1221. サイコ(1960)
古き名作サスペンスにはあまり衝撃を感じないのだが、今作ばかりは別格だった。徹底的に張り巡らされた緊迫感は見事と言うしかない。色あせないこの緊迫感はやはりアルフレッド・ヒッチコックのサスペンス映画における極めて巧妙な映像作りによるものだと思う。今尚、この手の映画の手本となり、その追随を許さないこの映画のクオリティの高さに感慨深さを覚える。 8点(2003-11-30 13:53:18) |
1222. アメリカン・ビューティー
主人公の行動は、普通の人間が日常の欲望に対して邁進するということでなんら異常な行動ではない。しかしながらそこには微妙でありながらに明らかな「常識」との差異がある。その絶妙な差異であり異常さを巧みに演じたケビン・スペイシーが素晴らしい。彼をとりまく環境も至極一般的なものであるはずである。それを主人公の精神の破錠ぶりを中心に異世界のように描き出したサム・メンデス監督の世界観にもただならぬものを感じる。アカデミー作品としては異質であるが、その名誉にふさわしい作品だった。 9点(2003-11-30 13:36:52) |
1223. スリー・キングス
展開の激しい風刺的なストーリーには一瞬引きつけられるけど、全体的には陳腐な感じが拭えない。濃厚ではないけど、色んなものを詰め込みすぎて中途半端に仕上がっている感がある。映像的なノリは楽しめるが、それが映画のテーマ性と合っていないのでチグハグな印象に終始する。 3点(2003-11-30 13:16:51) |
1224. ストレイト・ストーリー
数多くの映画を観てくると、何十本かに一本自分の中で何かが目覚めるほどの感慨深さが生まれる作品にめぐり合う。今作はまさにその類の一本で、見終わったあとのとてつもない味わい深さに大きな幸福感を覚えた。今作が遺作となったリチャード・ファーンズワースの演技が何よりも素晴らしい。これはもはや演技ではなく、彼自身の生き様に違いないと錯覚したほどである。彼のたどった道筋、言葉、物腰を私はこれからも何度となく観ることであろう。 10点(2003-11-30 13:05:59) |
1225. スペシャリスト(1994)
今になって考えると、この映画からスタローンの落ち込みが始まったのではないかと思う。見応えのないアクションシーンと希薄なストーリー展開には辟易させられる。シャロン・ストーンとの絡みのみをウリにした映画自体、非常に問題だ。 2点(2003-11-30 12:37:12)(良:1票) |
1226. 北京のふたり
中国の法律の間で苦闘するサスペンスは目新しく、緊張感に溢れている。ディテールに問題点はあるかもしれないが、サスペンス映画としての出来栄えは良い。 7点(2003-11-29 16:52:43) |
1227. スリーピー・ホロウ
ティム・バートンならではのアニメチックな世界観は秀逸で、ジョニー・デップ、クリスティーナ・リッチの配役も絶妙であったが、いかんせんストーリーが軽薄すぎた。映像世界の完成度は極めて高かっただけにそれに伴うストーリー性を用意してほしかった。 6点(2003-11-29 13:34:59) |
1228. π(パイ)
ほとんど意味が理解できなかったというのが正直なところで、難解とも言い難いそのストーリーの面白味の無さには嫌悪感しか感じなかった。サスペンスフルな雰囲気には興味をそそる部分もあったが、結果的に退屈の極みだったことは否めない。よってつまらないと言うしかない。 1点(2003-11-29 02:14:53) |
1229. ジキル博士とハイド氏(1941)
原作も完全には読んでいないし、映画版も観たことがあるのは今作のみだけど、今作は小説の世界観を忠実に表現できていると感じた。もう60年以上も前の作品で、映像的にはかなり古めかしいけど、それがすこしも陳腐ではなく趣向を凝らした映像作りには味わい深いものがある。この物語独特の緊迫感と恐怖感を見事に映像化している。 8点(2003-11-29 02:02:42) |
1230. フロム・ダスク・ティル・ドーン
クライマックスにかけての徹底的なB級ノリは本当は好きなんだけども、映像の見にくさが好印象を残さなかった。クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスの破天荒なノリは好きだし、今作にも反映されてはいるのだけれどどこか中途半端な印象に終始した感は否めない。 3点(2003-11-28 18:42:19) |
1231. ワイルド・ワイルド・ウエスト
B級的な軽いノリや大掛かりなVFX、さらには主演がウィル・スミスと娯楽傑作である「メン・イン・ブラック」をにおわす素材は大いにあり、製作者側の狙いもまさにそこであったはずだけど、出来栄えには大きな差を感じずにはいられない。おそらく微妙なセリフのタイミングだったり、展開のアヤだったりすると思うが、絶対的な娯楽性の差があった。 3点(2003-11-28 18:34:43) |
1232. ジャンヌ・ダルク(1999)
ストーリー展開にやや間延びする部分はあるが、圧倒的なスケールで描き出した映像世界は目を見張る。独特のスマートさがない分、リュック・ベッソン作品らしさはあまりないけど、ミラ・ジョヴォヴィッチの等身大の熱演を見るだけでもその価値は充分にある。 7点(2003-11-28 18:18:37) |
1233. 依頼人(1994)
トミー・リー・ジョーンズ、スーザン・サランドンら出演陣の雰囲気はとても良いが、彼らが演じるキャラクターにどこか魅力が感じられない。それはそのまま物語自体の魅力の無さにもつながるかもしれない。映画自体に雰囲気の良さがあるようで、実際には極めて印象が薄い作品だった。 4点(2003-11-28 18:01:26) |
1234. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
チープに見える映像とストーリーの中に、人間に対する本質的なブラックユーモアを巧妙に仕掛けている。ナンセンスな演出の中に潜む絶対的な問題意識が素晴らしい。鬼才の名にふさわしいスタンリー・キューブリックの傑作。 8点(2003-11-28 17:57:33) |
1235. ザ・グリード
B級モンスター映画ファンとしてはたまらない出来栄えの映画だった。まずモンスターのキャラクター性が素晴らしかったと思う。船全体を張り巡らさんばかりのモンスターの造型は破天荒でユニークだった。B級らしいノリの良さも特筆すべき爽快感に溢れている。ラストの痛快感もすばらしい。「トレマーズ」に次ぐモンスター映画の傑作である。 8点(2003-11-26 13:23:15) |
1236. シックス・センス
取りざたされたハーレイ・ジョエル・オスメントの演技にはあざとさを感じて少しも巧いとは思わなかったけど、映画自体の出来栄えはやはり素晴らしかった。もちろんストーリーの顛末を知っているといないとでは面白さは大いに違うだろうが、巧妙な作り込みは衝撃を覚えるにふさわしかったと思う。結末を知ってから感じるブルース・ウィリスのどこか不安定なたたずまいも良かった。陰影の付け方など、この監督の只者じゃ無さは感じざるをえない。 9点(2003-11-26 13:01:35) |
1237. ブレイド(1998)
どうして今作に人気があるのかが分からない。ヒーローモノに不可欠な爽快感や痛快感がほとんどなかった。ブレイドのキャラクター性が悪のヒーローというものだから快活さが薄いのかもしれないが、どうも興味をそそられるものがなかった。暗く観にくい映像にもクオリティの高さを感じなかった。 3点(2003-11-26 12:36:39) |
1238. Uターン
人生と運命に対してひたすらにアウトローな男を演じるショーン・ペンが格好良い。群像劇とも言えそうなほどに脇を固める個性的なキャスト陣の共演も興味深い。暗転と好転の連続を描いたストーリーは面白いのだけれど、個人的にはラストの顛末に後味の悪さを感じた。 6点(2003-11-26 00:04:08) |
1239. 妹の恋人
曲者ではあるがひたすらに妹想いの兄を演じたジョニー・デップが印象的だった。その兄妹と妹の恋人を加えた3人の関係性が愉快で、心地よい空気感に包まれる。 6点(2003-11-25 23:53:42) |
1240. プリティ・ウーマン
映画自体には大した感想は持たなかったけど、この映画が残したエッセンスは後々数多く引用されていることからも価値が大きかったと思う。ジュリア・ロバーツはまさにこの映画の役のように、今作でシンデレラストーリーを歩み始めた。 5点(2003-11-25 17:20:47) |