。
[インターネット(字幕)] 6点(2019-01-08 12:13:24)
14.  コラテラル 《ネタバレ》 
映像やアクションシーンの素晴らしさは評価できるのだが、個人的にはヒートやインサイダーほどの評価を与えられないというのが素直な感想。脚本の基本設定に無理があって、どうもマン作品の特徴である「プロフェッショナルな男」が上手く演出できていないような印象がある。凄腕の殺し屋にしては殺しの手段が粗っぽく、衒学趣味があり、移動となるとなぜかマックスの運転に頼り切り。そこがプロっぽく見えないので、どうも変てこな印象を受ける。また、運転手のマックス演ずるジェイミー・フォックスも、素人っぽさを出そうと実にもさい演技をするのだが、これが鑑賞中はけっこうなストレスだった(確かに一般人の役柄だからそういう演技になるのは仕方ないが…)  あと本作で特徴的なのは、デジタルカメラ撮影による映像。本作の撮影が業界的にフィルムからデジタルに切り替えていく契機にもなったそうだが、確かに様々な夜景や都市の風景が映し出される映像は美しい。ただ個人的には本作の映像のツヤツヤした質感が苦手だった。ヒートのような青を基調とした深みのある映像の方が個人的には好きだったかな。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-09-14 18:46:29)
15.  リリイ・シュシュのすべて
私が多感だった時期に公開された映画であり、良くも悪くも印象深い映画である。  この映画の主要登場人物たちと世代的には近く、いわゆる郊外に住んでいた点でも一緒なのだが、それでも彼らの描き方はどうも過剰であり不自然に見えた。 確かにいじめ、売春、性暴行などは、私が通っていた学校でも大問題になった。たぶん偏差値が高い名門校でない限りはどこの中学校や高校でも起こりうることだろう。 ただこの映画の場合、集団でレイプにかかったり、売春や自慰を強要させたりという場面が出てきて、さすがにそれは過剰演出に思えた。仮にそういう事態が起こったなら、学校や警察にすぐ発覚して、狭い地域社会全体で大問題に発展するはずだが、映画ではなぜか表面化しない。だいたい郊外の街の狭い人間関係というのは、良い事も嫌な事も隠そうとしても発覚してしまうものだ。親の会社の倒産とか家族離散は伝わるのに、なんで売春やレイプが表面化しないのか。 映画的なインパクトを追求して過激な展開にしたのだろうが、少年たちのあまりに過激な行動とそれが全然表面化しない展開が、少年たちと世代も近く、映画と似たような郊外の街に住んでいながら、いや住んでいるからこそ、リアリティに欠ける印象があって、映画の世界に入っていけなかった。  リアリズムなき少年たちの描写、物語展開のテンポの悪さ、カメラワークのキレのなさ、インターネットの描写の不親切さ、これらのために全体的にちぐはぐな映画になっていて、これでは高い評価を与える事はできない。  唯一高く評価できるのは、紛れもなく蒼井優の存在感だろう。主人公を足蹴にし、鞄を放り投げて川へ飛び込んでいくシーンには圧倒された。 売春を強要される少女の悲しみや悔しさ、惨めさを表現するシーンとして素晴らしい出来だった。そして悲しいくらいに美しかった。 脇役としての出演ではあったが、この当時から突出した個性や表現力、それを自覚してるかしてないかはさておき、彼女は持っていたという事がわかる。  長々と書いたが、要は好きな映画では決してないが、蒼井優を好きになれた映画ということだ。
[ブルーレイ(邦画)] 6点(2018-08-25 17:50:11)
16.  イノセンス
前作に較べて脚本が弱く(事件のスケールが小さい、伏線も弱い)、押井監督の悪癖も大爆発した内容で、とてもではないが面白い映画とは言えない。  押井監督、伊藤和典を脚本に起用して、ダレ場や引用ばかりの台詞を抑えてエンタメ要素を増やす事はできなかったんですかね?(苦笑)  冗談はさておき、今回の見せ場はやはり映像表現だろうか。コンビニでの襲撃シーンの映像表現は非常に興味深かった。 あと、やはりバトーと少佐の関係性はとても好きだ。 肉体を捨て、ネットの海に消えていった少佐をいつまでも思い続けるバトー。 本作を鑑賞した私の知人友人はバトーのことを女々しい男だなと口々に言う。確かに女々しいのかもしれないが、ずっと少佐の事を気にかけ、昔と変わらず少佐の方に服を着せてやるあの男らしさに私は痺れましたよ、ええ。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2018-04-21 14:13:02)
17.  ノーカントリー 《ネタバレ》 
終盤までは傑作!と感じていたが、終盤で点数を大きく落としてしまった映画。 コーエン兄弟と私は反りが合わないと判ってしまった。  本作の結末から見るに、本作は生死や運命の不条理さをテーマとしていて、そのテーマを表現するためのあの拍子抜けな結末があるのだろうが、これが映画的に良かったかと言うと、はっきり言って駄目だと思う。 起承転結の結を完全に放り出した展開には、大きな不満が残った。まさか不条理を味わうよりも不完全燃焼を味わうことになるとは。 ベルが完全に傍観者で終わってしまい、そこが特に不満で、せめてシュガーとベルを対決させていればまだ良かったのにと思う。  原作を忠実に映像化しているのはわかる。ただ原作は、マッカーシー独特の詩的かつ長大な文章表現と哲学的思索が盛り込まれる事で、 不条理な結末に至る過程が濃密に描かれている。その濃密さはまるで結末に対するエクスキューズのようでもある。なので小説の方は不条理さが際立つ事はあっても、不完全燃焼感はあまりない。  ただ映画となると、そうした濃密な文章や思索がどうしても映像化できないため、たとえ結末が一緒でも唐突に結末を突きつけられた印象が強い。 結末を納得する余裕もなく唐突に映画は終わってしまう。 不条理さを味わうといっても、原作にあるような詩的で、神話的で、寂寞感に満ちた、運命や生死に関する思索が提示されるわけでもないため、 これではやはり不条理ではなく不完全だ。 原作にある不条理さを表現媒体の違いで上手く表現できないのなら、思い切って別の展開を選べばよかったのだ。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2018-08-25 14:03:41)
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