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過剰な自意識の持ち主ほど、自殺するとき、自分の死に意義を見出そうとして尊厳死などと嘯きます。 ちなみに日本における自殺者は、年間3万人を越えていると言われますが、この数字は少し勘違いしやすい。 これは自殺に成功した数であり、自殺未遂者を含めると、約10倍の30万人なのです。 つまり30万人の人が、どこかで自殺を行って、そのうちの1割は自殺に成功し、9割は失敗しているのですね。 「絶望」は、いつ私たちを襲うか分かりません。 現代における私たちは、病魔に殺されるよりも、自分に殺される可能性が高くなってきたように思います。 こういう状況だからこそ、「人が生きることは権利であり、義務ではない」という言葉が胸に響きます。主人公の死を望む気持ちが「尊厳死」であれ、「自殺」であれ、もし生きることが義務ではないのなら、私たちには死ぬ権利があるのではないでしょうか。 それとも人間は、自殺したいほど人生に絶望していても、愛してくれる相手や、お世話になっている人のために生き続けるべきなのか? しかし人は絶望したとき、他人のことを考えられるほど寛大ではないと思います。 ラモンのことを自分勝手だと思うことは、絶望を知らない健常者の傲慢な見方かもしれません。 人は絶望の前では、みんな自分勝手になるのだと思います。 ただし尊厳死という言葉は存在してはいけないと思う。これは死を正当化したり美化する言葉です。自殺といえばいいじゃないですか。問題は自殺が悪いのかどうかということだと思います。 自分から死を選ぶことは立派ではありませんし肯定できるものではないと思いますが、完全に否定しきれない難しさがこの映画から伺い知ることができます。
【花守湖】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-12-01 20:30:26)
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