1. シャーロック・ホームズ(2009)
《ネタバレ》 日本のドラマ『TRICK』の主人公をホームズにしたような映画。一見摩訶不思議な魔術にみえたものが、実は科学技術によって実現されていたという謎解きパターンなので、「なるほど、そうだったのかー」という鑑賞後のすっきり感を期待すると肩透かしをくらいそうだ。主人公のホームズとワトソン、アイリーン・アドラーはそれなりに魅力的だけれど、『TRICK』のキャラクターの濃さやギャグに比べるとインパクトが弱い。結果的にあまり他の人には勧められないレベルの作品になっている。個人的にはワトソンの婚約者メアリーを演じた目つきの怪しい女優さんが『スパニッシュ・アパートメント』や『ロシアン・ドールズ』に出ていたことを思い出して、意外に楽しめた。 [映画館(字幕)] 6点(2010-03-31 15:08:08) |
2. 知らなすぎた男
《ネタバレ》 わりと楽しんで観れた。主人公の兄弟はあまりにも個性的で個人的には友達になりたくありませんが、典型的な勘違いコメディーとしてよくできた作品だと思う。謎のタイミングでビル・マーレーが弟に電話する理由がちょっと説明不足なきがしたのでマイナス3点。 [DVD(字幕)] 7点(2009-01-06 15:13:06) |
3. やさしくキスをして
《ネタバレ》 価値観や文化を宗教抜きにしては語れないということなんでしょうか。日本では外国人と出会う機会があまりないので実感が湧きづらいですが、あえて例えてみれば、日本人がザンビアの人と結婚するとかそんなイメージですかね。僕は、人間の愛なんて、そんなしっかりしたものではないと思うので、許嫁がいるのであれば、そちらを選びますけどね。人は一番大切な人と一緒でなくてもいきていけるものだと思うので。ちょっとこの映画の二人は、強引過ぎると僕自身は感じてしまい、美しいラブ・ストーリーですが共感できませんでした。 [DVD(字幕)] 6点(2008-07-20 10:11:46) |
4. ナイロビの蜂
《ネタバレ》 ラストを批判する人がいる。あれでは救われないではないかと。それはまずい。だって、映画だけ救われてどうする?というのが、あの映画の言いたいことなのだから。現実は救われていないのだ。という僕自身も、のうのうの日本に生きていて、過酷な現実の話だけを聞いて、どうする訳でもなく、思いをめぐらすことぐらいしかできていないのだが。この手の映画にはいつもこの種のジレンマがある。映画の話に限っていえば、主演の2人がとても素敵な空気をかもし出している。それがほんのわずかな救い。 [DVD(字幕)] 6点(2007-04-29 22:36:13) |
5. 007/カジノ・ロワイヤル(2006)
《ネタバレ》 007の中では、愛する女性を失う悲しみを描いている点で出色な訳だけれど、これも「スパイダーマン」シリーズの成功にあやかったものだと思うと、すこし、ワンパターンにも思える。しかし、アクションは相変わらずパワフルで、てんこもりジェットコースタームービーとしてはよくできている。エヴァ・グリーンの化粧を落とした時の美しさがとても素晴らしい。 [映画館(字幕)] 8点(2007-01-14 13:48:33) |
6. ジャスト・マリッジ
特に目新しいことは一切ないが、こういうアメリカ映画にしかない味わいのラブコメ映画が作りつづけられる限り、なんか安心できるのも事実なのである。 [DVD(字幕)] 6点(2007-01-14 13:34:02) |
7. マンダレイ
《ネタバレ》 マンダレイは解放させる側にたったグレースを描いている。この映画の中で、「ママの法律」が結局黒人と白人が協力して作ったものであるという事実が明かされるけれど、結局の所、「人を見る目が大事」という価値観が指示を得ている世界は、マンダレイとその根本において何の変わりもないのだと気づかされる。会社、組織、あらゆる社会性があるところで「人を見る目」がものをいう。グレースの「人をパターン分けして管理するなんて人間の冒涜だ!」という主張が正しいなら、誇り高い黒人に惹かれるグレースは自己矛盾していないか? 「人を見る目」、「人をカテゴライズする目」これをなくさずに、なんらかの主張を「語る」ことなんてできはしないのだ。だとすれば、自分本位に「自分はこう思う」という形でしか他人に何かを伝えることはできない。その後に何が起きるのか。グレースのたどり着く「ワシントン」に期待する。 [DVD(字幕)] 6点(2007-01-14 13:30:07) |
8. サハラ 死の砂漠を脱出せよ
普通。余りにも普通すぎ。予想以上に普通。ある意味拍手。 [DVD(字幕)] 5点(2006-11-18 17:16:25) |
9. アメリカ,家族のいる風景
「みせもんじゃねぇぞ。」スペンサーはスターだから、どこへ行っても匿名の存在になることはできない。だれからも「ハワード・スペンサー」として見られる。それはかつて彼自身が望んだことだったし、家を飛び出した理由でもあった。でも、他人がおもっているスペンサー像は、本人とは違う。だからスペンサーは自分を「ハワード・スペンサー」として以前に、「息子」や「父」として端的に付き合ってくれる人たちを訪ねていったのだとおもう。ウェンダースの映画らしく、ユーモアに溢れ、美しい山々に溢れ、優しさに溢れた映画だった。サラ・ポーリーもウェンダース映画の天使の系統をしっかり継承していて素晴らしい。ジェシカ・ラングも内に秘めた苦しみをものすごく暖かく表現していて見直した。それに、本当の自分を捕まえたスペンサーがまた元の世界に戻っていくところがとてもいいシーンだった思う。原題もステキだ。 [DVD(字幕)] 9点(2006-10-17 02:36:58) |
10. ランド・オブ・プレンティ
《ネタバレ》 ラスト、叔父と姪が見たグラウンド・ゼロはただの瓦礫の山だった。物質に意味を与えるのは人間の想像力である。むしろ、グラウンド・ゼロをみて「なにか感じなくてはいけない」という強迫観念のほうが危険なのではないかと思う。それは、大きな力が起こした出来事に対して正面から取っ組み合うこと自体が、一人の人間がもつ判断能力を超えてしまっているからだ。原爆について描いたもっとも痛切な映画が「黒い雨」であるように、9.11についてもこの映画が参照されつづけることは間違いない。奇妙なことにどちらの映画も、「大きな危機」を乗り越えた人たちの「その後」を描いている。一方、ハリウッドでもそろそろ9.11を描いた映画が製作されているようだ。ハリウッド映画では、「大きな危機」そのものが中心的に描かれれ、「被害者」であるという印象を誇示するタイプの映画になるのだろう。でも僕たちが本当に聴き入るべきなのは、「被害者」として物質に過大な意味を負わせて「死者を代弁する」人々の声ではなく、「生き残った人」として「死んだ人の体験には届き得ない」ことを知りながらも「死者の声に耳を澄ます」ひとたちの言葉なのだと思う。 [DVD(字幕)] 8点(2006-08-20 13:07:24) |
11. M:i:III
ドキドキするアクション映画として十分に楽しめた。いつのまにかこのシリーズがスパイ映画からアクション映画のカテゴリーに入っているのが少し寂しいけれど、これはこれでいいという気がする。結構だましてくれたし。最近気になるのが主人公の真面目な恋愛話を絡めたアクション映画がおおいってことかなぁ。スパイダーマンあたりからなんとなくそんな気がしてます。インディー・ジョーンズとかの時代は恋愛話は余興というかむしろ笑いの要素として扱われていた気がするのだが…。 [映画館(字幕)] 7点(2006-07-27 22:07:05) |
12. ヨーロッパ
トリアーはこの作品以後、執拗に「アメリカ」をテーマにした作品を取り続けていくわけだけど、そのことを念頭において見てみると、アメリカに移住したドイツ系移民である主人公が終戦直後のドイツに戻って寝台車の車掌になるところから始まるこの映画もアメリカとヨーロッパの違いを強く意識していることは疑い得ない。靴を磨いたかどうかを靴の裏のチョークのしるしで判断する乗客と、靴が磨かれているかぐらい靴を見ればわかるだろという主人公の台詞が面白い。言葉を重視するドイツ。事実を重視するアメリカ。トリアーがどちらの見方を支持するのかは定かではないが、ナチ体制を許したドイツ人の思考を痛烈に皮肉っていることは確かだ。事実を見ればナチなんてどこからどう見てもおかしかったはずなのだと。この台詞のやり取りだけで十分7点。あとのロマンスやサスペンスはこの題名において評価の対象とはなりえない。そう思う。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-06-25 19:17:29) |
13. ジャケット
《ネタバレ》 この映画のもっとも恐ろしいところは、「結局主人公がそのために格闘した未来は本当に真実だったのかどうか」という疑問が残るところ。あらゆる細部にリアリティーが感じられてもなお、目の前の世界がフェイクであるという可能性はぬぐえない。もし、全てが主人公の脳みそのなかで起こった出来事にすぎないとしたら、それを見ている僕達はどう反応したらよいのだろうか。傍から見るとそれは壮絶なまでに滑稽な事態ではないのだろうか。主人公にとってのリアリティーを観客として追体験すればそれでいいのだろうか。 全てを見通すものが最も大きな悲しみを背負う。その悲しみが伝わってくるがゆえにこの映画はそれなりに評価したい。ただ、もう少し洗練させたほうが良い。鋭さは磨くことによって生じる。 [映画館(字幕)] 7点(2006-05-27 15:22:44)(良:1票) |
14. Vフォー・ヴェンデッタ
《ネタバレ》 たのしいと同時に寒気のする作品。展開も早く、ハリウッド映画には珍しいテイストは十分に楽しめる。その一方、「またかよ~」と突っ込みたくなるダメダメな部分も散見される。独裁政治=一人の政治家の顔が国のあちらこちらに露出している状況だとすれば、ラストの一見力強いVの仮面をつけた群集の姿も、実は根本が同じなのではないかと思わざるを得ない。民衆が意図した「革命」以後の世界を僕らは生きていて、それらの「革命」がなぜか凶暴性を持った「テロ」に変質してしまったことを僕らは知っている。だから、この映画が皮肉を意図しているのでなければ、僕は素直にはうなずけない。単純にいって、たくさんの人が同じ仮面をつけて集まるって、かっこいいよりは気持ち悪いという感覚のほうが普通だと思うけれど…。その辺は人によるのかもしれない。 [映画館(字幕)] 6点(2006-05-07 21:12:17) |
15. クラッシュ(2004)
非常に良く出来たこの映画の画像と脚本はとても暖かく、やわらかくアメリカを描く。でも、この映画に登場する人物たちは、いろいろ問題を含んだ行動や考え方を持っているのではないだろうか。人種への偏見や、ヒステリーとか、虚栄心とか。けっしてそのまま見過ごしてはいけないことのような気がする。結論としては一つ。この映画は群像劇、それもとてもよく出来た群像劇として完成度が高い。その完成度の高さのおかげで、様々な人間の織り成す世界が美しく見えてくる。でも、それはある意味で神の視点から見たときに初めて生じる美しさだ。それにごまかされてはいけない。確かに人間はたまに愚かで、たまにいとおしい。でもできるだけ愚かさを減らしていくべきだろう。確かに人間が弱い生き物だっつうのは分かる。でもゆずっちゃいかんこともあると思うのだ。この映画が評価されるなら、ただ映画としてのみ評価されてほしい。決して描かれている内実までも肯定してしまわないように。 [映画館(字幕)] 7点(2006-03-05 21:14:41) |
16. コンスタンティン
めくるめく地獄絵巻。見終わって、周りを見渡しながら「あいつは悪魔系のハーフブリードだな」とか考えちゃってる自分が恐い。かなりメイクがすごいことになってるレイチェル・ワイズの女優魂にも敬意を表したい。 [ビデオ(字幕)] 6点(2005-12-07 21:31:34) |
17. ヒトラー 最期の12日間
僕はヒトラーについて詳しく知っているわけではないので、この映画を見た限りで言うと、ヒトラーは典型的なガキタイプの権力者だったようだ。基本的に、権力者は周囲の人間の予想を裏切ることで権威を成立させる。ヒトラーは成り上がりものだから、ある程度理不尽な振る舞いで周りをビビラセないといけなかったのだろう。この映画が着目している「ヒトラーの人間性」についてだが、自分の周りの人間には優しいが、遠くの人間には冷酷な一面を見せるなんて、「僕は人類を愛せても、隣人は愛せない」と作中で語らせたドストエフスキーとまるっきり反対だぁ。だから僕はヒトラーの優しさって、大人の優しさではない気がした。大人の優しさってもっと想像力をともなったものだと思う。端的に言って、ヒトラーの優しさはガキの優しさだ。だから、ヒトラーが人間的だったというより、ただのガキだったというのが僕がこの映画から受けた印象。 [映画館(字幕)] 7点(2005-09-10 10:45:24) |
18. ゴースト・ドッグ
この映画は基本的に最高だ。でも、突っ込みたいのが一点。少なくとも日本刀は刃を上に向けて(つまりミネを下にするってことよ)鞘に収めるのが鉄則。じゃないと鞘の口に添えた左手の指がどんどん切れていきます。ウィテカー兄ちゃん、大丈夫か? サムライとはなにかって精神的な問題よりも、まず振る舞いをきちんと真似しましょう。でも、この映画のテンション悪くないと思う。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-08-30 23:01:03) |
19. ベルリン、僕らの革命
紛れもない傑作だろう。設定が面白いだけでなく、男女の三角関係もとても細やかに描かれていて好感が持てる。映画としては申し分がない。ただし、この映画はメッセージ性が強いので、その点について一言。資本主義を批判する論点として、「金持ちのベンツに追突し、賠償金を払わなくてはならない貧しい」ユーリがでてくる。しかし、資本主義が貧しいものと富めるものをつくりだしている構造は、そもそもユーリ達がやっている「自由恋愛」が愛される人と愛されない人を作り出す構造とまったく同じ論理の上に乗っかっている。資本主義では富めるものと貧しいものが競争によって入れ替わるが、自由恋愛でも愛される人と愛されない人は競争によって入れ替わっていく。もし、友人に恋人を譲る精神を讃美するなら、富めるものにお金を譲り貧しさに耐え忍ぶ精神を持たねばならない。その程度に経済と恋愛は親しい関係にある。 「ドイツ人はユーモアを解さない」といわれるけど、この映画でも笑いのツボは会話ではなく、登場人物のコミカルな行動にある。その点が日本人と似ているので、見やすいのではないかと思う。 [映画館(字幕)] 8点(2005-05-08 09:35:20) |
20. 過去のない男
題名をみて、てっきりお堅いな映画かなと思いきや、めちゃめちゃ笑える作品じゃないですか!映画自体はかなり淡々としてるんですが、見てる僕ははじめから終わりまで笑い転げてました。全ての台詞を暗記するまでみてやる! 主人公が幸福を見つけるというストーリーではまったくなく、記憶を失ったら幸せになっていたというお話。そこら辺が結構皮肉っぽくて考えさせられます。フィンランドという名前だけは知られている地域の風土を見れるのも面白い。僕はこういうの大好きだけど、派手な展開が好きな人には向かないだろうからこの点数。 7点(2005-02-28 16:51:08) |