1. キャビン
《ネタバレ》 いま見終わりました。 基本B作ですが、色々と惜しい作品でも有ります。 私が一番違和感が有ったのは古き邪神の為の生贄システム??? の、バックボーン(成り立ち、経緯)が結局最後まで明らかにされず終いで終わった点です。 この部分が非常に気になりました。 僅かに「そうしなければ成らない動機」が曖昧に明かされているのみで 「キャビン」に格納されている伝説的な怪物(ゴ-スト、狼男、ゾンビ、その他色々)はどうやって作られたのか? 何故、彼等(システム側の人間)はあんなに楽しそうに人が殺されるのを見ているのか? その他、1つの手違いでシステムの全てが崩れ去るズサンなご都合主義 等々、見ている側には非常に違和感が有る。 但し、映画の筋立ては兎も角として 映画のコンセプトや演出、部分的なプロット(後半のキャビンの見せ方など)などはかなりイイ線言っていたと思いますし 特殊効果なども全く手を抜いて居ないので単純に残虐ホラー好きな人には 終盤が結構堪らない出来に仕上がっています。 特にエレベーターを効果的に使っていて、何となくあのカナダホラーの名作「キューブ」のオマージュっぽい所が私は好きですね。 ただ、繰り返しますが、基本的には残虐シーンをたくさん盛り込みたいが為 享楽主義、ご都合主義で作られた映画です。 まあ、見方によるでしょうが、こういう筋立てだと目先が変わりますので 余り違和感を感じないで見られる。。。。とも言えませんが(笑) それなりにカッチリと作られているとは思います。 もし、全体的なプロットがもっとカッチリ、しっかりと作られていていれば 8点でも低いぐらいの作品ですね。(まあでも、それを2時間にまとめるのは無理でしょうけど(笑)) 粗は多いですが、色々なホラー映画の要素を盛り込みつつ、ココまでの作品に仕上げて有るという点で 今回は限りなく6点に近い7点という事にします。 [DVD(字幕)] 7点(2013-11-14 19:18:13) |
2. ミッション:8ミニッツ
《ネタバレ》 先ほど観終わりました。 この作品の新しい点は ・主人公が自分に適合する死人の脳内の記憶(或いはデーター化された記憶???) の最後の8分間にハッキング(或いは脳潜入)を掛けれる。(これはドラマ・フリンジでもちょっと使われてましたが) ・その8分間は実際に起きた出来事、つまり現実の過去と全く同じである。 ・そしてハッキングを掛けた主人公は基本設定(列車、乗客、犯人、車掌、爆弾、乗降駅)に関与出来 新しく得た記憶を蓄積する事が出来る。 (これが斬新で新しい) ただちょっと引っ掛かったのが 悪徳所長は「パラレルワールドへの入り口」 と、言っていましたが、これは矛盾がある気がします。 高校教諭の脳の8分間の記憶、或いは脳その物にしても それは現実にいま存在していて 「現実に違う過去へアクセスしている訳ではない」 あくまで、死ぬ前の最後の8分間の記憶(それも主観的な記憶)が 残っているだけです。 「なのに、何故、他の乗客と関われるのか?」これも矛盾です。 フリンジでは死人の主観的記憶の外側には関与出来ないとされていて この点が合理的に説明されています。 それとも死んだ全ての乗客の脳から最後8分間の抜き出して 既に全部データー化しているのか???(でも、犯人は途中下車して逃げ延びている。これも矛盾) この辺りの合理的設定と説明がちょっと曖昧なのが残念です。 或いは人の時間の認識や空間の認識は 脳感覚(味覚、視覚、嗅覚、触覚、痛覚、聴覚、そして無意識)の産物であると仮定すれば 自意識の外側にもアクセスが可能(ユング的な集合的無意識領域??シュレーディンガーの猫?)なのか??? またこういう設定には 「我々が居る現実なるのものが果たして本当の現実であると誰が定義証明できるのか?」 という、疑問にブチ当たります。(押井守監督は一貫してこのテーマ(荘子的な現実と虚構)を描き続けている) 要するまだ人知の及んでいない超現実の事ですが もし、この作品がその領域まで踏み込んで(まあ、最後の展開は踏み込んでいるとも言えなくはないですが) 合理的に仮説を立てて、作品を描いていたとすれば、私は文句なしに10点付けました。 今回はちょっと曖昧で余りに即物的(人命救助、事件解決、出世欲)で有り過ぎたので 残念ですが8点にさせて頂きます。 [DVD(字幕)] 8点(2012-08-20 21:20:39) |
3. ドラゴン・タトゥーの女
《ネタバレ》 先ほど見終わりました。 ウーン、私はそれ程嵌れませんでしたね。 1つ、引っ掛かったのが先が読めてしまう展開です。 主人公は不幸な生い立ちを持ち、その為、特異な性格で人と交われない自閉的な女。 だが、犯罪の裏事情とハッキングなどの 違法な調査能力に長けているスペシャリスト。 しかし、内面では真面目な人間に憧れ、交わりたい、そして自分を変えたいと思っている。 と、こういう基本設定がある以上 自分が調べた真面目なのに理不尽な不幸に見舞われる編集者に好意を抱かない訳が無く あの小太りの鬼畜後見人の陵辱をドラ女が許すわけが無い。 要するにその先の展開が読めてしまうのです。 もう1つは スクープ裁判をしくじって、金欠に成り、スキャンダルで凹んだ雑誌編集人(前述の人物)。 いじけていると、知り合いの弁護士から電話が入り 旧家な大富豪の爺さんに何十年も前に失踪した娘の行方を追ってくれと 強引に依頼される事に成る。 しかし、調べる先は極寒でしかもボロ屋住まい しかもその大富豪一族は変な奴ばかり、謎が謎を呼び、どうにもお手上げとなる。 そうだ!自分を調べ上げたというその凄腕ドラ女に頼もう!(彼女の登場は完全にガチ) と、こうなると、もうその先は読めてしまうのです。 案の定、後は彼女の活躍で謎が解かれて行き、編集人ともラブラブとなり ドラ女はこの編集人の為に何とか謎を解いてあげたいと本気で思う様に成る。 (自閉的であるが故の孤高の精神と反動的献身=要するに心を開いた飼い主に懐く猫) そして非常に意外な人物(しかしある意味では推理サスペンスの定番的な展開)が 真犯人だと分かる。 犯人に編集人が捕まり、殺される寸前でドラ女登場(定番) →犯人をバイクで追い詰めるとガソリンが漏れて炎上(これも主人公に不要な不法行為をさせない為の定番) 私はあの「セブン」の様なピリピリした緊張感や乾いた演出や意外性が 本作には基本的に無かったと思います。 あと、謎が謎を呼ぶ展開についても 登場人物が多くその整理がイマイチ出来てない気がします。 基本的にベンジャミンバトンでも感じたのですが 演出上、何か重要なものが欠けている気がします。 ただ、推理サスペンスのセオリーに忠実に作ってあるので 見て損したレベルでは有りませんが 私は佳作とは言い難い出来だと感じました。 [DVD(字幕)] 5点(2012-08-19 18:12:02) |
4. リクルート
《ネタバレ》 先ほど観終わりました。 ウーン。。。。色々と惜しい映画ですね。。。 私が観終わって真っ先に思い出したのは ロバートレッドフォードとブラピが競演した「スパイ・ゲーム」です。 なんか、作風やエピソード、特に何も分からない若者を 老練な教官が厳しく教育し、一人前のスパイに仕立てて行くくだりが かなりよく似ています。 ただ、申し訳ないですが「スパイ・ゲーム」が8点としたら この作品は基本6点です。それだけ話の突き詰め方が甘いと感じました。 例えば、最後の最後でひっくり返すこの手の話は そうするだけの動機や背景がキッチリとプロットに施されてないと もうそれで完全にドッチラケます。 この作品も見事にドッチラケている。 例えばバークの背景を最後まで隠して置きたい為に レイラがCIAのどの線で動いているかという事を意図的に隠す。 これが非常に観ている方としては違和感が有ってイライラするんです。 レイラが終盤で追い詰められ、クレイトンにUSBメモリーを奪われ 何処かに電話するシーンが有りますが、「この時に彼女の背景を全部明かすべきだった」んですよ。 なんで、この線を最後まで曖昧にして置くのか意味が分かりません。 レイラの言い分通り、テストと称してCIA内部のセキュリティーの不備を 極秘に調べていたのであれば「それは誰が何の為にそうしていたのか?」 もし直接レイラがバークに操られていたのであれば、クレイトンの存在は不要ですよね。 バークが直接操れないからクレイトンをワザと脱落させて 自分の私兵に仕立てたと言う事なんででしょうが 肝心のレイラと相棒のザックの背景が全く曖昧なので 話の全体像が見えず、非常にイライラするんです。 ココが本当に致命的ですよ。 スパイアクションとしては抑制が効いて、まあまあ巧く出来ているのですが ラストの落とし方やイライラ感を考えると、申し訳ないですが、今回は4点献上します。 [DVD(字幕)] 4点(2012-04-01 18:27:46)(良:1票) |
5. 完全なる報復
《ネタバレ》 先ほど観終りました。 非常に残念な映画です。 勧善懲悪に拘って、相当の傑作を最後の最後で台無しにしてしまっている。 確かにクライドは凶悪な殺人者ですが 同時に不完全なアメリカ司法制度の被害者です。 私はニックが罰を受けなかったという所がどうしても納得が行かない。 彼は本当にクライドに学んだのでしょうか? みなさん言っていますが完全な報復には程遠い 不完全な報復、そしてとんでもなく片手落ちな正義です。 10年という月日を費やして 冷徹で頭脳明晰なクライドが計画した完全犯罪(結局露見しましたが)に比べ ニックの最後のやり口は非常ズサンで場当たり的で傲慢 臨時とはいえ、地方検事という立場から考えれば、正に恥知らずと言うしかない。 イライラついでに言ってしまえば、プロットにもスザンな所が多数有る。 普通あれだけの事をした囚人の独房には、監視カメラぐらい付けるのが普通です。 その他、クライドが購入した土地が終盤、アッサリ割れてしまう辺りもそうですが 地下を掘って刑務所にあれだけの用意周到な仕掛けを施していれば そのアジトにはカメラやセンサーぐらい付けてるでしょ。 それもこれも本当は些細な事で、映画自体の出来は本当に素晴らしいのです。 私は終盤に入るまでは非常にドキドキしながら見ていました。 それなのに全く、なんであんなラストへ強引に持って行かなければ成らなかったのか。 まあ、ココまでにしましょう。非常に不愉快だ。 ラストが煮え切ってキッチリ落ちていれば8点以上でしたが 今回は負けを悟り、潔く死んだクライドの鎮魂を意味を込めて 3点を献上します。 [DVD(字幕)] 3点(2012-04-01 17:32:21)(良:1票) |
6. クラッシュ(2004)
《ネタバレ》 先ほど観終わりました。 ウーン。。。私はそれほど嵌れませんでしたねー ただ、言わんとする所は良く分かります。 この映画のキーに成っているのは銃と人種、悪意と善意 そして個人それぞれの立場です。 銃を持っているから警官は特権を付与されている様に 人から思われ、自分も思い上がる。 その時もし、銃を持って居なかったら人を撃ち殺す事は無かったし タマタマその時、銃を持っていたから人は殺意を抱く。 白人は黒人を犯罪者と決めつけ、恐怖し、憎悪し 黒人は黒人以外に敵意を持ち、コンプレックスを持っている。 そしてみんな絶えずイライラし、不協和音の絶えない社会。 しかし、それでもそれぞれの立場で人は生きねば成らない。 そこには悪意も善意も、また、善意から生まれてしまう悪意も有る。 無論、その逆も。 これは正義、不正義という世を統べる建前以前に 人は善悪に関わらず、人として否応無く縛られる業という物が 厳然と有るという事なのでしょうか。 それをこの映画ではちょっと不完全(私の要求というか、我侭で見ればの話で)ですが そこそこ面白く描いています。 しかしねぇ。私はいかにもっていうエピソードに見えちゃうんですが この辺り、みなさんは違和感無かったでしょうか。 この監督の「スリーデイズ」という作品が非常に面白かった分 ちょっと拍子抜けした映画でした。 でも若い人が見ると、面白いのかも知れません。 [DVD(字幕)] 6点(2012-03-27 01:36:26) |
7. スリーデイズ
《ネタバレ》 久々に大当たりの映画でした。 今の所、今年一番の映画です。 あの名作、逃亡者のハリソン・フォードが 自分の罪を晴らす為に、理知的で用意周到で冷静で時に神出鬼没な外科医だとすれば ラッセル・クロウは腹の出た、ごく平凡で、真面目なマイホームパパ しかし、家族の為には何もかも投げ捨てる情熱家。 こんな対比でしょうか。 ともあれ、そんな男がある日いきなり 妻が無実の罪で投獄され、あれよあれよと言う間に 第一級殺人で、終身刑を言い渡されてしまう。 と、まあ、ココまではある意味でオーソドックスというか定番の筋立てなのですが いかんせん、脱獄計画を立てるのが、妻や子を思う気持ちばかりが先走る、ズブのド素人。 脱獄のプロとやらに御高説をタレてもらって、神妙にメモを取るのは良いが 裏稼業との接点見つける為に 自分のプリウスで必死に走り回りながら、クソ真面目にドラックを買い込むこの機転の無さ。 どうしよう、どうしよう、という気持ちばかりが募って、何度もドジを踏む。 ああ--持ちカネも無くなるし、やっぱ無理ジャン、駄目っぽいじゃないのと 見てるコッチまで心配になって来た矢先 いきなり妻の身柄が遠方の刑務所に移送されると聞いて プッツンとキレたが故に冷静さを取り戻すが それにも増して圧し掛かる緊迫感と悲壮感、どうしようも無い行き詰まり感。 これを脂ギッた顔面一杯で表現してしまう辺りは、さすがラッセル・クロウです。 終局はあえて申しませんが、この映画。 本当にプロットが巧みであると言わざろ得ません。いや、ホントに。 刑事「そう言えばボタンが取れたと言ってたな」 言ってたなぁ??? それを真っ先に探すのがお前等の仕事だろボケ!! ど素人に探し当てれる様な麻薬工場放置して、麻薬取締りとか言うなボケ! こういう事柄は主人公が取らざろ得なかった超法規的措置を 正当と言わざろ得ない根拠と成っています。 いまチャリンと音がした???え?したかな??? どっちだよ!! ズサンな捜査と、それに反比例する行き過ぎた物証主義が、逆に冤罪を作り出す。 内実を知っている人ほど寒気がすると思いますが、この映画は 白は白、黒は黒で、灰色を認めないアメリカの病理をも同時に抉っている。 こう言わざろ得ないのです。 [DVD(字幕)] 9点(2012-03-24 22:53:48)(良:1票) |
8. マージン・コール
先ほど観終わりました。 はっきり言って大外れな映画でしたね。 リーマンショック前夜を描いたんでしょうが 結局の所、トレーダー同士の内輪話の域を出ていません。 実際のリーマンブラザーズ崩壊の時には政府やFRBが大きく関与して 「公的資金を注入せずに助けない事」を決定したらしいですが そういう当局側との虚々実々のやり取りは微塵も出て来ません。 トレーダー=金の亡者、諸悪の根源 これでは全く納得できないんですよ。 みんなが知りたいのはその先や、思いもよらない裏側の論理です。 あと低予算なのかどうか知りませんが 出て来る場面が高層階のオフィスとニューヨークの空撮が殆どで どうにも物語自体に広がり感が乏しく、無駄なシーンが多く 人物描写も底浅く、吐く台詞も陳腐この上ない。 基本的にあの金融危機が描き切れているとは到底思えません。 ケビン・スペイシー目当てで観た人は相当失望したでしょうね。 ともあれ、残念な映画でした。 それしか言い様が有りません。 [DVD(吹替)] 3点(2012-02-23 22:55:45) |
9. 世界侵略:ロサンゼルス決戦
先ほど見終わりました。 1言で言えば「フーアー!!(本当はウラーですが)」 或いは「ビバアメリカ!!」です。 基本設定はインデペンデンス・デイに酷似していますが 出来はこちらの方が上かも知れません。 私はもっと客観的視点から描かれた作品かと思ってましたが もうコテコテの愛国賛美&国防最高!&キリスト教原理主義的視点から描かれています。 それは熱血主人公の臭い台詞(聞くに堪えません)から始まって ご都合主義のストーリーで完結していて この点だけで言えば普段の私なら3点を付けていたでしょう。 しかし、あえて空中戦主体のフルCGではなく 製作的にかなり手間掛かる未知の生物との 市街地の地上戦を見事に描いてる点での評価は 7点を付けても良いと思いました。 ただ、銀ピカリの敵CGが、何となくあの「宇宙戦争」に似ている風でもあり その点がちょっと気に食わないのですが 敵の無人機がギュンギュン飛び回り、グリグリ動き回り、迫り来る感覚や 戦闘自体の苦闘感や緊迫感は中々見事です。 これで登場人物がもう少し醒めていて、クールで客観的な演出であれば 私は多分8点付けていたかも知れません。 基本的にアメリカ最高!!&ご都合主義です。 ただ、それで切って捨てるには惜しい程の ガンアクション&メカギミックが随所に配されていて ウーン、中々評価が難しい作品ですね。 あと、「スターシップ・トゥルーパーズ」と比べられている人が居ますが それは違うでしょう。 あの映画は軍国主義の狂気や滑稽さ、それに付き纏う戦争のグロテスクさに 主眼を置いて描いています。 つまり、基本は戦争風刺なのですよ。 しかし、この映画は180度違う視点(はっきり言うと戦争賛美)から描いていて それが非常に鼻に付きます。 こういうのが嫌な方は見ると不愉快に成ると思いますので 見ない方が良いでしょう。 しかし、私の様に それまあ、ひとまず置いても斬新な戦闘アクションを見たい! と、いう不謹慎な人は見ると案外面白いかも知れません(笑) その点では結構良く出来ていまして 地球の市街地を舞台にココまで真正面からやった映画というのは 今まで有る様でなかった気がします。 なので、今回は大甘で6点にします。 [DVD(字幕)] 6点(2012-01-24 22:17:01) |
10. ベンジャミン・バトン/数奇な人生
エート、テレビでやってていま観終わったので書きます。 私は見終わったらすぐに書く主義なものでして^^; 1口に言ってフォレストガンプに似てますね って、言われてもしょうがない映画かと思います。 寓話的、啓示的な所がもうすでに似てしまっている所へ 思い出日記のナレーション風で物語を構築して行く手法など もう完全にフォレストガンプなんですが 老人で生まれて若返って行くという初期設定は兎も角 その他のエピソードや登場人物すら相当に似ている と、思ったのは私の気のせいでしょうか? ただ、それがフォレストガンプの様に 映画自体が素晴らしい出来栄えなら私も文句有りません。 しかし、残念ながらこの作品は人生や一期一会 そして、主人公の数奇な人生を、全然描き切れてないとしか言い様が有りません。 数奇な人生というより ある意味で平凡で不条理な人生に思えて仕方が無く 特にベンジャミンの青年期以降の描き方などは 本当に安易で最悪だと思いました。 無論、私はハッピーエンドで有れ と、言っている訳ではなく 基本的に人間描写からプロットから はっきり言えば、映画その物の突き詰め方が甘く 特に出来事を駆け足でなぞったかの様な演出が 全然駄目駄目だったと思います。 最後も本当に中途半端な終わり方で、これ映画館で見たら 「なんじゃこりゃ!!」のレベルですね。私なら。 「セブン」はかなり面白かったんですが どうも、ココ10年ほどの作品は精細を欠いているというか 俳優は申し分なく、演出面でもキッチリ作ってあるのに 何か、大事な物が欠けている映画ばかりな気がして 残念で成りません。 [地上波(吹替)] 4点(2012-01-07 00:02:33) |
11. デイブレイカー
《ネタバレ》 いま観終りました。中々面白かったです。 ヴァンパイヤが人間に代わって支配する世界。 しかし、彼等は人間の血液無しには生きられず もし、血を飲まずに居れば理性を失い、非常に醜いサブサイダーという化け物に変異してしまう。 その為、ヴァンパイヤ達は人間を捕獲しては眠らせながら 巨大な吸血システムに組み込んで血液を生産し それを富裕層のヴァンパイヤを中心にして配給する。 しかし、よく考えると、ヴァンパイヤが忌み嫌って化け物扱いしているサブサイダーこそ 吸血鬼本来の強力な力を発揮出来るヴァンパイヤだという皮肉な側面も含まれていて 私はこの点をもし掘り下げてプロットとして盛り込まれていたら B級でもかなりの名作だったと思いました。 また、この映画には社会風刺も側面も有ると思います。 滑稽なのはヴァンパイヤのホームレスなども居て 「血を下さい」などとボードに書いて胸に下げて立っている。 つまり、人の生血(現金)を吸って生きるヴァンパイヤが、強欲と傲慢の象徴である新自由主義者であり 眠りながら血液(現金)を供給している人間達が、新自由主義に洗脳され、そのシステムへ強制的に取り込まれた哀れで従順な消費者。 そして貧しくて血(現金)の配給が受けられず、サブサイダーに変異寸前の下層階級が 新自由主義の負け組みである貧困層。 また、当然ですが血(現金)を全く飲めずに理性を失って変異したサブサイダーは ヴァンパイヤ(新自由主義者)に害を成す移民や異教徒の暴徒、反逆者であり ヴァンパイヤに捕獲されずに生き延びている人間たちは 新自由主義体制に反抗するレジスタンス と、いう感じでしょうか。 こういう色分けで見ると非常にシックリ来ますね。 それが作品を見ているうちに良く分かって来るので 途中からニヤニヤして見てしまいましたが この映画には他者を犠牲にして自分の欲望を満たそうとする米軍ソックリな兵士など そういう強者の傲慢(特にアメリカ社会的な)に対する強烈な社会風刺が含まれていて 実に小気味いいですね。 但し、最後の方で人間に戻った兵士の扱いに困って、あっさり殺してしまう所などはちょっと減点対象です。 そういう目の粗い所はちょっと見え隠れしますが、中々の意欲作で内容も私の好みだったので 今回は7点を献上します。 [DVD(吹替)] 7点(2011-11-27 21:51:58) |
12. アンノウン(2011)
《ネタバレ》 先ほど観終わりました。 途中までは非常にスリリングで どう展開して行くか分からず、面白かったのですが 「主人公が殺し屋の一味で、事故の後遺症でそれを忘れている」 と、いうネタが割れてしまってからは一気に見る気を無くしたというか 余りに都合が良過ぎる展開に、ドッチらけてしまいました。。。。 なるほど、どうりで殺し屋を敵に回してある程度抵抗出来たり 危機を回避できる能力がそれで証明される訳ですが 元々この主人公が何の罪も無い人々を爆弾テロの巻き添えにして 大金せしめ様とした極悪な首謀者、と、いう所は変わらないのです。 例え、結果的にそれを止め様としたとしても 元々がトンでもなく冷酷非情で、卑劣な人間である事には何ら変わりが無い。 私はちょっと前の映画ですが 大まかな展開や作品構成がハリソン・フォード主演の 「フランティック」という作品にかなり似ていたと思いました。 あと、みなさんも言う通り、確かにボーンシリーズに展開が似てなくも有りませんね。 ただ、ボーンの場合はCIAに半ば強制的に作り出された秘密エージェントであり 私利私欲の為に要人を暗殺していた訳では有りません。 逆にその国家に対し復讐をして、自分が殺してしまった人間の関係者には 真摯に謝罪しています。 これが非常に秀逸なプロットに成っているのです。 しかし、本作の主人公は事が終わると、自分の犯してきた罪に対して何の後悔もなく 偽パスポートを使い、嬉々としてヒロインと逃げて行きます。 ほんと、開いた口が塞がりません。 また、彼の所属していたという暗殺専門組織の事も、詳しく語られずじまいに終わっている。 やれやれです。この辺りの安普請は何とも覆い隠し様が有りません。 同じリーアム・ニーソン主演の「96時間」は非常に良く出来た作品だったので この作品の不出来は本当に残念です。 [DVD(吹替)] 3点(2011-10-30 23:39:54) |
13. ノーカントリー
先ほど見終わりました。 友人から勧められて見たんですが 確かにこの映画は一見すると麻薬取引に絡む金を横取りした事で 冷酷無比な殺し屋に追われる人間と、逆にその殺し屋を追う人間の物語ですが 中身は全然違う所に視点が置かれています。 また人に纏わる背景の殆どがぼやかされている。 この映画の最大の特徴は「こうやったらこうなる」と言う 人の運命における物理的作用とでも言うのでしょうか? 坂を転がるボールの前に壁を置けばそこでボールは止まる。 しかしその壁を少し斜めにすればまたボールは坂を転がり始める。 つまり人の運命を物理的作用として人間に当て嵌め 人間その物を物理的作用の1つの触媒として考えて プロットを編み出したとも言えるぐらいに この作品は起承転結に向けた演出が一切有りません。 まあ、それが逆に演出とも言えるかもですが その物理的運命を描く事の無味乾燥さと、この無慈悲さに感動せよ と、言われても私は考え込んでしまいます。 確かにこれは1つの哲学なのでしょう。 より深く推理すれば作者の意図した解釈も出来るのでしょうが 題材が題材だけに私は出来ませんでした。それはいや過ぎます。 なので、嵌れる人は嵌れるのでしょうが、私はイマイチ嵌れませんでした。 しかし、全体的な構成やアクションはしっかりしている意欲作なので 見て損したレベルでは無いと思います。 しかし、ラストの解釈もあれですが、色々と難しい作品では有ります。 [DVD(字幕)] 6点(2011-10-10 16:45:15) |
14. ザ・ビッグ・ワン
《ネタバレ》 こういう映画はセンスが必要で センスの無い人間が、単にシニカルなドキュメンタリー風に撮っただけなら こんなに面白くは成らないと思います。 彼独特のブラックジョーク、そして自分の立ち位置を見切ったが故の突撃嫌がらせ取材 そういう諸々でバラバラな事柄を、効果的に1本の映画として成立させている映像センス。 これがムーア氏を有名たらしめたファクターでしょう。 アポ無し取材にしても、相手がどういう対応に出るかで自分自身の出方も素早く変えながら それを映画のネタにしてしまう、こんな芸当は常人には出来ない事です。 最後の方でノコノコと出て来たナイキの社長などはまさにその良い例で 余裕コイて、「会う」などと言った馬鹿社長をとことんコキ降ろしてやろうと 僅かな時間でその対応を考え、友好的に接しながら、言質を引き出そうとする所などはまさに圧巻です。 案の定、この馬鹿社長は完全に晒し者に成りました。 ムーア氏の提案にも満足に答えられないばかりか 自分の隠して置きたい恥部(14歳発言や、フリント工場建設拒否、守銭奴ぶり)まで曝け出す破目に成った。 ムーア氏の映画はいつも同じです。 「大企業や金持ちは金を儲けるならその分を恵まれない人間(つまり貧乏人)に再分配しろ」 「政府や政治家は真実(本当の意図)を隠して世論を誘導するな」 「マイノリティー、社会的弱者を圧殺するな」 大まかに言えばこの3点の為に戦っている。 しかし、逆に言うとムーア氏の取材姿勢や映画が 大企業や米政府の民衆に対する、体の良いガス抜きに使われてしまっている事も事実です。 映画を見て感化され、人々が一大政治勢力を作ったという話はまだ聞きません。 逆に最終的にはそこまで行き着かなければ、彼の目的は成就しないでしょう。 民主党もダメ、共和党もダメ、アメリカの状況は今の日本にも良く似ています。 ココから先は「散々暴いてきたアメリカのダメダメな過去を未来に向け、どう正すのか?」 そこまで踏み込んだ形にしないといけないのかも知れません。 「この映画の収益の半分をフリントの恵まれない子供達に贈る」 これを本編では宣伝がましい事を一切せず、映画の最後の最後にサラリと言ってのける辺りに 彼のマイノリティー、とりわけ、社会的弱者に対する暖かさや信条が垣間見えています。 [DVD(字幕)] 8点(2010-10-29 20:29:20) |
15. 宇宙戦争(2005)
《ネタバレ》 先ほど観終わりました。結構面白かったです。 ただ、ちょっとカタに嵌り過ぎているというか、原作が原作なので余り脱線も出来ないのでしょうけど 特に宇宙人の姿形などは、スピルバーグならではの もっと独特のギミックが有っても良かった様な気がします。 あと、主人公と家族は運が良過ぎると言うかなー 結局、家族全部が助かった辺りも(元妻の家族も含め) んー。。。。私はちょっと好きに成れませんでしたね。 今回は笑い無しの全編シリアスな展開で、そういう所もなんというか もっとあの宇宙人達がポカやらかすとか、地球人から見てアホ見たいな振る舞いをするとか そういう息を抜ける場所が欲しかったです。 モーとにかく、最初から最後まで悲惨で陰々滅々としていて、1つも良い事が無く 最後はエイリアンに仕返しするでも無く(まあ、ちょっとはしましたけどね)、微生物に勝手にやられて全滅してしまう。 なにもインデペンデンスデイ見たいに軽薄にしろと言っている訳ではなく もう少し、起承転結に含みを持たせた展開と結末が欲しかった気がします。 ただ、全体的な完成度はさすがに高い。なので7点にします。 [DVD(字幕)] 7点(2010-10-11 16:55:30) |
16. ターミナル
《ネタバレ》 先ほど観終わりました。 異邦人が突然祖国の内戦勃発で、パスポートを無慈悲に取り上げられ、空港内に放り出される。 言葉は通じず、寝る場所も無い、貰ったなけなしの食券は風で飛ばされ、捨てられる(笑) そこで凹まずに主人公が空港サバイバルを開始する様は非常に滑稽 小ネタ、くすぐり満載に作られいて、この辺りはさすがに巧いです。 確かに空港警備の杓子定規さや傲慢さには腹が立ちますが ビクター自身も、空港の椅子をぶっ壊して寝床にするわ 自販機からはジュースをガメるわ、壁は勝手に造作変えちまうわで かなり好き勝手やっていたのも事実です。 ハゲの責任者も小才子然とした嫌な野郎ですが 従業員の行状や過去を知っていても、それとなく見逃していたりと 有る一面では柔軟性も持ち合わせている。 まあ、それを取引条件に使う所などは非常に官僚的でも有りますが 結局の所、仲間の協力などの無理押しで、ビクターが空港から出られてしまうくだりは いかにも強引で、取って付けた様な感じが拭えませんでした。 また、ヒロインとのラブロマンスも極めて中途半端で、どうにも消化不良ですね。 見終わって思った事は、非常にスピルバーグらしからぬ作品だという事です。 彼の過去の作品はどれも一貫した方向性があり、それを追求して行く形で、物語が進行するのですが この作品はアメリカにおける不法移民などの、マイノリティー迫害を描こうとしているのか? それとも単に空港行政における傲慢さや、いい加減さ、弱者に対する軽視を描こうとしているのか? はたまた、主人公の徒手空拳からの成り上がり物語と ヒロインとのラブロマンスなのか??? 実はそのどれもを主題として盛り込みつつも結局、1つも結論に至っていない気がするのです。 また、空港内(フードコートの店員、荷物仕分け、掃除夫)で働く人々が 実は過去アメリカにやって来た元移民であり、アメリカ社会における最下層に近い人々である事 それが為にビクターの行い(ヤギの薬の件)などに拍手喝采を送った事 この辺りが全然説明されてない、説明が成されて無いから方向性が希薄に成る。 だから作品自体も煮え切らないというか、ドッチ付かずに終っている様な気がします。 でも、空港の実態やサバイバルなどは珍しく、最後まで飽きずに観れました。 今回はちょっと甘めの7点にします(笑) [DVD(吹替)] 7点(2010-10-11 15:19:16) |
17. 西部戦線異状なし(1930)
《ネタバレ》 先ほど見終わりました。 実は1979年版と間違えて借りてしまいました(笑) ですがこちらを見て良かったです。非常に良く出来た作品でした。 とても1930年に撮られた映画だとは思えません。 戦闘と砲爆、機関銃座のシーンで、次第に横に流れて行く長回しの映像表現は 今見ても非常に斬新で、まるで自分がその場で撃たれているかの様な錯覚を感じました。 特に砲弾が横に連爆して行くシーンなどは鳥肌が立ちました。 その他、敵兵が塹壕へ飛び込んで来たり タコツボを飛び越えて行くシーンなどは、下からのアングルが非常にリアルで 最後は銃剣でも間尺に合わず、シャベルを振り回して叩き合う白兵戦も圧巻です。 この辺りはまだ実戦経験者が多数居たはずですから、演技指導などをしていたのでしょうか。 この映画がハリウッド最初の戦争巨編であり、その後のアメリカにおける 戦争映画のバイブルと成っているというのもうなずけますね。 特に戦闘シーンの映像手法の全ての原点が この映画に詰まっていると言っても過言じゃないかと思います。 しかし、戦闘シーン以外の場面設定で有ったり 台詞回しや演出などには、所々やはり時代を感じさせるものが有り 誰が誰だかはっきり区別出来なかったり、いま1つシックリ来ない所が有ります。 ただ、古参兵のカチンスキーを初め、まわりの配役は中々良い味を出していて コミカルなシーンも有ったりと、ある程度感情移入出来る設定で それが為にカチンスキーの呆気ない死は 現実の戦争の悲惨さ、儚さを如実に表していると思います。 ただ、もう1つ物足りないと感じてしまうのは 撃たれて血飛沫が飛び散ったり、モ切れた手足が宙を飛んだり、ハラワタがはみ出てたりの リアルな現代風戦争映画のギミックに慣れてしまっているからかも知れません。 そういう部分を期待している人は見ない方が良いでしょう。 しかし、実際の戦争、時代的背景やその現実、という物を当て嵌めてみると 実際の第1次世界大戦から12年しか経っていないこの映画のほうが ある意味で相当リアルであるのかも知れません。 [DVD(字幕)] 8点(2010-10-02 00:20:08) |
18. サロゲート
《ネタバレ》 みんなさん点数低いですねー^^; 確かに世界観が過去のSF映画に似てたりは有りますが 私はこの難しい題材を意欲的に、よくここまで作ったと感心しました。 遠隔操作で自分専用のロボットを操る社会。操る自分は自宅で寝て暮らし そのロボットが仕事をこなし、報酬を得て暮らす社会。 って、イヤーそれ、私の理想世界ですよ、いやホントに! そう出来たらと何度思ったか知れません(笑) 五感など、感覚器官の乏しいロボットを操るのは疲れる作業かも知れませんが この作品に出て来るロボットは人間と同じか、それ以上の感覚で操れるらしく みんながドップリとこの横着システムに嵌って生きている(いいなぁ。。。) つまり、この作品の主題というのは 「人間がロボット操る事で、その操っているはずの人間の方がロボット化してしまう」 これが全編、骨太なプロットに繋がっていると思いました。 あと、主演のブルースウィリス。 この人が主演だと妙に明るくって オラオラ感やドヤドヤ感が満載のストーリーに成るのが定番なのですが 今回はかなり陰影苦渋に満ちた、渋い役回りに徹していて アクション主体というよりも、謎解きに重き置く展開に成っています。 サロゲートという遠隔ロボットシステムは、人間に表面を小奇麗に繕える自由を与えたとも言えます。 しかし、逆に言えば、人間自体が家に閉じ篭り、サロゲートと自らの姿(実体)の違いを否応無く見せ付けられる。 そして、益々家に閉じ篭り、サロゲート(建前)を益々美化してゆく。 それが人々の至上の喜びとなる。 まあ、何でも度が過ぎると醜くなる物ですが この作品はそういう「醜さや、いかがわしさ」までしっかりと描いています。 そして、最後のカタストロフとその後の再生は 全く、壮観の一言に尽きます。 かなり面白かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2010-09-18 13:42:45)(良:1票) |
19. 第9地区
《ネタバレ》 中々面白かったです。 ただ、この作品には大きな矛盾が有るのでは有りませんか? 自分で作った1発でビルに大穴を開けられるビームガン(?)を1個のキャットフードと交換したがるエビ 高度なアームスーツ(強化外骨格)を作りながら、それをキャットフード100個と交換してしまうエビ これは何故でしょうか? 私が異星人なら、それ等を利用して人間と戦いを挑み、エビの独立を勝ち取ろうとするでしょう。 しかし、エビ達は物乞いの様に人間へ食物をねだり 不潔で、ゴミを漁り、牛や豚を盗み、僅かな食物を巡って仲間同士で争う。 そして気に入らない事が有れば、すぐに殴ったり殺したりする、当然人間も殺される。 これは言わば、理性感覚の薄い原始人(もしかして黒人だと???)や動物の所業に他ならない。 かと思えば20年以上も母船のエネルギーの原材料を探して、自分たちの星へ帰ろうとしていたエビ達 彼等はエビの指導者だったのでしょうか??? そもそも、あの馬鹿でデカイ宇宙船の中は20年間も調査せずにほったらかし??? まったく、謎だらけです。 つまり、この作品はそういう謎を謎のままにするのが演出の様な所があり 地球へ来るに至った、異星人達の背景や性質について、殆ど明らかにされてません。 そしてそれはついに、最後まで明らかにされませんでした。 これ等を客観的視点による演出としてしまうのは、製作者側のエゴの様な気がしますね。 監督の弁ではこの作品は黒人差別が下敷きに成っているとの事でした。 しかし、作品を見る限り、それには失敗していると思います。 何故なら黒人達は自身が弱い立場だったから、近世に白人の侵略を受け、資源を奪われ、奴隷にされたのです。 彼等にもし、エビの作った機動歩兵が有れば、迷い無く、恨み骨髄の白人達を虐殺して回った事でしょう。 間違ってもキャットフードなどとは取り替えませんよ。 そういうなんと言うか、無理矢理なこじつけっぽいプロットがちょと残念でしたね。 ただ、先駆的なメカアクションや、主人公が受けた理不尽な悲劇、そして陰謀 その後の心変わり、そして秀逸なのが最後の造花作り。。。。 だけど、もうひと塩、味付けが足りなかった。 それがこの作品の惜しい所です。 [DVD(字幕)] 6点(2010-09-17 23:36:40)(良:1票) |
20. シッコ
《ネタバレ》 今見終わりました。 お恥ずかしい事に私もこの監督の事を色眼鏡で見ていた1人でした。 しかしこの作品は文句無しに素晴らしい。医療ドキュメンタリーとしては傑作の部類です。 アメリカにおける医療問題の歴史を細部に至るまで詳しくリサーチして 彼独特の表現方法で作品にしています。 彼の作品は全般にどれもシニカルです。 だがこの作品は、そう、確かにシニカルでは有りますが 同時に暖かいヒューマ二ズムにも溢れている。 突き詰めれば結局、アメリカは資本主義がトコトン行き着いた国だと言う事なのでしょう。 政治が1部大企業の言い成りに政治を進め それが医療に関してまでクチバシを入れると、どういう事態に成るのか? それを年代も踏まえ、赤裸々に暴露しています。 政治家は皆、金を掴まされ製薬会社の代弁者となり ごく限られた金持ちだけしか正当な医療を受けられない。 貧乏人は文字通り、身ぐるみ剥がれる様に、有り金を全部医療費に巻き上げられ 必要な医療を途中で打ち切られ、そのままガンが進行して死んだり カネが無くなったと見るや、路傍へ打ち捨てられてしまう。 文字通り、「文無しは死ね!うせろ!」と、こうです。 私は目を疑いましたが、今やアメリカではそんな事が日常茶飯事に行われて居る。 はた、と、考え直すと日本でも現在、特別養護老人ホームに申し込んでも 全国で42万人の待機者が居て、仕方なく劣悪で小規模な介護ホームへ押し込まれた 寝たきり老人が火災で7人焼死したというニュースや 他にも収入が無く、健康保険料が払えないからと言って自治体に保険証を取り上げられ 医療を受けられない人々も増えていると聞きます。 その一方で大規模外食チェーンのオーナーが病院経営の規制緩和を求め 病院事業の株式化を政府に働きかけていたりしている。 つまりわが国も決して「対岸の火事」では無いと言う事なのです。 作品の後半に呼吸器の薬がアメリカ本土で買えば120ドルもするのに キューバでは僅か5セントで手に入る事を知り、女性が号泣していた場面が有りますが 「日本では絶対その様な事態に成らない」と言えるのでしょうか? 私は今の日本医療の現状を考えると空恐ろしく成ります。 また同時に、オバマ大統領の成立させた皆保険制度が早晩覆らない事も祈ります。。。 [DVD(字幕)] 9点(2010-05-03 00:44:46) |