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『プライベート・ライアン』を見せられてしまった現在の我々には、どうしてもこの映画で描かれるノルマンディー上陸作戦の一部始終が、緊迫感とリアリティ不足に思えてしまうのは仕方がない。でも、戦争映画というより、”20世紀の歴史のある瞬間の再現”というエピック(歴史もの)としては、連合国ードイツ双方の視点をそれなりに公平さをもって捉えているんじゃないでしょうか。それに、海岸線を兵士たちがうじゃうじゃ上陸するのを戦闘機からワンカットで撮ったシーンは、忘れ難い素場らしさ。戦争を賛美も非難もしない、まるでメッセージ性のないスタンスも、「ドラマのなさ」として否定する向きもあるでしょうが、スピルバーグ的あざとさの方こそにヘキエキさせられた者としてはずっと好ましいです。声高に、あるいはセンチメンタルに反戦を訴えるのは簡単だし、どんな戦争であれ肯定するのは論外だけど、この映画のような、一見アメリカを中心とした勝者の自画自賛に見えて、あくまで「再現=記録」に徹しようとするニュートラルさこそが実は難しいのだから。
【やましんの巻】さん 8点(2003-11-13 13:06:54)(良:1票)
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