261. 推定無罪
う~ん、やっぱグレタ・スカッキでしょ! 美しくて有能で、おまけに色情狂、法廷関係者(何と判事まで!)の男どもと片っ端からやっちゃってましたなんて、オレだけのつもりだったハリソン・フォード扮する主人公の心情たるや…。映画としちゃ、パッとしない出来映えであることは確かなんだけど、大人の男と女のトホホな機微を突いた教訓劇(?)として、まあ楽しめなくもない。 6点(2003-08-27 14:39:46) |
262. 10日間で男を上手にフル方法
うん、悪くないんじゃないでしょうか。ありきたりなラブ・コメの定石も、ひとひねりすれば十分面白くなることを実証してみせた、脚本がまずお手柄。これまたありがちな音楽の使い方も、例えばマービン・ハムリッシュ御大を引っぱり出しておきながらコテンパンな目に遭わせるときの「カーリー・サイモン(!)」なんざ、抱腹絶倒だったし。けれど、最高の見どころは、やはりケイト・ハドソン嬢ですね。このノンシャランな、演技とも、地ともつかない存在感は、新しい時代のコメディエンヌ像を確立したと思いますぞ。彼女を見るためだけでも、カネを払う価値あり! 7点(2003-08-26 18:30:58) |
263. リプレイスメント
うん、確かに『メジャーリーグ』の2番煎じではあるけれど、あちらにあったケレン味とあくどい笑いのセンスじゃなく、爽やかな(古き良き時代の)アメリカ的健康さを感じさせてくれるのがいい。ほんと、思わぬ拾い物って作品ですね。ところで、やたらヒロインである新人(?)女優をできるだけ魅力的に撮ろうとしているように見える(で、実際魅力的なんだけど)のは、監督のドイッチが彼女にホレてたからでせうか…? 8点(2003-08-25 18:13:58)(良:1票) |
264. シーズ・ソー・ラヴリー
他のレビューワーさんたちもご指摘の通り、日本人の感覚じゃとてもついていけない主人公たちの独善的な「愛のかたち」を、これぞ純愛!と高らかに謳いあげるあたりは、まあガマンしよう。ショーン・ペンと実生活でも奥さんのロビン・ライト・ペン以下、役者もいい。けれど、完全にナルシスティックなニック・カサベテスの演出の暑苦しさだけは、ちょっとガマンできない。この御仁、偉大なオヤジにあった”対象に密着しつつも失われないその人物への批評的意識”をまるっきり理解していないようにみえる。残念だけど、ペケ。 4点(2003-08-25 18:03:32)(良:1票) |
265. 遥かなる大地へ
ロン・ハワードがいかに往年のハリウッド映画を愛し、その正統的な継承者であるかを見事に証明してみせた、彼の最大の野心作にして最高傑作。であるのに、なぜこうまで本国アメリカはもちろん、日本でも注目されないままなんだろう…。実際、「あっ、ここはハワード・ホークスだ!」とか、「これってジョン・フォードの『アイアン・ホース』そのままじゃん!」とか、単なるモノマネに終わらない引用が画面に豊かさをもたらし、トム・クルーズとニコール・キッドマンのふたりも大健闘しているっていうのに。クライマックスは、『シマロン』ばりのランドレースの大スペクタクル。これに興奮&感動できない向きとは、何も語る気にはなりませんっ! 10点(2003-08-20 11:03:59)(良:1票) |
266. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
「海賊映画」という古めかしいジャンルのテイストを尊重しつつ、それを現代的な視点から”面白がろうとする”脚本のセンスの勝利。が、何よりジョニー・デップという役者によって、そんな脚本のセンスが完璧に作品上で表現され、決定づけられていることに感じ入った次第。ホンマ、この映画はデップによって救われてまっせ。彼が出てなきゃ、所詮はよく出来たイベントムーヴィー以外の何物でもなかったろうし。ジェリー・ブラッカイマーと聞いただけである種の拒否反応が出るご同輩にも、本作だけは例外的にオススメいたしましょう。 8点(2003-08-20 10:48:55)(良:1票) |
267. テルミン
ひとつの電子楽器に、20世紀の歴史と、ひと組の男女の数奇な運命が隠されているなんて、どんなドラマよりドラマチックだなあ。それをひとつひとつ解きあかし、全編をこの不思議な楽器の音色が響きわたる、ドキュメンタリーとしちゃ相当な傑作です。旧ソ連の科学者がアメリカに渡って1世紀近くを生き延び、残された助手で密かに彼を愛していた女性が、テルミン奏者としてこれまた生き続けただなんて。しかも、遂に再会を果たすまでを描いたなんて、スゴすぎる! …それにしても、ビーチボーイズのブライアン・ウイルソンって、やっぱりちょっとアブナイ? 9点(2003-08-12 17:39:30)(良:1票) |
268. テキーラ・サンライズ
大人の男2人と、いい女が1人。もうこれだけで十分じゃないスか。確かに展開とかかったるい部分は否めないけど、それを補ってあまりある情感とゆるやかで上質な時間が流れている。ぼくは好きです。ミシェル・ファイファーって、『恋の行方 ファビュラス・ベーカーボーイズ』同様、2人の男に囲まれると映えるなあ。じゅるじゅる。 8点(2003-08-12 17:15:51) |
269. ディープ・インパクト(1998)
この手のアメリカ映画にしちゃ、「情(ソフト)」と「骨子(ハード)」のバランスが実に適確で、ミミ・レダー監督ってやはりこれからの時代のストーリーテラーなんだと感心(『ペイ・フォワード』だって、そんなに悪くなかったと思うもの)。ドラマの何たるかも、SFの何たるかも分かっちゃいない某『アルマゲ何とか』と比較にもならないよい映画です。すい星を爆破に向かうシャトル内のエピソードがいささか類型的だけど、こういう泣かされ方も悪い気分じゃないし。あと個人的には、大津波を前にティア・レオーニがマクシミリアン・シェルに最後「ダディ…」としがみつく場面。何と言うか、忘れ難いものがありました。 8点(2003-08-12 16:48:37)(良:1票) |
270. カットスロート・アイランド
だいたい、ちょっと興行的にコケたからって、それだけで作品そのものを否定するなんて可哀想です。この種の冒険活劇としちゃ、セットも、豪快でスピーディーな語り口も、第一級の出来映え。もし問題があるとしたら、レニー・ハーリンがあまりにストレートに往年の”海賊映画”というものを再生産したことで、イメージ的に時代錯誤感が拭えなかったことじゃないかな…。それとて、CGまみれのインチキなスペクタクルばかりの昨今のアメリカ映画の中にあって、十分賞賛に値するアナクロニズムだとぼくは思う。ジーナ・デイビスにも見放されたレニー・ハーリンだけど、まだまだ見限れないゾ! 8点(2003-08-09 15:25:11)(良:1票) |
271. カサブランカ
この映画のボギーは、他の映画にもましてカッコつけすぎでは? きっと、「これは絶対ロクな映画にゃならんだろうから、好き勝手演技させてもらうぜ」とばかりにやっちゃったんだろうか…。実際、脚本も撮影直前まで完成されてなかったというし。それをなんとかまとめあげたマイケル・カーティス監督の職人技には、素直に敬意を払いたい。が、やっぱりたいした映画じゃないよなあ。本作のバーグマンなんて最低のビッチじゃんすか、ねえ!《追記》…ううむ、これも自分が書いたものとは思えんなあ。何か、ムシの居所が悪かったとしか…。「たいした映画じゃない」というのは、見る前から「ロマンチシズムあふれる大傑作!」みたいな先入観を吹き込まれていて、期待しすぎたということがあったみたいです。あらためて思い返すと、「男のヤセがまん」をここまで切なくカッチョよく描いた映画も、そうはないよなあ…ということで、点数大幅にアップ! …でも、ここでのバ-グマン的ヒロインは、やっぱり気に食わんです(笑) 8点(2003-08-07 12:03:20) |
272. 死霊のはらわた(1981)
劇場公開の何年か前に、「スゲエ怖い映画があるぞ」と友人の間で評判になり、”海賊版(!)”ビデオで見た時の衝撃ときたら…。ひたすらコケオドシに徹した演出のパワフルさ、カネはなくとも工夫次第じゃここまで「スゲエ」映画がつくれるんだ! と、当時の映画少年たちをどれだけ勇気づけたことか。個人的には『2』の方がよりフェイバリットだけど、大好きであります。 8点(2003-08-06 18:05:14) |
273. ヒート
マイケル・マン監督の、というより、この種のジャンル映画中でもおそらく最高傑作のひとつ。矜持、友情、裏切り、仁義、哀愁、葛藤、悲劇的な愛、…そんな、「ギャング・暗黒街もの」のすべてがこの1本に最上のかたちで詰まっている。ここまでスタイリッシュで、男も、女も、ここまでカッコ良い映画もない。とにかく必見! と小生は確信しているんだけどなあ…。デ・ニーロがとにかく儲け役で、ヴァル・キルマーなんて、助演ながら本作こそが代表作だよなあ。3時間以上あるものの、全編に不思議な静けさとエモーションがみなぎっているので、アッと言う間。間違いなく「大人の映画」です。あえて差別的・セクハラ的言辞を弄するなら、「女・コドモ」にゃ見せてあげたくない!(あ、なんか削除されそうなアブナイ発言か…) 10点(2003-08-04 14:21:43) |
274. 裸足の伯爵夫人
主人公をはじめとする男たちの欲望ゆえに輝き、犠牲となった女を描くのに、マンキーウィッツ監督がとった回想形式は最上のものだったとぼくは思います。その視点からしか、エヴァ・ガードナー扮するヒロインのミステリアスな魅力は表現し得なかった。何故なら、彼女の魅力とは、彼女自身のものではなく、あくまで男たちによって夢見られ与えられたものだから。彼女の死は、そういった男たちの夢=欲望によって押しつぶされた悲劇にほかならない。それを冒頭の雨の葬式場面で鮮やかに予告する語り口は、やはりお見事というべきでしょう。 8点(2003-08-04 13:34:10)(良:1票) |
275. ピンク・フラミンゴ
この映画くらい好き・嫌いがハッキリするのも珍しいと思っていたんだけど、意外と高評価なのでビックリするやらうれしいやら。確かにパンクな”変態チック”作品ではあるものの、世の良識とやらに唾して、マイナーな「世間からつまはじきにされるような種類の人々」をこそ肯定するその姿勢は、ジョン・ウォーターズならではの「心意気」を感じさせてくれる。何か見終わってハッピーな気分になれる…なんて言うと、やっぱりマズイかな? 10点(2003-08-04 11:12:51)(良:1票) |
276. ハルク
《ネタバレ》 従来のアメコミ実写版とは一線を画す出来映えは、さすがアン・リー監督と言うべきか。ただ、ハルクに敵対する「悪役」が実の父親であるとか、主人公の幼年期のトラウマがあまりにシリアスだとか、軽いSFXエンタテインメントを望む観客には少々キツイかも。どちらかと言えば、現代版「フランケンシュタイン」(それも、東宝の『フランケンシュタインの逆襲』に近いか?)として見た方がよろしいでしょう。それにしても、ジェニファー・コネリーはほんとお美しい…。ニック・ノルティのクサイ大芝居もなかなかオツな味わいでありました。 8点(2003-08-04 11:01:51) |
277. ナチュラル・ボーン・キラーズ
映画と観客をナメとんのか、ワリャ! あまりにもうざったいスローモーションの多用と、ダサすぎるMTV的なカットつなぎ、反社会性を気取るアタマの悪いストーリー展開(タランティーノの名誉のために言っておくが、オリジナルシナリオはもっとマシな内容だった)の連続に、ずぅ~~~っとヘナヘナ状態。誰か、オリバー・ストーンに忠告してあげなよ。こんなの、映画じゃないって…。 0点(2003-07-25 12:43:38)(良:1票) |
278. 渚にて
いわゆる「名作」なんでしょうか、これ? 豪華なキャストを並べてシリアスな政治的メッセージを垂れるのは、スタンリー・クレーマー作品の常なんだけど、これまたいつもながらにセリフで展開をつないでいく演劇っぽい語り口が、どうにも性にあわなくて…。あのコーラ瓶なんて、商品タイアップみえみえだしなあ(そのへんのあざとさも、クレーマーらしいところなんだろうけど)。エヴァ・ガードナーの美しさだけが、小生にとって救いだったです。 4点(2003-07-25 12:33:45) |
279. ムーラン(1998)
ぼくも最近のディズニーアニメの中では、『アラジン』と並んで好きな1本。例によって、ディズニー調(ということは、アメリカ的にデフォルメされた)アジア像が鼻につくものの、『ポカホンタス』みたいな偽善臭はそんなに強くない。ヒロインの木蘭も、実に好感の持てるキャラクターになっているし。それに、皆さんもご指摘の通り、雪山のシークエンスはまさに圧巻。だのに、いかにも安直なクライマックスが、実に、実に惜しいなあ。 7点(2003-07-24 12:56:41) |
280. サイボーグ
アルバート・ピュンとかいう監督の映画って、設定はオタク的に凝ってたりもするんだけど、出来上がったら大笑いな代物ばかり。そうした中じゃ、これは相当マシな1本じゃあるまいか。ヴァン・ダムの精気みなぎる若々しいアクションと、凛々しさに救われたものと、監督は彼に感謝したまえ。まあ、どなたにもおすすめできるってワケじゃありませんが… コアなヴァン・ダム好き(いるのか?)はもちろん必見であります。 5点(2003-07-23 18:16:37) |