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《ネタバレ》 こうやって観ると、園子温って作風が偉く今では変わってしまいましたね、本作あたりのころはまるっきり岩井俊二の模倣者という感じですから。 登場人物たちはキャンパスライフがオミットされているけど、二十歳前後の大学生みたいですな。村上君が起ち上げた気球クラブのメンバーだけど彼以外はさして気球には興味がなさそうで、いわゆるナンパ・サークルといった感じです。その村上君は10年たっても中二病を拗らせているという感じで、その言動はいちいちウザいのは観ていて苦痛でした。逆に周りの連中はいかにも軽そうなリア充の若者たちという対比が面白い。彼らの愛唱するのがユーミンの『翳りゆく部屋』というわけですが、正直2000年代初頭の若者がユーミンじゃなくて荒井由実の曲を知っているというのはなんか違和感を感じました。まあ園子温にはどストライクなのは判りますけどね。村上君とカップルなのは永作博美ですが、村上君役の役者とは演技力の差があり過ぎてバランスの悪さを感じました(言うまでもなく上手いのは永作ですけどね)。村上君の音頭で気球クラブは解散、その儀式としてお互いが携帯の個人データを消しあうところはいかにもデジタル世代って感じです。でもその5年後に村上君が事故死したら旧メンバーたちが携帯で連絡取りあっているというのはどういうわけ?解散時のスピーチで「気球クラブはこれで解散、俺たちはもう二度と会わない」と宣言したのに、それを実践したのは彼だけだったみたいですね、みんなはその後も繋がっていたみたいです(肉体的にもね)。この青臭いところはほんと他に比べて浮いたキャラなんですけど、時々こういう人とは人生の中で出会いますよ。 この映画のテーマはずばり “青春の終わった瞬間”というわけですが、この数年後には園子温は『愛のむきだし』や『冷たい熱帯魚』といった作風にチェンジしてゆくわけで、それを考えるとちょっと意味深かもしれません。
【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-03-27 23:21:22)
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