1. クローバーフィールド/HAKAISHA
《ネタバレ》 何かと話題になって、たまたま時間もあったのでレイトショーにて観賞。ハンディカメラによる全編ブレブレの映像は予備知識もあったので、座席も後ろ目の方で観たが、いやあ面白かった。何か得体の知れない化物がニューヨークの街を破壊する、そして、たまたまパーティーに参加していた何人かが訳も分らず逃げまどう、というほんとそれだけのお話なんだが、従来の怪獣パニックとは違う怖さがあった。まず、正体がはっきりしない。原因も。何も知らされていない状況下での、人間の行動ってこんな感じなんだろうな。冷静ではいられない。いろんな憶測をめぐらして、でも相手が何者なのか、何を目的としているのか、全くもって解明されない。観ているこちらも巻き込まれるという、アトラクション的要素が素人のカメラ映像によってさらに臨場感を増す。映画というくくりでは得られない、異様な興奮もあった。ストーリーなんてあってないようなもの。それを良しとするかどうかは意見の別れる所だろうが、映画にいつのまにか参加していた、自分も逃げまどっていたという体験ができるのはやはり面白い。気持ちいいくらいの圧倒的な絶望感も味わえます。 [映画館(字幕)] 7点(2008-04-07 11:09:26)(良:1票) |
2. ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記
《ネタバレ》 2008年最初の映画ということで、肩肘はらずにお正月気分で観よう、の気持ちからこの作品を選んだ。近年、別にお正月に公開でなくてもいいのでは、みたいな作品が多い中、この映画はまさにお屠蘇でイイ気持ちになったこの時期にはぴったり。テンポはあるし、都合良く展開するし、派手だし、分かりやすいし、ほんと、退屈しないで楽しめた。辻褄とか、背景とか、そんなものすっとばす思い切った演出もいいんではないかい。この時期には、そんな難しいものは求めなさんな、と大画面の向こうから語りかけてくるみたいで、季節限定の映画だと思った。最後も黄金でキラキラなんて、縁起がいいねえ。ただし、お正月を過ぎてしまうと、魅力も半減するのでは。たまには、こんな観賞もいいかも。気分とノリで過ごす2時間。娯楽大作にどっぷり浸かりました。 [映画館(字幕)] 8点(2008-01-05 16:12:50) |
3. バイオハザードIII
《ネタバレ》 人類にとっては、絶望的な状況ともいえる場面からお話ははじまります。前作や前々作における人間達の必死の頑張りは、もう無に等しく、アンブレラでさえ手のつけようがない状態。こうなると、お話の展開そのものよりも、主役のミラの美しさ、アクションに偏った見せ方、また見方になってしまいますが、その点では充分に楽しめました。太陽燦々の砂漠のシチュエーションでは、ゾンビ達の行動も、恐怖よりも、数で襲い来る凶暴さがクローズアップされ、銃でガンガンやっつけるのは少し胸のすく思いです。謎ときや秘密を探るというゲーム的な面白さではなく、ガンシューティングの爽快感でしょうか。僅かばかりの生存者達もあれよあれよと殺されますし。よけいにゾンビに対する憎しみが沸いてくるのも確か。だからこそ、ミラのスーパーな活躍は気持ちいいです。応援したくなります。ああいう状況下では、誰かが救世主にならなければ救われないんだろうな、と思います。たとえアラスカが安全でなくても、信じたい言葉を発するのはミラでなければならないんだろうな。ラスト、ミラのクローン達とアンブレラに反撃を試みる決意のショットで終りますが、アンブレラの首謀者をぶっ倒しても何ら地球の状況は変わらない。でも救世主たるもの、そう思わないと、そう思ってくれないと、観てる我々が納得しない。思う存分やってくれ。そんな願いを抱いている自分がそこにいました。 [映画館(字幕)] 7点(2007-11-07 17:50:26)(良:1票) |
4. サイレントヒル
《ネタバレ》 怖い怖いと言いながらもしっかりとゲームはクリア。そのゴシックホラー的な内容と演出には、物凄く興奮したことは覚えています。まさか、そのゲームが映画になるとは。多少設定は変更されているが、ゲームの持つ空気感ですか、そんなものはしっかりと再現されています。だから原作を知らないで観賞された方とは、評価の視点がちと違ってきます。ご勘弁ください。怖い映画なのに、思わず嬉しくなったのは、あの霧。サイレントヒルの街を覆う、あの霧。実際は灰が舞っているからそう見えるだけなのかも知れないが。ほんでもって誰もいない街。陥落した道路。学校。机。サイレン。あっちの世界の赤錆まみれの通路。金網。視覚にまとわりつくのは、全くゲームとおなじ場面。これだけで、お腹がいっぱいになりました。ゲームをやっていた時期の、違う思い出までよみがえってきます。映画とゲームが自分の中でシンクロしてしまいました。映画としては、母は強いという切り口で一応の終わりを迎えます。現実世界には戻っていないんだけれど。少し悲しくもあり、苦くもあり。この部分はゲームを終えた時と同じ気分です。バイオといい、これといい、日本のゲームクリエイター達が、いかに海外の映像作品やその他のものを研究し、日本向けに昇華させたか、そしてそれが海外のクリエイターにいかに影響を与えてきたかが、よくわかる作品となっています。 [DVD(字幕)] 7点(2007-10-12 17:52:06)(良:1票) |
5. 宇宙戦争(2005)
《ネタバレ》 観てたと思っていたら、ありゃりゃ観ていなくて、DVDをレンタルして観賞。話題にもなったし、宣伝もバンバンやってたし、何で観なかったんだろう?年をとるといけませんね。すっかり観てた気分になってて。ほんでもって、ちゃんと観てみると、面白いじゃないの。もっとドンパチを想像してたんだけど、そんな場面はなく、ただただ逃げ回る一般市民をこれでもかとくどいくらいに描いています。地中から出て来た時点で、こりゃかなわんわ、なのでしょうが、圧倒的に強い様をみせつける序盤はさすがスピルバーグ。街の壊れっぷりはパニック映画のテキストみたいにしっかり見せてくれます。だらしのない親父のトム君の動揺ぶりもよくて、ハラハラドキドキ。ただ、戦争というタイトルの割には、先に想像していた異星人とのドンパチがなくて、迫力には欠けます。でも、この映画、逃げまどう人間を上から目線でとらえていて、何かしら神の啓示っぽく見せています。弱い人間。知恵はあるだろうに、逃げるというその一点のみにしか考えが及ばない人間。実際そうなのだろうけど、文明を築き上げた地球人としては遥か銀河の彼方からやって来たものからしたら、たいしたことないんだ。なんて、簡単にやられちゃう場面が、ものすごく怖かった。宇宙は広い。地球人が最高なんて思いを木っ端みじんに砕いてみせる、思い切りのいい作品でした。最後は、むむってな終りだったんだけど。 [DVD(字幕)] 7点(2007-10-12 17:36:14)(良:1票) |
6. ファンタスティック・フォー:銀河の危機
なんともゆるい映画でした。アメコミものの中でも人気のある作品らしいですが、映画として表現されるものとしては、視覚的な所のみが少しわくわく、といった感じでお話の緊張感のなさといったら。地球だけじゃなく、銀河の危機というふれこみの割にはスケールがなく、局地的な展開の割にはまとまりがない。漫画だからいいのか。大きな画面の中で、漫画本をめくって楽しんでる、そんな雰囲気でしたね。自分としては飛ばし読みしたかったのですが。ちなみに妻は、あれでいいのよ。このゆるい感じが持ち味なのよ。といいますが、ほんとなのか? [映画館(字幕)] 5点(2007-10-12 17:19:28) |
7. トランスフォーマー
《ネタバレ》 ガッチャンコ、ガッチャンコと金属が変形しながらロボットになっていく、その様が、その音が観賞後も頭にこびりついています。子供の頃、今みたいな精巧なプラモデルもなく、変形合体の超合金もなく、地味にビニール製のロボットもどきのおもちゃで遊んだ自分にとっては、大きな大きなプレゼントをもらったような映画です。変形シーンのこれでもかというくらいの見せ方は、もう単純でワクワクしてしまいます。ストーリーにはいくつかの「?」が付くのですが、とにかくロボット、ロボットの力押しで、画面の中では強引に物語が進んでいきます。確かに、それだけの映画かも知れない。ただ、それだけに特化した、突き抜けた映画というのも潔い感じがします。日本のアニメや特撮ものが与えた影響というものも所々に分る場面もあります。深く物事を考えないで、頭をゆるくして観ると、ガッチャンコ、ガッチャンコが快適になってきますよ。 [映画館(字幕)] 8点(2007-09-03 13:04:57) |
8. 16ブロック
《ネタバレ》 やはり職人監督。ドナーの手にかかれば、何でもない16ブロックという距離が、映画の面白さとなってこんなにも昇華されるなんて。証人を裁判所へ送り届けるだけの簡単な仕事。その任をまかされた初老の刑事、ブルース・ウイリス。俳優というのはどんな役にも化けるものだが、今作のブルースは特にいいです。何だかやる気のない、けだるい、体もキレのない、言葉は悪いがもっさりとした印象で始まるのですが、物語が進むに連れ徐々に、カッコ良く見えてきます。証人とも最初は、会話もなく、ムスッとしていたのに、段々人間らしさとして色がついてくるような、そんな展開が画面に集中させてくれます。あんだけ人がいても、誰も2人のことは知らないし、知ることもありません。孤独であることも、あの雑踏が演出しているみたいで、ぐっと来ます。バスや救急車、テープレコーダーの使い方も、ベタなのかも分りませんが、自分には非常に上手くみせているなと思いました。監督との相性というのか、ドナーの作るものには妙な安心感がありますね。俳優の使い方もうまいですし。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-06 14:11:51)(良:2票) |
9. レミーのおいしいレストラン
いやあ、困ったです。レイトショーなので、夕食はすませたはずなのに、観賞中お腹が減って減って。だって、あまりにも美味しそうだったから。これがCGなの?と思うくらいシズル感が、匂いが、目に鼻にまとわりついてきます。料理番組でも感じた事のない美味しさという情報が五感にずんずん入ってくるなんて、凄い映画だ。もちろんお話しもピクサーお得意のファンタジー色あふれるもので、見事に、現実では絶対体感できない不思議な面白さをしっかり見せてくれます。主人公がネズミであるため、下水道の水流も大アドベンチャーになり、調理場でも、その大きさの対比からスペクタルシーンに大変身。小さい故の疾走感も重なり、映画的な興奮も思う存分味わえます。料理評論家のエピソードも当たり前といえば当り前なんですが、やっぱ人それぞれ思い出の味っていうのがあって、料理は理屈じゃないんですよね。また、文字や言葉で表現するものでもない。作りたい情熱と愛情を持った人がいて、それをただ純粋に食べたい人がいて、それで成立するものなんだなあ、とあらためて感じる次第。 最新のデジタル技術で最もアナログなことを伝えているピクサーって、やっぱりすごいなあ。 [映画館(字幕)] 9点(2007-08-03 18:35:56)(良:1票) |
10. シュレック3
《ネタバレ》 シリーズも3作目ときて、少しばかりトーンダウンか。いかんせん、テンポが悪すぎる。大きなテーマである、子供ができることでの物語の進展が、どうにもこうにもネガティブすぎて、それでなくても余り可愛いとは思えない赤ちゃんが大量に出てくるものだから、印象はよくないです。あいかわらずのコンビぶりは、笑わせようと必死になっている雰囲気のみで、物語の展開とは関係ないし。吹替え版で鑑賞したからか、声のイメージが先行して、TVサイズの面白さというスケール。ただ、あのクッキーマンですか、あのキャラクターが悪者にシュレックの奥さんの居場所を聞かれて、頑に拒み続けたシーンで、刃物を突き付けられた時、ほんの一瞬のことだけれど、自分の一生を走馬灯のように振り返る所は笑った、笑った。生まれて来て、成長して、結婚して、子供が出来てと、まるで人間と同じように生活している様は、良かったです。その後、もう笑うしかないという自暴自棄みたいになるのも、非常に可笑しかった。この場面が、今作の一番の見所でしょうか。 [映画館(吹替)] 6点(2007-08-03 18:19:14) |
11. ダイ・ハード4.0
《ネタバレ》 幸いにもこのシリーズは全て劇場で観賞することが出来ていて、今回の新作も迷いもなく前売りを購入して観に行きました。3作目からもう12年。1作目では、まだふさふさ感のあったマクレーンの頭ももはやスキンヘッド状態。観ているこちらも確かに年はとっているのだが、DVDの普及により、1作目の活躍が昨日のように思えて、まだまだ若い現役のマクレーンが印象強い。しかし、今回の作品は、確かに1作目の素晴らしい脚本には巡り合えてはいないけれども、面白かった。楽しかった。年を重ねた主人公を認識させる最初の娘とのシーン。平気でアップでみせる顔の傷や皺や皮膚のたるみ、同行するハッカーに愚痴る今までの活躍の結果に得た空しささなど、ただの人間としての主人公がよく描かれています。スーパーマンばりのアクションだけど、そこには必死になって、うろたえながらも、しぶとく粘り強く生き抜く姿があって、感動してしまった。悪党との格闘でも決してスマートじゃない。こんにゃろ、死んじまえ、ばかやろうなどの暴言をはきながら(吹き替え版も鑑賞しました。野沢那智さんが声を当てられていました)どうにかこうにかやっつける。クライマックスのトラックと戦闘機のチェイスもありえないだろうの場面だけど、これはサービスと考えました。最後には、自分も撃ちながら敵をやっつけるのだから。究極のアナログ戦法と言えるのでは。サイバーテロという超近代的な事件に対し、鳩時計とさえ言われた主人公の奮闘。その対比。コントラスト。人間の底力をこれでもかと見せつけるマクレーンにただ拍手です。 [映画館(字幕)] 9点(2007-07-19 16:18:26)(良:3票) |
12. 300 <スリーハンドレッド>
観賞する人を選ぶ作品だとは思います。でも、個人的にはすごく面白かったです。この映画の持つ匂いと言うか、香りというのが、ちょうど東映仁侠映画が上映されていたあの頃の映画館の感じがとてもするのです。最新の技術でもって、古めかしく絵画的なトーンでまとめられた内容がそう思わせるのか。はたまた、出てくる男達の粗野でいて美しく気高い精神にそう思うのか、よくは分りませんが懐かしい熱さを感じました。ハラハラドキドキという感情の起伏以外に、こう腕に力がみなぎるみたいな、健康的にはどうだろうというアドレナリンが体に沸きまくりました。一緒に観賞していた妻も同じような印象を持ったと言っていました。でも、映画の表現方法にはまだまだ道があるのですね。そういう点でも見応えのある作品でした。 [映画館(字幕)] 9点(2007-06-25 14:40:55) |
13. パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド
《ネタバレ》 なんだか雰囲気を味わうというか、海賊ものというジャンルそのものが最近の映画の中では珍しいので、そうした感覚を楽しむ映画という気分でした。前2作品は観賞済みで、この3作目に臨んだのですが、結構面白かったです。多分にアトラクションめいた展開も映画としては見せ場になっており、大画面の迫力を充分に堪能。しかし、何と言っても男、男、男の集団のその汚いこと。当然のごとく海上生活ゆえ、風呂に入ってないであろう、その顔、そのスタイルの汚れ密度の高いこと、高いこと。何でもないことなんだけど、そんな海賊めいた汚さが妙に気に入ってしまいました。だからこそ、キーラ・ナイトレイの美しさが際立っているのだろう。嵐の大海原での決戦、びしょぬれになりながらの剣劇、砲弾乱れ飛ぶ様など、海賊ものの神髄をみせてくれています。あくまでも視覚的にですが。物語性など、あまり気になりませんでした。ムードたっぷりに演じている主役はもちろん、傍役までもが実に楽しそうなんだもの。いいなあ、お祭り的で。 [映画館(字幕)] 8点(2007-06-25 14:29:35) |
14. スパイダーマン3
《ネタバレ》 悩み、傷つき、慢心になり、果ては復讐心まで自分の内に沸いてくるという、およそ題材的には暗い部分がメインとなる今回のストーリー。でも、スパイダーマンって、主人公そのものが完成された人間ではなく、まだ成長途上の青年であることから、こうした展開もありだろう。ピーター・パーカー自身の戦いとして、ヒーローらしくない素顔をさらしてのバトルが多いのも、そう考えればうなづける。そのバトルも、大画面の効果も充分考えての大迫力もの。特にハリーとの空中戦は、どちらが上でどちらが下か、もう何が何やらの興奮場面が続く続く。想像力を上回る程の視覚的なインパクトがこれでもかと胸ぐらをつかみまくります。大きなテーマとしては、憎しみや妬み、誰もが持っている心の闇の部分とどう向き合うのか、どう克服するのか。ヒーローである前に人間であるという当たり前の事が、これほど痛切に分るのもこのシリーズの大きな魅力。愛すべき隣人とはよく言ったもので、だからこそ人気があるのだろう。ラスト、やっと理解しあえた友人を亡くしてしまう所では涙が出た。ここにも、救うことのできないものがあること。ヒーローが全知全能ではないこと。MJが言った「スパイダーマンにも助けは必要なのよ」の言葉がグッと来る。CGによる視覚面での宣伝が過剰に行われているがドラマの部分も充分に良いです。静かに終るエンディングで、観ているこちらが救われたという感じです。もう一度みたいです。 [映画館(字幕)] 9点(2007-05-08 17:20:44)(良:1票) |
15. ロッキー・ザ・ファイナル
非常にシンプルな映画でした。でも、シンプルであるがゆえに、勇気、努力といったメッセージが何の不純物もなく、観ている者の胸に飛び込んできます。年をとり、エイドリアンを亡くし、実の息子とも離ればなれに暮らしているロッキー。変わって行く街並、時代、人々。その中にあってロッキーだけは変わらない。エイドリアンとの愛で得た幸せを、出会ったこの地で一生大切にしていく老後が、前半のシーンでしっくりと描かれています。ただ悲しいだけじゃない。なぜならエイドリアンはいつもロッキーと一緒だから。ただ、こういう老後が本当の自分なのか、このままの生き方が本当なのか、その確認のため再びリングに立つ後半。映画的な興奮は、ロッキーのテーマと共に最高潮に。本能に訴える映画音楽として、この曲ほどアドレナリンが沸騰するものはない。そして、ラスベガスの試合。殴りあい、血がとびあい、汗が舞う。肉体の激突が語る多くの言葉に観ているこちらも目が潤む。魂は年をとらない。人生ほど重いパンチはない。どんなになっても前に進むんだ。そんな言葉のラッシュに、胸が熱くならない訳がない。過剰な音楽の演出もなく、試合終了後のロッキーの「さあ、帰ろう!」というセリフに涙が出た。そうだよね、エイドリアンのいるあの街に、またエイドリアンと生きていくんだよね。本当の自分をみんなに見せて、そして自分でも確認できて、良かったねロッキー。笑顔が本当に眩しくて、眩しくて。いい映画でした。最終章に相応しい作品でした。 [映画館(字幕)] 9点(2007-04-23 10:22:47)(良:7票) |
16. ナイト ミュージアム
《ネタバレ》 歴史の息づく所ですか。いい表現だなあ。博物館の恐竜や動物や偉人達が真夜中になると自由に動き出すなんて、ファンタジーですなあ。CMでは、パニックコメディ風な紹介ですが、内容の方はそれもありの、親と子供の関係修復、告白できない鑞人形の恋物語、博物館のガイド女性の夢実現等、しんみりしたり、ほのぼのしたりと割とお話のある展開です。自分がああいう雰囲気が好きだからかも知れませんが、動かないものが動き出す、という単純な思考を具現化してくれているだけでワクワクしました。特にジオラマの小さい小さい人間達のワーワーやっている様といったら、うん楽しい!おもちゃのような映画だけど、おもちゃが今でも好きな人は満足できるのでは。動き出した恐竜や動物たち、ネアンデルタール人達が、ぞろぞろと博物館に戻ってくるシーンで、主人公の話を信じてなかったガイドの女性が、タクシーの中でその光景を目の当りにした時、驚きよりもうれしそうな表情をしていた場面はなんだかジーンとしました。分る人には分る感情なんかな。あと、ラスト、指パッチンでライトが消えるのも伏線が前半にあり、ちょっとうれしかったです。夢の時間のような楽しい作品でした。 [映画館(字幕)] 7点(2007-03-12 18:41:39)(良:1票) |
17. ゴーストライダー
《ネタバレ》 アメコミ物ということですが、原作は全く知りません。昨今のヒーローブームとでもいうのでしょうか、スーパーマン、スパイダーマン、X-メン等の映画化が成功している点をうけて、今作も作られたのでしょうが、以外に面白かったです。俗に言うダークヒーロー物ですか。どくろにバイク。皮ジャンに鎖。ほんでもって、炎に包まれているというビジュアルインパクトはかなり強烈。普通なら悪役でしょ、みたいな。演じているのが好きな俳優でもあるニコラス・ケイジ。ミスマッチのような、いや、そうでもないような絶妙なバランスで画面の中で動いています。変身しています。視覚効果は、CGがもう当り前になっていて、新鮮味はないが、やはり凄いですね。特にビルの屋上からバイクごと飛び下りる場面なんかは、漫画の世界そのもの。お話は、宗教感全開の展開で、悪魔との絡みや魂の解釈等、「?」の部分もあるのですが、強引にラストに引張って行く力技でテンポとしては悪くありません。夜の荒野を2人のゴーストライダーが走るシーンは、この絵だけを監督は撮りたかったんじゃないかと思うくらい、ノリノリでした。 あと、あのピーター・フォンダが主人公のバイクを「いいバイクだ」と言うシーンはおかしかったです。そうか、あのイージーライダーからもう何十年も経つのか。ちょっと感慨深いものがありました。 [映画館(字幕)] 6点(2007-03-05 11:28:01) |
18. ブラック・ダリア
デ・パルマ監督の作品を映画館で観るのは久しぶりです。独特のカメラ回しやカットで、サスペンスの鮮度を、そしてスリラーの感度を上げた職人気質の監督というイメージで本作を観たのですが、最高!とはいかないまでもなかなか面白かったです。2人の男の関わりを最初に見せ、そこに女を絡ませ、やや説明的な描写が長く続き、ブラックダリア事件になかなか突入しません。「なんじゃ。どこから本編がはじまるのかな?」とじらしてじらして。やがて、カメラワークを駆使したある場面から(カメラが低上空から景色をとらえ、狭い路地を車が走ってくる、道端を男と女が歩いてくるのをワンカットで魅せる)作品はダークな色合いがより濃くなってきます。色調自体も、かなり抑えられ鮮やかな場面はほとんどなく、舞台となる年代の空気をうまく出しています。事件の本質そのものの追求というよりは、その事件をきっかけに何か狂いだした人間の性を見せる内容でした。純粋にサスペンスや謎ときを楽しむ(視覚的なトリックはありますが)ものではないのが、観る人を選ぶと想います。ただ、映画館の暗闇の中の方が、この作品にはあっているような、そんな気がします。 [映画館(字幕)] 7点(2006-10-16 10:29:14) |
19. ワールド・トレード・センター
これは絵空事ではありません。全世界が驚愕した事実です。世界貿易センタービルの崩壊シーンがTVで繰り返し流れる度に、テロの恐ろしさ、忌わしさ、そして、結果たくさんの人々が犠牲になっています。最初、この映画はビルのシルエットが象徴的なポスターで知りました。2本のビルの間に小さな小さな人間のシルエットがふたつ。本編の主人公である2人の警官が立っている有名なポスターです。監督がオリバーストーン。政治的な匂いが漂ってきそうな、そんな印象を受けました。しかし、映画は実に淡々と、真正面からこの災害を、瓦礫に埋もれ必死に生きようとする人間を描いています。テロだとは知らず、ビルが全て無くなった事も知らず、2人は互いに声を掛け合い、生きようとします。妻を想い、子供を想い、家族を想う。生きるという行為にすがる手だてが、やはり自分だけの命ではなく、家族あっての自分だというのは、どこの国でも同じ。暗い画面の向こうで交わされる2人の会話に胸が震えます。また、彼等を助けようとする人々も、名声や報酬が欲しい訳でもなく、ただ人間の素朴な本能に基づき、崩れそうな瓦礫の中に挑みます。大袈裟な演出もなく、ただ感傷的に盛り上げる音楽もなく、どちらかというと地味に作り上げられた作品です。映画以上に事実としてのドラマがそこにあったからなのでしょう。映画の最後、元気になった2人が感謝の会で見せた笑顔に涙がこぼれました。重い涙でした。心の充足というよりも、受け止めねばならない問題を観る者に与える映画でした。とりとめのない感想でごめんなさい。ただ、多くの人に観て欲しい作品ではあります。 [映画館(字幕)] 8点(2006-10-10 09:51:19)(良:2票) |
20. スーパーマン リターンズ
今作を観る前に、ドナー監督の「スーパーマン」をDVDで観ました。あの有名なオープニングタイトルの爽快さを今作でも感じることが出来、その時点で私の評価は高得点域に。しかも、内容はドナー版のクラシカルな作りを意識して、最近の映画に見られるアップテンポな進展ではなく、ひと昔前のハリウッド大作ロマン映画なる香りさえ漂わせています。たとえは乱暴ですが、ミスタードーナツのオールドファッションのような感じですか。今作の監督がドナー版をとても愛しているのがよく分ります。ヒーローがヒーローとして存在すること。それは、単純に世の中の悪い事、また、災害や事件から人々を救う事。スーパーマンが遥か地球の空の上、耳をすまして世界のニュースを聴いている場面では、なぜかうっとりとしてしまいました。特撮部分の出来もすごく、飛行機を救う場面などは、思わず声を上げそうでした。メジャーリーグのグラウンドに降り立ち、皆の声援を浴びる場面ではなぜか涙が。年をとっても、自分の中では、まだヒーローを欲しているんだなと納得。これって、サンタクロースの存在を信じていることと同じ現象なのかな。 とにかく、面白かったです。クリストファー・りーヴが演じて完璧なものとしたこの偉大なヒーローを、もう新しい作品はみることが出来ないだろうと、くじけてた心に見事よみがえってきてくれました。出来るならもう少し大きなスクリーンといい音響装置の中で観たかったです。公開初日なのに、え、なんで、この劇場で?とショックでした。 [映画館(字幕)] 9点(2006-08-21 18:52:59)(良:3票) |