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当たり前のことではあるけれど、戦争は「全ての国民同士」ではなく「国と国のご都合同士」がやるものなんだな、と思える作品でった。2部作の「硫黄島からの手紙」とは異なるアメリカ側からの視点だが、徹底的な戦争の客観視という姿勢は同じく一貫していた。国のために勝負の駒となるしかない兵隊の立場から、戦争の悲しさをよくもここまで描ききったと思う。…国のため、故郷のために戦い、力を尽くし、傷ついて帰った彼らを待っていたのは、戦争の現場を知らない役人や民衆からのご都合主義。彼らのやるせない気持ちが痛いほど伝わってくる。純粋に故郷を想って戦い傷つき死んでいった仲間達の、自分たちだけがその真実を伝えられるのに、国の都合の前でそれも叶えられない現実が悲しい。…国の為に尽くした人への畏敬の念を疎んじる。この映画と全く同じことが、現在の日本にはまだ続いている気がする。言葉だけの幼稚な平和主義や教育の前に尊い犠牲は封殺され、この映画を観た存命の旧日本軍帰還兵の方々は、何を思うだろうか。戦争の悲しさと一緒にイーストウッドが言いたかったのは、現代の社会の為に歴史の犠牲となった人々への畏敬の念、そんな気がしてならないのだ。
【six-coin】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-01-01 01:22:02)
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