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K-Youngさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 80
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メールアドレス wakasa@hf.rim.or.jp
自己紹介 映画って本当に良いですね、晴郎さんが言っていた。忠夫さんが熱く語っていた。荻さんは斜めに座って、ちと難しめな解説をしていた。土曜日には、テレビの前のあなたとお会いしましょうと、約束され、日曜日の夜には、さよならを、それも三回言われてしまう。その時まだ小中学生。今、その人達と同じ年齢になり、私も同じような事を言い始めている。追いつけたのか?それがこのレビュー。

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1.  キック・アス 《ネタバレ》 
予言。公開時はそう話題にはならなかったこの映画、DVDが日本で出る頃、または、2が公開される頃には、この名が知られることになるでしょう。凄い映画です。ここのレビュー数も100は軽く超えるでしょうね。駄目高校生のお馬鹿映画と思いきや(みんなそう思っているから見てないんだ)、後半にマカロニウエスタンになる展開に、心が燃えたね。
[インターネット(字幕)] 9点(2011-02-06 13:57:33)(良:2票)
2.  L.A.コンフィデンシャル
映画の一ジャンル、ノワールもの。「チャイナタウン」もそうだけど、この時代の、ファッションとか音楽とか車とか、きらびやかな都会とか、悪と暴力と正義と美女のノワール映画はマッチする。人間の欲望、資本主義的な欲望を見せてくれる。ジェームズ・エルロイ原作でしょ、もう、人間の根元の所で藻掻く、悪とか正義とか、そんな二元論なんか蹂躙するような、人間劇は当然と思って見なきゃ。でも、映画だから、その上、人間の善を信じているような、ハリウッド的な部分も絶妙なバランスで加わり、展開している。脚本を練って練って練り上げたんだろうな。全てのシーンに、映画自体の持つ華やかさがあるが、同時に、人間欲望のドロドロした部分を裏に感じさせるという(見る者はエルロイを知っていることが前提なのだが)、二層構造を楽しむ映画とも言えます。エルロイを知らない人は二回ご覧になってくださいね。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2008-02-28 22:36:29)
3.  欲望(1966) 《ネタバレ》 
映像が分割される。柱や壁や家具や、その物の縁が区画線になっている。そこに人間がいる。窮屈な形でいる。現代人の孤独を表すのか、物と対比された存在だといいたいのか。色遣いも鮮明な明るさを要求している。公園の緑さえどこか人工の緑に見えてくる。あくまで映像は人間の手によるものであるとの主張。いろいろと意味の仕掛けをだしてくる。モデルにマウントポジション、あれこれは○○シーンだね、とか、公園の風、あれは、内面での心が騒いでいるか、不吉の予兆か、ってね。適当に想像しろ、と監督は言っているようだ。プロペラも何かだ。紫の紙の中での○○シーンも何かだ。ライブも何かだ……死体も意味があった。主人公が本当に見たものは何か。否、見るとは何か。そこにあると思っているから見える、とでも言いたいのか。テニスボールのように。現象学的な事を言う。写真家だってとろもミソだな。見る商売だからね。私達もつい主人公と同じように見てしまうしね。ま、監督の仕掛ける罠かな。見る事にどんでんがえしを用意していた。最後は、私はここで主人公が消えたらおもしろいのになぁと思っていたら、あれ、本当に消えた。映画自体も「あると思っているからあるんだよ」と最後の最後まで、見る者を煙に巻く
[DVD(字幕)] 9点(2008-02-17 17:04:57)
4.  サンライズ 《ネタバレ》 
男の手だ、半開きに宙に構える手だ。殺意を語る、迷いを語る、懺悔を語る。妻の首だ、時には斜めにしなだれ、時にはぴょこぴょこ動く、失意を語る、幸福を語る。ホーンが呼ぶ、妻の名を呼ぶ。名前は分からない、でも、妻の名前が分かる。オーバーラップ、交換するショットも使う。善と悪、現実と妄想、田舎と都会、幸福と不幸、その対比。浮き袋代わりの芦の束、見る者に最後はこれが左右するはずだ、つまりは、ボートが転覆するはずだ、と教えつつ、見る者はストーリーの展開にはらはらすることになる。男が死ぬのか、女が死ぬのか、はたまた…… サイレント映画の、表現の極みを見せる。きくところによると、ドイツ表現主義の流れにいる監督であるとか。これが表現主義かと、うーんと唸る。さらに、ここは賛否が分かれるところだが、ギャグも「教会のシーン」を越えてから入っている。ハリウッド側の興行的な要請か?それとも、チャップリン同様の笑いと涙路線というのが、この当時の映画の王道であったのだろうか?何れにしろ、素晴らしい映画だ。
[DVD(字幕)] 9点(2008-02-09 14:40:05)
5.  マンハッタン 《ネタバレ》 
maturity の話でした。頭がいい男。見ている者に、頭がいいって素敵なんだ、と思わせていく。なんだか、金があって、女性にもてるもんね。まぁ、憎らしいねぇって。でも、最後の最後で、maturity という意味で、彼の真性がどうであったかを見るものに教える。お嬢さんの方が大人でした。ここで、見ている者は、ああ、自分が駄目人間なんで、知性の鎧を着るんだな? それが都会の人なんだ、マンハッタンなのだ、と思ってしまう。そこまでインテリ卑下するか、とも思うけど、悲劇にしたいのね。で、それでも、主人公はマンハッタンを愛す。そして、その思いが冒頭のナレーションにつながる。ガーシュインの音楽が支持する。そう、悲劇的失敗者だって思えないんですよ、逆に、その悲劇にあこがれるから人間って不思議で、あこがれるようにさせる映画だから、すごいんですね、これ。 
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2008-01-17 22:21:47)
6.  ラスト、コーション 《ネタバレ》 
過激な性描写は、「ラスト・タンゴ・イン・パリ」への挑戦ではないのか、と感じています。見ている方は、主人公が死ぬのは予想されるのですが、最後をどう決着つけるか、という興味を観る者を最後まで引っ張っていきます。原題の通り、色と戒、で揺れる主人公の気持ちがよく分かる演出が素晴らしい。ベッドでの目線、ダイヤを見た時の表情、車中苦悩を語る男への眼差し……特に素晴らしいのは、娼婦をさせられるのが分かっていて、自分の気持ちを歌で伝えるシーン。そして、最後、「逃げて」という台詞が出る説得力。殺す相手を好きになるとは古典的なストーリーだが、恋愛というコンセプトのユニバーサルは大道「死と同価の恋」をアジアのテーストで大展開している気合い。「ラスト・タンゴ・イン・パリ」と「覇王別姫」への挑戦。ラストシーン、愛欲のシーツへ頭の影が映るのも、上手でした。
[DVD(字幕)] 8点(2013-05-12 12:14:13)
7.  ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 《ネタバレ》 
虎の方が作られた話でしょう。心の痛みを忘れるための彼の想像。虎の話が本当ならば、もう一つの話を想像する理由がない。CG3Dで作られた映像の美しさ(特に水中の浮遊感の驚き)、虎という作られた話、それに、神という作られた超越。作られたモノの中にある、不思議なリアリティ。幻惑的人工美。それがこの映画の魅力なんでしょう。でも、どこかそれが少し欠点にも思えてしまう。ヒューマニズム的人間臭さの不在。人間臭さが、ドラマの中にも、作り人の側にも見えるのが映画だと思う。虎がCGでなければ、違ったかな?……それよりも、3Dの映像、私も船酔いしました。
[映画館(吹替)] 8点(2013-02-02 19:58:01)
8.  リバティ・バランスを射った男 《ネタバレ》 
「シェーン」と同じテーマですね。西部の、無法の終焉とガンマンの終焉。西部の時代は、伝説として存在すると、ラストは語る。Jimmy は Jimmy らしく、「誠実」な男、the Duke は the Duke らしく、「強い」男、二大俳優を楽しむ。その他の登場人物も細かな性格分けがしてあって、酒ありギャンブルあり馬あり鉄火肌の女性あり拳銃の早抜きあり投げ縄ありと西部劇アイテムをも並べる、そして、白黒映画の美しさを引き出す、「サボテンの花」、フォード監督の余裕のさばき。モニュメントバレーがないだけですね。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2011-01-03 14:36:41)
9.  バベル 《ネタバレ》 
四つの話が、密接に繋がってないところがミソで、そうなるとどこか作って「お話」的になってしまう。ほんの少し掠る程度で、繋がっていることで、四つの話を一つの話に入れる契機としているだけ。この監督は、「不可避的、運命的出来事に押しつぶされる人間とそこからの再生の可能性」を歌っている。テーマを一般化するために、四つの話を並べているだけである。「バベル」というタイトルを付けたのも、言語は違うけど、人間同じなんだ、という人間の性を一般化したい監督の意図が伺える。最後のうまさは、見ている人は、「女の子」死ぬんだと思わせて(彼女は死に場所死に方を探していたのでしょう。その前に、アレを、ってことですね、最後に分かります)、実は、「救いの手」を差し伸べた点、ある意味、どんでん返し。監督の人間性を信じる姿を感じる。メキシコのおばさんが救われないのもワザとらしくなくていい。むしろ、ラストのどんでん返しの布石になっている。刑事さんの手紙は、きっと「私、死ぬのを辞めます」だったはずだ。
[DVD(字幕)] 8点(2011-01-02 19:58:59)(良:1票)
10.  スラムドッグ$ミリオネア 《ネタバレ》 
スラムの話を語るのに、クイズ番組を通してっ、というアイデアが良くて、それでOKじゃないですか。暴力に偏ると、やーい、あのブラジル映画の二番煎じだ、って言われますからね。二点ほどコメントを。トイレの「あの」中に落ちるというシーンに笑いましたが、後で映画のデータを見ると、「トレインスポッティング」の監督さんなのね、まぁ、やれやれ、また、って思いました。もう一点、ラストの方の、作る側と見る側の駆け引き、が面白かったという点。お兄さんが携帯を渡した所で、見る方はもう「これはライフライン、来るな」と予感させて、ま、その通りになって、でも彼女が「私も知らない」と来て、見る方はヒックリ返ってしまう。作る側の思惑通り。で、問題が「三銃士」に関して、実は、これ、多くの人が誤解している問題ではないのですかね。だいたい、ダルタニャンという名前が有名で、もう三銃士の一人は彼だっと思っている人が多いはず。で、彼が選んだ、選択がA、でした。そうじゃないだろう、と多くが突っ込んだ。でも、「正解でした!」と来る。また、ヒックリ返って、ね。作る側の思惑通り。そして、映画が終わって、踊る、という、えっ、という映画でした。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2009-05-11 20:29:30)
11.  ダンサー・イン・ザ・ダーク 《ネタバレ》 
意味がわからない、とのコメントが多いですが……そうでもないんじゃないかな、そういうコメントを書きましょう。これ、見ていたら、アンデルセンの「マッチ売りの少女」と同じだなぁ、と思いました。不幸の中での一瞬の幸福、その瞬間の喜びと対比される生きる辛さ、同じテーマですよね。方やマッチ、これはリズムを刻む音。主人公の理不尽なまでに不幸な様子に、救いようがない、とのご意見が多いですが、救いようがない不幸を用意しているのです。この映画に救いようがないからどうかしろ、と言うのは、マッチ売りの少女を助けないからつまらない作品だ、と言っているのと同じようなこと。私たちは不幸の中にこそ人生の真実の断面を感じます。結末は見えたようなもの、ただ興味は最後のマッチはどういうマッチかということ、自分の心臓の音とは!参りました。調べてみると、この監督、デンマーク出身とか。アンデルセンの国です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-05-05 17:32:36)
12.  初恋のきた道 《ネタバレ》 
「もうお父さんと会えないんだよ」と老婆が泣きながら言う。この単純な言葉に心を動かされなければ、退屈な映画かもしれない。老いた後、そんな言葉言ってみたい、言われてみたい……だから、この映画はお伽噺、恋のお伽噺、きれいな絵がついたお伽噺。話を盛り上げるドラマはほとんどなし。ただ、人を思う恋心があるだけ。そんな単純じゃないよと言う現実的な方もおられましょうが、だから、お伽噺と言うのです。一方、途中から主人公が涙したら、涙し、嬉しかったら嬉しく思うくらい感情移入した方も多いはず。私もそう。「初恋のきた道」っていい題だなぁ、あの村への道のことかもしれないけど、でも、道の終わりに「もうお父さんと会えないんだよ」と悲しむ、悲しむことができる人生を指しているんだろうなぁとか思っている。
[DVD(字幕)] 8点(2009-04-04 18:19:19)
13.  暴力脱獄 《ネタバレ》 
いろいろと映像的なメタファーがあって、いろいろと想像するとおもしろい。並んだパーキングメーターの頭を落とすのは、どこかのグループの仲間を一掃したのではないか。車掃除のおねぇさんのシーン、ホースはもう男性器の象徴、ルークがぶら下げた栓抜きは、十字架を茶化したもの、最後の教会への「神の救いの無さ」へと繋がり、サングラスは非人間、卵50個喰いは囚人50人の数とかけて、彼がその場のトップに立つことの象徴……などと見るとニューマンのニヒルな演技とあわせれば、この映画が名作といわれるのも分かるのではないでしょうか。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2009-01-25 12:12:02)
14.  ヒート 《ネタバレ》 
この映画の良さはみなさんが書いてある通り、主人公を始め、登場人物の公私それぞれの苦闘苦悶を、渋く描いたところでしょう。それよりも、気になったのがゴッドファーザー2でも主役を張った二人はこの英語で共演とはいえ、同じ撮影の場に立ち会わなかったのではないか、というのが気になって気になって。コーヒーショップのシーンもどうにもパッチワーク、ラストもどうにも後ろ姿が代役……なんだか、大物二人の関係の緊迫感を感じて、こっちのつばぜり合いの方が、ヒート!だと思いました。、
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2009-01-25 11:58:15)
15.  ゼア・ウィル・ビー・ブラッド 《ネタバレ》 
赤茶けた荒涼とした土地に「石油」が眠っている。ブラッド…見えない所に熱く堪り、事があれば吹き出す石油への比喩。日焼けで赤茶けてざらざらしたオイルマンの顔、その下にも「血」が流れている。石油と血、というどろどろした液体のメタファーで、潤いの無い大地と人間性の欠片もない人間を繋げ、二重映しでドラマは進む。結末は悲劇になるより他はない。ただし、インチキ宗教家をやり込めるラストは予想外。人間の少しはあるはずの良心/宗教心(インチキ宗教家をいいように捉えての提示)を完膚無きまでに蹂躙して終わる。だからといって救いがないのではない。救いの無い人間を描くのは、ヒューマニズムを信じたい事の裏返し。「血があるのだ」と最後にタイトルが出る。制作者の裏返った願いがこもる。人によってはボギー主演の「黄金」の人間の強欲の虚しさを思うだろう。結末に「ジャイアンツ」のJ・ディーンの末路と重ねるだろう。心の闇とその転落のドラマに「市民ケーン」を見る人もいるだろう。市民ケーンの幼少の傷は、このオイルマンでは無神論/物欲主義として、摺り合わせてみるのも面白いかもしれない。
[映画館(字幕)] 8点(2008-05-19 19:51:17)
16.  ラブ・アクチュアリー 《ネタバレ》 
ロックスターの本当の恋に嬉しく思い、少年の走りに声援を送り、その父の悲しみの立ち直りに安心し、夫婦の危機で妻の心が痛く分かり、首相の恋は王子様物語のように夢を見させ、アメリカへの妄想兄ちゃんの成功に苦笑いし、言葉を越えて愛が成り立つ事を再認し、仮の愛が本物になる裸の二人にくすりと笑い、身内を優先させて恋を駄目にした彼女に自分を重ね合わせ、紙芝居で語る男に一番かっこいい失恋を見る。Love acutally is all round. 「愛は実に周りにあふれてるではないか」そう映画は言う。たくさんの愛の形を揃えて、そう映画は言う。愛の素晴らしさを心の宝物のように大事にしている人は、幸福感で胸が一杯になったことでしょう。個人的には紙芝居の兄ちゃんの台詞 Enough. は一番心にしみたなぁ。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2008-03-05 23:36:48)(良:1票)
17.  ワンダとダイヤと優しい奴ら 《ネタバレ》 
笑いました。イギリスのすました顔して裏では捻くれていじけた悪趣味のユーモアとアメリカの裏も表も無い分かりやすい馬鹿ジョークとの激突。むしろ、うまい混ざり具合。生理的に気持ち悪いところを責めるイギリス、言葉で、パンチラインで、相手をねじ伏せるアメリカ。一番良い例は、熱帯魚を食べて、口を割らせるシーン、「緑はまだ熟してない」と来た。他にも、弁護士の家での隠れん坊、突然のスパイ活動「イギリスはソ連の一部」、窓から逆さ吊りの謝罪、ロシア語を言いながら、洋服を脱ぐ男。お婆さん殺しと犬の犠牲、法廷でおかしくなっていく弁護士、などなど可笑しい所が次々。アメリカの男のシーンは全部おかしい。でも、私の一番は、ロケットのチェーンを食べるところ。たまらなかったなぁ。ジェントルマンが完全な馬鹿になった瞬間。イギリス人はやっぱり自虐的なところで笑いをとるなぁ。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2008-02-24 15:44:40)(良:1票)
18.  散り行く花 《ネタバレ》 
何と健気で、儚い乙女。演じるは、20歳も半ばの、リリアン嬢。もうそこが凄いね。ナボコフが「ロリータ」を書かなければ、美少女乙女路線は、リリアンコンプレックスになっていたかもしれない。指で口の端をにって上げて、息絶えるシーン、これは公開後、幾百千万の(男の)心を捕らえてきたことでしょう。永遠の乙女のイコン。グリフィス監督はここでサイレントの映画のテクニックを全て完成させた、とは映画史の語るところ。さらに、映画史は付け加える。クローズアップが出現したのは、同監督がリリアン嬢を可愛らしく撮るために近づいたことによる、と。なるほどなぁ。……また、この映画の、中国人の描かれ方に、人種差別の事は避けて通れないが、とはいえ、勉強不足でコメントの寄せようもない。ただ、当時の一番進歩的なものではないか、と想像している。例えば、長澤まさみ嬢の相手役が、日本人韓国人中国人西洋人以外の人種だとしたらどうだろうか。イランでもスーダンでもイヌイットでもいいが、それぐらいのものではあるまいか。また、仏教の浮き世と枯れる運命の花と儚い乙女との組み合わせで生きる脆さを故意に表しているならば、キリスト教を越えて、思想的にも進歩的でありそうだ。
[DVD(字幕)] 8点(2008-02-17 16:17:46)
19.  ラスト・ショー 《ネタバレ》 
世界の片隅で、しかも、廃れていく一方の町で、自分の人生、これでいいのかと誰しも悩む。特に青年は悩む。嫌いなんだけど愛しているから辛い。このアンビバレントな気持ちの目盛り上のどこを針が指すかで、飛び出す者、留まる者、が別れる。親の世代は、まだ、栄光のテキサス時代(劇中映画の「赤い河」の有名なヒーホーシーンが示唆している)の名残(サムがその代表)があり、留まる。彼らの世代には、もう引き留める魅力はない。最後の最後の砦、映画館も閉じた。だから、ラスト・ピクチャー・ショー。映画もその閉店の寂しい外観で終わる。一人青年が残るが、母の代役のような、彼女の元に戻る。しかし、その若さですでに、幸福がそこにはないことは知っているかのようだ。 
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2008-01-21 21:53:17)(良:2票)
20.  アメリカン・ヒストリーX 《ネタバレ》 
結構なもんでした。私は「人種問題」の映画というよりも「後悔」の映画だなぁ、と思いました。「後悔」というプロットが先にあって、その後に「人種問題」というのが乗っかった印象がありました。それは、「人種問題」への切り込み方が少しステレオタイプからかな、と。たぶん、差別される側の映画はあったけど、その逆はなかったから、それでいこうか、という意気込みでしょうが、やはり差別する側。やや甘い。そこを「後悔」というプロットで包み込ませて、いいドラマの感じにしているという………観賞後、なんかこんな映画あったよなぁと考えてました。ずっと、考えて、あ、イージーライダーだと思ったのです。同じ「後悔」から「悲劇」へのパターンの映画ですね。
[DVD(字幕)] 8点(2008-01-15 21:15:54)
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