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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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41.  スター・トレック/BEYOND 《ネタバレ》 
IMAX 3Dにて鑑賞。前作『イントゥ・ダークネス』に続いて3D効果を実感しやすい見せ場が多く、3D料金を払うだけの価値はありました。 ただし、内容の方は難ありです。JJエイブラムスが『スター・ウォーズ』の引き抜きに遭って監督選びが難航した新シリーズ第3弾ですが、娯楽作の経験豊かなジャスティン・リン(ここんとこの大作の監督候補にはとりあえず彼の名前が挙がる)という人選が本作では裏目に出ていました。彼の演出は常にせわしなく、じっくり見せて欲しい画を全然見せてくれないのでSF向きではないのです。例えば宇宙基地ヨークタウンなんて実に素晴らしいデザインだったのに、その全体像が見られるのは登場場面のほんの10秒程度。もったいない限りです。戦闘に入るとさらに画面は忙しくなり、もはや誰が何をやっているのかがサッパリわかりません。危険区域にいるのは誰で、その人はどっちを目指さなければならないのかという基本的な情報すら伝わってこないため、スリルも何もあったもんじゃないのです。 お話の方もイマイチです。無軌道な生き方をしていたカークが宇宙での仕事に生き甲斐を見出した前々作、大失敗の後にリーダーとしての本分を見出した前作と、本シリーズはカークの成長物語でもあったのですが、本作ではその要素が弱いために作品を貫く主軸を失っています。一応は、長い航海に飽きが来て転属を希望してたけど、いろいろあってまた仕事の楽しさが分かりましたって話はあるものの、大事なエンタープライズを破壊され、多くのクルーを殺害され、しかも敵は自分自身の将来像かもしれないという鬱展開の多かった今回の冒険でどんな楽しみややりがいを見出したんだよと思ってしまいました。これだけの災難を経験すれば、普通は艦長辞めたくなるでしょ。話の内容とドラマの方向性が一致していないため、こちらでも感じるものが少なくなっています。 また、今回は敵も微妙。「実はジャミラでした」というクラールの正体が明かされた瞬間だけはちょっと面白かったものの、連邦が生み出したテロリストという設定は前作のカーンと重複しているためにその存在意義は薄くなっています。また、終盤まで彼の正体を隠していたために、劇中のほとんどの時間においてその行動原理が不明であったことも作品のテンションを落とすことに繋がっており、監督や脚本家の意図が悪い方向に出てしまっているように感じました。細かい点をつっこむと、中盤にてカーク達が拠点として使用していたUSSフランクリンは敵に場所を知られていないということになっていたものの、そもそもクラールがフランクリンの艦長だったのならその場所を知らないはずがなく、なぜ彼はフランクリンを攻撃しに行かなかったのかと不思議に思いました。 「スタートレックは偶数回が当たり回、奇数回が外れ」と言われていますが、その伝統通り、今回はハズレ回でした。ただし、次回は傑作になるはずなので、新作が出ればまた見に行きます。 それはそうと、前作で意気揚々とエンタープライズクルーになったアリス・イヴは一体どこへ消えたんでしょうか。
[映画館(字幕)] 5点(2016-10-21 22:59:02)(良:4票)
42.  ステート・オブ・グレース 《ネタバレ》 
製作当時は伸び盛りの若手・中堅俳優を集めたつもりが、今になって見返すと錚々たるメンツが顔を揃えたクライムドラマ。『ゴッドファーザー』以来とも言えるほどのキャストの充実ぶりで、俳優のパフォーマンスを楽しむ映画としてはかなりレベルが高いです。 中でも突出しているのがゲイリー・オールドマンで、やっちゃいけないことをやらかして事態をどんどん悪化させる狂犬役なのですが、それと同時に情に厚く、さらには持って生まれた愛嬌からどこか憎めない魅力を放っているという極めて複雑な役どころながら、オールドマンはこれを完璧に演じています。彼の隣に座れば、ショーン・ペンすら脇役に甘んじてしまうほどの圧倒的な存在感とパフォーマンスであり、彼が作品の要となっています。 それだけに、オールドマン退場以降は映画全体が急激に失速しました。ショーン・ペン演じる主人公・テリーの苦悩は表層的だし、ロビン・ライト(本作ではやたら脱ぐ)との関係にもロミオとジュリエットのような痛々しさが足りておらず、いろいろと中途半端。そのようにいろんな要素が少しずつ欠けた状態だったため、ブチ切れたテリーが二丁拳銃で殴り込むクライマックスには唐突感があり、何とも消化不良でした。 また、敵役となるエド・ハリス演じるフランキーの人物像もうまく定まっていません。若いボスであるため隣町のイタリア系大親分からはボクちゃん扱いされている上に、そもそも貧弱なアイリッシュ系組織をまとめあげることにも苦労しており、内外からの批判にあっている不遇の存在。その苦悩はある程度描かれているものの、一方で人間性に問題があるともとれる言動も多く、同情すべき悪党なのか、断罪すべき悪人なのか、作品中での位置づけがよくわからないのです。彼が弟や幼馴染に対して抱く感情もはっきりと描写されていないため、組織防衛のための苦渋の決断にもドラマ性が伴っていません。エド・ハリスによる演技は悪くなかっただけに、脚本レベルでの掘り下げが不足していることが残念でした。
[DVD(字幕)] 5点(2015-08-15 02:27:27)
43.  スター・ウォーズ/ジェダイの復讐
「帝国の逆襲」はスピード感があってかっこいい、スター・ウォーズに求められるものがすべて詰まった傑作でした。中間作でこの出来なら最終作はどんな凄いことになるのか、EPⅥへの期待も俄然高まるというものです。しかし、これが見事にズッこける最終作となっています。もちろん全部がダメなわけではありません。VFXは前作から輪をかけて良くなっていて、大空中戦の物量・密度・スピード感には圧倒されました。スピーダーバイクによるチェイスでは、宇宙空間における空中戦がメインだった本シリーズにおいて新しい見せ場を作ることに成功しており、こちらの仕事にも感心させられます。また、ドラマも部分的には悪くありません。ダースベイダーがアナキン・スカイウォーカーに戻る場面は感動的であり、それが息子を救うためという理由が泣かせます。ようやくマスクが外されてベイダーの素顔が明かされるのですが、それがオビワンのような立派な男かと思いきやみすぼらしいハゲおやじだったという肩すかしにも、個人的にはぐっときました。理由はうまく説明できないのですが、たまに会う父親がどんどんみすぼらしくなっていって妙に寂しくなるような感覚を思い出したからでしょうか。この辺りの人選は効果的だったと思います。ただし本作には凄まじい地雷が。そう、あの訳の分からんクマ達です。圧倒的な力を誇っていた帝国軍がシルバニア・ファミリーみたいな連中に滅ぼされる様は、見ていて辛くなりました。帝国に虐殺されたジェダイ達、戦いで命を落とした同盟軍の戦士達も、帝国の最後がこれでは浮かばれないでしょう。。。脚本の方向性はわからんでもありません。同盟軍を罠にはめて勝利を目前にした皇帝が唯一見逃していたもの、それは一般の住民達の力だった。危機に瀕した同盟軍は住民達の協力を得て最後の逆転を掴むという物語にしたかったのでしょう。しかし、それがなぜクマなのか?帝国によって虐げられていたエンドアの住民達が、ルークやレイアの姿に感動して蜂起するという物語とすればよかったのではないか?そこがどうしても悔やまれます。本作からEPⅡまで、スター・ウォーズはかわいいキャラや面白キャラを投入したり、要りもしない恋愛要素を強調してコケ続けることとなります。そのままで十分おいしいラーメンに、「サービスです」と言ってプリンやらアイスクリームやらをのっけられるような感じでしょうか。
[DVD(吹替)] 5点(2010-09-05 00:37:37)(笑:2票) (良:1票)
44.  スーパーバッド 童貞ウォーズ 《ネタバレ》 
プロデュース&脚本を担当したジャド・アパトーの手腕によってコメディとしては上々の仕上がりで、かなり笑えます(特にバカ警官コンビは最高)。しかしこの内容で113分は長すぎるように感じました。前半は最高に楽しめたのですが、後半では飽きてしまいます。この手のバカ映画は90分ほどでサクっと終わるのが理想だと思います(「オースティン・パワーズ」は95分、「裸の銃を持つ男」に至ってはたったの85分)。モテないバカ男子の情けない青春物語を売りにしている割には、意中の女子から勝手に惚れられたり、粘り勝ちで良い感じになったりと意外にも恋愛がうまく進んでしまうことも違和感で、本当にモテない奴の青春はそんなに恵まれてないわけです(涙)。悪戦苦闘したものの結局女子からは相手にされず、とぼとぼと家に帰りながら「何だかんだで今日の冒険は楽しかったし、友情っていいもんだ」と実感するようなオチの方が、このテーマにはしっくりきたのでは?
[DVD(吹替)] 5点(2010-08-15 15:49:06)(良:1票)
45.  スリーピー・ホロウ
特殊メイク界の大御所ケビン・イエーガーがなぜか脚本を担当し、「セブン」のアンドリュー・ケビン・ウォーカーがさらに手を加えたという極めつけの脚本だけあって、この映画の残酷ぶりはすさまじいものがあります。拷問で断末魔の母親と目が合うイカボッド少年(直後、大量の血を浴びるという徹底ぶり)、ご丁寧にも妊婦のおなかの胎児にまで剣を突き立てるホースマン、枝を折り、表皮をはがすと血を流す「死人の木」を掘っていくとゴロっと現れる生首、ホースマンに体を真っ二つに引き裂かれるキャスパー・ヴァン・ディーン等々、枚挙に暇がありません。この凶悪な脚本を得たことで、性根が残酷なティム・バートンの演出が水を得た魚のように冴え渡ります。残酷描写を包み隠さずバンバン見せてくるのです。残酷絵巻を明るい色調でやって顰蹙を買った「マーズ・アタック」の反省もあってか、本作は残銀処理により色調を抑え、芸術的なルックスにすることで残酷シーンに対する観客の抵抗感を軽減しています。一流スタッフを動員して残酷描写を芸術的に見せるのはスピルバーグのお家芸ですが、本作においては「トゥモロー・ワールド」も担当した撮影監督のエマニュエル・ルベッキ、及び美術監督のリック・ハインリックスがバートンの共犯者でしょう。とにかく本作のルックスは美しく、世界中でバートンにしか作れない映像をたっぷりと堪能できます。しかしここぞという時は真っ赤な血の飛び散る地獄絵図。無名スタッフが低予算で作るのが相場の残酷映画を、メジャー監督が潤沢な資金と優秀なスタッフを率いて作るとどんなことになるかという興味深い見本市となっています。また、剣と斧の二刀流で暴れ回るホースマンの殺陣のかっこよさにも(相手にとどめを刺す際の一瞬の決めポーズは最高)、良い意味で子供っぽいバートン演出の良さが出ています。首なし状態よりも首のある時の方が怖いクリストファー・ウォーケンの怪演もあり(オスカー俳優なのにセリフなし!)、ホースマンはキャラ立ちした素晴らしい悪役となっています。ただし本作で残念なのは、ビジュアルに集中しすぎたためか、謎解きやロマンス部分がまったく面白くないことです。村の秘密や陰謀などは大して難しい話でもないのになぜか頭に入って来ず、「で、今は誰の話をしてるんだっけ?」と何度も話を見失いそうになります。
[DVD(字幕)] 5点(2009-08-07 21:17:10)
46.  ステルス
いまだにこういう映画を作ってる人たちもいるんだな~ってしみじみしてしまいました。低脳の極致を行くこの映画は80年代にスタローンやシュワルツェネッガーが出まくってたのと同じにおいがします。敵を殺しまくり、悪い国を成敗しまくって最後に主人公が生き残るこのパターン。アクション映画好きな私はこういうノリも大好きだったんですが、今の時代にいきなりこういうのが現れても素直には盛り上がれない、時代は変わったんだなと実感しました。単純な勧善懲悪を「痛快」の一言で片付けられる時代でもなくなってるんですね。例えばテロリストを殺すためなら当然のように他国を領空侵犯し、ミサイル攻撃してビルひとつを崩壊させる。こんな行為が英雄的に描かれ、「巻き添えは出ませんでした。成功です。やったー!」と手をたたいて喜んでる場面。思えばトップガンのクライマックスも領空侵犯して他国と非公式に交戦するという似たようなものでしたが、80年代には素直に盛り上がれたこの展開も、今の時代に見せられては素直に興奮できなくなってしまっています。「いくら悪いやつがいるからって、よその国を勝手に攻撃しちゃいけないよ」という感覚が常識となっているためですが、一方この映画を製作した人たちは、世間の人たちがこんな単純な話に素直に盛り上がると本気で思ったのでしょうか?これを製作したのはソニーピクチャーズという会社ですが、ソニーが製作する娯楽作はスパイダーマン以外ロクなのがありません。バーティカル・リミット、SWAT、ティアーズ・オブ・ザ・サン、バッドボーイズ2、アンダーワールド、パニッシャー・・・爆破さえ見せてれば盛り上がると勘違いした映画に大金を投入し続けているようです。エアフォース・ワンが思った以上に稼いでくれた97年以来、方針がまったく変わっていないような気がします。もうちょっとよく考えて映画作りましょうね。
[DVD(吹替)] 5点(2006-10-21 19:06:17)
47.  スペシャリスト(1994)
私の中では、裸があるだけで映画の評価があがるのです。   【2013/5/29 ブルーレイにて再見】 90年代は爆破アクションの時代でしたが、格闘も銃撃もカーチェイスもなく、見せ場を爆破のみに絞った映画は本作くらいのものでした。そんな硬派な企画意図を具体化できるよう、監督に選ばれたのは『山猫は眠らない』で緊迫感溢れる演出を披露したルイス・ロッサ。さらには、撮影監督にはトニー・スコットのお抱えだったジェフリー・L・キンボールが雇われ、ロッサの土臭さをキンボールのスタイリッシュな映像でうまくカバーするという面白い布陣となっています。スタッフ選びについては、なかなか気が利いていると思いました。。。 問題はキャスティングに無理があったことでしょうか。スタローンは、爆弾を用いた暗殺のプロという役柄には絶対に合っていません。敵との正面対決を避け、夜な夜な爆弾作りに勤しむスタローンの姿など見たい人はいないでしょう。また、憎まれ役であるジェームズ・ウッズとの間において俳優としての力量の差がはっきりと出てしまっており、「なぜこのポジションにスタローンがいるのか?」という違和感が最後まで拭えませんでした。さらには、シャロン・ストーンを加えたことでエロという新たな軸が出来てしまったことも、作品の方向性に混乱をもたらしています。ストーンの顔と声に惚れてしまったがために技術を安売りするスタローン、、、『スペシャリスト』というタイトルが冗談に思えてしまうほど安っぽい話に成り下がっています。序盤では「俺は依頼人には接触しない」とかっこいいことを言っていたのに、結局はシャロン・ストーンの魅力に負けてホテルで一泊してしまい、その結果、窮地に立たされてしまうスタさん。何とも恥ずかしいスペシャリストではありませんか。 
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2004-08-05 12:43:55)(笑:3票) (良:1票)
48.  ストリート・オブ・ファイヤー
ウォルター・ヒルが少年期に好きだったものをブチ込んだ作品ということなのですが、確かにロックにバイクに軍隊上がりの凄い奴と、アメリカの男子の大好きなものが目いっぱいに詰め込まれています。さらには、物語は極めてシンプルであり、敵は同情すべき背景を持たない純粋悪だし、主人公の恋敵は粘着質の嫌な野郎で、理解の簡単な勧善懲悪の物語に徹しています。また余計な陰惨さは与えないよう、誘拐されたヒロインが暴行されたりはしないという青少年に対する配慮もばっちりであり、まさにアメリカの若い世代に全力でアピールした作品であると言えます。 そんなサービス精神満載で制作されたにも関わらず、アメリカではウォルター・ヒルの前作『48時間』の1/10程度の売り上げに留まるという大コケをしており、観客からは完全にソッポを向かれてしまいました。10代しか喜ばないような浅い内容であるにも関わらず舞台は50年代風の街に設定されており、若者を喜ばせたいのであれば世界観が古すぎたし、おじさんたちの懐古趣味に付き合いたいのであれば大人の鑑賞にも耐える内容にすべきだったし、どの観客の方向にも振り切れていない中途半端さが良くありませんでした。 現在の目で見ると、キメキメでやっていることが心底ダサく感じるという問題もありました。私はこの映画の世代ではないためか、冒頭のライブで「おぉ、ダサい」と感じてしまい、そこから先は全部ダメでした。楽曲がダサすぎてダメな場面もあれば、楽曲は悪くないのに演出がやりすぎてダサい場面もあって、基本的にはずっとダサかったです。また、主人公への恋心が募るほどに男勝りな態度に出てしまうサイドキックと、そんなサイドキックの思いにまったく気づかない鈍感なヒーローという図式にも悪い意味で80年代っぽい古臭さがあったし、作風に合わせて当時の若者言葉に寄せた日本語字幕(担当したのは女帝・戸田奈津子さん)もダサさを余計に助長していました。 当時、CEOのマイケル・アイズナーが旗振り役となった「ハイコンセプト(内容を一言で説明できる分かりやすい企画)」により売上を拡大したパラマウントの手法をユニバーサルが真似て作ったのが本作だったのだろうと思います。脚本が悪すぎるという指摘はあったものの、「本作については、脚本の出来は問題ではない」とジョエル・シルバーが言っていたという話からもそうした製作者側の意図は推して測れるのですが、パラマウントがエイドリアン・ラインやトニー・スコットといった高い映像感覚を持つ監督を使っていたのに対して、本作はウォルター・ヒルという泥臭いタイプの監督に任せてしまったことが、そもそものボタンの掛け違いだったように感じます。 さらには、ウォルター・ヒルが監督しているのにアクション映画としても締まりがないという大問題もありました。まず眠たそうな顔のマイケル・パレでは軍隊上がりの凄い奴には見えないし、またウィレム・デフォーは顔のインパクトでこそマイケル・パレを圧倒しているものの、サシで勝負させるとめっぽう弱く、強そうに見えないヒーローが顔色一つ変えずに見掛け倒しの悪党を終始圧倒し続けるというアクション映画では、さすがに面白くなりません。 さらには、暴走族に誘拐されたヒロインが恐怖の表情を見せておらず、このことが救出劇にエモーションが伴わない原因となっています。ダイアン・レインは本作を含む複数作品の不振により一時期は引退状態にまで追い込まれましたが、確かに本作では顔が綺麗なお人形さん程度のパフォーマンスしか見せられておらず、これでは女優としてのキャリアの仕切り直しもやむを得なかったかなと思います。
[インターネット(字幕)] 4点(2018-07-09 18:46:08)
49.  スイッチバック 《ネタバレ》 
どこの誰だか分からない少年が誘拐される冒頭に始まり、ヒッチハイカー・ジャレッド・レトとエロ本大好き・ダニー・グローバーの珍道中に、市警・保安官事務所の縄張り争いに、何か裏がありそうなFBI捜査官・デニス・クエイドの登場など、多くの構成要素が提示される前半部分の引きは強く、サスペンスアクションの佳作以上にはなるのではないかという期待を抱きました。特にジャレッド・レトとダニー・グローバーのドラマについては、おそらくどちらかが犯人なのだが、双方に怪しい要素があるのでどちらをクロとも決め付けられないという微妙な空気の中で様々なイベントが起こるため、その度にハラハラさせられました。この辺りは、当該ジャンルを得意とするジェブ・スチュワートの面目躍如といったところでしょうか。 ただし、中盤に差し掛かっても一向に話の収束する気配がなくて「本当にこの話は終わるのだろうか」と不安になり、さらにはその後唐突に犯人が明かされて突然締めモードに入るというめちゃくちゃ下手くそな後半ですべてが台無しになりました。この辺りは、脚本だけでなく製作総指揮も監督もすべてジェブ・スチュアートが担当し、完全に「俺の映画」として制作されたために、第三者的な視点で作品全体が精査されなかったことが原因ではないかと思います。この人の経歴を振り返るとおおよその仕事ぶりが見えてくるのですが、元はスティーブン・E・デ・スーザとフランク・ダラボンが執筆した『コマンドー2』の脚本を直して『ダイハード』を仕上げたり、デヴィッド・トゥーヒーがオリジナルを書いた『逃亡者』の脚本を撮影現場に張り付いて手直ししたりと、誰かの仕事を引き継いで完成版へと繋げるという作業にこそ能力を発揮する人物なので、一から作品をクリエイトするということは難しかったようです。 また、グダグダになった後半以降は豪華キャストも無駄遣い状態となっています。まずダニー・グローバー演じるボブの人物像がまったく理解不能。彼は快楽殺人を犯すシリアルキラーであり、自分を追うFBI捜査官との駆け引きをゲームとして捉え、そのゲームの延長線上で捜査官の息子を誘拐したが、殺さずに何か月も手厚く面倒を見ていたり、何かあったらこの子の後見人になってくれとジャレッド・レトに頼んだりもする。そもそも人望はあるようで地元に友達は多いのだが、家族ぐるみの付き合いのある友達をさほど切羽詰まった状況でもないのに口封じのために殺したりと、良い奴なのか悪い奴なのかが不明で、行動原理もよくわからない人物となっています。シリアスもコメディもいけるダニー・グローバーのようなうまい人をキャスティングできているのに、観客にこの人物をどう受け取って欲しいのかを監督が決められておらず、どうにも腑に落ちないキャラクターに終わらせています。 また、デニス・クエイドがモゴモゴと変な喋り方をしているのも気になったのですが、どうやらこれ、ジェブ・スチュアートの第一希望であったスティーブン・セガールをキャスティングできず、仕方なくデニス・クエイドが主演になったという経緯によるもののようです。クエイドがハリウッドに返り咲き、セガールがVシネ俳優になった現在からは信じられないのですが、もっと豊かな演技のできるクエイドから表現の幅を奪い、演技の幅が極端に狭いセガールの真似事をさせるというあまりに勿体ない使い方となっています。 その他、途中までは魅力的だったリー・アーメイ保安官がクライマックスに関係していなかったり、ウィリアム・フィクトナーに至っては見せ場がまったくなかったりと、総じて俳優をうまく動かせていませんでした。
[インターネット(字幕)] 4点(2018-06-26 18:18:14)
50.  スプリット 《ネタバレ》 
興行成績が絶好調だった『サイン』までの初期3作品だけでなく、ラジー賞ノミネートの『レディ・イン・ザ・ウォーター』、超低予算の『ヴィジット』までを評価しており、シャマランに優しい観客を自認している私なのですが、本作は楽しめませんでした。 まず、密室スリラーとしてまったく洗練されていません。被害者3人に対して加害者側は男性とはいえたった一人。しかも線の細いジェームズ・マカヴォイなので、本気で立ち向かえば何とかなるんじゃないかというシチュエーションに見えてしまっています。3人がかりで加害者に襲い掛かるが、思いもよらぬ反撃を受けて被害者にも観客にも「こりゃ完全にダメだ」と思わせるような展開を序盤に入れておく必要があったのではないでしょうか。また、密室内の被害者の様子と、家の外での加害者の様子を順番に見せるという構成のために、緊張感が持続していません。 オチの付け方も微妙。幼少期に性的虐待を受けたという被害者側の回想シーン(本筋とはほぼ無関係)の挿入は、観客に脳内オチを連想させるというミスディレクションの目的だったと思うのですが、あまりにしつこ過ぎてその意図がバレバレになっているし、そこまでして隠してきたオチが狼人間というのもサプライズになっていません。驚くよりも「ここまで引っ張って、それ?」という落胆の方が大きかったです。 良かったのはラスト、世界中が忘れかけていたアンブレイカブルさんの登場のみでした。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2018-01-27 02:32:48)
51.  スペクトル
精鋭部隊が正体不明の敵に襲われ、壊滅寸前にまで追い込まれて籠城戦に突入。そこで生き残っていた少女と出会って脱出の糸口を得るという、前半部分は『エイリアン2』とまったく同じお話です。敵はプレデターみたいだし、監督は80年代のSFアクションが大好きだということがはっきりと伝わってきました。 プロデューサーは『パシフィック・リム』のトーマス・タル、音楽は『マッドマックス/怒りのデスロード』のジャンキーXL、VFXはWETAデジタルとめちゃくちゃメンツが揃った映画なのでひとつひとつの見せ場の出来は良く、WEB配信専用作品とは思えないほどのルックスを誇っているものの、各登場人物の個性が薄くて感情移入の依り代がなかったことから、映画はいまひとつ熱くなりません。さらには、CIAの女工作員とか四足歩行ロボとか、意味ありげに登場しながらもほとんど本編に影響しない要素も多く、監督が好きなもののコラージュに終わってしまったことも残念でした。
[インターネット(字幕)] 4点(2016-12-26 19:07:27)
52.  スプリング・ブレイカーズ 《ネタバレ》 
ハーモニー・コリン作品ということで当然普通の映画ではないわけで、それなりの心構えをして鑑賞したのですが、それでもかなり退屈させられました。。。 素晴らしい場面はいくつかあります。今やすっかりダサくなったブリトニー・スピアーズをバックに感傷的な場面を撮るというセンスには唸らされたし、会話の場面をモノローグのように見せるという工夫も素晴らしいと感じました。表面的には仲間だ何だと言ってるが、結局は自分をどう表現するかが重要で、他人は眼中にないという若い人達の心理(真理)をうまく突いた映像的表現だなと。全体的な映像美も素晴らしく、光を用いた表現は芸術的なレベルに達しているのですが、マイケル・ベイ作品のようなウザさがあるのもまた事実。全編をトリッキーな映像で固めすぎていて、目も頭も疲れてしまうのです。同じ場面を何度も何度も繰り返す編集にしても、たまにやればこれはこれで効果的だと思うのですが、全編でやってしまうので見ていてイライラしてきます。早く話を進めなさいよと。。。 この映画を見ていて感じたのは、ハーモニー・コリンは青春を楽しめなかった一人なんだろうなということです。乱痴気騒ぎでハメを外しすぎると、警察やヤクザの世界のお世話になるよという、心配性のおばあちゃんみたいな主張が核にあるのですから。作風はド派手でインモラルだけど、中身は意外と古風なのねと、少し微笑ましく感じてしまいました。
[DVD(吹替)] 4点(2014-02-27 01:28:59)
53.  スター・トレック2/カーンの逆襲 《ネタバレ》 
映画版はすべて鑑賞しているものの、テレビシリーズは1話も見たことがありません。よって、主要キャラクターが誰であるか、どんな世界観の元で動いている物語なのかという最低限度の情報は持っているものの、それ以上の知識はないという状況での鑑賞です。。。 シリーズ最高傑作との呼び声も高い本作ですが、映画としてはそれほどだなぁという印象です。ヘタな演技に臭いセリフ、宇宙を舞台にしている割には箱庭的なスケールの小ささも感じさせられ、テレビシリーズに起源を持つ作品ならではの弱さがドバっと出てしまっています。また、スピード感溢れるドッグファイトが魅力だった『スターウォーズ』と比較すると、2隻の戦艦がもっちゃりと動いているだけの本作は見せ場の迫力にも欠けています。。。 テレビシリーズにおける人気キャラクター・カーンをフィーチャーしたことが本作の人気の要因だと思いますが、カーンに係る説明があまりに端折られ過ぎているため、テレビシリーズを見ていない観客が完全に蚊帳の外に置かれる点もマズかったと思います。セリフでのフォローくらいは入れた方が良かったのではないでしょうか。また、カーンが悪のカリスマに見えないという点も大きなマイナスでした。彼は知力にも体力にも秀でた優生人類にして、リーダーとしての魅力と統率力にも恵まれた王の中の王という設定のはずなのですが、この映画版ではカーク憎しの感情のみで暴走する小物にしか見えません。部下の制止を聞き入れず、いとも簡単にカークの罠にかかるに至っては、並みの雑魚キャラ以下。設定を脳内補完できるファンならともかく、本作でカーンに初対面する一般客にとっては、なかなか厳しいキャラだったと思います。
[DVD(吹替)] 4点(2013-08-25 01:41:55)(良:1票)
54.  S.W.A.T.
「特別狙撃隊S.W.A.T.」のリメイク企画は80年代から存在していましたが(一時はアーノルド・シュワルツェネッガー主演で話が進んでいた)、本作はそんな長い期間を経てようやく映画化まで漕ぎ着けたという期待の一作。映画会社はこれをシリーズ化する気満々だったようで、やたらめったら見せ場を詰め込む通常のアクション大作とは明らかに異なる造りとなっています。前半部分ではチーム結成までの経緯が丁寧に描かれ、訓練の場面では見た目の派手さよりもリアルに見えることが優先されています。俳優たちの銃さばきも様になっており、アクション大作としては珍しく地に足のついた内容となっているのです。「傑作ではないが、程よくまとめられた佳作かな」なんて思いながら見ていたのですが、映画は後半で一気に崩壊します。麻薬王による「俺を逃がせば1億ドル」発言をきっかけにL.A.全体が戦場と化すという展開があまりに突飛すぎて、映画についていけなくなるのです。こんな荒唐無稽な話は『ダイ・ハード』や『バッド・ボーイズ』でやればいいのであって、リアリティへの目配せをしてきた本作でやるべきではありませんでした。また、中盤までほぼ姿を消していたジェレミー・レナーが、クライマックスになって突如ラスボス化するという構成も不自然。彼をラスボスの位置に据えるのであれば、コリン・ファレルや警察組織との相克をより明確に描いておく必要がありました。
[映画館(字幕)] 4点(2012-09-29 23:49:26)
55.  スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 《ネタバレ》 
EPⅠがあまりにガッカリな出来だったので、ジャンゴ・フェットやクローントルーパーが登場していよいよスターウォーズらしくなり、派手な戦闘シーンも山盛りである本作には、初見時にかなり満足した記憶があります。しかし、あらためて見るとやっぱりダメな映画ですね。みなさんご指摘の通り、アナキンとパドメの恋愛関係がまったくダメ。初見時には戦闘シーンを見るために中盤のドラマはガマンしてやり過ごすものと割り切っていたのですが、サーガを通して見るとアナキンをダースベイダーに変える重要な要素が二人の関係であり、この部分の描写が未熟なのでは話になりません。ルーカスは女性層からの支持の薄いシリーズのテコ入れのため、イケメン俳優を使った恋愛要素を大幅に拡大したと思われるのですが、これが完全にマイナスでした。本来、二人は耐える恋愛をせねばならないのです。アナキンは耐えて耐えてひたすら自分の気持ちを押し殺していたが、ラストで死を覚悟した瞬間にパドメに自分の思いを伝える。しかし突然の援軍到着で思いがけず命拾いし、以後はパドメへの思いを切り離して生きることができなくなってしまう。恐らく最初はこんな展開にするつもりだったのでしょうが、中盤にイチャイチャ場面を入れたために、チンピラみたいな軽いお兄ちゃんと、男選びのヘタクソなお嬢様のどうしようもない恋愛にまで落ちてしまいました。アナキン関係でいえば、怒りに任せてタスケンレイダーを皆殺しにする場面もダメでした。タスケンは、理由はよくわからないのですがアナキンの母親を誘拐し、理由はよくわからないのですがもう少しで死ぬというギリギリの状態で母を生かしていて、そして母はちょうどアナキンが助けに現れたタイミングで死にます。これに怒ったアナキンがタスケンを皆殺しにし、自身の凶暴性を認識することとなるのですが、この場面ではアナキンの手が血で染まる様子を観客に見せねばならないでしょう。観客に不快感を抱かせないようこの描写をボヤかしたということは、サーガのターニングポイントをボヤかしてしまったということ。ルーカスは物語を観客に伝える意思があるのかと疑ってしまいます。。。本作でただひとつ評価できるのはクライマックスで、クローン軍団が戦艦に積み込まれ、銀河に向けて飛び立たんとする場面は、「共和国はついに一線を越えてしまった」という重々しさが見事に表現された名場面でした。
[映画館(吹替)] 4点(2010-09-02 00:18:51)(良:1票)
56.  スパイダーマン3
好きな女子と両想いになって、プライベートもヒーロー業も順調なピーターが調子に乗ってる前半からイラっときます。ブラックスパイダーマンになって「調子に乗ってる」が「完全な勘違い」に進化すると、恥ずかしくて見ていられません。そんなピーターに復讐しようとするハリーの手口は、婚約者との三角関係を装ってピーターを精神的に追い込むという、遠回りかつチャチな計画。これが父親の仇に対する復讐計画なんだろうかと驚きました。ハリーが都合良く記憶喪失になり、そして都合良く記憶喪失が治るという安直さにも唖然とします。これは大映ドラマかと。狙っておかしくしている部分もあるのでしょうが、意図してないのに妙なことになっている部分も多くあります。これはスタジオの戦略ミスでしょう。女性客を開拓するためにメロドラマを入れさせたものの、ライミがそれに対応できなかったという。本シリーズはドラマ部分の充実が特徴でしたが、それは「オタクの童貞君が誠実に頑張る物語」においてライミの才能とマグワイアのパブリックイメージが巧く噛み合ったからこその成果でした。大人のメロドラマなど撮ったことのないライミと(中年学者を主人公にした「ダークマン」すら童貞臭が漂っていました)、オタクっぽい風貌のマグワイアでは、こんな話など成立するはずがないのです。ハリーが都合良く記憶喪失になる展開については、しかめっ面ばかりだったジェームズ・フランコの輝く笑顔を見せたくて無理矢理挿入したとしか思えません(うちの嫁は「ハリーがかわいかった」と言ってたので、こちらは成功したとも言えますが)。。。また、新キャラが多すぎる点についてもスタジオの戦略ミスです。ヴェノムは人気キャラなのに登場場面が少なすぎてもったいないし、ピーターと因縁の関係にあるサンドマンの人物描写も不足しているため、「罪を犯す側にも事情がある。許すことも大事である」という本作のテーマが立っていません。サム・ライミは別のキャラを登場させたかったものの、スタジオに押し切られてこの布陣になったとか。シリーズ最終作なので大盤振る舞いしたかったんでしょうね。。。なお、本作があまりにヒットしたので3部作構想から6部作構想に変更されたようで、今後は「マリッジブルー編」とか「子煩悩編」とかも作られるのでしょうが、このシリーズはピーターの青春時代が終わった「2」のラストで終了していると思います
[映画館(字幕)] 4点(2010-01-03 18:14:40)(良:1票)
57.  スルース(2007) 《ネタバレ》 
【注意!激しくネタバレします】 オリジナルは未見です。同じ女性を愛した男同士の諍いから話は始まり、その後は若さと美貌、地位と名声という自分にはない物を持つ相手に対して「俺は負けてないぞ」という意地の張り合いとなり、最終的にはお互いの魅力に飲まれて同性愛的な方向へと流れ込んでいくという物語。以上のお話にはそれなりに筋が通っているし、役者の演技も素晴らしいのですが、なぜこんなに面白くないのかと思うほど面白くなくて困ってしまいました。。。 舞台劇だった原作を映画に持ち込んだものの、映画ならではの工夫が足りていなかったことが、その原因ではないかと思います。序盤こそ、監視カメラの映像等を交えながら映画的な視点を作ろうとする工夫があったのですが、中盤以降は役者の演技をただ映し出しているのみ。さらには、演出も演技も終始同じテンションで推移するため緩急というものがなく、前半はそれなりに緊張感を持って見ることができたのですが、後半はダレてしまいました。せっかくマイケル・ケインを出しているんだから、たまにユーモアを交えながら英国らしいペースを作っていっても良かったと思うのですが、アメリカ資本が入ったことの弊害かタイトな密室劇を目指しすぎて失敗したようです。
[DVD(吹替)] 3点(2014-07-17 01:48:28)
58.  スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス 《ネタバレ》 
全6作を通して鑑賞すると、このEPⅠだけがサーガから浮いていることが気になりました。宇宙戦争に巻き込まれた親子の物語において本作だけがサーガの本筋と直接関係のないことをやっており、EPⅠがなくても話が通じるのです。「ジェダイの復讐」から16年も待たされた挙句、ようやく出来たEPⅠがサーガと直接関係のない話ではファンもガッカリだったでしょう。中盤の山場であるポッドレースに至っては、サーガの本筋と直接関係のないEPⅠの本筋からもさらに外れており、観客を飽きさせないよう挿入した意味のない見せ場にしか思えません。いや、ルーカスにとってはアナキンのパイロットとしての才能を示す重要な場面のつもりだったのかもしれません。しかし、ラストにおいてアナキンは手違いから空中戦に参加し、訳も分からず飛び回っているうちにまぐれで勝利するという展開となっていて、彼が天性のパイロットであるようにはとても見えないのです。ポッドレースの際に見せた勘の良さや機転が空中戦においても活かされるという展開がなければ両者は結び付かないのですが、ポッドレースではアナキンの非凡さがそれほど伝わってこないし、空中戦ではポッドレースでの経験が活かされるような局面がないし、ポッドレースがなくてもラストの空中戦は成立してしまいます。本作は万事この調子で、映画全体が必要のない物語、必要のない見せ場で構成されており、仮にルーカスの頭の中では必然性ある場面のつもりだったとしても、完成した映画からはその意図が伝わってこないという有様。完全に失敗作だと思います。VFXは当時としては最高のものが用いられています。ルーカスが「スターウォーズ」を作るために設立したILMにとって、本作は会社のアイデンティティの根幹をなす重要な作品。世界最高のVFXスタジオが最高のスタッフを惜しげもなく動員して製作したのですから(本作から漏れたスタッフは「ハムナプトラ」に回されたとか)、VFXは凄くて当然。公開前、本作はVFXの新たな可能性を示す作品になるだろうと期待されていました。しかし、フタを開けるとVFXの限界を露呈した作品となったのが皮肉でした。CGで描かれたエイリアンとドロイドが戦争をしても何とも感じないし、いくらVFXにお金をかけても、レイ・パークというひとりのスタントマンによるダース・モールのアクションには勝てなかったのです。
[レーザーディスク(字幕)] 2点(2010-09-02 00:18:00)(良:2票)
59.  スピード2
まさかとは思いますが、これって「沈黙の戦艦」のヒットでボツにされた幻の「ダイ・ハード3」の脚本を流用してません?「ダイ・ハード3」って、本来は豪華クルーズに出かけたマクレーン夫妻が、またしてもテロに巻き込まれる話だったんですよ。
2点(2004-07-08 15:38:06)
60.  スターリングラード(2001)
要するに「プライベート・ライアン」のジャクソン二等兵がやりたかったんでしょ。冒頭のスターリングラード攻防戦の圧倒的なテンション、密度には血がたぎりました。しかしそれ以後の失速ぶりが尋常ではありません。ソ連VSナチスのスナイパー合戦という最高の題材をとってるんだから、ケレン味爆発のバトルアクションか、もしくは「山猫は眠らない」のように超クールな仁義バトルに徹するか、どちらかにすればよかったんですよ。なのにどうでもいいドラマを入れようとするもんだから、結局何がやりたいのかわからなくなってます。スナイパーの描き方もあんまりで、エド・ハリスに先回りされて絶体絶命のジュード・ロー。焦った顔がアップになったかと思うと、次のシーンではスナイパー仲間のいる隠れ家に戻ってるんですよ。「フォーンブース」のコリン・ファレルが見たら泣くでしょうね。これはヨーロッパのインテリ監督に大作を撮らせた制作陣のミスです。レニー・ハーリンにでも撮らせてれば、ひょっとしたらギラーミンの「レマゲン鉄橋」クラスの映画にしたかもしれません。
2点(2004-06-16 15:55:27)(良:1票)
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