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「たまげた」とは、漢字で書くと“魂消た”となる。タマシイが消えるほどの驚愕ということの本当の意味を、ぼくはこの映画で知りました…。少年の作った稚拙な「偽札」が、人の手から手へと“流通(!)”していくことの不条理。その1枚のために、投獄され、妻子を失い、遂には善良な一家を惨殺する男の顛末は、運命というより、あたかもそれが「必然」であるかのように、寸分のブレもなく進んでいく。…フランケンシュタインの怪物は「感情」を持っていたがために悲劇を招いたけれど、この映画の男は、徹底的に感情を喪失した「怪物(モンスター)」として映画の最後に君臨する。ゆえに、もはやこれはどんな悲劇でも不条理劇でもない、究極の「ホラー映画」に他ならない…。繰り返すけれど、ぼくにとってこれほど恐ろしい映画はなかったし、これからもないだろう。単なる“好き・嫌い”を超越した次元でこの作品は、《映画の極北》として、絶対零度的な寒々しい輝きを放ち続けている。…ヘタに近づくと、あなたのタマシイも凍りついちゃいますよ。
【やましんの巻】さん 10点(2004-03-03 13:47:26)(良:3票)
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