第9地区 の veryautumn さんのクチコミ・感想

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第9地区 の veryautumn さんのクチコミ・感想
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《ネタバレ》 SF・アクション・サスペンス・ヒューマンドラマ・社会問題をすべてぶちこんで、「南アフリカの難民キャンプに収容された宇宙人」という驚異のアイディアでまとめて、娯楽として成立させてしまった手腕がすばらしい。役者もいい。さらに、UFOの造形やストーリーなども、B級感漂うありきたりのものなのにもかかわらず、全体を通してみれば、なぜだか今までにない新しいものを観た、という感じすらもする。その理由はたぶん、そういう「全部入り」映画の新味に加えて、差別をテーマにした今までの映画との違いもあるように思える。というのは、従来の映画が、実際にあった差別・真実をドキュメンタリーに提示し、だから、ややもすれば歴史的な背景を知らなければ理解できなかったりしたのに対し、この映画で描かれた「差別」(?)は、まったく想像上のできごとだから、それゆえに、「差別」というコンセプトが、シンプルかつダイレクトな形に整理されていると感じたのだ。もっといえば、「差別」というテーマは、そこまでこなれていて、ありきたりで、記号化されたものだ、ということが、同じようにありきたりなUFOやロボットやストーリーと並列に提示されることで、明らかにされた、というべきかも知れない。一応断っておくが、私は「差別なんてテーマは、ありきたりのものだからとるに足らない」などと言うつもりはない。むしろその逆である。部分の「新しさ」より、全体のそれが重要だ。「ありきたりの寄せ集め」映画でも、私たちは感動したり面白いと感じることができる、そういうことをこの映画は示した、と言いたいのだ。ところで、レビューをみると、この映画と「アバター」との共通点を指摘する方が多い。実は「アバター」をみていない私が言及するのも気が引けるけれど、まさに「部分」である3Dをメイン売りとし、差別をオーソドックスに扱う「アバター」と、どこがいいのか答えに困り、差別をマンガ的記号とする「第9地区」では、そういう点で決定的に違うもののように思えるのだが(アバターが悪いと言ってるわけじゃない。映画として異なるアプローチということ。念のため)
veryautumnさん [映画館(字幕)] 9点(2010-05-08 09:01:39)(良:1票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2010-05-08第9地区9レビュー7.07点
2010-02-23ハゲタカ6レビュー5.46点
2010-02-23グラン・トリノ7レビュー7.87点
2009-02-17アフタースクール8レビュー7.20点
2009-02-15ぐるりのこと。9レビュー7.02点
2008-11-27ハッピーフライト(2008)7レビュー6.57点
2008-09-27おくりびと8レビュー7.03点
2008-08-08クライマーズ・ハイ(2008)8レビュー5.55点
2008-07-20アメリカン・ギャングスター7レビュー6.78点
2008-07-20インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国5レビュー5.86点
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