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今回あらためて見直して、ETに意思が通じると分かった主人公の少年が、身の回りの日用品やなんかを「これは何々で、これはこんな風に使うもので…」と夢中になって教えようとするシーンで涙がこみあげてきた。ああ、ひとりっ子や、友だちのいない子どもって、ようやく仲良くなれる相手を見つけたときに、こんな風に自分の知っていることを教えてあげようとするんだよな。もっともっと自分を分かってもらおうとするんだよな…。そんな、多感で孤独な少年期の”こころ”を描かせたら、スピルバーグの「天才」に優る者はいない。そしてこの作品は、そんな彼の最も彼らしい良さが発揮されたものだと思います。そう、彼の映画は、見かけの派手派手しさや娯楽性の裏に、いつもそういった純粋なイノセンスが息づいている。それはとても傷つきやすく、しかし、キラキラと輝いていて、あやうさと美しさがひとつになっている…。トリュフォ-監督がスピルバーグのことをあれほど”評価”していたことも、きっと彼の内にもう一人の自分を、「アントワーヌ・ドワネル」を見たからでしょう(この『E・T』が世界中で大ヒットしたからといって、それだけで批判するなんて向きはナンセンスだ。それだけこの映画が「幸福」だったのだと、祝福してあげようじゃないか。もうひとつの、同じ《主題》を変奏した『A・I』が、どこまでも「不幸」だったのに対して。しかしぼくは、どちらも大好きです)。今さらながら、満点献上。
【やましんの巻】さん 10点(2003-06-30 13:46:25)(良:4票)
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