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《ネタバレ》 (ラストシーンについて、激しくネタバレしています。未見の方はご注意ください)
どこまでも広がる大地にうがたれた、幾つもの巨大クレーター。その上を緑の草原が覆っている。そして、そこに立っているひとりの女と、まだ幼い男の子・・・。 この場面に、ぼくという観客は心から感動する。それは単に絵としてキレイだとか、地球の再生というドラマの大団円にふさわしいものとしてだけのものじゃない。その“緑のクレーター群”の映像は、端的にSF映画の「画(=イメージ)」として実に実に魅力的なものだったからだ。大げさに断定してしまうなら、これは今までのアメリカや他のどこの国のSF大作にもなかった、美しい、そしてSF的な「イメージ」なのだった。 正直なところ、自己犠牲だの何だのと騒ぎ立て、安っぽい悲壮感をあおるばかりの展開や演技に、同じテレビ局が製作したリメイク版『日本沈没』そのまんまじゃないか・・・と本作に少なからず失望していたことは確かだ。そもそも地球規模の危機に対し、日本人だけしか搭乗(というか、登場)しない宇宙船で立ち向かうといった不自然さからして、ここにはエメリッヒ作品程度(!)のSF的「リアリティ」もありはしない(・・・原作アニメもそうだった?)。さらに、すべてにどこかで見たことのあるような場面や設定が連続するのは、これまでの山崎作品の常だが、少なくともこれまでは、監督自身がそれらの“再創造”を嬉々として楽しんでいることの高揚感が伝わってきたものだ。しかし、今回ばかりはどうにも乗っていけない・・・ だが、【鉄腕麗人】さんの《一つでも「印象」に残る要素があれば、その映画の価値は揺るがない》というテーゼに心から賛同しつつ述べるなら、作品としての『ヤマト』は、すべてこのラストシーンによって、最後の最後にSF映画として、何より一編の美しい「映画」としてぼくを魅了したのである。そう、それでじゅうぶんじゃないか。 【やましんの巻】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-12-06 20:46:53)(良:5票)
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