21. ハード・ウェイ(1991)
《ネタバレ》 マイケルはともかく、ジェームズ・ウッズがコミカルな芝居ができるとは思わなかったなあ。これがなかなか良いんですよ。見るからに畑違いのマイケル・J・フォックスとジェームズ・ウッズを両立させてコメディとして成功させた、これもちろん脚本も良いんだけどウッズの役者スキルの高さがモノを言ったと思います。 マイケルは自身のハリウッドイメーをまんまなぞった役柄で、それを自分でおちょくっててこれまた安定に巧くてコメディの基本ネタと分かってても笑ってしまう。バーで、マイケルが女役になって強引に話を進めるくだり、ウッズと痴話げんかになりそうなトコで必ずバーテンのおっちゃんがドリンク持ってくるんだよね。複雑な顔のおっちゃんと閉口してるウッズ、ここ声出して笑ってしまったよ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-11-14 16:28:09) |
22. 背徳の囁き
《ネタバレ》 製作年はやや古い。聞いたこと無い。苦手なリチャード・ギア。ということでさして期待せず観たら、これがわりと良かったです。R・ギアは私の中ではハリソン・フォードと並ぶ「演技力は大して無いのに主演作の多いベテラン・スター」の位置付けなのですが、皮肉なことに彼の唯一ともいえる今作のロクでもない悪役がギアのキャリアでベスト1なんじゃないかと思えるほどの出来でした。 ギア演じるのは悪徳警官。組織の中のグレーゾーンを老獪な判断力で泳ぎ切り、そこそこ部下の面倒見が良くて女には手が早く、ピンチになったら部下をも切り捨てる冷酷さ。こんなのがギアにハマるとはねえ。 クレバーな役どころのA・ガルシアは恋女房への思いが強すぎて泣き所をギアに看破され、「言葉」で翻弄されちゃう。ざっと三度もギアにフルボッコにされてるじゃないですか。キミにとってああいう老練な色魔は天敵だ。もう喋るんじゃない。 ふてぶてしいギアと嫉妬妄想で泣きっ面のアンディ・ガルシア。普段のイメージとはがらりと違う役をこなした二人が見事な共演を見せる一本です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-09-30 16:37:06) |
23. ハドソン川の奇跡
《ネタバレ》 原題はSully、サレンバーガー機長の愛称ですね。ですからこの映画は邦題の与える印象とはちょっと違って「事故そのもの」を描いたのではなく、その後事故責任の有無を問われることになった機長その人にスポットを当てています。 リーダー役をやらせたらいるだけで信頼感の厚さを醸すT・ハンクス。彼を機長役に据えたイーストウッドのタクトは主張ぶれることなく、サレンバーガー氏に添った描写をします。100%機長判断を支持する副操縦士や、「いかにも」役人的な安全運輸委員会の面子等は分かり易い脇役です。現場にいて、最良の判断をしたと思っても、後になって外野から異を唱える連中というのはいるもので機長もこの理不尽に飲み込まれてしまうのかも、とどきどきしました。あのシミュレーションは突然生死の境にぶち込まれた人間の心理状況をまったく酌量してないですもんね。機長がちゃんと「人的要因」の存在を主張できるほどに言語能力が高い人物で良かったなあと思いました。ワタシが彼の立場だったらイライラして声を荒げるだろうなあ。 ラストに実人物を挿入しているのも、感動一割増しの効果ありでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-09-28 17:46:52) |
24. ハングオーバー!!! 最後の反省会
《ネタバレ》 酔っ払わないけど、薬も盛られないけど、記憶もちゃんとある3作目だけど、安定感のある面白さでした。もっとも、ハングオーバーファンの常連客を狙っての作りなのは否めませんが。内輪ノリでまあまあ笑いましょうや、という感じです。 相変わらず何もしないダグ、自己中が加速しているアラン、場を取り成すに当たって最強にツブシの利くイケメンフィル、パニクってるか憤慨しているかのスチュ。馴染みの面々がまたもやトラブルに巻き込まれてドタバタするわけで、このテイストが身体になじんで心地よいと思ったら立派なハングオーバー会員。(←?) 最後のお披露目にこれまでの人物が再登場なのも常連客には嬉しい。特にまさかのジェイド。幸せそうで良かった。カルロス(名前違うか)も可愛く育ってた。アランが実にいらんこと吹き込んでいたが、将来への影響が心配だ。いやそれほどでもないけど。 [DVD(字幕)] 7点(2015-12-14 00:13:56)(良:1票) |
25. バーバー
《ネタバレ》 コーエン兄弟って人生のままならぬことを色んな味付けで見せてくれるけども、これまた平凡な人間が予想もつかない方向へ破綻してゆくお話。ビリーボブ演じる床屋のオヤジがお馬鹿さんなんだな これは。見た目が無口で渋くて思慮深そうなのは目くらまし。この人の狙ったコトってひとつも的射てないもの。 好いているのかどうか確信の持てない女と結婚し、なりたくもなかった仕事に就き、女房の不倫がきっかけで鬱屈した日々に仕返しするかのように、ケチなゆすりに及ぶ。ここでも相手がどう出るか見誤って犯行がバレる始末。紹介された“敏腕”弁護士は馬鹿高いばかりの法律屋で誠実からはほど遠い。勝手に才能を見込んだ女子校生にはピアノの才なんて無く、夢想していたような純真無垢な天使ですらなかった。読み間違いだらけの人生だ。ビリーボブはこういう物哀しい役にすごくハマるなあ。 あ、ひとつ先見正しいことがあった。ドライクリーニングの先行投資ね。でもこれも結果実りとなって還ってこないんだもんなあ。お馬鹿ってだけなのに人生ってこんなにままならないものかあ。つらい。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-09-01 00:27:00) |
26. パッセンジャーズ
《ネタバレ》 ワタシは作り手の思う壺タイプなのだろう。こういう話ではほぼ結末が予想できない。だからこそ何度でも驚けて楽しくもあるのだけど。 ラストの二人の表情といい、近しい人たちが迎えに来てくれるという発想といい、作り手の、不意に命を奪われてしまった人々への鎮魂の想いが伝わった。 エンドロールが流れる穏やかな街並みの画では、直接描かれていなくてもハサウェイと彼が納得して逝ったのだということがわかり、鼻の奥がつーんとなった。 どうぞ安らかに、という願いは世界中どこでも残された者の共通の想いなのだなあ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-01-09 00:27:04)(良:2票) |
27. ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える
《ネタバレ》 うん、やってることは前作といっしょ。一緒なんだけど、それなりに整合性のとれた脚本の丁寧な作りも前作に劣らないので、例の三人~イケメン不良教師のフィル、飲酒で別人格表出のステュ、ど変人のアランを気に入っている向き(つまりワタクシ)には楽しめる出来になっています。場所をバンコクに移したのでアジア的な猥雑さもてんこ盛り。 続編では前作のバイプレイヤーは無視されがちなんだけど(今作でもヘザー・グラハムは消去されてますしね)、まさかのミスター・チャウがこんなにも出張ってくるとは(笑)。しかもけっこうな親近感をも持たせてくるとは。 いやはや、おかげで3作目(世間の評価は低いな)にも興味が湧いてしまうではありませんか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-11-06 23:52:44)(良:1票) |
28. バタフライ・エフェクト/劇場公開版
《ネタバレ》 見ている側には先読みが不可能な、見事な脚本であると思います。神様の能力を持ってしまった主人公かあ。こりゃ重荷だ。最後には捨て去ってしまうのも理解できるというもんだ。 事前情報無しで観たので、話の展開が初めのうちは唐突に感じるし、出来事が書き換えられた時の、もやもや~とした色々な場面が何のことやら脳みそがついていけなかったり。その分、二度三度と観返すとなるほど、と分かる楽しみがあってお得感もあります。 色んなパターンの人生を経験して、ついに選択したのが自らの想いを絶つということ。ありがちながら、やっぱり泣ける。本編のラストシーンに異議なし。もっと言うなら、ケイリーが振り向かなくても良かった。 [DVD(字幕)] 7点(2014-11-03 01:00:13) |
29. バーディ
《ネタバレ》 田舎のぱっとしない若者二人を演じたN・ケイジとM・モディーンがまぶしいくらい若々しい。青春の終わりにベトナム戦争を経験してしまった為に心に傷を負った場面からスタートするのだけど、べトナムで何があったのかは詳細には語られず、もっぱら過去の輝いていた日々が綴られる。どんなにバーディが鳥好きだったか、それを生暖かく見守るアルの奮闘ぶりは涙ぐましいやら笑えたりやらで、ちょっと変わってるけど紛れも無く二人とも精一杯青春しているのだった。そんな日々を戦争がこっぱみじんにしてしまったのだなあ・・、と切なくやり切れない感慨にふけろうとした寸前にひょい、と転換してみせたラストのあの瞬間。やられたー、と呆気にとられ次の瞬間には思わずふふっとなりますね。鮮やかでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-08-20 00:29:58) |
30. バニシング・ポイント(1971)
《ネタバレ》 TVでよくありますよね。アメリカのハイウェイを暴走する車とそれを追う警察のカーチェイスをヘリからの空撮で見せるっていうやつ。アレを見ると「逃げ切れーっ」と暴走車の方を応援して家族から顰蹙を買うワタクシですので、この映画はまさにツボ。訳も無くスピードを上げてぶっ飛ばしたくなる、血がたぎる、高速になるにつれアドレナリンが出まくる人向け。破滅行動と紙一重なのでまさにアメリカンニューシネマと合致ですね。納車の目的はどこへやら、ぼこぼこになりながら走る走る。車大国アメリカ、さすがのメンテナンスだ。見事な改造車だー。ラストはショックだけど、コワルスキーは車もろとも燃焼し尽くしたんだな、と思うと分からなくもないです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-06-24 23:46:09) |
31. ハプニング
訳のわからない気持ちの悪さがひたひたと、徐々にコップ一杯まで溜まってくるような。なにしろ不条理が突如としてお日柄の良い一日を襲うんだから、もうこれって天災に近い。植物説とか無理やりねじ込んでたけどシャマラン自身もそんな原因とかには興味無さそう。人知を超えた何か、抗うこと不可能といった諦念などは、シャマラン作品に時々見られる宗教的な雰囲気。描きたいことだけやりっぱなしの感じも大ありなんだけど私はこの説明不足の不条理映画けっこう好き。「なんか負けた」という気持ちになるところが。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-12-14 00:26:02)(良:1票) |
32. 張り込み(1987)
個人的にはエミリオ・エステベスがオジサンぽくて衝撃を受けた本作なのですが、中身は“脱力コメディー”とでも申せましょうか、ゆるくて楽しいです。後半のサスペンス部も手を抜かずに作っている感じで好感度高し。余白の遊びの部分が楽しいんですよ。張り込み班二組が、相手チームにケチくさい嫌がらせを互いに仕掛けてるトコ、大好きです。 [ビデオ(字幕)] 7点(2013-11-10 00:16:01) |
33. ハート・ロッカー
《ネタバレ》 「こんなところ大嫌いだ」とブラボー中尉が言う。まったくだ。地獄だ。不条理だ。もはや現代の戦争は愛国心の発露の場ではなく(過去にもそんなのあったのかどうかは疑わしいけど)“生活の糧”を得るための仕事になっている・・らしい。愕然とするけれどその“大嫌い”な場所に戻らないと自分を取り戻せない症例がある・・んだそうだ。麻薬のような中毒作用で。これは現在進行形の話だしあんまりな現状に立ちすくむばかりではいかんとは思うのだけど・・、感想がうまく抱けず点々の多い文になってしまった。ああ、何よりも印象に残ったのはスーパーマーケットにて夥しいシリアルの前で立ちすくむ主人公の姿。平板で素っ気の無い平和に順応できていない彼が痛々しかった。 [DVD(字幕)] 7点(2013-01-13 00:27:36) |
34. パンズ・ラビリンス
《ネタバレ》 外は苛烈で陰惨な戦争だけれど、迷宮の中に入ってごらん。王宮までたどり着いたら、その眩いまでに壮麗なこと。そこは少女の頭の中の世界でもあるのだけど、なにしろ狂気の軍人たちや酷薄な義父らに囲まれて正気を保つためには想像力が無いと生き抜けるものではないですもん。大人から見れば奇行の数々も、この子にとっては命綱の精神世界。観てる間中、オフィーリアとともに迷宮をさまよい、弟のために祈り、大尉を憎悪しメルセデスさんに快哉を叫び、と忙しかったけれどオフィーリアついに向こう側に行ってしまった。やっぱり現世に生かしてほしかった。とても悲しい。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-10-22 00:25:04) |
35. パシフィック・ハイツ
恐かった、というより切り口が新しくて面白かった。あ、でも同時期の「危険な情事」よりは恐かった。居住権にまつわる様々な法律にへぇーと思ったり、マイケルが次にどんな攻撃に出てくるか楽しみだったりでなかなか充実の2時間弱でした。 [映画館(字幕)] 7点(2012-02-21 13:30:02) |
36. パピヨン(1973)
前半までのエピソードだけで2時間弱でまとめてくれれば、満点の脱獄劇。マックィーンの不屈の精神に圧倒され、D・ホフマンとの深い絆に心揺さぶられ。不可解な原住民が登場するあたりから、緊迫感に急ブレーキがかかった感じがして戸惑った。実話に忠実に制作したんでしょうが・・。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-11-19 01:10:57) |
37. パラダイスの逃亡者
ニコラス・ケイジも口の悪いお母さんもとても魅力的なじわっとくる映画。前知識なしに放送を見て、掘り出し物に当たった気分になりました。 [地上波(字幕)] 7点(2011-08-21 16:57:59) |
38. ハリー・ポッターと賢者の石
原作の世界をほぼ損なうことなく映像に立ち上げてくれた製作スタッフの皆さんに感謝。本一冊分を2時間強に収めるのだからややぎゅうぎゅう感は否めない・・けど目をつぶりましょう。キャスティングは満点 3人は言うに及ばず(ハーマイオニーの完璧さには目頭が熱くなる)先生たちも本物をホグワーツから呼んできたんだ、きっと。 ダイアゴン横丁やホグワーツ城の不思議にわくわくできないなんて人生の損失だ。今からでもホグワーツに入学できないかなあ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-07-07 17:35:28) |
39. パーフェクト・ケア
《ネタバレ》 アメリカの後見人制度が社会問題になっている、と報道されていたのはつい最近だったと思うんだけど。早くも映画にしてしまうとは。ハリウッドって時事ネタの掴みが早いなあ。時事ネタと言ってしまうには、しかし行われていることはかなりえげつない犯罪行為と言っていいと思う。 親切づらで高齢者を食い物にして財産を巻き上げるロザムンド・パイクの怪物ぶりが炸裂する前半は、恐ろしくて肝が冷えました。 でもロシアン・マフィアが登場してからは、マーラの超人ぶりはチャーリーズ・エンジェルかスティーブン・セガール並みの不死身の強さ。そうなると映画のリアリティも一気に削がれてしまいました。 善意をベースに法を味方にできていることが悪徳後見人らの手強いところ。安易な犯罪モノの娯楽映画にするのでなく、現実に打てる手立てで対抗する(そして勝つ)ドラマが観たかったです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-06-19 21:33:36) |
40. ハンナとその姉妹
《ネタバレ》 大きな起伏も事件もないのにどうしてか見入ってしまうアレン作品。人間てこんなもんだよね大悪人ではないけど日常にちょこちょこ魔が差す時があるし、気持ちの揺れは自分でもどうにもならない。 次々やってみる仕事は上手く行かないし、良かれと思って一生懸命日常をこなしても嫌味だと言われる。人物らの経験する事柄がわかるわかる、となるには観る者もそれなりの人生経験が必要だったりするのだなアレン映画は。わたし自身二十代にこの映画を観たときはおじさんおばさんばかりのつまんない映画という感想を抱いたものでした。 アレン監督、本作では肝の小さい病気恐怖症の男を演って笑いを取ってますが、いやあまるで自分を見ているようでした・・。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-05-16 23:14:59) |