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《ネタバレ》 ナタリーポートマンの簡単な経歴です。ハーバード大卒(日本で言えば東大)、テストは常に90点以上、4歳から英才教育。そして彼女が常に野心的な作品に出演し、ディカプリオ同様に悲願のオスカー獲得に執念を燃やしてきたことも周知の事実です。その点を踏まえると、白鳥の湖の主演に抜擢されることに執念を燃やす秀才バレリーナのニナは、オスカー獲得に執念を燃やす秀才女優のナタリーと見事に重なってくる。テーマは、「優等生キャラからの脱却」 すなわち秀才から黒鳥への変貌でオスカー獲得です。すべての女優は、美人であることは当然で、その上にプラスアルファー(+α)が求められている。当該+αの隠喩が黒鳥であり、女優のだれもが黒鳥を目指して演技しているのだと思う。演技力NO1の努力家バレリーナーのニナに不足しているものは、酒場で、リリーの周りに自然と男たちが集ってくるあの状況、つまり男を魅了する才能が不足していた。「魅力」は努力では克服できない。コーチはただのスケベやろうではなく、ニナに「女」になることを求めていた。彼は仕事人としては、本質を見抜く力のある優秀な男だった。しかしニナは母の作った箱の中でしか生きてこなかった、ゆえに自分を解放する術を見出すことができなかった、白鳥が限界だった、黒鳥にはなれなかった。その反動が殺意となって母親に向った。さらに秀才の主人公を襲った恐怖は、目の前に黒鳥になれる自由人のリリーが登場したことに他ならない。ちなみに母親やリリーの、主人公に対する嫉妬はありえない。それはあくまで主人公の被害妄想だと私はみる。被害妄想にとらわれた主人公は、白鳥にしかなれない自分を殺すことによって黒鳥に生まれ変わろうとしたのだ。そしてその行為そのものが悲劇を意味している。万年ノミネートどまりの秀才女優のナタリーが、ついにオスカー女優(黒鳥)に変貌した。これがナタリーのメタファーに満ちた純小説だと言われても私は驚かない。
【花守湖】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-01-04 20:23:59)(良:4票)
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