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《ネタバレ》 観た中でヒッチコックの最高傑作。映画史に残る作品と呼ぶにふさわしい。
魔が差して4万ドルを盗んでしまったマリオンに同僚たちが困惑する予想図を 彼女自身の心の裡から聞こえる音声で描写し、画はマリオンのアップだけを撮り続ける演出がある。 その予想図の中でマリオンを罵ってくる大金持ちのおっさんの、あまりのエロ親父っぷりに 勝手に想像していながらマリオンは思わず呆れ笑いの顔になっているのだ。もう、序盤から鷲掴みにされた。すばらしい。 ひとつ中盤に大事なことがある。4万ドルの、処分だ。 一旦部屋を出たノーマンが引き返したときに見つけた4万ドルを、新聞紙にくるまれていたためそれと気づかずに マリオンの死体を押し込んである車のトランクに放り入れて、そのまま沼に沈めてしまった件。 そうとは知らない妹ライラは、マリオンの失踪にその4万ドルが絡んでいると推理する。当然観客はその推理が見当違いであることを知っている。 なぜ最後まで観客にも伏せておかなかったのか。必然か、それは我々観客の頭から4万ドルを消すことになった。 4万ドルの行方を観客がいつまでも、頭の片隅にでも残していたら、きっと4万ドルはなんらかの役割を持って終盤のストーリーに組み込まれねば観客は納得できなくなる。 もしそれにミステリーの機能を持たせていたら、今のラストを越えることはできなかっただろうと思う。鑑賞後感。すこぶる大事。 【うまシネマ】さん [ブルーレイ(吹替)] 8点(2019-09-07 03:00:19)
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