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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2594
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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1021.  ダイ・ハード4.0
十数年ぶりにまたもや巻き込まれてしまった全米一“不運”な男、ジョン・マクレーン。結論、この男、衰え知らず。 いや、正確に言うと、だいぶ衰えてはいる。第一作目の彼などと比べると、老け込んでいることはもはや明らかであり、もう風貌的には初老という印象さえ覚える。 が、その「不完全さ」こそ、ブルース・ウィリスという映画俳優を一躍スターダムに押し上げたジョン・マクレーンというキャラクターに他ならない。 ちょっとおかしな話だが、スマートで血みどろにならないマクレーン刑事など誰も見たくはないのだ。  おまけに今回の敵は、サイバーテロ。全米を揺るがすほどのバリバリのデジタル集団VS全米一のアナログ刑事という構図は、彼のキャラクター性を際立たせると共に、とてもユニークな対比を見せる。 「ダイ・ハード」シリーズでは、マクレーン刑事の奮闘ぶりと同時に、彼をサポートする「相棒」のやりとりも重要なファクターだと思う。今作では青年ハッカーとコンビを組むわけだが、アナログ豪腕刑事とデジタル貧弱オタクの間で生じるギャップの中でのかけあいは、娯楽性に溢れ、絶妙なバランスを生んでいた。  久しぶりに文句なく楽しめるアクション映画を観たという感じがする。 無味乾燥的な映像美の中で、アニメの「ルパン三世」ばりに何でもありのアクションシーンが連続して、息をつかせない。  「ダイ・ハード」といえば、「主人公VSテロリスト」という構図のアクション映画の金字塔的映画なわけだが(まあ正確にはこのシリーズに出てくる敵はテロリストではないのだが)、そのシリーズの最新作にふさわしい優れたアクション映画だったと思う。  そして、その第一作「ダイ・ハード」で大スターにのし上がり、以降20年間にわたってエンターテイメント映画の主人公で体を張り続けているブルース・ウィリスという男は、実のところかなりスゴイ俳優なのではないかと思ったりした。
[映画館(字幕)] 8点(2007-12-31 16:33:04)(良:4票)
1022.  パンズ・ラビリンス 《ネタバレ》 
内戦渦のスペイン、残酷で悲痛な運命の中に放り込まれた一人の少女、彼女が迷い込んだ幻想的な「迷宮」は、現実か妄想か。  まず自分の想像以上に、痛々しく悲劇的展開が衝撃的だった。 悲劇的な運命の中で主人公の少女がファンタジーの世界に入り込み光を見出していくという展開を想像していただが、決してそんな生易しいものではなかった。 どこまでも暗い闇の中で、少女が自分に対する唯一の救いどころとして見出していくもの、それが「幻想」だった。  物語が始まった時点で、少女の精神は崩壊していたのかもしれない。 少女が迷い込んだのは、光に溢れたファンタジー世界ではなく、闇の中の限界の淵で辿り着いた、幻想世界だったのだろう。  戦渦の薄暗い山村とその中で見え隠れする妖しい幻想世界を、独特のビジュアルで描き出した映像美が素晴らしい。 時に痛々し過ぎるほどの描写も、確固たるビジュアルセンスによって作品の中で違和感なく溶け込んでいる。  基本的に「悲劇」は苦手で、出来ることなら見たくない。 だが、残酷な運命に対する少女の人間としてのひたむきさ、そして魅惑的な少女の幻想世界にどんどん引き込まれていった。
[映画館(字幕)] 7点(2007-12-05 16:49:29)
1023.  バイオハザードIII 《ネタバレ》 
ゲームの「バイオハザード」を知らないので、実際のところこの作品のシリーズ性に整合性があるのかどうかは不明だが、個人的な“結論”としてはやはり「もういいね……」というところだろう。  パート1は、ゲーム的な要素を存分に盛り込んだホラー性とスタイリッシュなアクション性、そしてスーパーヒロインの地位を確立したミラ・ジョヴォヴィッチの魅力が見事に融合した秀作だった。 パート2ではさらに“進化”したヒロインの超絶ぶりに対して、ホラー性は衰退したが、アクション映画としては充分なパワーを含んだ作品に仕上がっていたと思う。 そんなわけで、今回のパート3に対しても、ここ数年の駄作揃いの“スーパーヒロイン映画”の醜態を踏まえても、「期待」の方が大きかったと言える。  しかし、ものの見事に「脱線」してしまったようだ。  まず、「エイリアン」シリーズなどでも戸惑う部分ではあるが、前作で必死に守り抜こうとしたものを、のっけから「消失」させてしまうのはやめてほしい。 あれほどまで地球規模で「滅亡」してしまっていては、一体前作までの苦労はなんだったのだ?そもそも首謀者の思惑自体もはやどこかにいってしまっているのではないか? そういうストーリー自体の不合理性によって、「マトリックス」のネオ並みに益々進化するヒロインと反比例するかのように、映画はどんどん退化していってしまった印象を受ける。  予定調和たっぷりのアクション映画に眠気が耐えられたのは、短い前髪が可愛い主演女優の麗しさという唯一の売りがあったからだろうか。 
[映画館(字幕)] 5点(2007-11-04 18:17:24)(良:1票)
1024.  ザ・センチネル/陰謀の星条旗 《ネタバレ》 
「大統領暗殺」の陰謀を描いた映画は山のようにあって、作品の本質的な面白さを比較すれば、この映画は中の下というところだろうが、もうほんとに久しぶりにこの手の映画を観たせいか、存分に楽しめたと言っていい。  キーファー・サザーランドが“ジャック・バウアー”に見えるとか見えないとか言う危惧は、「24」を全く未見なので問題なかったし、伝説のシークレットサービスなのにファースト・レディと不倫してしまっているというリアリティのない設定も、マイケル・ダグラスなら「仕方ないか……」と意味不明な納得をしてしまった。  結論的にはストーリーにそれほどひねりはないし、キャラクターに対する焦点も今ひとつ定まらないけど、テンポよくポンポンと事が流れていくので、娯楽映画としてストレスがなかったことが作品を救っている。 ダグラス、サザーランド、ベイシンガーと実力のある俳優を配していることも、映画としてウマくまとまった要因だろう。  それにしてもシークレットサービスのシゴトぶりは徹底している。が、あれほどストレスフルなシゴトもないのではないか。 そう考えると、現米国大統領のシークレットサービスのシゴトの壮絶さは想像を絶してしまう。
[DVD(字幕)] 6点(2007-10-10 00:15:30)
1025.  ボビー
恥ずかしい話だが、映画の終盤までこの作品に核心である“ケネディ”は“JFK”のことだと勘違いしていた。ほんとに無知さが情けない。 でも、その無知がこの映画の終着点までの道程における「深み」を、固定観念なく染み渡るように感じることが要因になったとも思う。  つまりは、スバラシイ映画である。  1968年、泥沼化したベトナム戦争、混迷を極めるアメリカ、残された最後の希望、アメリカ大統領候補ロバート・F・ケネディの暗殺。 アメリカ史上に残る血塗られた悲劇の日、現場となったアンバサダーホテルに集った人種もステータスもバラバラな22人の「視点」と「感情」をグランドホテルスタイルで巧みに切り取っていく。  この悲劇の事実を知らなかったので、描かれた「顛末」の衝撃は殊更に大きかった。 そして同時に、この映画を22という多種多様なアンサンブルによって描いたことの意味を知った。  それぞれが描いた「希望」がついえたその瞬間、彼らは何を見て、何を思ったのか。 きっとそれは22人の視点以上に複雑で、混沌と共に混ざり合う。  ついえた希望に反して、今なおついえることのない愚かしい悲劇の数々。 それは、アメリカという絶対的な大国に課された恒久的な「業」なんだと思う。 それは、凄まじく辛く、堪え難い。 が、しかし、諦めることは許されない。どこまでも続く悲劇を、どこまでも乗り越えていくしか、人類に未来はない。
[DVD(字幕)] 9点(2007-08-05 23:26:42)(良:1票)
1026.  ゾディアック(2007) 《ネタバレ》 
全米を揺るがした劇場型殺人を、仰々しい抑揚は排除してドキュメンタリータッチで質素に確実に描き出す。 映画ファンとしては、本当にこれがあの「セブン」のデヴィッド・フィンチャーの映画なのかという印象をまず受けるだろう。これまでの監督作品でことごとく見せつけてきた刺激的な映像センスは影を潜め、代わりにリアルな緊張感に満ちた説得力のある映像美が全編に繰り広げられる。  「ゾディアック」という今尚「謎」に包まれたままの殺人犯の「本性」を暴き出そうと、、主人公の新聞イラストレーターは、事件の深みへどんどん踏み込んでいく。 この映画のストーリーがユニークなのは、実在の「謎」に対する真相の“導き”を主題とはせず、「ゾディアック」という殺人犯を追うあまり、その悪魔的な魅力に支配され、混沌と混乱に陥っていく主人公たちの「運命」を主題としているところだ。  「謎」を追求するあまり、本末転倒していく人間たちの愚かさこそ、この映画の核心と言えるだろう。  と、おおむね“ベタボメ”と言いたいところなのだが、実はそうではない。 「未解決の殺人事件」を描いた映画といえば、韓国映画の傑作「殺人の追憶」が記憶に新しいところだ。 故にどうしても比較してしまうが、「殺人の追憶」が素晴らしいのは、事件を追う刑事たちの“熱い人間味”に尽きる。それに対し、今作は主人公をはじめとするキャラクターに観客を引き付けるキャラクター性が無さ過ぎる。 最終的に「真犯人」を生半可に結論付けてしまっているラストも、「謎」に対する余韻と絶妙な哀愁を残してみせた「殺人の追憶」とは雲泥の差を感じる。  比較対照となる映画が無ければ、完成度の高い良い映画だという印象を持ったかもしれないが、もう少しのところで“のめり込められない”のは残念。
[映画館(字幕)] 6点(2007-06-20 00:16:43)(良:1票)
1027.  300 <スリーハンドレッド>
予告編その他を見る限り、もう完全に“CGを駆使したバトルシーン”のみが「売り」の映画であることは明らかだった。 新感覚の映像世界を見せつけてくれる映画は基本的に好きだし、予告編を観ても興味は膨らんだが、いかんせん“バトルシーンのみ”でどうやって2時間の尺を紡ぎだすのか、下手をすれば“大コケ”している映画なのではないかと一抹の不安を残しつつ、オープニングを迎えた。  まず一言……、「スゴイ」。 本当にほぼ9割近くバトルシーンで映画を撮り切っている。そしてその映像感覚は、触れ込みどおりに“新しく”、“凄まじい”。 隆々とした見るからにむさ苦しいスパルタの豪傑300人が、己の誇りと威信にかけて国を守るために立ち上がる。その美学は、まさに西洋版武士道に他ならない。  バックグラウンドなどほとんど描かず、「攻めてきたから攻め返す」、至極シンプルで明確な理由で圧倒的な大軍の前に向かい立つ。その単純だが、あまりに潔い姿に奮える。  ジェラード・バトラーの濃すぎる風貌を筆頭に、相当に悪趣味な敵国王や怪物じみた巨象の襲来等、明らかにマンガ的な遠慮のないビジュアルセンスが、益々映像世界の特異感を強め、素晴らしいオリジナリティを生み出していると思う。  嫌いな人はとことん「無理」だろうが、好きな人はとことん入り込む映画だろう。 ストーリーなどあってないようなもので、ひたすらに血と汗が入り混じった凄まじい「熱気」を浴びせ続けられる映画だ。当然、こういう映画もあって良い。
[映画館(字幕)] 9点(2007-06-09 19:43:30)
1028.  007/カジノ・ロワイヤル(2006) 《ネタバレ》 
「007」シリーズにそれほど愛着があるわけではないので、賛否両論の“新ボンド”ダニエル・クレイグが「ジェームズ・ボンドにふさわしい」かどうかは実際定かではないが、個人的な感想としてはかなり良かったんじゃないかと思う。  ジェームズ・ボンドが“007”になるまでの物語というだけあって、今作のジェームズ・ボンドはあらゆる意味で“未成熟”である。「殺しのライセンス」を貰ったばかりであるが故、任務に対する繊細さに欠け、過去のシリーズ作品でのボンドが常に携える絶対的な“余裕”が無い。いろいろな意味で不器用で、非常に“感情的”である。 そこにダニエル・クレイグという俳優の無骨でワイルドな風貌も加味され、今作のジェームズ・ボンドはまるで“ジェームズ・ボンドらくしない”。 冒頭のシーン、ターゲットを問答無用に追いかけ回す様に、英国諜報員007の紳士的なスタイルは微塵も無い。 たぶん多くの人が「こんなので007としてやっていけるのか?」と不安を感じずにはいられなかったことだろう。  が、そういう“未熟さ”とそこからの“成熟”こそ、今作が描く“ジェームズ・ボンド”であり、そのボンドを演じる俳優としてダニエル・クレイグという俳優はとてもふさわしかったと思う。 数々の名優が演じてきた映画史に残るスーパースターを演じることは、非常に困難なことだろうが、この俳優独特の「憂い」を携えた存在感は、新たなジェームズ・ボンド像としてふさわしく、今後の期待を存分に感じさせる。  「007」としての資質を問われ、敵の策にまんまとハマッて死にかけ、騙され、ボンドにとっては一種の「悲劇」とも言える結末を迎える。 が、ラストカット、「Bond,James Bond.」という言い放ったその姿は、まさに“ジェームズ・ボンド”そのものだった。 文字通り“新たに始まった”007シリーズに期待していきたい。
[DVD(字幕)] 8点(2007-05-27 23:15:20)
1029.  パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド
もうこういう娯楽大作シリーズというものは、「好きな人はとことん面白い」、「嫌いな人はとことん面白くない」という二通りしかなく、どちらにしてもそれ以上のことは求められない。 クセっけたっぷりの海賊をジョニー・デップが心底に揚々と演じ、これでもかというほどに製作費をつぎ込んでつくり上げた「海賊世界」に没頭できるかそうでないか、詰まるところそれが全てだ。 そして、個人的には充分に“没頭できた”。それはとても幸福なことだろう。  前作はトリロジーの“つなぎ”的な性格もあったので、今ひとつ盛り上がりきれない部分もあったが、完結編である今作はもう本当に遠慮がなく仰々しすぎるほどにパワフルに創り上げられ……。  ……ああ、やはりこういう映画はもう言葉で評する意味などナンセンスだ。 3時間という時間を何も考えずに楽しむことができた。ほんとうにただそれだけのことだ。 
[映画館(字幕)] 8点(2007-05-27 18:15:31)
1030.  パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
ジョニー・デップは昔から大好きだし、なんだかんだ言ってもエンターテイメント大作は嫌いではない。加えて、ディズニーランドで一番好きなアトラクションは「カリブの海賊」だし、パート1も凄く面白かったと思う。 なのに、このパート2はなんだかなかなか観る気になれなくて、結局パート3を観る直前にやっと観ることになった。  まあ結局のところ“面白かった”とは思う。 特にストーリー性は無いし、前作にも増した映画全体の“ドタバタ感”(特にジョニデのそれ)は、やややり過ぎな印象を受けなくもなく、長い尺も手伝って間延びする感覚は否めない。が、それでも娯楽映画としてまとめ上げているところは、映画として一定の“質”を保っているからだと思う。  個人的には、娯楽映画シリーズ特有の「次作への余韻」に弱いので、ラストシーンでジェフリー・ラッシュが登場した時点で一気にパート3への期待は高まってしまった。  「スター・ウォーズ」や「ロード・オブ・ザ・リング」などに代表されることだが、もうこういう映画の場合、その世界自体が好きな人は問答無用に「OK」だろうし、別に何の愛着もない人にとっては圧倒的に「NG」になり得ると思う。
[DVD(字幕)] 7点(2007-05-26 11:58:07)(良:1票)
1031.  ブラック・ダリア
ブライアン・デ・パルマ監督らしい作り込まれたフィルム・ノワールの映像世界に引き込まれる。  一人の女性の惨殺死体にまつわる数奇な運命たちが複雑に絡み合い、謎が謎を増幅させる展開力は、この監督ならではだろう。 が、同時に、「結局何だったのだろう?」という払拭されない“モヤモヤ感”が残るのも、デ・パルマ監督作品ならではで、ストーリー自体は理解できるが、映画として一抹の「消化不良」が残ってしまったことも事実ではある。 まあ、もはやそれすらも“味”としてしまえば、問題ではないと思ったりもする。  出演俳優がそれぞれしっかりしているので、彼らのやり取りだけでも結構見せる。 個人的に最近「良い」と思わされることが続いているのは、ジョシュ・ハートネットだ。甘い風貌に反した、こもった声とどこか屈折した感じが漂う存在感が、良い味を出し始めていると思う。そういった彼の特徴に合った役柄が続いていることも、彼の俳優としての存在価値を高めていると思う。  本当は昨夜(土曜の深夜)に観たかったのだが、眠たくて叶わず、結局日曜の寝起きに観てしまった。もちろん日曜の朝っぱらから観るような映画ではない。 晴れ渡る青空がイヤに眩しい。
[DVD(字幕)] 7点(2007-05-20 12:44:32)
1032.  ブラッド・ダイヤモンド
血で染めつくされた広大な大地で、絶え間なく続く愚かしい紛争。見誤ってはならないのは、「愚か」なのは、争いを続ける当人たちではなく、その「大地」から遠く離れてまるで関係ないように生きる人々、詰まりは“無知”な(自分自身も含めた)世界中の人間たち、しいてはその「世界」そのものであるということを、認識しなければならない。  まるでドキュメンタリーを見ているかのように生々しく、あらゆる意味で力強い描写から、自分が「知らなかったこと」、「知っていたつもりでいたこと」が心に突き刺さるように伝わってくる。 娯楽アクション映画で“創造”された銃撃戦ではなく、今この瞬間も世界のどこかで確実に繰り広げられているだろう“現実”の銃撃戦の様(さま)に、言葉の形容があまりに無意味な衝撃を受けた。 そして、血と血の間で否応なしに生きる人々の“叫び”に無知で無力な自分は呆然とするしかなかった。  広大な大地の中で、たった一つのダイヤを巡り、主要人物3人のまったく違う意思と欲望と思惑が複雑に絡み、結びついていく展開が非常に巧い。そして、泥と血にまみれながらその3人を演じた俳優たちが、それぞれ本当に巧かった。 こういう役を演じさせるともう言葉の通り“脈々とした”絶対的な存在感を見せるジャイモン・フンスーは、圧倒的だった。 が、敢えてというかやはり素晴らしかったのは、レオナルド・ディカプリオだ。ハリウッドきってのスター俳優は、もはや“実力”の伴った「名優」になりつつあるのではないか。そう思えるほど、彼の演技には「巧い」ということ以上に、説得力と安心感を覚えた。  “ブラッド・ダイヤモンド”、血で染まったピンクのダイヤモンドが、世界にどのような「影響」を与えることができるのか。映画の最後にもあったが、その答えは、誰でもない世界の一人一人の意識の中にあるのだと思う。 世界は、事実を知らなければならない。世界は、世界を見なければならない。
[映画館(字幕)] 9点(2007-04-21 02:39:39)(良:2票)
1033.  サンシャイン 2057 《ネタバレ》 
いわゆる「SF超大作」という娯楽大作にここのところ“当たり”が少なく、もはやネタ切れ状態なのか、“よくあるパターン”の作品が多い。 この「サンシャイン2057」にも、そういう不安はあった。真田広之が宇宙船の船長役で出演していることはとても興味深かったが。観ようか観まいかウロウロと悩みつつ、ふとポスターを見ると重要な要素を見落としていた。 「監督 ダニー・ボイル」。 さすがに一筋縄ではいかない作品に仕上がっていると思う。  脆弱化した太陽を再活性化するための決死のミッションに臨む多国籍編成の8人のクルー。ストーリーとしては何となくよくある感じもするが、出演陣の誰もが“主人公面”していないことが、この映画に用意されている“混沌”を暗示していた。 日本人としてはどうしても船長役の真田広之に注視してしまう。が、存在感と責任感のある日系船長に用意されるプロットはわりと容易に想像できるだろう。  「アルマゲドン」系の地球セービング映画でないことは、冒頭から地球でのシーンを廃し、密室の宇宙船内のみで展開されることからも明らか。映画はふとすればミッションの内容すら忘れてしまうほどに、クルーたちの“精神的”なサバイバルへと突入する。「使命」と「希望」、「生」と「死」の間で混乱していく人間模様に、主題である「太陽」に対する観念的な要素も入り混じり、殊更に映画は混沌としていく。  SF娯楽超大作を期待して観に行くと面食らってしまうことは間違いないが、宇宙での極限状態における人間たちのインサイドをさらけ出そうとした試みは面白かったと思う。 タイトルが示すとおり、ひたすらに太陽の熱に“焼かれる”映画である。
[映画館(字幕)] 7点(2007-04-15 17:33:51)(良:4票)
1034.  ドリームガールズ(2006)
スバラシイ。映画全体にほとばしるR&Bのソウル。“サクセス”への情熱と群像。あらゆる感情のパッションが、上質な歌唱とダンスによってスクリーンいっぱいに伝わってくる。  やはり特筆すべきは、その“臨場感”だろう。絶対的な実力を持った俳優たちによるパフォーマンスにより、まるで生の声が伝え響いてくるようだった。本当のコンサートホールや舞台裏で、彼らの肉声と感情をそのままに体感しているような錯覚に陥る。 流れるようなカメラワークと、クオリティの高い舞台設計、何よりも演者たちの歌声と表現力が素晴らしかったと思う。  今年度のアカデミー賞で日本人女優・菊地凛子がノミネートされたことで話題となっている助演女優賞のオスカー大本命と言われているジェニファー・ハドソンのパフォーマンスは、流石に圧倒的だった。まあストーリー上、彼女の役が主人公と言っても過言ではないほどのウエイトのキャラクターなので尚更だが、その存在感は新人女優とは思えない。  “色々な意味”でジェニファー・ハドソンの陰に隠れてしまった印象もあるヒロインを演じたビヨンセ・ノウルズだが、それでも彼女のこの映画における意味合いは物凄く大きい。彼女の美貌と、絶対的な歌唱力が無ければ、やはりこの映画は有り得なかっただろう。スーパースターでありながら、決しておいしくはない役を堂々と演じた様は素晴らしかったと思う。  そして個人的に一番印象強かったのは、エディ・マーフィだ。僕らの世代的には、ハリウッドのエンターテイナーといえばエディ・マーフィであったりする。 久しぶりに見た彼のパフォーマンスは、流石で、そこに年齢を重ねた俳優としての哀愁も合わさり、その存在だけでとても感動的ですらあった。  ミュージカル映画の素晴らしさは「理屈」ではないということだと思う。伝わってくる歌声と、ビジュアルをそのままに感じることが、その醍醐味だろう。 まさにその醍醐味そのもののパワフルな作品だと思う。 
[映画館(字幕)] 9点(2007-02-18 21:34:40)
1035.  マリー・アントワネット(2006)
「マリー・アントワネット」というタイトルが示すように、もちろんこの映画はマリー・アントワネットという実在のフランス王妃の半生を描いた作品である。 が、いかにもな史劇的な色合いはこの映画世界にはまったくない。フランス史に明るくない者、マリー・アントワネットという人物自体をよく知らない者にとっては、結局どういう状況でどういう人生を送った人物なのかということが、最終的によく分からない映画かもしれない。歴史的な掘り下げや、人物関係の説明がほとんどないのだから当然だろう。  そもそもソフィア・コッポラという女流監督が描きたかったのは、フランス史の中のマリー・アントワネットではなく、ただその時代に生きたマリー・アントワネットという一人の女性そのものの、文字通り“等身大”の姿だったのだろう。 だからこそ、映画の大半は、豪華で煌びやかで、ある意味滑稽な宮廷社会の中で、時に奔放に、時に繊細に、一日一日の生活を送り、妻となり、母となり、王妃となる一人の女性のそのままの姿を延々と描いたのだと思う。 そこに具体的なドラマ性はほとんどない。なのに、最終的には彼女の生き様が、その哀愁が、心に染み渡ってきた。不思議だ。何気なく描き連ねた人間描写の中に、実に巧みにキャラクターの本質が浮かび上がってくる。  この繊細な人間描写こそ若くして巨匠のDNAを確実に受け継ぐソフィア・コッポラという監督の“チカラ”だと思う。 等身大の“女性”としてのマリー・アントワネットを、人間としてとてもキュートに表現してみせたキルスティン・ダンストも素晴らしかった。  「史劇」を「青春」として描くことを貫き、完成させてみせたとてもユニークで、良い映画だったと思う。 
[映画館(字幕)] 8点(2007-02-03 00:31:24)(笑:1票) (良:1票)
1036.  ディパーテッド 《ネタバレ》 
香港ノワールの大傑作「インファナル・アフェア」を、ハリウッドを代表する映画人たちがそのプライドをかけてどうリメイクしてみせるのか。やはり、この話題作の焦点はそこだったと思う。  スコセッシ監督のドライな映画世界も、ディカプリオの苦悩に溢れた表現力も、ニコルソンの流石の存在感も、この「ディパーテッド」という映画がまったくのオリジナルであれば、もう手放しで評価しても良いクオリティーは随所で見られたと思う。 しかし、これが香港映画のリメイクである以上、オリジナル作品と比べないわけにはいかず、結果として「ディパーテッド」の惨敗、「インファナル・アフェア」がどれだけスバラシイ映画であったかということを改めて知らしめるための作品となってしまったかもしれない。  映画として、ストーリーとしての「美意識」という観念において、今作はオリジナルに対し大きく引けをとってしまっているように感じた。 やはり主にはラストの顛末についてのことになるだろう。アンディ・ラウ(警察に潜入したマフィア)が結局最後まで生き残り、複雑な感情が入り混じる苦渋の表情で締める「インファナル・アフェア」に対し、今作の顛末にはあまりに節操が無く、余韻が残らない。 クライマックスの流れまでほぼオリジナルに沿っているわけだから、最後まで通した方が良かったのではないかと思う。  前述しているように、映画としてクオリティの高い箇所はいくつもあるし、面白くない映画では決してない。 ただあらゆる面において、オリジナルである「インファナル・アフェア」の圧勝であることは、否定できない。  
[映画館(字幕)] 7点(2007-01-28 23:10:59)
1037.  ウルトラヴァイオレット(2006)
思えば昨年の夏頃だったか。この映画は映画館で観るべきかどうか葛藤した記憶がある。 何と言っても、ミラ・ジョヴォヴィッチの大ファンである者としては、大スクリーンで彼女の勇姿を見たいのはやまやま。監督も「リベリオン」でとても刺激的なアクションシーンを描き出した人だけに、期待は膨らんだ。 が、同年の春先に観たシャリーズ・セロン主演「イーオン・フラックス」は最悪の出来……、もう“スーパーヒロインアクション”は「限界」でしょう~というのが、その時の印象だった。 結果的に今ひとつテンションも上がらなかったので、DVDでいいやということになった。  「正解」だった。  いやあ、ひどいなコレは。バリバリのアクションシーンが羅列されるのにも関わらず、退屈で仕方がない。 チープなストーリーの上に、スタイリッシュぶった完成度の低い映像美の連続は、美しくはあるが映画として巧くはなく、少々手の込んだミュージックビデオを見ているようだった。 疲れていたせいもあるだろうが、だんだん字幕を読むのも面倒くさくなって、個人的には最大の“禁じ手”である日本語吹き替えにしてしまった。  ミラ・ジョヴォヴィッチもアクションゲーム好きなのは分かるが、もう少し出演作の内容を選ぶべきだろう。 
[DVD(吹替)] 2点(2007-01-16 14:28:26)
1038.  ジャケット 《ネタバレ》 
精神的な時間移動を主題としたサスペンスというと、どうしても一昨年の「バタフライ・エフェクト」がよみがえる。あれがあまりにも素晴らしかったので、“二番煎じ”という感は拭い切れはしなかったが、それはそれとして中々に面白いストーリーだったとは思う。  湾岸戦争での頭部負傷が原因だったり、ヒロインとの関係性の深まりが唐突過ぎるなど少々強引な点はあるが、エイドリアン・ブロディのあまりに絶望的な目つきの前には勘弁するしかない。 雪に包まれた寒々しい空気感が全編にわたり広がり、そこにあらわれるのが不気味な“拘束衣”と死体安置の“引き出し”。当然主人公は悲鳴に包まれるが、そこからまさに文字通り「未来」が見えてくるという趣向は斬新だ。  ただやはり、ストーリーの掘り下げ部分が浅く、結果的にはあまり説得力は残らないのは残念なところ。 映画の雰囲気の一貫性と統一感に救われていると思う。
[DVD(字幕)] 6点(2007-01-14 00:59:24)
1039.  ラッキーナンバー7 《ネタバレ》 
クエンティン・タランティーノ、ガイ・リッチーらの映画から端を発し流行りはじめてもはや久しい“クライムアクション”というジャンル。多くの場合、「犯罪」を軸にした群像が互いを騙し合い、駆け引きながらせめぎあうことでストーリー展開のイレギュラー性を楽しむ娯楽映画であることが多い。 ただ、最近はあまりにも量産され過ぎて新鮮味は薄れ、すでにB級映画の定番ジャンルとなりつつあることも否めない。  が、この映画は少々侮れなかった。 まず目を引いたのは、映画の中の何気ない小物やインテリアのセンスの良さとこだわり感。椅子や自動車、電話や壁紙に至るまで細かなこだわりが画面に広がる。こういう画づくりのこだわりは、1シーンごとに価値を持たせ見ていて飽きが来ない。 映像的なこだわりに裏づけされるように、ストーリーの展開にも工夫がめぐらされている。 冒頭、衝撃的でミステリアスな暗殺シーンの連続で観ている者にインパクトを与えたかと思えば、主人公の登場と立ち振る舞いはライトに描かれ、一転して違うテンションのストーリー軸に引き込んでいく。 そしてクライマックス、物語の核心へ迫る時には、一気に悲哀と哀愁を漂わせる。そのテンションの転換の仕方が実に無理がなく、巧い。  良かったのは、ジョシュ・ハートネットである。なぜブルース・ウィリスがセカンドネームなのか疑問に思っていたが、映画を観れば彼がこの映画の主人公であることは納得。実に適役だったと思う。 その甘いマスクで一気スターダムにのし上がったのはいいものの、中々これという作品がなかったジョシュ・ハートネットだが、一昨年の「シン・シティ」に続き中々良かった。正統的な二枚目よりも、こういう一クセも二クセもある役柄が合っている。  昨年は欧米の娯楽映画をほとんど観なかった(というか当たりが皆無だった)が、今年はある種の原点回帰でハリウッド映画もよく観たいと思う。幸先は良い。  ※ネタバレ いや、原題の表記は気にはなっていたんだけどね。
[映画館(字幕)] 8点(2007-01-14 00:32:14)(良:1票)
1040.  イーオン・フラックス(2005)
革新的な映像世界には“センスの良さ”が溢れているハズなのに、結果として“センスの悪い映画”になってしまっている。 未来世界を描いた映画に多々ありがちなことではあるが、未来世界(映像世界)のビジュアル自体は素晴らしいのに、それが流れる時間のテンポが悪く、映画として単純で退屈に感じる。凝った映像に対して、あまりにありふれたキャラクターとストーリー展開も、それを助長したと思う。 となると、アカデミー女優の“超美貌”アクションに望みを託したいところ。だが、全体的に違和感たっぷりのアクション演出も手伝って、あえなく不発。キャラクター自体にそれほど魅力が無いということもあるが、シーャリーズ・セロンはアクション映画には向いてないと判断するには充分かもしれない。
[映画館(字幕)] 3点(2006-09-18 14:10:57)
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