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《ネタバレ》 14年前にエヴァンゲリオンに夢中だったあの時、友人と観に行った劇場版には非常に不愉快な気分にさせられた。ストーリーやオチはまだしも、未完成なんでゆるしてくださいというあのスタンスには憤りすら覚えた。
今年になって、この作品にある程度の結末というか収束を与えられたのを観て少々の安堵を得た。あの時詰め切れなかった結末に、更に続きを与えて新しい物を作り出したことには驚きを禁じ得ず感動をしてしまった。完璧に憶えたテレビ放映版や劇場版の、その再現を期待していた従来のフリークに対しての決別を図ったかのようなストーリーは、細かいプロットを置き去りにしてでも強引で魅力的な推進をした。 「巧く弾けるようになるまで、綺麗な音色を奏でられるまで、反復練習すれば良い」 簡単に止めないで欲しい。と言う強い意志のような物を感じた。壊れてしまった世界、これはまさに現世であるこの世界そのものであって、もう戻ってこない物への決別だった。 旧版を観ていたときに強く願った、不可逆的な変異を世界が被ってしまうしまう事への回避願望が今はもう無い。なぜなら、当時はあった壊れていない世界が今は無いからだ。様々な事を様々に繰り返して、望む世界への参画を自分自身が強行しなければならない現実を受け容れる。そうやってこの中身の無い物語に無理をして中身を詰め込む作業から卒業するんだろう。 そうであれば、14年前、色々な物を忘れてきたあの場所に立ち返ってもう一度自分自身を再構築しなければいけないのだろう。反復と覚悟だけが自分に出来ることと念じながら、あの時劇場版を一緒に観た友人のことも忘れなければならないのかもしれない。あの頃の記憶がもう一度現実になる事は無いのかもしれないけれど、それだからこそ彼女との記憶は綺麗なまま仕舞っていておけるのだと思う。 【黒猫クック】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-11-20 05:21:31)(良:1票)
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