981. バニラ・スカイ
「結局はすべて夢」と言ってしまえる話かもしれないが、それもこれほどまでに上質な難解さをもって描けば映画としての深みがでることは必至であり、決して明瞭な映画ではないがそこに面白味を感じることは確実である。スペイン映画「オープン・ユア・アイズ」の完全なリメイクでストーリー的にはまったく同じだが、今作の方が映像的なクオリティには優れているので物語の世界に没頭しやすいと思う。 8点(2003-12-24 01:30:21) |
982. サイダーハウス・ルール
ラッセ・ハルストレム作品は例外なくそのテーマ性の奥深さにいつも感服させられる。一見感動作に見える今作も、そのテーマは非常に痛烈で重厚なものだ。映画の真理だけを見ればとても生々しくなるところを、非常に上質なオブラートに包み上げ映画として美しく完成させる。その手腕にこの監督は優れ、結果として秀逸作を量産している。 [ビデオ(字幕)] 9点(2003-12-24 01:25:12) |
983. スコア
ロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートンにマーロン・ブランド。この組み合わせで期待しないわけにもいかず劇場まで足を運んだが、映画としては盛り上がりと完成度に欠けるという感じを拭えない。ひとりひとりの演技は当然ながら巧いが、ストーリーがあまりにチープなため演技が浮いた印象を受ける。この程度の脚本でなぜこのキャストが実現したか不思議である。 5点(2003-12-24 01:19:34) |
984. スパイ・ゲーム(2001)
大雑把なアクション大作とは一線を画した、心理戦に優れたストーリー展開が非常に興味深く見応えも大きかった。ロバート・レッドフォードが挑むゲーム盤上の闘いのような手触りは、タイトルにふさわしく新感覚の緊迫感が楽しめる。映像的にも趣向が凝らされ集中が途切れない。完全に「殴られ役」に徹したブラッド・ピットの頑張りも評価したい。 8点(2003-12-24 01:07:21) |
985. 遊星からの物体X
姿を見せない物体Xが人体を乗っ取って人間を襲い来る切り口が非常に斬新だった。緊張感とサスペンスフルに満ちた展開は、その後の多くの映画、漫画に使われたものだと思う。全編に溢れる異質な恐怖感が秀逸。 8点(2003-12-22 17:49:04) |
986. 新・猿の惑星
SF映画好きにとって「猿の惑星」という映画はやっぱり特別だと思う。 第一作の有名すぎるラストシーンはもちろん映画史に残る名シーンだ。駄作と酷評されがちな第二作も、少々破綻気味だけれど、ラストシーンの衝撃そのものは第一作にも劣らないものでとても印象深い。 少々強引だろうがこじつけだろうが、「科学的空想」の概念をもって貫き通す様こそが、SFの面白さであり醍醐味だろう。 映画的な善し悪しの前に、そういうSF的概念をしっかり貫いていることが、この映画シリーズの素晴らしさだと思う。 「続・猿の惑星」で爆発した地球からすんでのところで逃げ出した(らしい)チンパンジー種族の猿たちが、今度は過去の地球に降り立つ。 どうしてそうなるっ!と端から突っ込みたくもなりそうなものだが、チャールトン・ヘストンが過去の地球からやってきたのだから、その逆も当然ありだろうと当たり前のような強引なストーリー設定がまず良い。 一作目とまったく逆の構図で“未来人”の猿たちの様子を描くユニークさ、そしてそこから派生していく彼らの過酷な運命がテンポよくドラマティッックに描かれていく。 何より素晴らしいのは、猿たちが未来からやってきたことにより、地球が"猿の惑星”へと化した起源が生じるというパラドックスへと繋げていくこと。 そしてそのことにいち早く気づいた政府の科学者が、猿たちの存在を抹殺しようと画策する「汚れ役」として描かれることが興味深い。 最終的にはまるで悪役のように猿たちと相討って殺されてしまうわけだが、彼の言動は立場上つくづく正しく、「いずれ、いずれと言って何もしようとしない!」と人類が抱える問題に対して警鐘を鳴らす様、この映画がもっとも伝えるべきテーマだったように思う。 さて、また別の「創世」を描いた最新作公開も控えているので、この際旧シリーズ全作を観てみようと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2003-12-22 17:28:45) |
987. メメント
まさに確信的なストーリー展開には見事なまでのサスペンスフルで、その難解さに引き込まれっぱなしだった。過剰なまでに狙ったストーリーだけに再度観る面白さはないが、初見でのインパクトが絶大であることは間違いない。ストーリーに見合った映像感覚も秀逸で映画としての完成度は極めて高い。 [映画館(字幕)] 8点(2003-12-21 17:39:55) |
988. クローン
フィリップ・K・ディックの原作らしい秀逸なSFサスペンスが味わい深い映画だった。下手に大作ぶらずにB級的ではあるが、サスペンスフルに徹した雰囲気が非常に緊張感を高めたと思う。ラストにおける怒涛のどんでん返しには大満足だった。 [映画館(字幕)] 7点(2003-12-21 17:33:37) |
989. ブロウ
麻薬王としてのし上がり、そして朽ちていく男の生き様が実に哀愁深く描かれる。実在の主人公を演じたジョニー・デップの存在感が素晴らしい。一気に頂点に駆け上り、哀しいまでに落ちていく麻薬王として生きた男。彼の娘に対する想いが極めて切なく、その象徴とも言えるラストにやられた。 [映画館(字幕)] 9点(2003-12-21 17:29:26) |
990. ソードフィッシュ
冒頭の大げさ過ぎるほどの銃撃シーンには圧巻されるが、その後の展開には触れ込みほどの衝撃を受けることはなかった。トラボルタのアクの強いキャラクターや大まかな展開自体は悪くなかったと思うが、肝心のクライマックスで衝撃性がなかった。それがこの映画のテンションを一気に下げてしまったと思う。中盤中だるみするところも頂けない。 [映画館(字幕)] 5点(2003-12-21 13:44:50) |
991. グランド・ホテル
タイトルがそのままその後の映画制作における手法の名前になっていることでも顕著なように、この手の映画の教科書的な完成度の高さが楽しめた。当時の世相を反映したそれぞれのキャラクターのドラマが秀逸。 7点(2003-12-21 13:39:10) |
992. 60セカンズ
車好きの人にはある程度楽しめる要因があるのかもしれないが、そうでないものにとっては駄作としか言い様がない作品だった。ストーリーはあまりに陳腐で単純だし、アクションシーンにも予想したほどのスピード感はなくクオリティも低かった。金髪のアンジェリーナ・ジョリーにも違和感。 3点(2003-12-21 13:36:52) |
993. マグノリア
もともと群像劇は好きなので、よくできたキャラクターやそれぞれのドラマ性だけでも存分に楽しめるものだったが、圧巻のラストシーンに一気にしてやられた。映画がいくらなんでもアリの世界だと言っても、なかなかあれほどの離れ業をやれるものではない。唖然とするほどの衝撃に脱帽だった。 [ビデオ(字幕)] 8点(2003-12-21 13:34:09) |
994. オー・ブラザー!
ジョージ・クルーニーのダサ男ぶりには目を引くものがあるけど、映画自体にはあまり魅力を感じるものがなかった。細かいセリフやキャラクターの演出はユニークだが、それが作品自体に反映されずチグハグな印象を受けた。全体的にまとまりに欠けたことが映画に集中できない要因だったと思う。 4点(2003-12-21 13:23:41)(良:1票) |
995. 大脱走
名作娯楽映画として誉れ高い今作であるが、私はそれほどのエンターテイメント性を感じることができなかった。まず基本的な設定が分かりにくい、捕虜たちが置かれている状況や登場人物同士の人間関係の描き方が不十分だった。あれだけ多くのキャラクターが出ているのだから、それぞれの関係をもっと丁寧に描き出さなければならないと思う。実話をもとにしているので仕方ない部分もあるが、ストーリー的にも盛り上がりに欠け、脱走シーンにも驚きがなかった。長い尺をべらぼうに長く感じることはなかったが、退屈感が無かったとも言い切れない。 5点(2003-12-21 12:47:08) |
996. マーシャル・ロー(1998)
妙に公開が足踏みされていたのでもっと完成度の低い映画なのかと思っていたが、なかなか説得力のある作品に仕上がっていたと思う。意図せずに9・11の直後に観たのだけれど、あの衝撃を髣髴とさせる展開が非常にリアルだった。骨太い迫力のある映画だと思う。この監督が「ラスト・サムライ」を撮ったのも納得できる。 7点(2003-12-20 13:54:09) |
997. 彼女を見ればわかること
それぞれの女性たちの微妙な精神をとても丁寧に描き連ねた秀作だった。オムニバス的な個々のストーリーがさりげなく絡み合った構造が完成度の高さを助長する。「アリーmy Love」のキャリスタ・フロックハートが難しい役どころを好演している。 [映画館(字幕)] 7点(2003-12-20 13:50:37) |
998. 続・猿の惑星
《ネタバレ》 映画に対する満足度は、ラストシーンのラストカットの余韻や衝撃が大いに影響するものだと思っている。 本編の大部分が多少つまらなくても、ラストカットが印象的であれば、その映画はちょっと忘れられなくなる。 歴史的大傑作のSF映画の続編として果敢に、いや無謀に、いや強引に挑んだ「続・猿の惑星」は詰まる所そういう映画だ。 久しぶりに鑑賞してみて、自分の記憶のイメージ以上に映し出されるシーンの大半はチープで面白味は薄いと感じた。 ただ、面白かろうか面白なかろうが、「猿の惑星」の“あの”衝撃的なラストシーンの続きが観たくなるのも映画ファンの心情であろうし、大ヒットを受けた製作会社が是が非でも続編の製作に乗り出したことは必然だと思う。 チープではあるが、この続編の価値は極めて高いと思う。 この映画が、人類はどうして滅んだのか、猿たちはどうして栄えたのかという根本的な疑問の解消に向かうための後のシリーズの礎になったことは間違いない。 そして、人類の愚かさを描き、更に猿たちも含めた生物そのものの愚かさにまで踏み込んだ切り口は、ある意味一作目とは別の観点から衝撃的で、恐ろしい。 そしてそして、極めつけはラストシーンである。 支配欲を強める猿たちと生き残った人間たちの殺し合いの果てに、惑星そのものを一瞬で爆発させてしまうというラストカット。 それも大爆発のシーンを描くわけではなく、最終爆弾のスイッチが押されると同時に静かに白い光に埋め尽くされ、あとは極めて淡々としたナレーションで締められる。無音のごく短いエンドロールも困惑に似た衝撃に拍車をかける。 オリジナルが凄すぎるので、蛇足で作られたこのカルト的続編には殊更に酷評が尽きないが、個人的にはあのラストシーンだけでも好評は揺るがない。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2003-12-20 13:38:02) |
999. キス・オブ・ザ・ドラゴン
ストイックなまでにアクションを押し通す展開は、ブルース・リーの映画のようで良かったと思うが、やはりそれを通すだけの華がジェット・リーには無いように思う。彼の動きは素晴らしく、アクション的には満足できるが、映画全体としては見栄えが悪く地味な印象は拭えない。 [映画館(字幕)] 5点(2003-12-20 13:32:46) |
1000. インビジブル(2000)
透明人間になることで人間性も薄れ凶暴になるという設定が非常にB級的で題材の質に合っていた。この悪趣味なノリの良さはポール・バーホーベンならではだと思う。CGのクオリティも高く、透明になりながらもその怪物性を演じて見せたケビン・ベーコンが見事。 [ビデオ(字幕)] 7点(2003-12-20 13:24:46) |