アス の 目隠シスト さんのクチコミ・感想

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アス の 目隠シスト さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 アス
製作国
上映時間116分
劇場公開日 2019-09-06
ジャンルドラマ,ホラー,サスペンス,SF,ファンタジー
レビュー情報
《ネタバレ》 ネタバレあります。未見の方はご注意ください。

分身の言い分のみを聞いて『リアリティが無い』と判断するのはちょっとお待ちを。客観的事実は、『分身が大挙出現した』『分身は本体を殺戮した』『遊園地を入り口として地下に居住スペースがあった』『分身はハンズ・アクロス・アメリカを実行した』。これら確定事項に、分身の証言、そして状況証拠(ヒント)を加味し、『誰が』『何のために』『このような事態を引き起こしたのか』を『自分なりに』推理するのがミステリーの醍醐味と考えます。たとえば分身が言う『クローン』について。この言葉には『科学技術で創り出された』という枕詞が付くのが常識。しかし私たちが知るクローンは、遺伝子的に同一であっても、同じ行動を取ったりしません。つまり前提が間違い。彼女の証言は勿論のこと、『既知の科学』とか『我々の常識』を基準とするから『リアリティが無い』と感じるワケです。ここは発想を転換して『非科学』に論拠を求めたら如何でしょうか。一連の事件は『神の御業』によるものだと。一応、聖書の第〇節みたいな看板を持っていた男も居ましたから。何なら『神』は『宇宙人』や『創造主』でも構わない気がします。『SF(サイエンス・フィクション)』ではなく『SF(スゴく無茶する・ファンタジー)』。結論。分身は科学的に生成されたクローンにあらず。地下空間に広がる未知なる世界(有り体に言うなら並行世界。当然我々の常識は通用しません)からやってきた「もう一人の自分」。この世に同じ人間は2人不要なので(神の意志と言ってもいいでしょう)、片方は抹消される。手繋ぎパフォーマンスは、分身がこの世界を手に入れた証。なお、何処の世界に居ようと自分=自分。その真理を唯一理解している主人公は、救い出した偽息子の存在を瞬時に肯定した。以上が私なりの理解です。推理というより最早妄想ですけど。物語における『リアリティ』とは、『現実感』ではなく『納得性』と考えます。社会風刺があからさまなのが少々鼻に付きますが、局地的な厄災が爆発的に拡大していく様や、『自分自身と向き合う』恐怖の提示はお見事。現状を理解しない呑気なお父さんキャラが秀逸でした。考える余白が存分にある知的サスペンスホラーとして一級の出来栄えであったと判断します。
目隠シストさん [インターネット(吹替)] 8点(2020-06-30 19:27:13)
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