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《ネタバレ》 収容所で権力を握る悪のボスが「女どもよ、ハダカになれ。セックスさせろ」となんて言い出したら、さっさとその要求に従う女性たち。目の見えるジュリアンは、盲目の世界では神に等しい能力を持っている。それなのに先頭にたって、まっぱになってしまう。さすが一流の女優だと言いたいところですが、最初からおっぱいありきだ。体当たりの演技=主演女優賞の魂胆が透けてきて、そっちのほうがいやらしい。けっきょく彼女はボスを爽快にぶち殺す。遅いヨ。盲目の世界が生まれたことによって、1人の女性が突然スーパーマンになるという設定はすごく面白いと思いますが、彼女が盲目の連中と鬼ごっこして捕まってしまうなど、その万能の力をいかしきれていない箇所が多くみられ、それが少しもどかしい。しかし作品じたいは暗示に満ちていて秀逸。私たちはお金がないだとか、残業がきついだとか、夫の息が臭いだとか、そんなつまらないことで不満ばかり言う。そして今自分が持っているものに感謝できません。耳が聞こえること、目が見えること、そんな何でもない当たり前のことに感謝の念を持つことがいかに大切か、この映画を通して実感できるはずです。神さまにお願いごとばかりして、神さまに感謝できない人間たち。「生かされている」という思いが希薄な証拠です。天気予報で雨だったらそれだけで文句を言う人も多い。天気の文句を言うのは、神さま批判と一緒なのです。ラストで雨が降る。それに対して大げさなぐらいに歓喜する人々。じつはこのシーンに大きな意味がありました。あれは私たちが神から受けている恩恵に気がついた瞬間なのです。そのおかげで失明は回復した。それでも何かを失ってから初めて自分たちが受けている恩恵に気がつく愚かさ。そういう浅はかな人間に対する警鐘が、この作品には込められていると思いました。
【花守湖】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-03-14 01:34:03)
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