博士の愛した数式 の やましんの巻 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ハ行
 > 博士の愛した数式
 > やましんの巻さんのレビュー
博士の愛した数式 の やましんの巻 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 博士の愛した数式
製作国
上映時間117分
劇場公開日 2006-01-21
ジャンルドラマ,ロマンス,小説の映画化
レビュー情報
ええ~っ、こんなに評価が低いんですか!? 初日の土曜日に見て、次の日曜日に、今度はカミさんと9歳の息子を伴って再見したほどホレ込んだ小生にとっては、大ショックです・・・

本作に限らず小泉堯史監督の映画は、一見すると何の変哲もない場面であり画面に、人の心の「優しさ」や、人間という存在の「愛しさ」を映し出す。それは“目に見えないもの”であることによって、本来なら映像化できないものであるはずなのに、小泉作品においては確かに「見える」。かつて故・トリュフォー監督がある映画を評して、「ボンジュール(こんにちは)という挨拶のようにさりげない」ことの美しさを讃えていたことがあったけれど、この『博士の愛した数式』など、まさにそういったさりげない、けれど奥深い精神性の美によって、あくまで慎ましく輝いているんじゃないでしょうか。

成人して高校の数学教師になった“ルート”が、黒板に書き出す数式の数々の何という「美しさ」と「あたたかさ」。原作もまた数式の「美しさ」に捧げられたものであったけれど、この映画にはそこに「ぬくもり」をもたらしている。その一点において、小生は小川洋子の小説よりもこの映画の方が勝っているとすら思います。

…そう、映画は本来、頬をなでる風のように“目には見えないけれど感じることができる”もの、例えば「愛」や「優しさ」を、そういった深い「精神性」をスクリーンに映し出す<奇跡>を実現することができた。今では大多数の映画から失われてしまったそんな<奇跡>の力を、この作品は持ち得ている。少なくともぼくはそう信じて疑いません。

…そして映画の最後近く、授業終了のチャイムが鳴ってもひとりだけ椅子に座ったままの男子生徒の姿が、一瞬、画面の片隅に映し出される。だからどうしたというわけじゃなく、ぼくは彼の姿を生涯忘れないだろうと思います。
やましんの巻さん [映画館(字幕)] 10点(2006-01-23 11:10:58)(良:3票)
やましんの巻 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2021-05-18ワンダーウーマン 198410レビュー5.92点
ワンダーウーマン10レビュー6.52点
2016-03-29アメリカン・スナイパー10レビュー6.94点
2014-10-29マネーボール10レビュー6.86点
2014-10-28ホワイトハウス・ダウン10レビュー6.58点
2014-10-22カウボーイ&エイリアン7レビュー4.74点
2014-04-05ラッシュ/プライドと友情10レビュー7.45点
2014-04-02ゼロ・グラビティ6レビュー7.63点
2013-11-22ペコロスの母に会いに行く10レビュー6.76点
2013-11-20三姉妹~雲南の子10レビュー7.75点
博士の愛した数式のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS