瞳の奥の秘密 の さめがい さんのクチコミ・感想

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瞳の奥の秘密 の さめがい さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 瞳の奥の秘密
製作国アルゼンチン,スペイン
上映時間129分
劇場公開日 2010-08-14
ジャンルドラマ,サスペンス,犯罪もの,小説の映画化
レビュー情報
久しぶりに「いい映画を観たなぁ」という余韻を味わいながら劇場を後にすることができた良作です。未解決事件の謎解きというサスペンス形式をとりながら自ら封印してしまった淡くも激烈な想いを解きほぐしてゆく話です。さして興味が湧きそうなストーリーでもなく、アルゼンチンという自然豊かな国柄を感じさせるような景色は皆無で、9割方屋内でのロケですが、本作を稀な作品にしているのは演技とカメラワークです。25年前と現在を演じわけ、かつ両方の場面でそれぞれに魅力的なヒロインと主人公。顔のクロースアップが多用され、言葉では埋められない表情の奥にあるものを読み取ろうと観る側も目を皿にして画面を追いかけることになりますが、熟達した演技でその視線に応えてくれます。タイプライター、写真立てといった小物が表情を的確に補足する役割を果たしていて、映画的演出とご都合主義的演出のはざまでギリギリの均衡を保っています。空撮からスタジアムに降りてゆくシーンや尋問シーンでの長回しも緊張感があり、パブロというおとぼけキャラの存在もあいまって、エンタテイメントとしても上質な出来栄えといえるのではないでしょうか。ただ致命的な難点があります。終盤、妻を失った男が主人公に「もう忘れることだ」と諭す場面です。原語「Nao pensa mais」に対する字幕がそうなっていますが、英語でいうと「Do not think anymore」という意味であり、日本語では「もう考えるな」と訳すべきではないでしょうか。「忘れる」という言葉には「自分にとって痛みを伴う出来事=忘れたいという思いを起こさせる事象」という主観的な判断が加えられているのに対し、「考える」という言葉には、その考えられるべき事象がどのようなものであるか、主観的な判断が加えられる以前の状態を指す言葉といえると思います。本作の核が「考えるつもりはなくても考えてしまう」「なにもしないでおこうと思っていてもしてしまう」ことに突き動かされる者たちの物語であり、忘却がテーマではないはずです。この点について-1で8点献上いたします。
さめがいさん [映画館(字幕)] 8点(2011-04-09 01:10:46)(良:2票)
さめがい さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2012-02-19ウォール街6レビュー6.48点
2012-02-04ナイト ミュージアム23レビュー5.31点
2012-02-04ナイト ミュージアム8レビュー6.20点
2011-12-18シャイニング(1980)7レビュー7.38点
2011-12-18フェイク5レビュー7.57点
2011-12-18ソードフィッシュ5レビュー5.88点
2011-12-18ぼくのエリ 200歳の少女4レビュー7.10点
2011-12-183-4X10月5レビュー6.27点
2011-12-18トロン:レガシー4レビュー5.15点
2011-12-18その男、凶暴につき9レビュー7.12点
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