真珠の耳飾りの少女 の six-coin さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > シ行
 > 真珠の耳飾りの少女
 > six-coinさんのレビュー
真珠の耳飾りの少女 の six-coin さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 真珠の耳飾りの少女
製作国,ルクセンブルグ
上映時間100分
劇場公開日 2004-04-10
ジャンルドラマ,歴史もの,ロマンス,小説の映画化
レビュー情報
「心まで描くの?」絵を描いていく過程で、フェルメールとグリートが互いに持っている官能的な想像が、開いた唇からクライマックスの真珠の耳飾りに至るまで極めて的確に描かれている。エロスの表現を近頃流行りの安っぽいセックスシーンではなく、その「匂い」で、直接描くよりもよほど官能的に感じさせてゆくのが凄い。フェルメールがグリートに抱いていたのは単なる肉欲ではなく、それに限りなく近い「画家としての清純な美しさの探求」であった。「汚らわしい」「なぜ、私じゃないの」という妻の絶叫。彼女にとっては、夫に他の女と肉体的な関係を持たれるよりも、遥かに屈辱的な思いだったに違いない。画家としての夫に一番評価されるべき部分の矛先が、自分ではなく雇い人に向いたのは、自分の女性としての、妻としての存在意義を踏みにじられたものと同じだからだ。モデルになるという体験を通して、かつて純朴で清純なだけの少女であったグリートは、ひとりの強い大人の女性として物語を終える。キャンバスに描かれた彼女の姿は、少女から大人の女性へと変化を遂げた、儚い一瞬の姿だ。物語の最後、屋敷を後にした彼女は、もうあの作品の中の「真珠の耳飾りの少女」ではなくなっている。また映像も構図も大変美しい。当時の画家達を虜にし狂わせたラピスラズリの青を中心に、シーンの一つひとつが本物の油彩のようだ。多くの謎の残る画家と、今も人々を惹き付けてやまぬ一枚の絵。そしてその絵の裏に描かれ、絵を観た誰もが感じるであろうミステリアスな官能美。これに見事に描き、この絵を知る観る側の期待に応えきった作品だ。
six-coinさん 6点(2004-09-13 00:55:26)(良:3票)
six-coin さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2008-10-19イントゥ・ザ・ワイルド8レビュー6.98点
2008-02-17アマデウス ディレクターズカット9レビュー8.25点
2008-01-06フォレスト・ガンプ/一期一会8レビュー7.37点
2007-12-31ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記6レビュー5.50点
2007-12-31ベオウルフ/呪われし勇者3レビュー5.51点
2007-12-31アイ・アム・レジェンド6レビュー5.28点
2007-09-30スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ5レビュー4.91点
2007-09-30べクシル 2077 日本鎖国5レビュー4.07点
2007-09-30トランスフォーマー5レビュー5.71点
2007-08-08レミーのおいしいレストラン7レビュー6.63点
真珠の耳飾りの少女のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS