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ベトナム戦争なんてありきたりなテーマをなぜキューブリックがわざわざ映画化したのか? → 【答え】これはベトナム戦争をテーマにした映画ではないし、そもそも戦争映画ですらないのかも知れない。「人間の本質とは快楽を求める悪ではないのか?」というキューブリック終生のテーマが、たまたまベトナム戦争をネタにして展開されただけと言える。理性が、すなわち人間の精神がいかにもろく、簡単に壊れてしまうものかを描く前半の海兵隊の新兵訓練は、「時計仕掛け」のアレックスの洗脳に通じるテーマ。そして後半のあまりにも美しい戦場の炎は、誰も見たことがない映像を作りあげる映像作家キューブリックの真骨頂。見る者の心理を「道徳的・理性的嫌悪感」と「感覚的・肉体的悦楽」に引き裂くのがキューブリック映画の魅力だと再確認する代表作。ただし「2001年」や「時計仕掛け」と較べてしまうと、何か“マジック”が足りない気もする。そのぶん分かりやすく、人気も高いわけだが。
【眠い悪魔】さん 8点(2004-02-14 20:47:50)
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