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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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601.  ザ・ファイター
本作に含まれるアイコンは貧困に麻薬に刑務所、「レイジング・ブル」並みに暗く重く作ることもできた題材なのですが(最初に監督を依頼されたのはマーティン・スコセッシだった)、そこをあえてユーモアを交えたポジティブな作りとしています。底辺でもがく人々がボクシングを通してひとつになるという物語は現代版「ロッキー」であり、「ロッキー」同様、本作は脚本も演出も正攻法です。正攻法であるが故に安心して見られる仕上がり、見応えには若干欠けるのですが、それでも2時間はきっちり楽しませるドラマとなっています(当初の予定通りにダーレン・アロノフスキーが監督を務めた場合には、どのような仕上がりになったのかが気になるところですが)。そんな感じで脚本・演出は水準並みなのですが、一方で演技のレベルは非常に高く、特にクリスチャン・ベールが凄いことになっています。弟の足を引っ張る不真面目なヤク中であるが、同時に天性の無邪気さによって誰からも好かれる明るい人物という厄介な役どころなのですが、ベールはこれを完璧に演じています。ディッキー・エクランド本人が登場するエンドロールを見るにもはや憑依の域に達しているほどベールはディッキーそのものに成りきっており、これは何か賞をやらねばと思わせるほどの熱演を披露しています。ディッキー役はブラッド・ピットが演じる予定だったもののスケジュールが合わずに降板し、ウォルバーグよりも歳下のベールが演じることとなったのですが、このキャスティングは正解でした。一方お気の毒だったのがウォルバーグで、ひたすら真面目にボクシングに取り組むミッキー役という役者としてはあまりおいしくない役どころを引き受け、案の定、ベールの引き立て役に徹しています。ただしウォルバーグの演技は決して悪くはなく、クセの強いキャラクターが入り乱れる物語の軸の役割をきっちりと果たしています。彼までが自己主張の強い演技に走っていれば、映画は空中分解していたことでしょう。思えば、かねてからウォルバーグは脇役を引きたてることを得意とする俳優でした。過去にはバート・レイノルズ、ティム・ロス、チョウ・ユンファらから素晴らしい演技を引き出しており、受けの演技をさせると彼は非常に巧いのです。巧くはあるが、本人は評価されないことが悲しいところですが。
[DVD(吹替)] 7点(2011-10-20 19:30:47)
602.  エンゼル・ハート 《ネタバレ》 
ミッキー・ロークはめちゃくちゃにカッコいいのですが、私の中ではそれだけしか評価すべきところのない映画でした。だからといって映画の質が悪いというわけではなく、文化的・宗教的バックボーンの不足により、私にはこの映画を理解する土壌がなかったことが原因だったと思います。これは悪魔に踊らされる主人公の憐れな末路を描いた作品であり、随所にバチ当りな描写がなされるのですが、キリスト教徒ではない私にはこの映画の破天荒さがイマイチ伝わってきませんでした。。。悪魔を主題にした映画は他にもいろいろあります。特に「エクソシスト」はマリア像が派手に汚されるなど相当バチ当たりな描写を含んでいましたが、それらの映画には悪魔に対する善なる力が必ずセットで描かれ、最後には神が勝つという内容となっていました。それがキリスト教圏の観客の安堵感につながっているのでしょうが、一方本作にあるのは悪魔や異教の描写のみであり、それをやり込めるはずの神の力がまったく描かれません。これが本作の特異なところで、主人公は最初から最後まで悪魔に弄ばれ、旅の最後にはブードゥー教の巫女である実の娘との相姦により悪魔の子孫を残し、そして何の抵抗もできないまま死んでいくという救いのない物語。宗教色の強い作品でありながら神の存在がまったく描かれない不安感がキリスト教圏の人達にとってはショッキングだったのだと思います。本作の悪魔は神を恐れるどころか教会の椅子に座り、「神の前では静粛にしろ」と主人公に説教をはじめる始末。視覚的にエグい描写は少ないものの、やってることはとんでもなくバチ当たりなのです。ただ、視覚的なショックが少ないために非キリスト教徒には伝わりづらいことが本作の欠点となっています。さらに、本人オチも当時としては衝撃的だったのでしょうが、今となっては使い古されたネタであることも本作の魅力を奪ってしまっています。
[DVD(字幕)] 5点(2011-10-19 01:32:51)(良:1票)
603.  猿の惑星:創世記(ジェネシス)
「『猿の惑星』の前日談を作ろう」…こんな企画が面白いわけがないのですが、本作はそんな困難な企画を大満足の仕上がりにしてしまった奇跡の傑作でした。監督したルパート・ワイアットなる人物はサンダンス映画祭で絶賛されたスリラー(日本未公開なのでその出来を確認することはできませんでした)を一本撮っただけのド新人なのですが、そんなインディーズ出身の新人がいきなり9000千万ドルもの予算を背負わされ、おまけに映画史に残る名作との比較に否応なくさらされるという重圧の中で、よくぞここまでの作品を作ったものだと感心しました。ジェームズ・キャメロンやティム・バートンですらうまくまとめられなかった企画ですからね、これ。。。本作は大風呂敷を広げず描写の細かさを徹底したことが勝因でした。「創世記」という大層なサブタイトルを付けられてはいるものの、映画の内容は主人公である猿がいかにして人類に愛想を尽かし、猿を組織化したかというだけのものです。前半はシーザーの生い立ちが丹念に描かれ、ついに革命を起こしても、サンフランシスコを突っ切ってゴールデンゲートブリッジの向こうにある森を目指すのみ、すべてが半径数十キロで収まってしまう小じんまりとした物語なのです。そして、この小じんまり感が正解でした。第一作は「惑星」という大層なタイトルとは裏腹に、実に小じんまりとした物語でした。メインの舞台はたったひとつの集落だったし、登場するキャラクターもそれほど多くありません。限定した舞台でのドラマやサスペンスを重視したことが第一作の勝因だったのですが、2001年のリメイクを含む続編はスケールの大きさにこだわる余り、どんどん大味になっていきました。本作はそんな続編の罠をうまく回避しているのです。それでいて、ラストのオチで「創世記」としての面目は保っているのですから、これぞ第一作の精神を受け継ぐ素晴らしい続編であると思います。
[映画館(字幕)] 8点(2011-10-14 18:14:15)(良:3票)
604.  キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー
つまらなくはないが突出して面白くもない、アメコミ実写化作品としてはものすご~く標準的な仕上がりで、「ジ・アヴェンジャーズ」のために突貫作業で製作された作品であることが丸出しとなっています。70年代からヒーローの実写化企画に挑んできたマーヴェル・コミック社が、その失敗と成功の歴史から学んできたノウハウをまんまブチ込んで作っただけの作品という印象で、本作独自のアイデンティティには乏しいと感じました。。。愛国心の強いアメリカ版のび太くんがスーパーヒーローに変身する物語なのですが、もやしっ子が突如アスリートを超える身体能力を手にしたことの爽快感がうまく表現できておらず(「スパイダーマン」第一作では表現できていたんですけどね)、変身ものの醍醐味を活かしきれていません。ロジャース少年はその善良さと正義を愛する心を評価されてスーパーソルジャー計画の被検体に選ばれたのですが、彼の人柄もうまく表現しきれていませんでした。同様に、レッドスカルの残忍さの描写も不足しているため、悪役の存在感もイマイチ。レッドスカルはヒトラーをも超える誇大妄想にとり憑かれてナチスを離脱し、独自の軍隊「ヒドラ」を率いて世界制覇に乗り出したという素晴らしい悪党なのですが、映画ではそのスケール感がうまく表現できていません。また、その戦闘能力を発揮する見せ場が少なかったことも、悪役の存在感を低下させた原因となっています。ヒューゴ・ウィービングは相変わらずよくハマっているだけに、脚本と演出の手落ちが惜しい限りです。その他のキャラクターの描写も薄く、ヒロインであるペギー・カーターはキャップの心の恋人としての魅力に欠けるし、トミー・リーは缶コーヒーのCM並のやっつけ仕事ぶりを隠しきれていないし、キャップが選抜した特殊部隊のメンバーにもこれと言った見せ場がありません。唯一素晴らしかったのはクライマックスに登場したニック・フューリーで、サミュエル自身が持つスターオーラの賜物か、「ジ・アベンジャーズ」への期待感がそうさせるのか、尋常ではない大物感が漂っていました。最後に、本作は3D上映もなされていますが、悪名高き後付け3Dであるため3D効果は薄く、それどころか3Dメガネを通して見ると画面が暗く感じるため、2Dでの観賞をお勧めします。
[映画館(字幕)] 5点(2011-10-14 17:41:30)(良:1票)
605.  ハンニバル(2001)
前作は、連続殺人犯の追跡と若き捜査官の成長物語を軸とした王道の刑事ものでしたが、そこにレクター博士という特殊なスパイスを加えたことで、歴史的な傑作へと変貌を遂げた作品でした。対して本作はレクター博士を見るためだけに作られた続編であり、多くの要素が有機的に絡み合っていた前作と比べると、根本的に分の悪い企画だったと思います。いわば「美人すぎる○○」みたいなもので、政治家やスポーツ選手にしては美人なので世の注目を集めるが、その美貌のみを抽出してグラビアなんかをやらせると、一気に色褪せてしまうというあのパターンと同じ。レクター博士は脇役でこそ映えるキャラクターなのです。バッファロービルを捜査するクラリスに重要なヒントを与えるが、決して多くは説明しない。「もうあと一言欲しい」というところでクラリスと観客を放り出してしまうことが、彼の知性や存在感をより大きく感じさせていました。一方本作では主人公となった博士が何から何まで丁寧に説明してくれるのですが、このことが彼の存在を小さくする原因となっています。リドリー・スコットは企画が根本的に抱えるこの欠点を理解していたようで、開き直って残酷な見せ場をこれでもかと盛り込むことで観客の恐怖心を煽ろうとしますが、完成した映画は見せれば見せるほど恐怖の底が知れてしまうという悪循環に陥っています。メイソン・ヴァージャーというもう一人の狂人を加えるというテコ入れもなされていますが、このキャラクターも完全な出オチで、インパクトがあるのは初めて顔を晒す場面のみ。ビジュアルの巨匠リドリー・スコットの限界がここにあったと思います(かと言って、仮にジョナサン・デミが続投しても優れた作品を作れたとは思えませんが)。
[DVD(字幕)] 4点(2011-10-03 23:58:52)(良:1票)
606.  ニンジャ・アサシン
「こんなに楽しめるクソ映画は久しぶり!」というのが率直な感想です。殺人マシーンが人間性に目覚めて組織を裏切るという凡庸な題材をとり、さらには脚本に何の捻りもないため話は全然面白くありません。主人公の生い立ちが描かれる前半のつまらなさには筆舌に難いものがあり、見るのが苦痛で仕方ないほどでした。しかしこの映画、中盤の大乱闘から突如息を吹き返します。ライブアクションとCGを巧みに使い分けたカッコいい見せ場の連続には目が釘付けになりました。ニンジャ軍団がベラボーに強いことにも燃えましたとも。前半では脚本を追うだけだった演出も中盤以降はノリノリで、主人公が武器を鎖鎌から日本刀に持ち換えた瞬間に音楽が変わり、スピーディな早回しからスローモーションに転換する場面には、あまりのカッコよさに鳥肌が立ちました。完全武装の特殊部隊vsニンジャ軍団という世界中の男子が妄想した見せ場もばっちりモノにしており、ハリウッド製ニンジャ映画に求められるものはきちんと詰め込まれています。高いレイティングにも関わらず北米だけで製作費の元をとるほどのヒットになったのも、男の子が喜ぶものを漏れなく詰め込んだおかげでしょう。主演のRainも素晴らしい熱演を披露しています。ニンジャ映画の主演に韓国人俳優が起用されたことには不満もあったのですが、本編を見ればこのキャスティングに納得できます。これほどのアクションをこなせて、おまけに英語を話せる若手俳優は、残念ながら今の日本では見当たらないのです。また、Rainはイケメンではないものの不思議な色気が漂っている点でもミステリアスな主人公にふさわしい空気を持っていました。こちらもまた、薄味のイケメンが多い日本芸能界にはない魅力です。
[DVD(吹替)] 7点(2011-09-24 20:16:36)(良:2票)
607.  マイ・ブラザー(2009)
サム帰還後のドラマが薄すぎるため映画全体のバランスはイマイチであり、売れっ子俳優のスケジュール調整を優先して脚本を練り上げる時間がなかったような印象を受けましたが、それでも俳優陣の演技力と監督の演出力によって水準以上の作品には仕上がっています。とにかくこの映画、「気まずさ」の演出が実にお見事。夫の死という悲しみを乗り越えて新たな生活を開始した矢先に、すっかり別人となった夫が帰還してくる。誰も口には出さないが、どの顔にも「死んでいてくれた方がよかったのに」と書いてあるわけです。そんな思いを必死に隠そうとする家族と、自分は邪魔者になったことに薄々気づきながらも、なんとか元の場所に戻ろうとする夫。両者の間に流れる居心地悪い空気の表現が実に見事で、見ている私までが胃の痛むような感覚を覚えました。また、本作は帰還兵の物語であると同時に兄弟の物語でもあるのですが、こちらの面でも見応えがあります。親の期待に応えようと必死で努力する上の子供に対し、甘ったれてはいるが家族の愛情を一身に受ける下の子供。単純な家族愛の話に終わらせず、愛憎入り混じる兄弟の関係をドラマに織り込んだことで映画全体に深みが出たし、物語をより一般化することに成功しています。「ディアハンター」や「父親たちの星条旗」、果ては「パールハーバー」とも類似した内容の本作ですが、兄弟の愛憎関係を軸にしたことで独自のポジションを築くことに成功しています。
[DVD(吹替)] 7点(2011-09-14 00:55:06)
608.  チェイシング/追跡
サスペンスアクションを連想させるかっこいいタイトルですが、実際は「地獄の逃避行」や「リバース・エッジ」のような暗~い青春映画です。DVDジャケットで大きく扱われているラッセル・クロウも脇役に過ぎず、両親を殺害した罪で服役するも短期間で出所した青年と、義父の性的虐待に耐えかねて死を望む少女が本作の主人公。この二人のドライブが上映時間の大半を占めるのですが、派手な展開も謎解きもドンデン返しもなく、描かれるのはひたすらに二人の会話のみであるため、正直言って退屈します。。。ただし、映画の出来自体はそれほど悪くありません。説明的なセリフは極力排除されており、登場人物の背景や心情は薄皮を剥くように徐々に明かされていくのですが、観客に対して事実を明かすタイミングとドラマの呼吸が見事に一致しており、よく計算された脚本だと思います。月並みではないラストも主題に適合しており、余計な期待をせずに見れば、それなりに得るもののある作品だと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2011-09-13 21:32:25)
609.  トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン 《ネタバレ》 
↓ムランさんが詳しく書いておられますが、とにかく脚本が支離滅裂。「コンテナを破壊されたからもう飛べない」と言ったオプティマスが、次の場面では空を飛んで登場という展開には腰を抜かしました。本作は万事がこの調子で、筋らしい筋がない上に行き詰ると平気で方向転換、相変わらずドラマと本筋がうまく絡んでおらず、金のかかったプロジェクトでよくぞこんな手抜きの脚本が通ったものだと思いました。上映時間が長い割に時間の使い方もうまくなくて、ジョン・マルコビッチの出演場面は丸々不要な一方で、裏切り前のセンチネル・プライムの描写は少なすぎ。センチネルは本作最大のキーパーソンなのですから、彼が偉大な指導者であったこと、オートボッツ達からは父のように慕われていることを示す描写は必要でした。そして犯罪的に問題なのがシカゴ陥落場面を端折ってしまったことで、「昨夜シカゴが敵の手に落ちました」で済ませてはいかんでしょ。「インデペンデンス・デイ」も「宇宙戦争」もそうでしたが、侵略ものはファーストコンタクトが最大の見せ場。終末を感じさせる圧倒的な敵の登場、本作で言えばディセプティコンズの戦艦がシカゴ上空に飛来する場面こそが作品のアクセントとなるはずだったのに、そこを丸々落としてしまったのではもったいなさすぎます。。。とまぁ問題点の塊のような映画なのですが、それでもこの映画は面白いのです。ロボット達がドンガラガッシャンと大暴れしまくるボリューム満点の2時間半の前では、細かいケチは野暮に感じます。前作まではロボットプロレスの域を出ていなかったこのシリーズも、本作ではついにロボット大戦争に。敵の目を潰し、腕をもぎとり、内臓を引きずり出し、脳天を吹っ飛ばす、「ロボットならレーティングの心配も不要だぜ!」とばかりに悪趣味番長マイケル・ベイがやりたい放題やっています。クライマックスの戦闘ではそんなベイの手腕が光りまくりで、オプティマス登場のタイミング、センチネルの圧倒的な戦力の描写など、必要な演出はバチっバチっと決まってきます。キャメロン直伝という3D技術の扱いも上手いもので、猫も杓子も3Dでガッカリ3Dが氾濫する昨今において、「3Dで見てよかった」と思わせる素晴らしいアトラクションを提供してくれます。映画としてはイマイチな出来なのですが、大スクリーン、大音響で楽しむ3D大作としては破格の作品であったと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2011-08-03 00:20:39)(良:1票)
610.  パンチドランク・ラブ
ポール・トーマス・アンダーソンが稀代の天才監督であることは紛れもない事実なのですが、この映画には最悪なまでに退屈させられました。カンヌ映画祭で監督賞を獲った作品だけあって、技術的には見るべき点が多くあります。役者の演技はどれも良いし、ところどころ笑わせる場面もあるのですが、本筋のラブストーリーが分かったような分からないような話でまったく付いていけませんでした。主人公がどれほどの問題行動を起こしても彼を受け入れ続けるリナの心境が腑に落ちないし、そもそもリナとは何者なのかもよく分かりません。「恋愛とは感じるものだ、理屈ではない」という意図から敢えて説明を省略しているのでしょうが、だとしたら観客にもバリーやリナの心境を感じさせる演出を施すべきでした。「実験的」という言葉を免罪符に、監督はあらゆる説明を放棄しているように思います。説明不足といえば、冒頭の事故、置き去りにされたピアノ、主人公の青いスーツ等、思わせぶりに登場しながら結局何の伏線でもなかったという個々のアイテムの肩透かしにも参りました。面白そうなアイテムを思いつくままにぶちまけて後片付けなしというのはストーリーテラーとして失格でしょう。シュールな物語にパズルのピースを巧妙に忍ばせるデビッド・リンチの技を学んでいただきたいところです。
[DVD(吹替)] 2点(2011-05-29 22:32:36)
611.  ワイルド・バレット
各々思惑を胸に秘めた悪人達が多数入り乱れるサスペンスアクションはよく見かけるジャンルですが、本作の面白さはその中でも群を抜いています。タランティーノやガイ・リッチー作品にも比肩するほどよく出来た脚本に加え、トニー・スコット風のかっこいい画面作り、ノンストップのスピード感、ハマりまくりの俳優陣(ポール・ウォーカーかっこよすぎ!ヴェラ・ファーミガ美人過ぎ!)、もはや文句のつけようのない仕上がりです。ヤクザ同士の権力闘争に加え、DVや児童ポルノなどネタにしていいのか微妙な題材にまで臆することなく手を付けたおかげで、本作は独自性を打ち出すことに成功しています。話が桁外れに陰惨なのです。陰惨ではあるが、救いがないわけではない。バイオレントな落とし前はきっちり付けるため、後味は妙に爽やか。その辺のバランスの取り方も最高です。この監督、「トゥルー・ロマンス」や「ナチュラル・ボーン・キラーズ」といったタランティーノ自身が監督していないタランティーノ作品の大ファンと見ました。
[DVD(吹替)] 9点(2011-05-29 19:55:08)(良:2票)
612.  蜘蛛女(1993)
「映像化困難な傑作脚本」として7年以上もの間幻の企画とされてきた作品らしいのですが、本作はそんな困難な素材を上手くまとめています。究極の悪女モナ(我が国にも、男を骨抜きにする山本モナなる人物がおりますが)をいかに描写するかにこの映画の成否はかかっていたわけですが、その点で言うと本作はほぼパーフェクト。レナ・オリンのハマり具合は尋常ではないし、彼女を人ではなく妖怪として描くという振り切った演出も的を射ています。本作はジャックによる回想という形式をとっているため、モナが人間離れした活躍を見せても「彼女に人生を引っ掻き回された主人公にはこう見えていました」という方便を使うことが可能。脚本も演出もこの点を利用してやりたい放題やっており、その結果他に類を見ない悪女を作り上げることに成功しています。本作の監督であるピーター・メダックなる人物のことはよく知らないのですが、この人の演出は概ね良好であったと思います。悪女ものと言えば多くの作品が「氷の微笑」の影響に引きずられる中で、本作は独自の印象を持つ作品に仕上がっているのですから。
[DVD(吹替)] 7点(2011-05-28 19:57:03)
613.  パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉 《ネタバレ》 
私はこのシリーズとの相性が悪いのですが、そうは言いつつも宣伝につられて映画館に行くこと今回で4回目、シリーズもリセットされて「今回は面白いのでは」という期待と共に足を運んだのですが、前シリーズに輪をかけてつまらなくなっています。アドベンチャー映画なのにムダに長い上映時間、登場人物達の思惑をうまくまとめきれていない脚本、海賊映画であるにも関わらず海の広大さやロマンを感じさせない演出、そうした旧シリーズの欠点がロクに改善されることもなくそのまま引き継がれています。特に問題に感じたのは本作の悪役である黒ひげがあまりに魅力を欠いていたことで、ジャック・スパロウからも恐怖の目で見られる最強の海賊として登場したにも関わらず、劇中での彼の振舞いはあまりにチマチマしたものでした。バルボッサの復讐に遭うことに怯えて生命の泉を探し始めるという何ともチャチな動機にはじまり、冒険の最中もただただジャックに命令するだけで自分では何の活躍もせず、最終的には己の命を守るために実の娘の命を犠牲にしようとする始末。知略に長けているわけでも、人格的に優れているわけでも、剣術に秀でているわけでもなく、やってることは単なる小物。彼の手下のゾンビ達にもロクな見せ場がなく、総じて悪役をうまく動かせていません。また、主人公であるジャック・スパロウの人物像も安定していません。冒頭では仲間を救うために単身ロンドンに乗り込むものの、別の場面ではアッサリと仲間を見捨てる。常に相手を騙そうと振舞いながらも、バルボッサとは素直に共闘する。彼なりのスジというものがまるで見えてこないため、主人公に感情移入することが難しくなっています。さらに本作は見せ場の数が圧倒的に少ないことも気になりました。前半40分は「カットスロート・アイランド」を思わせるホースチェイス等それなりに見せ場もあるのですが、話が本筋に入ってからは見せ場がほとんどなくなってしまいます。「パイレーツ・オブ・カリビアン」を名乗っているにも関わらず海でのアクションは皆無であり、クライマックスも盛り上がりに欠けるチャンバラがちょこっとある程度で、2億ドルとも言われる製作費は一体どこに使われたのかと不思議で仕方ありません。さらには3Dの効果も薄く、それどころか3Dメガネごしに見ると暗すぎる場面も多くあって、せっかくの3D技術もかえってアダになっていました。
[映画館(吹替)] 1点(2011-05-22 01:03:50)(良:2票)
614.  ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション
本国ではDVDスルーの作品、しかも「Ⅱ」「Ⅲ」「リターンズ」をなかったことにするというお手軽な作り(都合の悪い続編をなかったことにする作品は、たいていロクでもないもの)だったので完全に舐めた目で鑑賞しはじめたのですが、冒頭の襲撃シーンの完成度の高さでいきなり面喰いました。ベテラン監督ピーター・ハイアムズが撮影に参加しているためか、見せ場の作り込みにおいて本作はかなり光っています。ユニソルvsユニソルのバトルには「人以上の者同士の死闘」という迫力があり、重量感やスピード感において、時にそこいらのアメコミ大作をも超えている瞬間がありました。ついに覚醒したヴァンダムがテロリストを片っ端から倒して回るアクションもこの上なくカッコよく、見せ場については大満足の仕上がりとなっています。しかし残念なことにお話の方が弱いため、映画としてはかなりつまらんです。90分足らずの作品ながら、途中で飽きてしまいます。そもそも、ロシア首相の娘・息子がチェチェン過激派に誘拐された事件において、その鎮圧に出動するのがロシア軍ではなく米軍という設定が理解不能で、さすがはワールドポリスとしか言いようがありませんでした。原発に仕掛けられた爆弾を72時間以内に解除しなければならないというタイムリミットを準備しながらそのタイムリミットが演出上ではまったく活用されていなかったり、人質の救出と爆弾解除というふたつのハードルを設けてしまったためにミッションの目的が分散してしまったりで、映画全体を貫くべき緊張感が致命的に不足しています。さらには、次世代型ユニソルを除くテロリストが異常なまでに弱く、さらにバカで、米軍の侵入を何度も許してしまうために状況の切迫感が皆無に等しい状況となっています。おまけにユニソルの悲哀を描こうとしたドラマ部分も弱く(旧ザクのような哀愁を漂わせていたヴァンダムは良かったのですが)、脚本上意図していた物語をまるで形に出来ていません。
[DVD(吹替)] 5点(2011-05-17 19:39:50)
615.  レポゼッション・メン
追う側だった主人公が追われる身に墜ちるというありがちなSF作品なのですが、過剰なまでのグロさや一風変わったBGM、テーマに似つかわしくないねじれた笑いなどで映画に新しさを出すことには成功していて、水準以上の作品にはなっています。派手さはないものの個々のアクションには独特の美学とキレがあり、この監督さんはなかなかスジの良い人だと思いました。配役も面白く、ブルース・ウィリスやニコラス・ケイジが主演を張りそうな本作にジュード・ロウとフォレスト・ウィテカーを持ってきたことで映画に独特の味が出ています。。。ただしテーマを煮詰めることには失敗しているため、見た目以上の作品にはなりきれていません。原作のことはよく知らないのですが、映画を見る限りではサブプライム問題におけるプレデタリーレンディング(略奪的貸付)を題材にした作品のように思います。プレデタリーレンディングとは返済能力のない低所得者にロクな説明も与えず無理なローンを組ませ、過剰な手数料や物件の差し押さえによって利益をあげるという金融業者のあくどい手口。どこの闇金がこんなあこぎな商売をやってるんだと思いきや、アメリカでは大手の金融機関がこんな商売をやっていたのです。家を奪うということは人の生活を奪うということ、アメリカでは大企業が利益をあげるために貧乏人の生活を踏みにじっていたというわけです。本作はそんな社会問題をモチーフに命の差し押さえを行う世界的大企業を描いた作品なのですが、残念ながら現実世界の写し鏡としてのSFの域には達していません。舞台となる未来社会の文化・風俗の描写が甘いのです。みなさんおっしゃっているように主人公が人工心臓を入れるに至った経緯にしても、「なんで労災が適用されないんだよ」という当然の疑問が湧いてくるし、そもそも猫も杓子も多額のローンを組んでまで人工臓器を入れている理由がよくわかりません。ローンを滞納したために命を奪われることとなった人々の悲壮感も薄く、あらゆる面でイマイチ踏み込めていないという印象です。
[DVD(吹替)] 6点(2011-05-09 19:13:17)
616.  サイダーハウス・ルール 《ネタバレ》 
この監督さんの映画作りはうまいので鑑賞中はそれなりに楽しめたのですが、この映画の根本的な主張にはまったく共感できませんでした。。。リンゴ農園で黒人労働者が住まう通称「サイダーハウス」には小屋のルールがあるのですが、実際にサイダーハウスに住んだことのない農園主が考えたルールなのでその内容はあまりにバカバカしいものでした。それに対して黒人労働者達は「サイダーハウスのルールはサイダーハウスに住んでる人間自身で決めるべきだろ」と言い出すのですが、それこそがこのタイトルの由来。そんなタイトルが示す通り、本作の登場人物達は好き勝手にマイルールを考え出し、もっともらしい言い訳をしながら生きていきます。トビー・マグワイア演じる主人公は「自分こそがこの孤児院にもっともふさわしい人間だ」と言って学歴詐称、医師免許偽造を働き、マイケル・ケイン演じる老医師は、お気に入りの主人公が兵隊にとられてはかなわんと彼の病歴を偽装し、シャーリーズ・セロン演じる若いお姉ちゃんは、「寂しがり屋の私を置いて戦地へ行った彼氏が悪いのよ」と言って浮気をします。どいつもこいつも言ってることがメチャクチャ、こんな自分勝手な人間ばかりでは世の中は成り立ちません。特にシャーリーズ・セロン演じるバカ女には「パール・ハーバー」のバカ女に通じる突き抜けた頭の悪さがあって目が離せませんでした。お国のため必死に戦っている彼氏がいるのに、安全な祖国で被害者面して平然と浮気。本作の当時上映には「シン・レッド・ライン」をお勧めします。ガダルカナル島で必死に戦っている最中に、祖国の妻に浮気をされたスタロス大尉の雄姿に注目してください。
[DVD(吹替)] 4点(2011-05-08 22:24:19)
617.  愛を読むひと 《ネタバレ》 
演技は良い、撮影も良い、テーマも良い、映画全体も上品にまとまっていて、いかにも賞レースで評価されそうな要素を多く持っているのですが、惜しいところで良作になり損ねたという印象です。スッキリしなかったのはマイケルの心理描写が雑だったことで、彼の葛藤は何となく推測できるものの、それをエモーショナルなドラマに昇華しきれていませんでした。レイフ・ファインズという瞳だけで演技のできる俳優に終始頼りっぱなしで、作り手の側がマイケルの心情を整理しきれていなかったことがその原因。冒頭、恋人から「あなたの気持ちがわからない」と言われたところからマイケルの回想が始まりますが、映画を観終わってところでハンナとの関係がマイケルの人格形成にどう影響したのかがまるで見えてきません。ひと夏の経験が少年の人生をどう変えたのかを表現できていないのでは、この題材の映画化作品としては失敗でしょう。オスカーも納得のケイト・ウィンスレットの熱演や、一風変わったホロコーストネタの料理(ホロコーストに関わった者を単純に断罪するのではなく、無知ゆえに殺戮に加担した者を罪に問うべきかという珍しい問いかけがなされます)など良い点は多くあるのですが、主人公マイケルの人物像がブレブレでは話になりません。
[DVD(吹替)] 5点(2011-04-24 16:51:07)
618.  ダウト ~あるカトリック学校で~ 《ネタバレ》 
主要キャストが揃ってオスカーにノミネートされたことも納得いくほどの演技合戦は大変見応えがあります。みんな上手いです。そして、その中心に立つメリル・ストリープはとんでもなく上手いです。あまりに上手すぎてハナに付くくらいに上手い。デ・ニーロやパチーノといった同世代の名優達が過去の栄光を切り売りして小銭を稼ぎ、マジメに仕事しなくなっている21世紀において、これだけ真剣に演技に取り組む姿には尊敬の念すら覚えました。そして、そんなストリープを相手にするホフマンも上手い。この人はちょっと変わった脇役として存在感を示す程度の役者さんだったのですが、本作では一方の主役を務め、重厚感すら漂わせる超一流の演技派俳優に成長しています。主役二人のホットなやりとりを見るだけで、アクション映画数本分のスリルを味わうことができます。さらに、脚本の出来も上々です。本作は善悪の判断を観客に投げかけるタイプの作品であり、見終わった後にもテーマを咀嚼し、自分なりの答えを探すという楽しみが残されています。対立する校長と神父はどちらも正しいし、どちらも間違っている。物語上は校長側の言い分が勝ち、神父が身を引くという形で決着がつけられましたが、そもそも神父は悪いことをしていたのか?彼は少年を無理に犯したのではなく、相互に愛情を育んでいました。人種的にも性的にもマイノリティという究極の孤立無援状態にあった少年にとっては、神父は彼の生きる世界で唯一の理解者であり、また鉄板のように強力な保護者でもありました。神父からの愛情が少年を救い、その人生を良い方向へと導いていたのです。確かに、神父は未成年の生徒と深い関係を持つという重大なルール違反を犯しましたが、彼のルール違反は誰かを傷付けているどころか、被害者とされる少年に良い影響を与えていたのです。対する校長の言い分は額面上は正しいものですが、少年から神父を奪うことが本当に正義だったのかは疑問です。また、結果的には校長の持った疑いは正しかったものの、その疑いの発端は真実の究明ではなく「考え方の合わない神父のアラを探す」という点にあったことから、図らずも校長の浅ましさが露呈される結果にもなっています。正しい行いとは何なのか、清廉潔白な生き方とは何なのかを考えさせられる非常に優れた作品だったと思います。
[DVD(吹替)] 8点(2011-04-08 22:18:33)(良:1票)
619.  リダクテッド 真実の価値 《ネタバレ》 
ヨーロッパの映画祭で絶賛された一方でアメリカ本国では強い反発を招いた作品ですが、映画としてはよく出来ています。とにかく素晴らしいのがデ・パルマの演出で、40年超のキャリアを誇るハリウッド屈指のベテラン監督とは思えないほどの若々しい演出を披露。最近流行りの主観的映像による疑似ドキュメンタリースタイルを積極的に採り入れ、それをいとも簡単に自分のものとして操ってしまうフットワークの軽さには驚きました。監督名を告げられずに本作を見て、これがデ・パルマ作品だと気付く人間はこの世にいないでしょう。デ・パルマについては、そのテクニックのすべてをぶち込んだ究極の犯罪ノワール「ファム・ファタール」を見た時点で「この監督は今後何も撮れなくなるだろう」と思ったのですが、まさかこのような形で戻ってくるとは思ってもみませんでした。さらに、デ・パルマ自身による脚本の出来も上々です。確かにアメリカ兵の悪い面ばかりが強調されており、アメリカ人にとっては胸糞の悪くなる内容ではあるのですが、ともかくイラク戦争というものの一側面を伝えることには成功しています。アメリカ本国であれば刑務所に入っているべき人間が従軍し、銃を持たされていること。教養がなく的確な状況判断を下せないような人間に、場合によっては一般市民を射殺することが肯定されるほどの権限が与えられていること。戦争の正当性を守るために、軍はそうした兵士たちが起こす数々のトラブルを揉み消していること。本作が公開された当初は「あまりにも誇張され過ぎている」という批判が起こりましたが、後にウィキリークスによって公開された、アメリカ兵が冗談を言いながら一般市民を射殺する映像を見るにつけ、本作の内容はイラクの実状にかなり肉薄したものだと評価できます。さらに、狭い舞台、限定された登場人物の中において、ここ10年繰り返されている報復の連鎖を伝えることにも成功しています。状況判断を誤ったアメリカ兵がイラク人の妊婦を射殺してしまう→報復テロに遭い、尊敬する上官が部下の目の前で爆殺される→兵士の中にイラク人を敵視する感情が芽生える→テロとは関係のないイラク人家庭を襲撃し、レイプの末に一家を惨殺してしまう→犠牲者の遺族がテロ組織に入り、さらに過激な報復を行う。オスカーを受賞した「ハート・ロッカー」よりも的確な作品ではないかと思います。
[DVD(吹替)] 8点(2011-04-08 21:15:57)(良:2票)
620.  トリプルX
公開時には「面白いアクション映画」と評価されていた作品ですなのが、これがまったく面白くありません。最大の問題は主人公ザンダーを「気の良い悪党」にしてしまったことで、このために「毒を以て毒を征す」という作品の基本的なコンセプトが死んでしまっています。スパイ版「特攻大作戦」をやるつもりの企画だったのに、ごく普通のアクション大作に終始しているのです。さらには、監督の平凡な手腕も作品の足を引っ張っています。スタントマンによる生身のアクションを見せることが本作の売りのひとつであり、実際、撮影中には死亡者を出しているほどの無茶をして撮られた作品なのですが、完成した作品からはそのような迫力がまったく伝わってきません。これは明らかに監督の見せ方に問題があって、もう少しわかっている監督が撮っていれば、まったく違う迫力の作品になったことと思います。
[DVD(吹替)] 3点(2011-02-27 21:25:06)(良:1票)
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