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評価が難しい作品。
尊厳死についての各自の考え方によって評価は分かれるかもしれません。この作品でも答えを出していません。 結果的に尊厳死を選択したわけですが、そこに至るまでの苦悩、処置を施してからの描き方、いずれも明確な何かを指しているわけではありません。 ”明確な答えが出せない”というのが答えなのでしょう。 尊厳死に対する考え方がいまだ社会的に明確になっていない以上は現時点ではこうするしか無かったと思いますが、尊厳死は古くからある問題であり、現時点で映画にする以上はもう少し踏み込んだ解釈が欲しかったと思います。 前半のサクセススト-リーは後半へ繋ぐための重要な要素ですが、この映画の要点は『尊厳死』にあると思うので、もう少し後半に時間を割いても良かったかもしれません。 マギーに処置を施す直前のシーンですが、娘から突き返された手紙に凝然と立ちつくすダン、そして処置の前に”モ・クシュラ”の意味を伝えるまでのシークエンスは、抑え気味の演出が却って情感に溢れており上手いと思うんですが、ちょっと直行すぎた感はあります。 もう一つ捻りというか悩む姿を入れても良かったような気がしますが、くどすぎると判断されたのかもしれません。 全体として重くやるせないイメージはあります。 尊厳死に関しては”そうするしか仕方なかった”という『意味づけ』が非常に重要であり繊細な問題点ですが、その意味づけを描く過程がやや強引な印象があります。 重要であるがために『意味づけ』に気を取られすぎたのでしょう。 女子ボクシングという分野を選んだ点が一つ。あちらでは一般的なのでしょうか? 馴染みのない日本ではその奇異さに目を取られて感情移入しにくい面があります。 もう一つはマギーの家族の醜悪さ。もちろん意味づけの大事な要素なのでああいう描き方は外せなかったんでしょうが、少々極端すぎるきらいがあります。 その設定への奇異感・嫌悪感が映画全体の評価に影響する面があるのは痛し痒しといったところでしょうか。 【kazu-chin】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-10-31 17:57:29)
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