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《ネタバレ》 「戦争の悲惨さは,みじめとは違う」とか,「辛いだけ」という意見も多いが,日本軍の戦死者の大部分は餓死者といわれていることを思えば,多くの人々がみじめに死に,辛く死んだのが先の戦争ではなかったろうか?いや兵隊だけでなく,空襲でも同じように多くの名も無き人が何が起こっているかも分からず死んでいった。これをみじめで辛いことと言わずして何と言う。私達は,何か「死」にはドラマティックな演出が不可欠であるかのように思い込みがちだが,戦時下の無数の死すべてがそのような感動的なものであったはずはない。ドラマティックな人生はあり得るが,全ての人生がドラマティックなものではないのと同じである。なるほど,この映画を観ることは辛いだけかもしれないが,むしろそれは,そういうドラマティックな演出の類がないぶんだけ,「当たり前」の戦争の悲惨さを純粋に感じてしまったからだとは言えまいか?兵隊がドラマティックに死ぬような戦争映画には,少なくとも私は「戦争の悲惨さ」などは感じない。不愉快で辛いばかり...それがこの映画の言わんとする「戦争」なのだと思うし,また,こういう映画があっていいとも思う。
【veryautumn】さん 8点(2004-01-13 19:13:50)(良:3票)
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