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《ネタバレ》 どんなに偉大な人間でも必ず欠点はあるものだから、もし本当に尊敬し真実の姿を表現しようとするならば、その人の長所だけではなく短所、欠点も描くべきでは?それを神聖化し完全無欠の存在にするために、その人の失敗を全て他の人に押し付ける、北朝鮮や中国で「偉大なる」指導者を称えるために行われるならともかく、この日本で、一流の作家、随筆家と言われる人が監修した映画でされるべきことでしょうか?山本五十六は海軍の航空兵力を育てた軍政家としても、三国同盟に断固反対した政治家としても大変優れた人物だと思います。しかし、戦略家、戦術家としてはどうでしょう?島の占領か、機動部隊の撃滅か全くはっきりしない作戦目的(南雲にはっきり伝えたというのは、完全にフィクション。)。どう見ても無理な短い準備期間(索敵の潜水艦部隊は配置に間に合いませんでした) 意味不明な戦力分割(アリューシャンに行っていた航空部隊がミッドウェーにいれば。嗚呼) 作戦前に行われたシミュレーション結果の強引な改ざん(実行者は宇垣ですが、認めたのは山本です)全て、この分野に少しでも興味がある人間にとっては常識的な事実ですが、何一つ触れられませんでした。そして作戦失敗の全責任は南雲の「命令違反」のせい!?確かに南雲も航空部隊の指揮に関する限り山本とあまり変わらない凡将です。しかし、少なくとも「命令違反」はしていない、いやするはずもない。永野に吹き込まれて、最初から攻撃機に全て陸用爆弾を装備していたとか、どうしてそんな出鱈目がまかり通るんでしょうか?信じられません。史実はきちんと山本の命令どおり半数は魚雷装備でした。第一次攻撃隊からの二次攻撃要請の報告を受けて、その魚雷を陸用爆弾に転換しようとし、その最中に敵機動部隊発見の連絡を受け、また魚雷に再転換、その混乱の最中に敵の空爆というのが歴史的事実です。もちろん自分的にも「そのまま陸用爆弾でいかせろよ」と、彼の判断ミスを残念に思う気持ちが無いわけではありません。しかし、映画の中に描かれてるような確信犯的な命令違反が原因の失敗と、史実のような混乱した戦場での判断ミスが原因の失敗とでは全く意味が違います。一人の人間を神格化するために別の人間に架空の犯罪的行為(命令違反)を押し付ける、これがこの国で一流の作家と呼ばれてきた人が行うことでしょうか?南雲さんにだって、子孫や親族は現存するだろうに
【rhforever】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2013-01-19 11:23:46)(良:1票)
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