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1.  ミラーズ・クロッシング 《ネタバレ》 
ボギーことハンフリー・ボガートとともに終焉したと思われたハードボイルドスタイルを見事に復活させました。主人公トムは喧嘩が強いわけではなく、銃の扱いに長けているわけでもない、確かに頭は良いが彼の魅力は何と言ってもタフであること。もっと言えば、自分で自分はタフな男だ、打たれずよい男だと言い聞かせ、あっちで殴られ、こっちで脅されても、自らの矜持を貫くため黙々とタバコを吹かしながら流れていく・・・様々な事件に巻き込まれ、自らも借金の肩代わりをレオから申し込まれても断り、自分で返済すると辞退した挙句に返済出来ず殴られるが、セリフ通り「怨んではいない」のでしょう。自らの借金は自分で払うのが男であり、払えなければ殴られるのは当然で、彼の信念に反するものではないのではない。なかでも主人公トムの魅力が表現されているのがバーニーとの関係で、特にバーニー逃がした後に、死体確認のために森に入っていくシーンは秀逸です。バーニーを逃がしているわけで、死体がそこに無いのは間違いなく、自分は殺されるのが確実な状況にトムは嘔吐する程に心底恐怖している。しかしバーニーのように弁解・命乞いなどせず、黙って恐怖に耐え最後の時を迎えようとする。生き残ることより、いかに生きて死んでいくが大切だと言わんばかりに、最後まで自らのスタイルを通すトムにダンディズムを感じずにはいられない。コーエン兄弟が作り出す映画全体の静謐な世界観もこの映画を支えるうえで、欠かすことのできない材料ですが、個人的にはガブリエル・バーーン演じるトムの魅力にやられました。
[DVD(字幕)] 10点(2012-07-08 20:43:05)
2.  ゴーン・ベイビー・ゴーン 《ネタバレ》 
日本では未公開らしいですが勿体ないですねー、こういった埋もれた傑作に出会うことがあるので、DVD映画鑑賞を止められない!本作もそんな映画です。原作はデニス・ルヘインですから、観る前から可能性は秘めていましたが、予想以上。 あらゆる人達の行為、それも善意と思われる行為はすべて水泡に帰してしまい、後には苦い現実しか残らないという、最近のハリウッドでは少なくなったノワール調の映画で、イーストウッドなどが好みそうな内容です。 ラスト近くのモーガン・フリーマン演じるドイルと少女の穏やかで楽しげな光景は、砂上の城であることが分かるだけに、観ていて目頭が熱くなります。 母の元に戻すという主人公は、信念も感じられずどこか青臭く薄っぺらく感じられ、いかに単なる傍観者の一般的な正しさの主張が現実社会で無力で無意味かを痛感させられます。 ドイル警部、ブレサント刑事、ライオネル。最後までお金目当てを思わせ、子供の幸せを願うライオネルと、ライオネルの思いと娘を失ったドイルの悲しみを埋め、娘の幸せの為に泥を被るブレサント、失った我が子への代償と彼らの思いに応え、娘に幸福な環境を提供するドイル。彼らは現実に対処するには、一般的な正論より個人的な信頼関係に価値があることを相互に知っており、だからこそ実行に移せたのだろうし、彼らのような、自らが正しいと思った事に対してそれを実行し、且つ結果に対して責任を引き受ける覚悟を相互に持っている関係には、胸が熱くなり、理想の成熟した大人とは彼らのような存在を言うのでしょう 
[DVD(字幕)] 9点(2011-02-06 23:15:06)(良:1票)
3.  シリアナ
煮込み料理なのに煮込み不足だった・・・個々の具材は良いのに、煮込み不足で味は染みてないわ、ガリガリ硬いわ・・・そんな感じです。 物語の背景が複雑、登場人物・機関も多数になりがちな社会派サスペンスでは、主人公を中心に物語を展開していくのがノーマルな手法だが、本作はあえて群像劇的なスタイル(パルプフィクション等と同様)にて社会派サスペンスを展開させ、且つ、説明する時間が不足している為、観客は完全に置き去りです・・・大別して3つの物語がありますが、それぞれ70~90分要する物語を、半分かそれ以下の時間に圧縮し、且つ、細切れにして配列した為に複雑怪奇なものに仕上がっている。 以下は完全に個人的な予想です。監督及び脚本は共にスティーヴン・ギャガンですが、彼は本質的には脚本家で、現状では監督として力量不足ということではないかと思いますね。 脚本段階では、かなり練り込んだものになっており、アカデミー賞に相当するものだったかもしれない。しかし、実際に撮影を始めて編集する段階では、脚本を100%表現するには250-320分の大作になってしまうので纏めようとしたが、結局うまく纏められず、不完全燃焼なものになってしまったのではないかと。 有り得ない話ですが、今作を踏まえた上で、彼が同じテーマで、再度脚本から作り直して監督したなら、かなり上質な映画が出来そうな雰囲気はありそうなだけに残念です。 ともかく今作に関して言えば、完全に失敗で、監督&脚本家の自己満足に終わってしまったので、次回作に期待ですかねー、それでだめなら、監督向いてないかも・・・
[DVD(字幕)] 2点(2010-05-04 23:13:08)
4.  静かなる男 《ネタバレ》 
ジョン・フォードの最高傑作!人同士が暮らす以上、当然そこには歴史的、宗教的背景や個人的過去などから価値観の対立が生じてしまい、その対立が憎悪になり、果ては戦争すら引き起こすことすらある。映画でもソーントンは持参金の持つお金以上の意味を理解できなし、メアリーはソーントンの過去が分からない、ダナハーに至っては完全に外側の人間で、ソーントン・メアリーだけでなく観客すら理解のできない悪役になっている。最後はダナハーという完全なる悪役を中心に、周囲に人の輪が出来てめでたし・めでたしというお決まりの展開と思わせ、あのラスト!このラストこそ、この映画を傑作としている!と個人的には思う。フェリーニ監督作品を思わせるかのようなラストの“ケンカ”、言い換えるなら“祝祭”がすべての対立を飲み込み、映画的エネルギーに溢れている。このエネルギーにはヒューマニズムというより、人生の苦難や人同士の対立は乗り越えられるという“人間の持つ可能性”を感じずにはいられない。この映画はフォード監督がすべての人に贈る“人生の応援歌”と言っても過言ではないし、このような映画に出会うことがあうから、ハズレを引いても映画を観ずにはいられない!
[DVD(字幕)] 10点(2009-01-12 10:30:49)(良:2票)
5.  ディパーテッド
スコセッシ監督と言えば、一昔前までは当然デ・ニーロとなる所ですが、近年はそのデ・ニーロ推薦のレオ様(古い??)を起用することが多いですね。レオ様と言うと、どうしても甘いイメージがあって、スコセッシ作品から最近遠ざかっていたのですが、結構イイ役者になっていてビックリ!今後に期待したい所です。しかし今作に関して言えば、予想していたとはいえ、ジャック・ニコルソンが凄すぎるわ、何なんでしょうかこのオヤジは。シャイニングの頃からキレっぷりには定評のある?ニコルソンですが、今作でもイイ味出しちゃってますね。酒・オンナ・ヤク・殺しだけに生きている、まさに怪物のコステロを熱演です。このオヤジが放つ、いつキレて暴れ始めるか分からない妖しくヤバい雰囲気は独特のものですね、哀愁を感じさせるとかならデ・ニーロやアル・パチーノかと思うけど、この雰囲気、言い換えれば野獣性みたいなのを出せるのは、やはりジャック・ニコルソン!食事のシーンで切れた「手」を持つシーンや両手・全身を血に染めて普通には話しているシーンは鳥肌ものです!映画全体はストーリー的に出来すぎの部分が多分にありますが、楽しめたし、上述の強烈なアク&クセある演技のニコルソンも含めてこの点数→ 
[DVD(字幕)] 8点(2008-07-13 11:32:16)
6.  シン・シティ
意図的な安っぽい演出、複数ストーリーによる人物の交錯など、まさにタランティーノ節といった構成の映画です。それに今作では、モノクロ映像にどきつい赤という演出、この「赤」は良いです!血と情熱の赤は、モノクロで抑え気味の映像に、スパイスとして作用し、映像に躍動感のようなものを与えています。この躍動感こそがアクションシーンと合わせて、40~50代フィルムノワールとは違う、21世紀の進化したノワールと言ったところでしょう。また、ヴォイスオーバーで男達の内的独白をさせることで、孤独感を強調する演出も成功していると思います。一方、これもタランティーノ映画に共通するもので、意図的に抒情的な部分を削ぎ落として、クールな部分を強調するのですが、個人的にはもう少しウェットな感覚を与えて欲しい所です!これは趣味の問題で、タランティーノ的ダンディズムと私の価値観(平たく言えば「カッコイイ男の定義」)が微妙に違うので、どうしようもない所と分かっているのですが・・・やはりチャンドラー的ダンディズムと比較してしまいますね~。しかしながら、映画全体としては、映像面、構成面ともに傑作に入る部類だと思います。 
[DVD(字幕)] 8点(2008-06-08 13:15:53)
7.  ハリウッドランド 《ネタバレ》 
男の哀愁が漂う至極のノワール作品。過去と現在を交錯させる展開は、観づらいものがあるけど、ジョージ・リーブスの死という不幸な結末を最初に観客に示すことで、生前の元気で覇気あるジョージの姿が、不幸な結末との対比で一層物悲しいものにする作り方は、秀逸です。才能の限界や年齢から来る美貌の限界など、どうすることも出来ない挫折感や苦悩を抱える人物を、ベン・アフレック、ダイアン・レインの好演はもちろんだが、個人的には、エイドリアン・ブロディ扮する私立探偵ルイス・シモの生きざまに・・・(涙)。彼の置かれたクソのような境遇では、人に言っては笑われるか、相手にされない正義感を抱えながら、自らもクソの振りをし、その仮面をつけて生きている。女に別れを告げるシーンは、彼女の為というより、それまで彼女の浮気や自分の信念に目を背けて来た自分自身を捨て、信念に従って生きることを選んだシーンとして、大変印象深い。しかしその選択は遅すぎ、ある人間は死んでしまい、自殺した人間の周囲を騒がしただけで終わってしまう。彼の信念に従った行動は何の結果も生まず、すべては徒労であり無意味だったのだろうか??そうは思いたくない・・・彼の息子は、かつての仮面を付けた父親の言うことは聞かなくても、何かをやり抜いた彼の言うことなら耳を傾け、父親として尊敬し、認めるのではないだろうか?映画のラストでは語られてないが、語らずに観客に解釈を委ねるあたりは、ハリウッド的ではない心憎い演出であり、個人的にはこういう演出を見習って欲しいです。
[DVD(字幕)] 9点(2008-06-01 23:59:49)
8.  男が女を愛する時(1994)
アルコール依存症だけではなく、何らかの「病」、特に精神的なものを扱うときは患者をどのように描くかが難しいところ。同情的に描くのは当然だし、観る側もその前提で観ているが、必要以上に患者に肩入れしバランス感覚を失った結果、患者側が正しく、健常者側が誤っているかのように描かれたりすると耐えられない映画になってしまうところです。 この映画も妻はアルコール依存症で、妻の側の苦悩や主張のみが展開されたら、妻は身勝手で、さらにアルコール依存症という病気に甘えているかのように映ってしまったかもしれない。だが、妻がいきなり依存症になってしまい、さらには別れを告げられる夫の苦悩や困惑ぶりも充分に描かれていて、映画としてバランスを保つことができたていたと思う。一般的な尺度からすれば夫は理想に近い夫の役割をしてきたが、一般論だけではうまくいかない夫婦関係や、相手を大切に思うとはどういうことなのかを描いた傑作です。 
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-01 20:32:08)
9.  ゆりかごを揺らす手
クレアを憎悪から殺害したり、自分の苦しみを理解させるために夫と子供を殺害するといった単純復讐劇と一線を画す、ヒッチコックを彷彿させる一級サイコサスペンスだと思う(カーティス・ハンソン監督はヒッチコックを意識してるだろうけど)。自分から幸福を奪った憎しみだけでなく、満たされることのない母性愛が屈折してしまい、あのような復讐にペートンを駆り立てたのだろう。彼女の復讐は計画的かつ陰湿だが、赤ん坊に母乳を与えているシーンや最後まで子供二人を攻撃することはないペートンなどを見ると、遣り切れない思いがする。その姿が彼女のあるべき形のように思えてしまい、良妻賢母になったであろう彼女を復讐の鬼に変えてしまった不条理な現実に暗澹たる気持ちにさせられてしまうのだ。クレアを心理的に追い詰めていく過程も秀逸で、男の自分には解らない母性愛が持つ底力のようなものを感じさせれた秀作です。<蛇足>女性(特に母親の人)が観たら、どんな感想を持つんだろうと感じる映画でもありました。 
[DVD(字幕)] 9点(2005-12-07 14:03:15)
10.  ミリオンダラー・ベイビー
マギーは自分の尊厳を守るため下を噛み切ってでも死のうとし、フランキーは殺人とも言える尊厳死に手を貸し、スクラップは片目を失明してジムの雑用係として生きていく。自らの決断によってどのような重大な結果を招こうとも、それに耐えて強く生きることをイーストウッドは主張しているのだろう。それは素晴らしいことであり、批難するものではない。しかし、強い人間ばかりではない。無神論者に近いイーストウッドは、神が存在しないのなら人間がすべてを背負うしかないという人神又は超人のような人間像を提示してくる。「ミスティック~」の時はあまり感じなかったが、本作では23年もミサに通っていたフランキーだが、そこの牧師(又は神父)は偽善的に描かれており、フランキー自身も「マギーが必要としているのは神ではなく私だ」と述べている。イーストウッドは人間や個人に対して過剰な期待をしているのではないだろうか。言い換えれば、人間や個人に対する思い上がりが感じられてしまうのだ。ただ、予定調和的なハッピーエンドを強制される風土のハリウッドにおいて、現在のイーストウッドは稀有な存在だし、再鑑賞に耐えうる作品を撮る監督で貴重だとは思う。 
[DVD(字幕)] 2点(2005-12-06 18:50:22)
11.  ウディ・アレンの重罪と軽罪 《ネタバレ》 
シリアス路線ウディ・アレン映画のひとつですね。主人公が神の不在やニヒリズムに悩まされるのはいつもの事としても、それと戯れて笑いにしてしまうことなく、「神の不在」に関しては正面から取り組んでいる印象です。このテーマからは、有神論と無神論、信仰と懐疑、道徳と欲望・・・様々な対立が生まれ、現在では後者の無神論、懐疑、欲望が優勢を占めているんでしょうね。映画でもジュダは殺人をしても普通に生きる一方、道徳の象徴のような司祭は失明し光を失い、愛と道徳を説くレヴィ教授は自殺してしまう。普段のアレン映画なら「人生は楽しまなきゃ損だ、神の不在やニヒリズムに悩まされるより楽しもう」といった主人公の転換点があるけれど、この映画で一番人生を楽しんでいるのは、おそらく不倫相手殺害を依頼しても何も変わらず生きていくジュダという皮肉。これだど、いつもみたいに「楽しまなきゃ損だ」という方向に持っていけず、普段の自分の主張に非難を浴びせるようなことをするあたりは、シニカルというか自虐的というか、何ともアレンらしい気がします。一方のクリフはと言うと、教授には自殺され、彼女は奪われ、人生の悲哀に暮れるしかない。この映画に予定調和的なものは全く無く、そんなものを期待するのはジュダが言うように「映画の観すぎ」なのかもしれない。ウディ・アレンのシニカルな部分を強調した映画で、かなり苦味が効いているが、このほろ苦さが極上というのがアレン映画でしょう。
[DVD(字幕)] 9点(2005-11-30 01:38:40)
12.  トゥルー・ロマンス
豪華俳優陣を無駄に使ってるけど、そんな無駄なことを真剣にやってくれるとこにロマンスを感じる、無駄で非生産的なことにマジになることも必要だって。馬鹿らしさと無駄にエネルギーを撒き散らすのがタランティーノの魅力で、どこかの監督(オリバー・ス○―ン)みたいに映画で何かを訴えるみたいな野暮なことをしたら、タラの良さは失われてしまう。この映画は訴えるとか、主張とかはまったく無く、監督や製作陣もタランティーノの脚本を充分に活かしていると思う。三つ巴の争いというお得意のストーリーは多少の粗さがあるけれでも、モテナイ男の代表であるタラならではの、クールな男への憧れと純愛への妄想が生み出した傑作です!無駄なことにマジになってこそロマンスだ!
[DVD(字幕)] 9点(2005-07-05 16:23:36)(良:1票)
13.  ローズマリーの赤ちゃん
ローズマリーの妄想の方が良かったかもしれないが、こういうラストもOKかなと。観ていてやり過ぎにならないか途中不安だったけど良く纏まっていると思います。特に赤ん坊の映像を見せてしまうのかとヒヤヒヤ、あそこで赤ん坊を見せたら全てが崩れるとこでした。そこは監督も解っていたのかミア・フォローの表情で恐怖を演出するあたりは監督・俳優ともにお見事!見せ過ぎるどこかのホラー映画とは違う! それにしても、赤ん坊の泣き声は耳に付いて離れない・・・「イレイザー・ヘッド」が妊婦の夫が観てはいけない映画なら、これは妊婦さんが観てはいけない映画かも。何にしても、不気味な赤ん坊という意味では双璧をなしてると思う。 
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-06-05 16:37:57)
14.  白熱(1949)
母親を車で追跡するシーンや刑務所での面会シーンなど随所に緊張感ある場面があり、それに加えて肝っ玉母ちゃん、嘘つきの欲深女と個性的な登場人物が映画を盛り上げる。なかでも、ギャングとマザコンを組み合わせた主人公は驚きで、粗暴でエネルギッシュといったこれまでのギャングイメージに加えて、狂暴性を持ったコーディなくしてこの映画は成り立たない。この複雑な人物を演じたギャグニーは見事で、小柄だが裡に狂暴性を秘めた雰囲気は、彼にしか出せない雰囲気だと思う。ちなみに、マザコン要素をコーディに加えたのはギャグニーの意見らしい。コーディは最期まで留まることなく悪の道を突っ走り、悩むことも、恐れることもない。コーディの鬱屈していた狂気が全開したようなラストも圧巻で、white heatの原題も頷けました。悪漢映画として今観ても楽しめる傑作だと思います。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-06-02 15:26:55)(良:1票)
15.  ガルシアの首
暑苦しくて狭い車内をハエが飛び回り、横に乗ってる友人の首に酒をぶっ掛ける。不快極まりない状況のなか男は車を走らせる。何に向かって走っているのか?金か?地位か?女か?そうじゃない!今まで散々に踏みにじられてきたプライドを取り戻すため、自らの意地のために「ガルシアの首」を乗っけて車を走らす。いつもながら、ペキンパーの描くオヤジ達はブチ切れているのに、哀愁漂い魅力的だ。負け犬の遠吠えで片付けることを許さない、どん底の男がぶちまける魂の雄叫びがこの映画に込められている。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-05-31 02:22:36)(良:2票)
16.  ハメット
内容や主人公の名前からして、監督がハードボイルド系のフィルムノワールを目指しているのは解るのですが、結果はイマイチでした。本作はビデオで観たせいか、画面全体が暗すぎて観づらい。ノワールな雰囲気を出したいのは解るけど、カラーで撮るならもう少し違ったやり方があると思う。それにこの系列の映画では必ず登場する「運命の女」、本作では東洋の神秘的な美女リンですが、彼女に魅力を感じなかったのも辛いものがありました。混沌としていて謎に満ちた場所としてのチャイナタウン、ハメットに背くように小説とは違う結末を迎える現実など、個人的には好みな作品のはずなんですが、欠点の方が目立ってしまいました。比較するのは間違いかもしれないけど、ハメットという名前を聞くと「マルタの鷹」を想像してしまいます。結果の方はというと、ハメット原作の「マルタの鷹」に遠く及びません。
[ビデオ(字幕)] 5点(2005-05-27 20:07:44)
17.  狩人の夜
悪事を行うのが自らの使命のように振る舞い、それを嬉々として行うハリー、その彼が伝道師というのも恐ろしい話です。そのハリーの存在と共にこの映画を支えているのは映像の素晴らしさです。未亡人(ハリーの妻)の殺害シーンにおける二等辺三角形の家の壁、同じく二等辺三角形に入り込んでく光、その時のハリーの神経症的な表情、水中に沈められた女性の死体、歌いながら子供を追跡するハリーのシルエットなど、幻想的な美しさと悪夢のような不気味さが交じり合ったような映像は、観ていて飽きることがありません。個人的には未亡人殺害シーンは記憶に残ってます。ストーリーの方はノワールっぽいものを期待していただけに後半に進むにしたがってお説教じみてきて尻つぼみな印象でした。ストーリーよりも全体の雰囲気やトーンを楽しむ種類の映画だと思うので、家庭的な明るい雰囲気で終わるラストは、それまでの抑えたなかに狂気を孕んだ陰湿なトーンが壊れてしまい残念です。これで1点減点。 
[DVD(字幕)] 9点(2005-05-21 00:54:54)(良:2票)
18.  キー・ラーゴ
「マルタの鷹」の黄金コンビであるボギーとヒューストンで挑んだ本作だけに、期待したぶんだけショックもでかい・・・南の島という場所も映画全体を覆う勧善懲悪な設定もノワールな雰囲気のボギーと相容れないものがあるし、ローレン・バコールも都市でこそ映える美女で南の島では魅力半減の印象でした。その中で孤軍奮闘しているのがロッコ役のエドワード・G・ロビンソン。「飾窓の女」での中年紳士の役や「深夜の告白」での犯罪に抜群の嗅覚を持つ上司役とは打って変わって、本作ではギャングのボス役を演じてますが、これが圧巻です。ギャング役は俺の十八番だと言わんばかりの活躍で主役のボギーとバコールを完全に喰っちゃってます。本作はエドワード・G・ロビンソンの奮闘を評価して5点です。
[DVD(字幕)] 5点(2005-05-20 01:21:27)(良:1票)
19.  ロング・グッドバイ 《ネタバレ》 
グ-ルドが演じるマーロウはかっこ良いというより、とにかくタフだという印象です。公開当時は原作と異なるということでかなり批判されたようだけど、こんなマーロウも嫌いじゃないです。裏切りで友人を失い、飼ってる猫にまで逃げられる始末のマーロウだが、これまでと変わらず都会の片隅のアパートでたばこを吹かし続けることだろう。 ラストの「ハリウッド万歳」の歌や原作と異なり友人テリーの命を奪うという設定で、マーロウの社会から切り離されたような印象が一層強調されます。確かにテリーの言うようにマーロウは敗北者かもしれない。しかし、マーロウが孤立し敗北者の印象が強まれば強まるだけ、私の中ではマーロウの魅力は増していくのです。  
[DVD(字幕)] 8点(2005-05-12 23:45:38)(良:2票)
20.  三つ数えろ
ハードボイルド映画の傑作のひとつですが、ストーリーが複雑、というより崩壊してます。ボギーが「運転手を殺したのは誰か教えて欲しい」と聞いたところ脚本家、監督、原作者の誰もわからなかったらしい。そんなわけで、観客が解らないのは当然のことで、マーロウが最後まで解らなかったことは観客も解らないまま映画は終了。映画の雰囲気は好きなんですが、一応サスペンスなので犯人を決めてから映画制作に取り掛かってほしかったというのが正直な感想です。ボギー演じるマーロウも嫌いではないけど、ストーリーに気を取られすぎたせいか、ラストを除くとあまり印象に残りませんでした。個人的にはボギー主演の探偵ものなら「マルタの鷹」の方が上です。
[DVD(字幕)] 7点(2005-05-07 17:03:05)
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