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《ネタバレ》 野球少年にとってサヨナラホームランは夢。しかしこの映画ほどのシチュエーションとクライマックスは想像出来まい。理想の中の理想だ。この監督、光の使い方が素晴らしい。観客席でロイの試合を見つめるアイリスにだけ夕日が当たったり、見舞いに来る病室なども美しい。しかし極めつけはもちろんクライマックスのボールがライトに当って次々とライトがショートし火花を放つシーンだ。バットボーイのはじける笑顔、アイリスの笑み、内側に傾きながら淡々とベースを回るロイの向こうにはじける火花、そして監督のメガネに映る降り注ぐ火の粉…何もかもが叙情的だ。監督の目にはロイは野球の神様が遣わせた天使の姿と映っていただろう。ロイは紆余曲折があったけれど努力したからこんな素晴らしい結果を出せた、というサクセスストーリーな描写ではない。メジャーまでの苦労話を省いたのはそのためだ。結果はどうあれ努力するのみ。それが僅かなチャンスでもあきらめない。よくあるテーマだが、それは王道であり、万国の人々共通の目標だ。それがこの映画の根幹にあるから私たちが胸を熱くするのだ。努力するものへの讃歌なのだ。ラストシーンは冒頭の伏線を含めすべてをきれいに収めるキャッチボールシーン。グレン・クローズの立ち方も美しい。そして何よりレッドフォード最大の武器である少年のような笑顔。見事としか言いようがない。最近見た「ジュリエットからの手紙」と同様、あまりにも出来すぎなストーリーにこっ恥ずかしさをわずかに感じながらも、あまりにもド真ん中の直球に感動するしかない自分をうれしく思う。
【やしき】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2013-09-17 21:30:06)(良:1票)
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