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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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801.  サドン・デス(1995)
柄にもなくいいお父さん役にトライしてた我らが兄貴。久しぶりに同窓会にでも行ってきて、同級生に影響されたんでしょうか?
5点(2004-08-05 16:31:19)
802.  スペシャリスト(1994)
私の中では、裸があるだけで映画の評価があがるのです。   【2013/5/29 ブルーレイにて再見】 90年代は爆破アクションの時代でしたが、格闘も銃撃もカーチェイスもなく、見せ場を爆破のみに絞った映画は本作くらいのものでした。そんな硬派な企画意図を具体化できるよう、監督に選ばれたのは『山猫は眠らない』で緊迫感溢れる演出を披露したルイス・ロッサ。さらには、撮影監督にはトニー・スコットのお抱えだったジェフリー・L・キンボールが雇われ、ロッサの土臭さをキンボールのスタイリッシュな映像でうまくカバーするという面白い布陣となっています。スタッフ選びについては、なかなか気が利いていると思いました。。。 問題はキャスティングに無理があったことでしょうか。スタローンは、爆弾を用いた暗殺のプロという役柄には絶対に合っていません。敵との正面対決を避け、夜な夜な爆弾作りに勤しむスタローンの姿など見たい人はいないでしょう。また、憎まれ役であるジェームズ・ウッズとの間において俳優としての力量の差がはっきりと出てしまっており、「なぜこのポジションにスタローンがいるのか?」という違和感が最後まで拭えませんでした。さらには、シャロン・ストーンを加えたことでエロという新たな軸が出来てしまったことも、作品の方向性に混乱をもたらしています。ストーンの顔と声に惚れてしまったがために技術を安売りするスタローン、、、『スペシャリスト』というタイトルが冗談に思えてしまうほど安っぽい話に成り下がっています。序盤では「俺は依頼人には接触しない」とかっこいいことを言っていたのに、結局はシャロン・ストーンの魅力に負けてホテルで一泊してしまい、その結果、窮地に立たされてしまうスタさん。何とも恥ずかしいスペシャリストではありませんか。 
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2004-08-05 12:43:55)(笑:3票) (良:1票)
803.  アウト・フォー・ジャスティス
「刑事ニコ」「ハード・トゥ・キル」「死の標的」、そしてこれの区別が完璧につくことが、私の自慢です。セガール映画はいつも同じですからね。下町が舞台、場末の飲み屋で無意味に乱闘(因縁をつけるのはセガールの方)、ボロい車でカーチェイス、クライマックスでは敵をボコボコにする。ちなみにテロリストものになると「現場にはセガールがいるのか、やったー」と喜ぶ司令部も入ってきます。てなわけですけど、とくに今回の敵は悲惨でしたね。確かにどうしようもないワルではあるんですけど、ラストではもうアクションというカテゴリーが通用しないほど一方的に殴られてました。「セガールさん、もうそれぐらいでカンベンしてあげて」って思いましたよ。
5点(2004-07-08 16:43:12)
804.  サンゲリア
この映画の尋常ではないスプラッターには、正直ひいてしまいました。おぞましすぎるよ。ただ、見る者に不快感を与えるという意味で、この映画はホラーとしては成功しているわけでして。やっぱりすごいのはサメVSゾンビ戦です。ある意味ハリー・ポッターよりもミラクルでした。どう見ても本物のサメが泳いでるってのに、それでもゾンビ演技に徹しようとするスタントマン根性には頭が上がらない名シーン。たしかに、画面からはゾンビらしからぬ必死さは伝わってきましたが、本当に命をかけて映画史上オンリーワンの難役をこなしたわけで、私的にはあのゾンビにアカデミー賞10年分を送りたい気持ちです。
5点(2004-07-06 12:30:28)
805.  オールウェイズ 《ネタバレ》 
同時期に製作された『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』と同じく導く者と導かれる者の物語であり、あちらが導かれる側の視点であれば、こちらは導く側の視点でした。 死んだ熟練者には後進育成の義務がある、死者は生者と直接のコミュニケーションはとれないが深層心理に影響を与えることはできるという本作独自のルールはユニークだと思うのですが、残念ながら面白さには繋がっていないように思いました。 死者と生者という立場の違いを設けることで、若い人間に言いたいことがなかなか伝わらない年長者の苦悩という普遍的なテーマを扱ったものと思うのですが、主人公・ピートがコミュニケーションで悩んでいる様子を見せないために、この要素はほぼ死んでいます。しばしば比較される『ゴースト/ニューヨークの幻』ではコミュニケーションというテーマが掘り下げられていたことを考えると、本作はツメが甘いと感じました。 また、パイロット養成学校への入学時のドタバタや、レイチェルと良い感じになりそうなところでムードぶち壊しの話をしてしまう件などから本来のテッドは残念なイケメンであることが伺え、そんなテッドが逞しく成長していく過程にこそドラマが生まれたはずなのですが、この点もさほど掘り下げられていません。気が付けばテッドはパイロットとして一流になっているし、レイチェルに誘われた時にはダンスを断っていたテッドが、ドリンダと良い感じになった時には逆に誘う立場になっている。この辺りはピートによる指導の賜物という見せ方になっていればいいのですが、何か重要な場面を見落としたかと思うほどテッドが唐突に成長するために、特に感じるものがありませんでした。 ピート・ドリンダ・テッドの三角関係もうまく機能していません。レイチェルとの関係を進展させてやりたくてピートは口説き方や立ち居振る舞いをテッドに指導していたが、事もあろうにドリンダがピートの面影を持つようになったテッドに惹かれるようになった。ピートとしては現世に残した元カノが誰かのものになるなんて受け入れられないが、そうはいっても死者の自分がドリンダを幸せにすることもできないので、最終的にはドリンダとテッドの仲を祝福することにした。これが本来意図された図式だと思うのですが、まずピートがどの程度テッドに影響を与えたのかが不明確であるために、ドリンダがテッドに対して抱く思いに唐突感がありました。また、後進を育てたことが一時的にでも自分の悩みの種になるという因果な物語にもできておらず、こちらの要素も不発に終わっています。 スピルバーグのキャリアを振り返ると師弟関係をテーマにした作品はほとんどなく、天才として20代前半から活躍してきたスピには理解できない分野なのかなと思いました。同様に恋愛映画もほとんど作っていませんが、こちらも不得意分野なのでしょう。スピにとっての不得意が二つも重なってしまった本作は、非常に残念な出来に終わっています。
[インターネット(字幕)] 4点(2018-07-17 18:55:53)(良:1票)
806.  ストリート・オブ・ファイヤー
ウォルター・ヒルが少年期に好きだったものをブチ込んだ作品ということなのですが、確かにロックにバイクに軍隊上がりの凄い奴と、アメリカの男子の大好きなものが目いっぱいに詰め込まれています。さらには、物語は極めてシンプルであり、敵は同情すべき背景を持たない純粋悪だし、主人公の恋敵は粘着質の嫌な野郎で、理解の簡単な勧善懲悪の物語に徹しています。また余計な陰惨さは与えないよう、誘拐されたヒロインが暴行されたりはしないという青少年に対する配慮もばっちりであり、まさにアメリカの若い世代に全力でアピールした作品であると言えます。 そんなサービス精神満載で制作されたにも関わらず、アメリカではウォルター・ヒルの前作『48時間』の1/10程度の売り上げに留まるという大コケをしており、観客からは完全にソッポを向かれてしまいました。10代しか喜ばないような浅い内容であるにも関わらず舞台は50年代風の街に設定されており、若者を喜ばせたいのであれば世界観が古すぎたし、おじさんたちの懐古趣味に付き合いたいのであれば大人の鑑賞にも耐える内容にすべきだったし、どの観客の方向にも振り切れていない中途半端さが良くありませんでした。 現在の目で見ると、キメキメでやっていることが心底ダサく感じるという問題もありました。私はこの映画の世代ではないためか、冒頭のライブで「おぉ、ダサい」と感じてしまい、そこから先は全部ダメでした。楽曲がダサすぎてダメな場面もあれば、楽曲は悪くないのに演出がやりすぎてダサい場面もあって、基本的にはずっとダサかったです。また、主人公への恋心が募るほどに男勝りな態度に出てしまうサイドキックと、そんなサイドキックの思いにまったく気づかない鈍感なヒーローという図式にも悪い意味で80年代っぽい古臭さがあったし、作風に合わせて当時の若者言葉に寄せた日本語字幕(担当したのは女帝・戸田奈津子さん)もダサさを余計に助長していました。 当時、CEOのマイケル・アイズナーが旗振り役となった「ハイコンセプト(内容を一言で説明できる分かりやすい企画)」により売上を拡大したパラマウントの手法をユニバーサルが真似て作ったのが本作だったのだろうと思います。脚本が悪すぎるという指摘はあったものの、「本作については、脚本の出来は問題ではない」とジョエル・シルバーが言っていたという話からもそうした製作者側の意図は推して測れるのですが、パラマウントがエイドリアン・ラインやトニー・スコットといった高い映像感覚を持つ監督を使っていたのに対して、本作はウォルター・ヒルという泥臭いタイプの監督に任せてしまったことが、そもそものボタンの掛け違いだったように感じます。 さらには、ウォルター・ヒルが監督しているのにアクション映画としても締まりがないという大問題もありました。まず眠たそうな顔のマイケル・パレでは軍隊上がりの凄い奴には見えないし、またウィレム・デフォーは顔のインパクトでこそマイケル・パレを圧倒しているものの、サシで勝負させるとめっぽう弱く、強そうに見えないヒーローが顔色一つ変えずに見掛け倒しの悪党を終始圧倒し続けるというアクション映画では、さすがに面白くなりません。 さらには、暴走族に誘拐されたヒロインが恐怖の表情を見せておらず、このことが救出劇にエモーションが伴わない原因となっています。ダイアン・レインは本作を含む複数作品の不振により一時期は引退状態にまで追い込まれましたが、確かに本作では顔が綺麗なお人形さん程度のパフォーマンスしか見せられておらず、これでは女優としてのキャリアの仕切り直しもやむを得なかったかなと思います。
[インターネット(字幕)] 4点(2018-07-09 18:46:08)
807.  スイッチバック 《ネタバレ》 
どこの誰だか分からない少年が誘拐される冒頭に始まり、ヒッチハイカー・ジャレッド・レトとエロ本大好き・ダニー・グローバーの珍道中に、市警・保安官事務所の縄張り争いに、何か裏がありそうなFBI捜査官・デニス・クエイドの登場など、多くの構成要素が提示される前半部分の引きは強く、サスペンスアクションの佳作以上にはなるのではないかという期待を抱きました。特にジャレッド・レトとダニー・グローバーのドラマについては、おそらくどちらかが犯人なのだが、双方に怪しい要素があるのでどちらをクロとも決め付けられないという微妙な空気の中で様々なイベントが起こるため、その度にハラハラさせられました。この辺りは、当該ジャンルを得意とするジェブ・スチュワートの面目躍如といったところでしょうか。 ただし、中盤に差し掛かっても一向に話の収束する気配がなくて「本当にこの話は終わるのだろうか」と不安になり、さらにはその後唐突に犯人が明かされて突然締めモードに入るというめちゃくちゃ下手くそな後半ですべてが台無しになりました。この辺りは、脚本だけでなく製作総指揮も監督もすべてジェブ・スチュアートが担当し、完全に「俺の映画」として制作されたために、第三者的な視点で作品全体が精査されなかったことが原因ではないかと思います。この人の経歴を振り返るとおおよその仕事ぶりが見えてくるのですが、元はスティーブン・E・デ・スーザとフランク・ダラボンが執筆した『コマンドー2』の脚本を直して『ダイハード』を仕上げたり、デヴィッド・トゥーヒーがオリジナルを書いた『逃亡者』の脚本を撮影現場に張り付いて手直ししたりと、誰かの仕事を引き継いで完成版へと繋げるという作業にこそ能力を発揮する人物なので、一から作品をクリエイトするということは難しかったようです。 また、グダグダになった後半以降は豪華キャストも無駄遣い状態となっています。まずダニー・グローバー演じるボブの人物像がまったく理解不能。彼は快楽殺人を犯すシリアルキラーであり、自分を追うFBI捜査官との駆け引きをゲームとして捉え、そのゲームの延長線上で捜査官の息子を誘拐したが、殺さずに何か月も手厚く面倒を見ていたり、何かあったらこの子の後見人になってくれとジャレッド・レトに頼んだりもする。そもそも人望はあるようで地元に友達は多いのだが、家族ぐるみの付き合いのある友達をさほど切羽詰まった状況でもないのに口封じのために殺したりと、良い奴なのか悪い奴なのかが不明で、行動原理もよくわからない人物となっています。シリアスもコメディもいけるダニー・グローバーのようなうまい人をキャスティングできているのに、観客にこの人物をどう受け取って欲しいのかを監督が決められておらず、どうにも腑に落ちないキャラクターに終わらせています。 また、デニス・クエイドがモゴモゴと変な喋り方をしているのも気になったのですが、どうやらこれ、ジェブ・スチュアートの第一希望であったスティーブン・セガールをキャスティングできず、仕方なくデニス・クエイドが主演になったという経緯によるもののようです。クエイドがハリウッドに返り咲き、セガールがVシネ俳優になった現在からは信じられないのですが、もっと豊かな演技のできるクエイドから表現の幅を奪い、演技の幅が極端に狭いセガールの真似事をさせるというあまりに勿体ない使い方となっています。 その他、途中までは魅力的だったリー・アーメイ保安官がクライマックスに関係していなかったり、ウィリアム・フィクトナーに至っては見せ場がまったくなかったりと、総じて俳優をうまく動かせていませんでした。
[インターネット(字幕)] 4点(2018-06-26 18:18:14)
808.  ゴーストバスターズ(2016)
オリジナルは人気が絶頂に達していたサタデーナイトライブのメンバーを中心にやや脱力系の笑いを取り入れながらも、ルーカスやスピルバーグが使っているのと同等レベルのVFXがそこに同居し、コメディだからと言ってまったく手抜きはしていない、センスの良い大人達が締めるべきところはきっちりと締めながら作った楽しい娯楽作という点に特徴があったと思います。クライマックスのマシュマロマン登場なんて、笑いとテクノロジーとスペクタクルが高い次元で融合した見せ場となっており、作り手もノリノリだったことが画面越しにも伺えました。 リメイクの本作もサタデーナイトライブの人気者をメインキャストに配置しており、オリジナルと同じ方向性を意図した作品であることは分かるのですが、80年代特有のユルさのままいくのか、それとも今の感性で再構築するのかを決め切れておらず、こちらは作り手の迷いが透けて見える作りになっています。女性コメディアン達はレイティングを気にしてか毒を吐ききっておらず、本業が役者であるはずのクリス・ヘムズワースがほとんどの笑いを取りに行っているという有り様。ただしそのヘムズワースの存在も断片的な笑いをとっているに過ぎず、映画全体をパっと明るくし、全体に勢いを与えるという方向では貢献していません。 そして致命的だったのが、もはやゴーストを描いたところで観客は驚かないほど映像技術が飽和状態にあるということ。オリジナルの評価には「これだけ凄いものを見せてくれてありがとう」という感動が相当含まれていたのですが、そもそも本作はそこで勝負できない作品だったというわけです。そして案の定、スペクタクルとしては何のサプライズもない仕上がりとなっていました。21世紀の観客の度肝を抜くような何かがあれば良かったのですが。
[インターネット(吹替)] 4点(2018-05-30 02:54:40)(良:4票)
809.  パージ:大統領令 《ネタバレ》 
密室劇の『パージ』→街全体を舞台にした『パージ:アナーキー』の繋がりには正当進化という趣があり、『アナーキー』の満足度は実に高かったのですが、舞台が拡大しきった『アナーキー』の焼き直しにならざるをえなかった本作『大統領令』は、シリーズ内における立ち位置の時点で分が悪かったと言えます。実際、ヴィジュアル面での新鮮味がなく、第三弾にしてこのシリーズは失速を始めています。 また、『アナーキー』のレビューでは政府と反政府組織の対立という要素をまるで扱いきれていない点を指摘しましたが、本作でいよいよ物語の中心にやってくるこれらの要素にほとんど魅力がなかった点も、本作の評価を下げる要因となっています。パージ制度を創設した独裁政権・これを倒そうとする野党の大統領候補・レジスタンス的な活動家という三者が登場するのですが、パージ法という独創的な着想と比較するとこれらの要素は紋切り型で面白みに欠けており、むしろ物語のテンションを下げる方向に作用しています。 また、『アナーキー』には完全武装で人殺しをレジャー化する富裕層と、満足な自衛手段を持てない貧困層という分かりやすい対立構造があって、圧倒的に不利な状況にある貧困層が富裕層を返り討ちに遭わせるという点にマンハントものの伝統的なカタルシスが宿っていたのですが、本作ではスーパーの店主vs万引き女子高生に代表されるように「貧困層vs貧困層」「有色人種vs有色人種」の図式が挿入されたり、貧困層側もある程度団結して自衛手段を講じるようになっていたりと、せっかく前作にあったカタルシスを得やすい構図がわざわざ崩されています。これは残念でした。 本作は興行的に大成功し、第4弾やテレビシリーズ化の企画もあるようなのですが、本作でこの企画のポテンシャルの限界は見えてきたかなと思います。
[インターネット(吹替)] 4点(2018-02-23 20:03:34)
810.  スプリット 《ネタバレ》 
興行成績が絶好調だった『サイン』までの初期3作品だけでなく、ラジー賞ノミネートの『レディ・イン・ザ・ウォーター』、超低予算の『ヴィジット』までを評価しており、シャマランに優しい観客を自認している私なのですが、本作は楽しめませんでした。 まず、密室スリラーとしてまったく洗練されていません。被害者3人に対して加害者側は男性とはいえたった一人。しかも線の細いジェームズ・マカヴォイなので、本気で立ち向かえば何とかなるんじゃないかというシチュエーションに見えてしまっています。3人がかりで加害者に襲い掛かるが、思いもよらぬ反撃を受けて被害者にも観客にも「こりゃ完全にダメだ」と思わせるような展開を序盤に入れておく必要があったのではないでしょうか。また、密室内の被害者の様子と、家の外での加害者の様子を順番に見せるという構成のために、緊張感が持続していません。 オチの付け方も微妙。幼少期に性的虐待を受けたという被害者側の回想シーン(本筋とはほぼ無関係)の挿入は、観客に脳内オチを連想させるというミスディレクションの目的だったと思うのですが、あまりにしつこ過ぎてその意図がバレバレになっているし、そこまでして隠してきたオチが狼人間というのもサプライズになっていません。驚くよりも「ここまで引っ張って、それ?」という落胆の方が大きかったです。 良かったのはラスト、世界中が忘れかけていたアンブレイカブルさんの登場のみでした。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2018-01-27 02:32:48)
811.  バーニング・オーシャン 《ネタバレ》 
オスカーノミネートの視覚効果は確かに素晴らしいし、従前より音響へのこだわりの強いピーター・バーグ作品だけあって音の迫力も充分であり、映像体験という点では充実した作品だったと思うのですが、肝心のお話の方がイマイチでした。 利益優先で安全対策を怠った元請けが悪、元請けからの圧力を受けながらも現場でギリギリ頑張る下請けを善とした単純すぎる色分けがかえって問題を軽くしているし、かといって感情移入可能な登場人物も少なく、ドラマはほぼ失敗しています。多額の資金が投じられたプロジェクトにおいて遅延したスケジュールを取り戻さねばならない元請け側の苦悩も描けば社会派ドラマとしても群像劇としても厚みが出ただろうと思うのですが、ほぼ連続で製作された『パトリオット・デイ』と並んで、脚色過程での単純化が失敗した例だと思います。 また、『パトリオット・デイ』もそうだったのですが、ピーター・バーグは現実の事故の被害者全員のドラマを盛り込もうとするものの、その構成力が追い付いておらず、画面上にたまに登場はするが観客の側で情報の整理が出来ていないキャラクターが何人かいるという事態が発生しています。こんなことならば主人公と直接かかわり合いを持つキャラクターのみに登場人物を絞るべきだと思います。 さらには、見せ場におけるスリルの醸成にも失敗しています。事故前、パイプで異常値が出ていることを示すためにいくつかのゲージが大写しにされ、その目盛が上がったり下がったりするのですが、それらが何を示しており、数字がどのレベルに達すると危険なのかという情報が観客に対して分かりやすく提示されていないため、目盛を見ながら観客もドキドキするというこの手の映画でお決まりの展開が全然決まっていません。さらには舞台となる採掘基地内部の位置関係が分かりづらく、誰がどこにいるのか、そしてどの方向を目指さなければならないのかが判然としないため事故発生後のサバイバルアクションも締まっていません。「とにかく上を目指すのだ」という明快な構図を置いた『ポセイドン・アドベンチャー』がいかに優秀な作品であったかが、本作のような出来損ないのパニック映画を見ると非常によく分かります。 真面目な風体ではあるものの、その実態は同監督作の『バトルシップ』と並ぶゆるゆる映画だったように思います。ただし『バトルシップ』は笑いながら見てあげられる映画ではありましたが、本作にはそうした可愛げもない分、評価は厳しめになってしまいます。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2018-01-16 23:19:06)
812.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 《ネタバレ》 
アウトローを主人公としているにも関わらず「毒を以て毒を制す」というそもそものコンセプトは前作以上に希薄化しているし、仲間だの家族だのと主張しすぎることもかなりめんどくさかったです。そういったキーワードをわざわざ台詞で言わなくても、見ている側にはちゃんと絆が伝わるように見せることこそが、演出の妙なのではないでしょうか。 また、殴り合いで戦ってきた主人公がラストで突然覚醒し、それまでとはレベルの違い過ぎる技を何の訓練もなくいきなり繰り出すという展開が私は大嫌いなのですが、本作はまさにそれをやっちゃってる点もマイナスでした。 さらには、スターロードが突出した能力を手にするとチーム内の持ちつ持たれつの関係が成立しなくなり、一人で事に当たればいいんじゃないのとなってしまうし、彼を神の子とした展開は完全に誤りだったと思います。なお、原作においてはエゴとスターロードの間に血縁があるという設定はなく(原作では宇宙帝国の皇子がスターロードの父親だった)、この神の子設定は映画オリジナルだったようです。 吹き替えで見ると、ゲスト出演のスタローンとハッセルホフの声優がともにささきいさおさんだった。この点だけが面白かったです。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に向けて重要なピースである以外の存在価値を感じない作品でした。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2018-01-05 20:13:05)(良:2票)
813.  マギー
90年代、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』に影響を与えた『地球最後の男』のリメイク企画がシュワルツェネッガー主演×リドリー・スコット監督で企画されており、当時高校生だった私は、シュワがゾンビを豪快に蹴散らす様がリドリー・スコットの美意識で描かれるこの企画に心躍ったものです。しかし、当時はシュワの興行成績に陰りが出始めた時期だったし、スコットもヒットから遠ざかっており、さらには『タイタニック』の製作費高騰に歯止めが利かなかったという経験がハリウッドの各スタジオに大作自粛ムードを作っており(『タイタニック』は結果オーライだっただけで、歴史的ヒット作がそう簡単に出るはずがない)、とんでもない製作費が計上されていたこの企画はボツにされたのでした。 その後、20年を経てついにシュワとゾンビのコラボレーションが実現したのが本作なのですが、「この企画になぜシュワが」という違和感が終始漂う90分でした。シュワがゾンビをなぎ倒すことはなく、終始無言で悩んでいるのみ。これってシュワに期待されている役柄ではないし、この役をもっとうまくやれる役者はいくらでもいます。 シュワは親友・スタローンのように枯れへの移行を目指しているのでしょうが、キャリアに低迷期はあってもブランク期はなかったスタと、俳優として完全に活動していない時期のあったシュワとでは経験に差があるし、ロッキーやランボーといったほぼ分身と言えるキャラを通して枯れへと移行したスタと比較すると、単発企画でイメージチェンジを果たさねばならないシュワは、やはりハードルが高かったと言えます。 とはいえ、2011年のブラックリストにも載った実績があるだけに、脚本自体は良かったと思います。難病もののドラマ構成をゾンビのいる世界に置き換えたアイデアは光っているし、世界観の細かな作り込みにも目を見張るものがいくつかありました。ゾンビ化という現象が特段珍しいものではなく、「あの家のお子さんもゾンビ化しちゃったのね。かわいそうに」くらいのテンションで語られるという世界観はかつてなく、ゾンビ化の過程にある人々もある程度社会的な暮らしを営んでいるという設定は面白いと感じました。主人公の娘・マギーもまたゾンビ化を隠すことなくパーティーに出るし、迎える側も「噛むようにならない内は、まだまだ友達」という付き合い方をしています。 マギーを演じるアビゲイル・ブレスリンは相変わらずの芸達者で、この珍しい世界観をほぼ一人で体現しています。ただし、その上手さによって余計にシュワが下手に見えるという別次元の問題を引き起こしてはいますが。
[インターネット(吹替)] 4点(2017-12-28 14:58:10)(良:1票)
814.  完全なるチェックメイト
チェス映画という前代未聞のジャンルを切り拓いた作品ではあるのですが、何が凄いんだか観客には伝わりづらい上に、そもそも画が地味という映画としては致命的な欠点を孕んだこの題材を真正面から取り扱うことは避けており、特殊な環境に置かれた天才が精神を病んでいく物語として全体が構築されています。チェスをまったく知らなくても何ら問題がないというレベルにまでこの題材を落とし込んでみせた監督と脚本家の工夫には恐れ入りました。 ただし、映画としてはまったく面白くありませんでした。頭のおかしい人が暴言や妄言で周囲をひっかき回すだけの内容で、誰にも感情移入ができないのです。フィッシャー以上のストレス下に置かれながらも紳士的な態度を維持できていたスパスキーとの違いなどの考察があれば面白かったのですが、二人の天才の関係性もやたら淡泊で描写が不十分だったので、盛り上げるべきポイントを逃してしまっています。トビー・マグワイアが狂気の天才役を演じる自分の姿を撮らせたくて、自分で製作費を集めて作った映画なのだから仕方ないのかもしれませんが、狂人だけを描いても映画は面白くなりません。むしろ、レクター博士の如く狂人は脇役にしてしまい、狂人に振り回される人達を表面上の主役にしてしまった方が、その存在は立ったのかもしれません。
[インターネット(吹替)] 4点(2017-10-14 01:41:35)(良:1票)
815.  ザ・マミー/呪われた砂漠の王女
多くの方が指摘されている通り、お話は『スペース・バンパイア』にそっくりです。女性モンスターが精気を吸い取るという描写のみならず、主人公の男性がその女性モンスターの眠りを覚ましてしまったという点や、その男性が女性モンスターに選ばれた者であるという点もまったく同じ。超常現象でロンドンが大損害を受けるという点も共通しており、小学生時分より『スペース・バンパイア』を傑作だと信じている私としては、ついに時代が追い付いたかと感慨深いものがありました。 ただし、『スペース・バンパイア』には確かにあった恐怖という感情が、本作ではほぼ失われているという点は致命的でした。大変な金をかけて作られたミイラ達が全然怖くないんですよ。ダークユニバースは一応ホラー要素のある作品群であるはずなのに、ホラー映画としてまるでダメなのでは話になりません。このままでは『リーグ・オブ・レジェンド』や『ヴァン・ヘルシング』といった失敗作と同じ轍を踏むのではないでしょうか。 また、話が異常に分かりづらかったという点も、大きなマイナスです。蘇った砂漠の女王は何をしようとしているのか、そして主人公たちはどうやってそれを防ごうとしているのかという基本的な情報すらうまく伝わってこないため、特にクライマックスの追っかけは一体何やってんだかよく分かりませんでした。アレックス・カーツマンを筆頭にデヴィッド・コープ、クリストファー・マッカリーとハリウッドトップクラスの脚本家が名を連ねながら(なお、3名全員が『ミッション・インポッシブル』シリーズに関わった経験を持っています)、これだけ雑な仕事をするものかと驚きました。ま、話がまとめられなかったからこそ、大勢の脚本家が雇われたとも言えますが。
[映画館(字幕)] 4点(2017-08-12 23:34:23)
816.  ナイスガイズ! 《ネタバレ》 
バディもの、壊れかけた家庭、目の前の事件を追っているうちに巨大な陰謀に行き着くという展開、シェーン・ブラックの脚本は『リーサル・ウェポン』以来、ほぼこのパターンに当てはめて作られているのですが、本作もその例外ではなく「いつものブラックだなぁ」という感じでした。さらに、全体の軽さや不謹慎ギャグのレベルは『キスキス・バンバン』と非常に近く、本作において特に突出した部分はないように感じました(なお、本作にチョイ役で出てくる映写技師の青年はヴァル・キルマーの息子、ポルノ映画のプロデューサーの死体はロバート・ダウニーJrが演じてるらしいです)。 また、ブラックの初期作品には強烈な毒があり、『リーサル・ウェポン』『ラスト・ボーイスカウト』『ロングキス・グッドナイト』などは人生の最底辺で苦しみ、他人から避けられたり軽蔑されたりしている主人公の痛みであったり、捨て身の戦いの中で尊厳を取り戻すという熱いドラマが込められていたため、私はそれらの作品が大好きでした。しかし、本作ではその要素のみがスッパリと落とされています。おっぱいは出てくるし、死体で笑いをとるし、見てくれは過去最高にアダルトなのですが、ドラマの本質部分における毒がほとんどなくなっていた点はかなり残念でした。 さらに、本作は導入部がめちゃくちゃに分かりづらいという大きなマイナスを抱えています。ライアン・ゴズリング演じるマーチは、事故死したポルノ女優の叔母さんから「死んだはずの姪を見かけたから探して欲しい」という依頼を受けたが、そのポルノ女優の死亡は確実であることから、叔母さんは別の女性と見間違えたと考え、現場の記録から割り出したもう一人のポルノ女優・アメリアを追っています。他方、ラッセル・クロウ演じるヒーリーは、「自分を追っているマーチを脅して、もう来ないようにして欲しい」とアメリア本人からの依頼を受け、マーチ宅を訪れます。これが主人公二人の出会いなのですが、ここから二人揃ってアメリアを探し始めるという状況が物凄く分かりづらいのです。数日前に会ったばかりのアメリアを探すヒーリーってバカなのかと。 また、マーチと娘・ホリーの関係性も最初は良く分かりませんでした。酔いが醒めたマーチにホリーが電話をかけてくる場面が二人の関係性を示す最初のカットなのですが、通常の映画であれば、母親に引き取られたが父親を慕い続ける別居中の娘を連想させられる構図をとりながら、実はマーチと同居中であり、その日は友達の家に泊まっていたという、「誰がそんなこと連想するんだよ」という実に分かりづらいことになっています。演じるアンガーリー・ライスの魅力も含めてホリーのキャラクター自体は物凄くよかっただけに、冒頭の数十分間、彼女の個性や立ち位置を理解し損ねた点が残念でした。 後半でようやく明かされる陰謀の正体もよく分かりませんでした。行政と企業が癒着して公害問題が揉み消されているという事実を知ったアメリアが、その癒着を告発する内容のポルノ映画を作ったら、関係者及び映画そのものが抹殺されたという話なのですが、癒着を示すズバリの証拠の争奪戦ならともかく、誰からも見向きもされないようなポルノ映画を人殺しまでして葬り去ろうとしたことの意味が分かりません。人殺しをしたせいで、逆に騒ぎが大きくなってないかと。特に黒幕のジュディスはアメリアの母親であり、娘の命を奪ってまで映画を隠滅する必要があったのだろうかと、本当に不思議で仕方ありませんでした。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2017-08-11 15:27:59)(良:2票)
817.  ドント・ブリーズ 《ネタバレ》 
恐怖シーンにおける豊富なギミックや意表を突く展開など、実によく考えて作られていることは分かるのですが、主人公・ロッキーにビタ一文感情移入できないという点が致命的でした。事故で娘を失った盲目の老人宅に侵入し、事故の示談金を盗んでやろうという発想の時点でクズ。また、自分に惚れていて何でも言いなりになるアレックスを無理に強盗に引き込むという女としてのズルさや、「クズ親から幼い妹を引き離す」という大義名分によって自己の悪事を正当化している点など、とにかくロッキーのすべてが気に入らんかったです。 また、彼氏のマネーがぶっ殺されたり、監禁されている加害者を発見したり、自分自身が孕まされそうになったりと、もはや金なんて言ってられる状況じゃなくなっても金への執着を捨てないという点も受け付けませんでした。最後には、マネーとアレックスに罪を擦り付けて、まんまと金をせしめるという驚愕のクライマックス。空港で妹にオレンジジュースを飲ませてましたけど、ああいうとこのジュースはそこそこ高いんですよ。何人もの命を犠牲にして得た金でオレンジジュース飲ますんかいと、そんな些細な点まで気に入らなかったです。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2017-08-06 13:04:06)(良:2票)
818.  ジャック・リーチャー NEVER GO BACK 《ネタバレ》 
クリストファー・マッカリー製作、エドワード・ズウィック監督、トム・クルーズ主演の中規模作品と来れば、一流料亭のまかない飯みたいなものを期待するわけです。ブロックバスター作品ほどの気合は入っていないが、めちゃくちゃ上手な人達が少ない制約条件下で肩肘張らずに作った、これはこれでいけるひとつの名物。しかしフタを空けてみると、これが全然面白くなくてビックリしました。 謎解きの過程にも陰謀の正体にも魅力がなく、2時間弱の上映時間がかなり長く感じられました。職業柄気になったのですが、大企業の経営を立て直すほどの売上高を違法取引で上げて、どうやって会計処理していたんだろうかと、その辺りがものすごく引っかかりました。特に政府からの受注で食べてる会社なんて、帳簿は綺麗じゃないといけないだろうし。 また、方や風来坊、方やキャリアウーマンで家庭というものを考えてもこなかったリーチャーとターナーが、急遽中学生の保護者にならざるをえなくなるというドラマにも面白味がなく、作品が志向している方向性がことごとく空振りに終わっています。 さらには、邦題も気に入らなかったです。第一作の邦題を原題準拠にせず敢えて『アウトロー』にしたのだから、第二作もアウトローの看板を引き継ぐのがスジだと思うのですが、ここに来て原題準拠にするというおかしな変更がなされているのは、本当にどうかと思いました。数年後の観客に混乱が生じるということすら考慮されていないのでしょうか。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2017-08-05 13:39:26)
819.  トランスフォーマー/最後の騎士王 《ネタバレ》 
IMAX-3Dにて鑑賞。 日本公開前から前評判の異常な悪さが聞こえてきていたこの最新作ですが、確かにつまらんかったです。ギャグのつまらなさや設定の意味不明さは『1』以来の本シリーズの伝統なのですが、本作についてはそうしたシリーズの問題点が余計に悪化しており、もう本当にえらいことになっています。 しかも本作が重傷なのは、その意味不明な設定を観客にちゃんと理解させようと時間をたっぷり使ってしまっていること。前作までは正義のロボットと悪のロボットが戦っているという構図さえ理解できれば後のことはどうでもよかったわけですが、本作では「人類史にトランスフォーマーが深く関わっていた」という、本当にどうでもいいことがしつこいくらいに説明されるし、そうしてしつこく説明される割りには、タリスマンや杖といったアイテムに一体どんな力があるのか分からなかったり、途中まで杖の争奪戦をやっていたにも関わらず、ラスボスを倒す時にはその杖が大して重要な役割を果たさなかったりと、この監督と脚本家は一体何がやりたかったんだろうかと、本当に不思議で仕方ありませんでした。 もう一点、本作の関係者が罪深いと感じたのは、冒頭の合戦(おそらくベイドン山の戦い)にて円卓の騎士の中に一人黒人がいるということ。北欧神話をモチーフにした『マイティ・ソー』の世界にもなぜかイドリス・エルバや浅野忠信が居て「ハリウッドの人種平等主義はやりすぎではないか」と感じていましたが、本作はその比ではありません。円卓の騎士の名前と個性は広く知られているにも関わらず、そこに人種が違う人間を無理にねじ込んでいるのですから。特に本作では設定を観客に楽しませようとしていたのだから、その前提としては広く知られた歴史を尊重するという姿勢が必要だったはず。前作では中国の地理を無視して中国人を怒らせていましたが、本作ではイギリス人を怒らせるのではないでしょうか。外国に対するアメリカ人の無神経さには、毎度恐れ入ります。 また、肝心のロボットバトルにも前作から特に進化している点はなく、毎回毎回同じようなことばっかやってますなぁと、こちらでも熱くはなりませんでした。予告の時点でさんざん押されてきたオプティマスの寝返りについても、オートボッツと一回ド突き合いをしただけで我に返るというアッサリ加減で終わってしまうし、本作独自の色を出そうとしながらも、結局いつもの形に戻ってしまうという点がもどかしかったです。一時的にでもオプティマスとメガトロンが肩を並べて人類を攻撃するという画でもあれば、盛り上がったのですが。そういえば、あのメガトロンは『ロストエイジ』のガルバトロンと同一人物なのか、それともまったく別ルートで生き返ったものなのか、はたまた『ダークサイドムーン』で殺されたはずのやつがひっそりと生きていたものなのか、その説明すら端折られてましたよね。どんだけ適当な映画なんでしょうか。
[3D(字幕)] 4点(2017-08-05 01:20:45)(良:1票)
820.  ターザン:REBORN 《ネタバレ》 
ターザンという映画の魅力って、ムキムキの俳優と本物の動物が絡むという見世物的な面白さだったという点を実感させられました。CGで作られたゴリラやライオンが、実写ではおおよそ不可能なアクションを見せてくれたところで、そこに感動はないのです。CGという技術そのものを否定するつもりは毛頭ないのですが、ターザンというコンテンツはCGで描かれるべきではなかったと思います。 お話も、ことごとく盛り上げ所を逃しています。例えばクライマックスの大決戦。ターザンとジャイモン・フンスー族長が和解し、いよいよオールアフリカでベルギーの傭兵部隊を襲うという熱い展開を迎えるのかと思いきや、こいつらが全然闘いに参加しません。役に立ったのはヌーの大群とワニぐらいで、ターザンの親友であるゴリラやライオンすら実戦での貢献が少ないので拍子抜けさせられました。本作は万事がこの調子。常に何かが足りていないために盛り上がりを逃しています。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2017-01-29 20:06:51)
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