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TANTOさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 901
性別 男性
年齢 42歳
自己紹介 最近になってまた映画を観る習慣が出来ました。
前はほとんど観なかった邦画をたくさん観るようになり
新しい映画ライフが充実しています。

昔ほど数はこなせませんが
趣味と生活のバランスをうまく保ちながら
なるべくたくさんの映画を観て、
なるべく読み応えのあるレビューを続けていきたいと思います。

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21.  千年女優 《ネタバレ》 
往年の名女優の若かりしときの記憶をたどるドキュメンタリー?作りのストーリー。彼女の過去をそれまでの出演作を織り交ぜながら振り返っていくという形。いろんな役になりきりながら、ある一人の男性を追うという演出をひたすら繰り返します。正直このスタイルが良かったと言えるかというと、私には合いませんでした。いろんな役に切り替えながら多様に見せようとしていますが、結局やっていることはずっと千代子が男を追って会えず、また男を追って会えず、、、が何度も何度も繰り返されます。場面や描写が変わるだけで根元のストーリーがそこからほとんど進まないため、けっこう飽きてきます。映画自体も80分程度のかなり短めな映画なのに、悪い意味でけっこう長く感じました。 結局なんだったんだろうという感じですね。このドキュメンタリーの監督さんのように、その女優さんに心底惚れているような人じゃないとあまり楽しくなかったんではないでしょうか。当然この映画を見た人たちはこの千代子という人に一ミリも思い入れがない状態から始まっているので、なかなか難しかったように思います。結局あの鍵は何だったのか、あの絵には何が描かれたのか。そこは最後まで明らかにされず、そしてあのタイミングで千代子さんも亡くなってしまう。逆にシンプルなストーリーだなと思いました。80分という短い時間のうち50〜60分程を上述のような同じパターンの繰り返しに費やしてしまったことはワタシ的には失敗だったかなと感じました。
[インターネット(邦画)] 4点(2023-01-18 16:46:32)(良:1票)
22.  あのこは貴族 《ネタバレ》 
現代の日本でもこういうことってあるのかなーって目線で見ていました。作中の台詞にあるように、こういう貴族階級の人たちと一般人って棲み分けがされていて、お互いがほとんど関わらないようになってるのかなと映画を見ながら考えてしまいました。慶應の内部生と外部生のように。 五章に分かれて作られているストーリー。急に過去に戻ったり現在になったり少し時系列を掴むのが難しい映画でした。基本的に上流階級の家でいわゆる箱入り娘的な華子を中心に、その婚約相手となってくるさらに上流階級出の青木幸一郎、そしてその遊び相手の美紀の3人を中心に話は進みます。 印象に残ったシーンやセリフはいくつもありました。上述のものもその一つだし、橋の反対側を歩いていただけの通りがかりの女子高生と手を振り合ったシーン、「女同士すり減らす必要はない」や「結婚に縛られず、いつでも別れられる自分でいたい」という考え方も共感できました。  特に印象に残ったのは最後の方のシーンで、「みんな決まった場所で生きてる。親の人生をトレースして、そっちの世界もうちの地元もなんだか一緒。」政治家の世襲のニュースなんかを思い出したりして。そういえば岸田首相の息子も翔「太郎」だったなあとか。でも、そこが上流階級の家だろうが一般家庭の家だろうが貧困家庭の家だろうが、それが環境であれば基本的にそこに疑問を持って生活する人のほうが特殊なんでしょうね。例えば我々現代の日本人が、日常に戦争のある生活なんかリアルに想像できないように。  環境に逆らって生きることが別にいいことだとも思いません。その逆もしかり。極論どっちでもいいかと。ただそのどっちかをきちんと自分で選択し、そしてその結果を自分の選択の責任としてしっかり受け入れる、そういう心持ちだけあればそれでいいと思いました。 ずっと落ち着いたトーンでじっくり考えられる、良い映画でした。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-01-17 10:46:37)(良:1票)
23.  岳-ガク- 《ネタバレ》 
9月にTVでやっていたのを録画。先日鑑賞しました。私は基本的に洋画ばっかり観ていて邦画はほんとにたまにしか観ませんが、いやあ面白かったですね!私個人は登山はやってませんしこれからもたぶんやらないと思いますが、それでも「山登り」というものにとても魅力を感じる映画でした。内容もどっちかというと救助隊の話ばっかりなのに何ででしょうね?三歩(=小栗旬さん)の明るい人柄のおかげなのか、峰々の鮮烈なまでに透き通るような情景のせいなのか、山登りにかける人々それぞれのドラマのせいなのか、深く心に残る映画でした。ちなみにコミックは未見です。  私事ですが、最近TVでやっているロードショーなどの映画を録画し観ることが多いのですが、この映画に限らずやはりTV版ですと相当なシーンをカットされてるように感じました。特にこの映画などはTV版だとシーンとシーンの間がもうメチャメチャ。「え、いつのまにそんな展開になったの!?」ということがCMまたぐたびに起こります。ちゃんと映画館やDVDで観たらその辺どうなってるのかはわかりませんが、ロードショーで(特に元々上映時間の長い映画)映画を観る際の一つの弊害を思い知った気がします。  かなり大々的に宣伝してる映画でしたし、もっと大衆受けする商業的な内容になっていると思いましたが、思ったよりもシビアな内容になっていたので良かったです。その人がどんな悪人だろうがどんな善人だろうが、山は無慈悲なまでに平等に人を魅せ、楽しませ、命を奪う。コミックスからのストーリーですし、多少美談めいているかもしれませんが、それでも充分「山」と向き合える内容だったと思います。良作です。  ※追記(鑑賞済みだったことも忘れてまた見てしまったため、以下2回目の鑑賞のレビューです) わかりやすいドラマ仕立ての映画です。王道の日本のドラマという感じですが、小栗旬さん演じる主役の三歩さんがとにかく明るくて良いキャラをしている。底抜けに明るく芯のある山男を小栗旬さんが見事に演じている。小栗旬さんのキャラとも合っていると感じた。 逆に、長澤まさみさんの椎名久美は、見事に道化キャラだったなという印象。女扱いしてほしくないと話していながら、違う場面では女だからデリカシーを、、、みたいなことを言うし、明らかに力量的に力不足な現場に無理やり出ようとする。作中で椎名が指示や命令に従ったシーンなんてほとんどなかったのでは。実際問題あんな隊員がいたら他は迷惑するだろうなぁ。当て馬キャラとはいえ、何だか複雑な心境になりました。  自分は登山をしません。あんな険しい山どころかもっと標高の低いハイキング程度の山ですらほとんど登ったことがない山知らずです。そんな自分からしてみたらこの映画は山の過酷さを知れる良い機会でした。フォールの場面などはやはり映画とはいえショッキングでした。 一方でやはりこれも映画であるが故なのでしょうが、氷点下数十度に至るようなブリザードの中、フードなどで顔もろくに覆わずに雪山を進む三歩や椎名には違和感でした。あれこそ、本当の雪山ではNGなのでは。。。?自分山登らないのであれですが、山にお詳しい方いかがですか?俳優の顔を見せたいがためでしょうが、そこは詰めて欲しかったところです。
[地上波(邦画)] 7点(2023-01-12 23:45:26)
24.  えんとつ町のプペル 《ネタバレ》 
「外に世界なんてない、ここが世界だ」というセリフに象徴されるように、空はえんとつの黒煙、海は怪物の存在によって塞がれ、人々は文字どおり外への意思や行動を封じられた閉塞感の中で生きていた、そんな世界の話。  この作品の存在はだいぶ前から知ってましたが、あらすじやイラスト程度のもので、きちんと内容に触れたのは今回が初めてです。作品より作者に関するニュースを多く見る中で、正直少しイロモノ扱いしていた面もあり鑑賞に二の足を踏んでいたようなところもあったんですが、そんな先入観で鑑賞から遠ざかっていたことが恥ずかしくなるくらい良い映画でした。  良かったところはたくさんあるのですが、個人的には特に二つ。 一つはダンさん。プペルを人知れず処分するのではないかと思うような強面で固そうな印象の人でしたが、プペルを仕立て屋に連れて行く際に異端審問官たちを避けながら案内するその様子にすでに良い人感が出ていました。悪い人じゃないんだ、これは尊敬される人だということがすぐ伝わりました。出番は少ないですがとても魅力的な人です。 二つ目はこのえんとつ町の世界の成り立ち。他の映画やアニメでよくある、特に理由もなくただただ不思議な世界観とかではなく、きちんとえんとつ町の世界の成り立ちについて説明されていて、それが説得力にあふれ興味深かった。「Lの通貨」の話などは現実でも使えるんじゃないかと思えた。貯めることができない通貨、発想がとても面白い。なぜこの世界は塞がれているのか、なぜ異端人は排除されるのか、全てにきちんと説明がなされ、その視点で見ると異端審問官たちも悪ではないんだと思えてくる点も面白い。子ども向けのようでありながら、とても考えさせられるストーリーだった。  一見すると不自然だったアントニオの激昂も、その時点ではさっぱりわからなかった、「腐る前に使えよ」とダンさんがプペルに渡したL通貨も、全てがちゃんと整理され伝えられ、これで1時間40分程度でおさまってるなんて信じられなかった。  スコップのキャラや各声優の素敵さなど、他にもいろいろ語りたいことはあるのですが、もし私のような理由で鑑賞に気を引けてるような人がいたら、是非一度見てみてほしいと伝えたい映画です。最高でした。
[インターネット(邦画)] 10点(2023-01-07 11:19:39)
25.  さんかく窓の外側は夜 《ネタバレ》 
とりあえずこの映画で印象に残ったことはふたつ、 ◯オープニングムービーの作り込みが凄い! ◯北川景子さんの使い捨て感が凄い(笑) というふたつです。  オープニングムービーは本当に凄かった!あれは引き込まれました。あのムービーの製作者だけでもクレジットで知りたいと思った。 そして北川景子さん。突然出てきてなにか物語に絡んでくるのかと思ったらまさかの出てきて1分で死亡。その後は写真が一枚出てくるのみで、物語の本筋にはほぼ絡まない。いやあ、なかなかの無駄遣い(笑)あれだけで出演料いくらだったのかとかゲスな勘ぐりをしてしまったのはご愛嬌。  全体的には、うーん、この話は映画というか連続ドラマなら合ってたのかなと感じました。けっこう話の展開が早く、映画のように二時間ほどでまとめるには少し無理があったように思いました。三角の過去、冷川との出会い、ヒウラエリカ、半澤の家庭、冷川の教祖としての過去などなど、細かく詳しく描写すればもっと面白いものだったと思う。オープニングムービーも毎回見たいクオリティだったし。  重ねて言いますが、霊が見える描写や三角の扱い、除霊や呪い、焼き肉屋での契約の仕組みなど、説明足らずでドンドン進まれるのはけっこうな置いてけぼり感でした。悪い意味で気づいたら終わってましたね。 観る媒体が間違っていた。そう思った作品でした。
[インターネット(邦画)] 4点(2023-01-03 23:00:06)
26.  キネマの神様 《ネタバレ》 
ゴウの現在があまりにも人として終わっていて、それだけで応援したり前向きな気持ちになって見られない映画でした。 この映画に対するコメントではないですが、最近こういう映画多いような気がする。人間的にどうかという人をことさらに持ち上げて、良い人でしたねって感じで終わるやつ。いやいや、この映画で言えばこのゴウとかいう人も大概のクズ。若かりし時はそうでもないが、老いてしまってからは別人かってくらい人が変わっている。借金しまくって家族に迷惑をかけ、女房や娘は小間使いくらいにしか思っていない、孫が必死で説得してくれて『キネマの神様』を現代風にアレンジして賞に応募するもその動機は100万円。お孫さんとシナリオをアレンジするシーンは好きでしたが、その賞金の使い方もあまりにも。。。で、自分だけさっさと綺麗に死ぬという。勝手すぎるでしょ。周りの人間からしたらたまったもんじゃない。不快でした。あれで感動させようとしてるとしたらネタでしかないと思いますが、他の方はどうなんでしょうね。  そして、特に新型コロナの現代の中で描写する必要もなかったと思う。そこと繋げる意味、何かありました?それともこれって実話なんですか?それならまだわかりますが。。。  感覚として理解し難いことが多くて、あまり楽しめなかった映画でした。
[インターネット(邦画)] 3点(2022-12-31 22:36:54)(良:1票)
27.  影裏 《ネタバレ》 
この日浅っていう人、エヴァンゲリオンの影響でも受けたんですか?中二病のようなものがいちいちうっとうしい。 「光の当たった瞬間しか見れない」 「ヒトの裏っかわを見んだよ」 「屍の上に立ってんだ、おれたち」 …だから何??私は意味深なことを言おうとしてダダ滑ってる変なやつにしか思いませんでしたが。 さらに言うなら、こんな男に魅力を感じて彼と縁を切った父親や兄に会いに行ったり、そこまでしようとする神経も私には全くピンとこない。途中で出てきた女装の友人も、回覧板で苦情言いにくる同じアパートのお婆さんも、それぞれが単発のエピソードではっきり言ってメインの話と繋がりも何もない。  面白くなかった。  いろいろ書いたけどシンプルにそれかな。地震のこととつなげて色々描いてはみたものの、私は日浅と絶縁した父親と全く同意見で、震災で大変なときに大学4年間の学費と生活費を詐取してさらに社会人となってからもおかしな勧誘で詐欺を働くこのような男が津波で死のうがどうなろうが知ったこっちゃない。ちょっと酒に付き合わないだけでボロクソに言われるし。見ていてかなりイラッとする人物。よくそんな男をわざわざ探しに行ったものだ。そういう意味では綾野剛演じるこの主役の男にもイライラした。自分なら大事なプライベートの時間使ってこんなやつ絶対探しに行かないわ。  原作があるんですかね?それがあったとして、この映画はきっと原作の世界観をほとんど表せなかったんだろうなあ。意味不明だもん。時間が足りなかったのか製作が悪かったのか。キャスト頼りの映画でしかありませんでした。
[インターネット(邦画)] 1点(2022-12-28 00:16:14)
28.  悪の教典 《ネタバレ》 
小説も、マンガも、何度も既読です。原作の貴志祐介さんは好きな作家であるし、そしてこの『悪の教典』も何度読んでも面白いストーリーです。今となっては有名なストーリーなのでサプライズも何もありませんが、これが世に出た当初のセンセーショナルさと言ったらすごかった。人当たりも何もかも完璧な英語教師の裏の顔。。。生徒を把握するための手段や優しさ、器を持っていて、それでいて欲望に対しては突き抜けていて欲しいものは必ず手にしようとする貪欲さ・狡猾さ。どの方面にも突出しているが故に通常の枠には収まらない、そんなクレイジー教師をまざまざと見せつけられました。クレイジーですが魅力的。蓮見聖司というキャラクターが刻まれて瞬間です。  と原作を激賞したくなるのですが、映画のほうは、やはり映画あるあると言うか、その枠で収めようとして色々カットしてしまっていたり、奇抜な演出になってしまっていたりと言うところが原作からの目線だとどうしても気になります。なぜか柴原が山田孝之さんでなんだか格好良くなっていたり、修学旅行のくだりがまるっとなくなっていたりしたところも残念でしたね。クラス40人の生徒のそれぞれの特徴やキャラクターも際立つようにしてほしかった。結局最後、誰が誰だかわからんような殺し方で終わったのはやはり『悪の教典』としては致命傷かな。生徒一人ひとりに個性など顔が見えるつくりだったから面白かったのに、あんなふうに「その他大勢」感で大量殺戮してしまったらこの作品の良いところをスポイルしてしまっている、と感じました。残念。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-12-27 23:15:02)(良:1票)
29.  そして、バトンは渡された 《ネタバレ》 
正直、前半は見ていて気持ちの良いものではなかった。自分の都合で男を取っ替え引っ替えする女性をあそこまで美化して描くことにけっこうな違和感と不快感を覚えたし、もっと言えば家族になんの相談もなしにいきなりブラジルに行くとか言い出す水戸さんもあり得ない。あの場での梨花の反論は真っ当だと思ったし、みぃたんの動揺も当然だろう。さらに、こういう映画てはよく見るシーンだが、ブラジル行きか日本に残るかを子供に選択させるなんて最低である。あのシーンだけでも梨花の人格を認めることはできない。しかも彼女はちょいちょいその手を使い、子供のみぃたんですら「ママずるいよ」と言いたくなるほど実際ズルい。病気だからって、お世話になってる人の家の中で「もっと違う彼氏探してくるね!!」とか子どもの前で言うかね。そういうあれやこれやを、「病気だったんだ」のひと言で全て無かったことにするこの映画のシナリオははっきり言ってどうかと思う。彼女の行動の理由づけは一応ついたし、それなりに説得力のある説明だったとは思うが、それでチャラ?私は全然納得いきませんでした。  森宮さんと娘の優子ちゃんのストーリーは結構見応えありました。愚直ではあるが、あんなふうに認められる父親になりたいものだ。学校での優子の立ち位置がなんだか分かりづらかったのが気になりました。いじめられてるのかと思いきやそうでもなし、あの学校生活で何を伝えたかったのかはよくわからなかったです。  総評として、ヒロインである梨花を都合よく描き過ぎたことでの不快感を拭えない映画でした。
[インターネット(邦画)] 3点(2022-12-23 10:13:22)(良:1票)
30.  映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ 《ネタバレ》 
なんだか芥川賞に出す小説を読まされているような感覚だ。文学的内容に映像と音を乗せた、といった感じか。そして自分はそういった話が苦手であるからして。。。 まず、話をどこかに持っていきたいとか結論を求めたりする話ではないんですね。作りがそうなので、ドキドキや爽快感のようなものはほぼ皆無です。そういうのを求める人は観ない方がいいかと思います。人間観察が好きな人なら好きな映画かもしれません。ちなみに私は違いますが。  しかし考えさせられることはあって、 「愛は血の味がする。愛はこれまでたくさんの人を殺してきたから。」 このセリフは考えさせられた、確かにそうかもしれない、と。戦争もそうだし殺人も誰かが誰かを愛するが故の結果かもしれない。お金を愛するが故かもしれないし自分を愛しているからかもしれない。そう考えると、確かに愛はかなり多くの命を奪ってきているのかもなぁと思わされた。主演の女性は世の中のカップルに対してとても否定的な見解を持っていて、だから愛なんてくだらない、と言い続けます。恋愛の仕方なんて誰も教えないのに、人は勝手に恋愛する。確かに。  ですが、物語に散りばめられたピースは決して私の中で繋がることはなかった。肉体労働で日銭を稼ぐ四人のそれぞれの世界観、人生観。隣の部屋で騒音被害に苦しむ男性。ストリートミュージシャンの女性、、、。それぞれ何を伝えたかったのかなぁ。私にはよくわかりませんでした。わかる方、教えてください。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-12-15 20:00:38)
31.  ナラタージュ 《ネタバレ》 
この葉山という先生の行動がよくわからない。工藤の言うとおり思わせぶりな態度ばかり取り、いざ相手がその気になったら「そんなつもりはない。」 卒業式にいきなりキス、そこから約二年放置。その後急に電話で部活へ呼び出す。体調を悪くした一人暮らしの女子大生の家にいきなり出向き、手作りのお粥を食べさせてあげて、「そんなつもりはない。」はさすがに笑えるレベルでありえない。 私にはわからないが100歩譲って本人たちにしかわからない感覚というものもあるだろう。そういうことは私にもある。ただ映画として描くならせめて観ている側に伝わるような配慮や工夫が欲しかったというのが正直な感想。  また、ひとつひとつの出来事があまりに唐突で展開に感情が追いつけないことがしばしば。葉山の妻がいきなり放火するとか、演劇部の子が飛び降り自殺を図って、原因は誰かに襲われていたとか。突然出てくるキャリーケースの変質者とか。演劇部の子を襲った男ってあのキャリーケースのやつなのかなとか思ったけどその辺の説明も何もないし。消化不良感がすごい映画だった。  だったので、小野くんのエピソードとか映画館のくだりとか、ひと通りどうでもいい。そんなことより、ってことが多すぎて。キャスト頼りの映画って感じでした。
[インターネット(邦画)] 3点(2022-12-04 10:27:15)
32.  MOTHER マザー(2020) 《ネタバレ》 
あらすじを見て、あんな母親と共に育った周平が大きくなって自分の家族を持って…みたいな話と思ってたら違った。最後まで救いようのない話でした。スカイツリーも見えたので舞台は東京のようですが、あのようにほとんど誰の介入も受けずに路上生活できるもんなんでしょうか。そこそこの年齢いった男性ならまだわかるが、女性で、しかも子連れ。一応一度だけ行政介入が入りますが、少し放置されすぎでは。描かなかっただけかな。  見てるこちらの心が揺さぶられた。それは、大きくなってフリースクールに通い始めた周平が夜逃げの準備をする母親たちに「学校行きたい」というシーンであったり、また本を持ってきたのに母親に追い返された亜矢を周平が追いかけようとするシーンだった。いずれもついにこの親と離れられる、という期待をしてしまい、だがその期待は、母親の介入があったとはいえ、他の誰でもない周平自身の決断によって裏切られることになる。それが、痛い。そしてそこで道を修正できなかったことが結局最後の祖父母殺害に繋がったと感じた。 「共依存」が行き着く先を見せられた映画でした。普通ならとっくに距離を置くか引き離されるべき親子が、何故か離れない。絡みついて解けない糸のように。引き離すべき手順を踏もうとしても、肝心の子ども側に母親と離れる意志がない。日本の行政の限界も改めて感じた。  小さな妹の冬華に暴力など直接的な虐待などがなかったことだけは救いか。だがやはり、声を出せない環境、出せない教育を施された子どもたちに抱く感情は何とも堪え難いものがありました。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-12-01 14:16:01)
33.  漁港の肉子ちゃん 《ネタバレ》 
とても美味しそうなお肉の一枚絵ではじまる美味しそうなおはなし、、、かと思いきやお肉の赤みが太ったおばちゃんになって踊り出す。 「あ、これ違うわ」 その時そう思った。  しばらくは喜久子の話す肉子のそれまでの経緯。その後喜久子の学校生活になり二宮の話になりが繰り返ししばらく続く。最後に肉子の彼氏疑惑からの喜久子の本当の親の話になり、それで終わり。ざっとあらすじを語ればこんなもんだろう。 タイトルにある漁港よりも肉子よりも、ずっと喜久子の話だった。そんな彼女を包む環境が漁港であり肉子だったわけだが。どっちかと言うと喜久子の外的環境より、彼女が友人や肉子に対して思う内的環境に焦点が置かれていたように思う。だって、映画の大半は彼女の気持ちや心の声を追っていた。仲が良いようで内心不満に思っていた友人だったり、大好きな母だが友達には肉子が母親とバレたくないと思ってみたり、そんな母に彼氏ができたと思って気を遣ったり。  肉子がどういう女性かは全部見た後でもよく分からない。喜久子曰く、「肉子ちゃんみたいには絶対なりたくない、だけど肉子ちゃんのことは大好き」というのが一番わかりやすいセリフかも知れない。彼女を見ていて楽しそうだし幸せそうだが彼女みたいになりたいとは思われない。それは彼女の外見なのか、立ち居振る舞いなのか、はたまたその両方なのか。。。私の立場でいうなら、「友人としては楽しいがそれ以外の付き合い方はわからない」と言ったところか。そんな女性を母として持つ年ごろの女の子の苦悩がよく見える映画だった。  明石家さんまプロデュース、とかは別に要らない情報だったな。隠してくれればいいのに、見えてしまうとそちらに何かが引っ張られてしまう。本人がクレジットしてくれって言ったのかな。それけ周りが忖度したのか。いずれにせよ、余計な情報だった。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-11-28 22:10:36)(良:1票)
34.  ペンギン・ハイウェイ 《ネタバレ》 
いわく、ペンギンが海から陸に上がるときに使う決まったルートを「ペンギンハイウェイ」と呼ぶそうです。そんなペンギンとそれを研究する少年、そしてペンギンと少年に深く関わるお姉さんにまつわる話。  いろんな考え方の参考になるなーと思ったのは、「父の問題の解き方三原則」  一、問題を分けて小さくする 一、問題を見る角度を変える 一、似ている問題を探す  これは、自分が何かの問題に直面したりしっかり向き合って考えたいときなどに活用したい。  結局「海」とは何だったのか。この映画は二回も鑑賞したのだがいまだにうまく飲み込めていない。お姉さんはペンギンを作って「海」を壊せるが、そうするとお姉さんも消えてしまう。壊せるがそのために消えたくない、そうした相反した気持ちがペンギンの敵ジャバウォックとしても現れてしまう。そんなお姉さんの心の葛藤が垣間見える。が、そこまでお姉さんについて考えさせられる割に彼女の描写はそんなになく、アオヤマ君視点で物語は展開する。その中でお姉さんやペンギン、「海」が出てくるが、個人的にはもっとお姉さん視点、「海」視点の話の展開も見たかった。なぜならそれらこそこの物語の中心だから。アオヤマ君はどちらかというと第三者的傍観者であり、その視点から得られるものは表面的なものな気がどうしてもしてしまって、なんだか勿体無い気分になった。その視点はそれはそれでいいんですけどね。自分なりに考察はするのだが、すぐ答えを知りたがるのは現代人の悪い癖か。  そんなことばかり考えていると、『ペンギンハイウェイ』というタイトルにどこまでの力があるんだろうということも疑問に思えてきた。興味深いタイトルだが、物語そのものとはそこまでリンクしていないような気がする。月並みだが、『海とペンギンと年上の君』とかでも良かったのでは。年上の女性に対するアオヤマくんやハマモトさんの反応は何だかリアルで心をくすぐられた。  アオヤマ君のような小学生が実際にいれば完全に変人扱いされるだろうが、それだけに、彼のノートにはとても興味を惹かれる。純粋に子ども視点からの疑問に対して、しかし的確に細かく整理されたノート。時に正確に、時に主観も交えながら緻密に書かれるそれは大人の研究ノートよりも開いてみたい気にさせる。いや、大人の研究ノートとか見たことはないですが。こんな子と、一度自分も実際に話してみたいものだ。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-11-21 23:56:59)
35.  ドクター・デスの遺産 BLACK FILE 《ネタバレ》 
難病の娘を持つ刑事、相手は難病患者を安楽死させる医者。もうこの時点でだいたいラストの展開が予想できてしまって、そしてその予想はほぼ当たっていた(笑)  まず個人的な思いから書かせていただきますと、安楽死は作って欲しい制度だと思っています。もし自分が足腰も全く立たない寝たきり老人になったらと想像すると、誰かに迷惑をかける前に死にたいと思うし、もちろん命を一つ奪うからにはそれなりの制約や代価が生じるでしょうが、制度上成人として自分のことは自分でやるという年齢になればそういう選択肢も持てるべきではないかと思っています。成人って言ってもまだ18歳じゃんとか言うならじゃあ成人年齢引き下げるなよって言い返しますが。なんだか安楽死を否定というか安楽死=悪いことみたいなイメージで描かれていることが不信感でした。  本作は刑事ドラマなので、必然的に刑事vs犯罪者の構図になります。この場合はvs安楽死専門の医師ドクターデス、ということに。やはり捕まえる刑事目線なので、ドクターデスは完全に悪役に。ドクターデスに「痛みを感じず死んでいく人は美しい」とか言わせなければまだ良かったのですが、あんなこと言わせたおかげでドクターは完全にただの快楽殺人者になってしまった。全く同じストーリーだとしても、つける音楽や誰の視点か、人物の描き方次第だろうって感じですね。確かに現時点では安楽死は日本では認められてませんが、安楽死反対側からの一方的な批判的描写はちょっと受け入れ難かったですね。どうせ反対なら、もっとフェアな視点で描いて欲しかった。安楽死というテーマで面白おかしく刑事ドラマに仕立てた感が不快でした。個人的な意見ですが。  娯楽的刑事ドラマなんですが、テーマの扱いが雑過ぎて娯楽にならなかった作品でした。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-11-19 10:08:19)
36.  花束みたいな恋をした 《ネタバレ》 
どうしようもないくらい気があってどんなことでも共有できる…と思いきや劇場版『ガスタンク』やミイラ展は実はつまらなかったり内心引いていたり、それは好意を持っていた互いと互いの好きなものに気を遣ったに過ぎない。そういうことから回り始める恋愛関係。嫌いではないけど、あまりにも始まる時はうまくいきすぎてて、そしてダメになる時は典型的すぎて、なんだかいまいち感情移入はしにくい印象だった。  絹ちゃんはとても良い子だと思った。どれだけ蔑ろにされても麦のことを気遣い労ってあげて、でもどれだけ労ってもらってもどうしようもない距離感になってしまうということもわかる。自分だけのことではなく、相手も含めてのことだから。ただ、仕事を始めたことがきっかけであそこまで変わってしまうのかな。若いうちは、まああるのかもしれないけど少し腑に落ちなかった。 自分は、場所やタイミングにもよるがけっこう仕事は楽しむほうだと思っている。もちろんストレスを感じることもあるが、それ以上に仕事をしながら楽しめる時もきちんと存在する。仕事と家庭、家庭とそれ以外のプライベート、それ以外のプライベートと仕事、それぞれに使い分けや考えの切り替えは必要であろうが、若い彼にはなかなかそれは難しいか。ある意味じーさんのような達観を備えた自分のような人間ならなんとかやりくりできるのかもしれないが。 わかる部分もある。自分もあれだけ若いころ夢中になっていたゲームに全く没頭できなくなった。何がきっかけかはわからないが。でも、もし誰かが一緒にやってくれたらめっちゃ嬉しいけどなあ。絹ちゃんと楽しむ未来はなかったのだろうか。  そしてラスト、結局別れる二人。ファミレスで出てきた二人はまた展開が神がかり的に奇跡すぎてあり得なくてまた萎える。まあ、あんなことあれば嬉しいのは当然ですが。あそこまで一致したことは流石にない。 そして別れてさらっと次の彼氏、彼女が見つかる二人。そんなもんかなとも思ってしまう。  きっと、作った人のなんらかの思いはあったんだろうけど、いつもタイトルとのつながりを考えてしまいます。どこらへんが花束だったのかな、、?いくらでも会話に花が咲くからなのか、はじめは満開でも後々枯れていくからなのか。はてさて。。。誰か答え知ってたら教えてください。
[インターネット(吹替)] 6点(2022-11-16 01:03:51)
37.  天気の子 《ネタバレ》 
余談ですが、直前まで『秋刀魚の味』という1962年製作の古い映画を観ていたので、改めて映像や文化の違いに驚かされます。  かなり有名な映画で老若男女問わず観られる内容、そして物議を醸しそうなそのストーリーに様々な意見があることはとりあえず脇におきます。その上で、良かった。  私は穂高と同じく愛する人のためなら天気なんてどうなってもいいと思う側の人間ですが、一方で自分が何の関係もない第三者であれば、人一人の犠牲で済むなら雨を止ませて欲しいと思う人間でもあります。そしてそれは多分穂高も同じだろう。彼も、自分と陽菜の世界さえ守られれば他はどうでもいいという人間なので。同じ人間でも立場によって取る手段が変わってくる。そういうもんだ、そう思った。  ラスト、元々世界なんて狂ってるんだから穂高のせいじゃないと須賀さんに励まされるも、陽菜の祈る姿を見て、やはり世界を変えたのは自分たちだ、確かに自分たちのしたことによって今の自分たちがあるんだと確認した穂高。 そう思いたい気持ちもわかるが、私なら須賀さん理論に乗っかるなぁ。天気なんてどうしようもないものの責任なんて取りたくない。  話題作だからというわけではないが、数回見直したこの映画。今回で少し、整理できた気がします。
[インターネット(邦画)] 9点(2022-11-13 13:19:57)
38.  秋刀魚の味(1962) 《ネタバレ》 
時代を感じます。そりゃあそうだ。いま40歳の私よりも20歳年上のこの映画。しかもその映画を当時見ていた人たちとするなら、現在80代半ばくらいの人たちの時代向けに作られた映画ということだ。  恋愛結婚ではなく家庭同士で縁談としてまとめる、仕事の同僚がやたらと家庭内の縁談事情に口うるさく突っ込んでくる、女性に歳を聞いてズケズケと早く結婚しろとせっついてくる。すごいな、今の時代にはどれもない。そしてそのどれもが私の感覚では鬱陶しく煩わしく感じるものだった。やはり文化が違うんだな。そう思った。この頃はやはり家として縁談をまとめる、ということが大切にされていた時代なんだろうか。時代は感じたが、そんな時代の中にも抑圧されてきた女性たちの気持ちの鬱屈が見てとれた気がしました。劇中に出てくる女性は元気にバーを経営しているマダム以外、みな何かに不満そうであった。男たちはそんなことどこ吹く風という体であることもまた時代を感じる。想い人でない男性との見合いを承諾したあの様子を見て、「あー、納得してくれたみたいで良かった良かった」と安堵する父親と長男の会話は道化的で逆に失笑として笑ってしまった。あれのどこに納得した感があったんだろう。涙を流すまでもなく、路子が何かを訴えたいことはすぐわかるだろう。 それとも共通する点だが、男たちの傍若無人ぶりがすごい。この時代なら当たり前だろうが、男たちの「男は仕事、女は家事」の意識がすごい。ここまでやるか、と驚くくらい。そういった古い意識に抗い始めた女性たちの姿を見て、当時からそういう流れがあったことを知れたことは驚いたし興味深かった。  合わせて、若い女性の年齢を聞く時「3かい、それとも4かい?」というふうに20を省く言い方から、根底に20代で結婚するのが当然という風潮が感じられたり、「五万円」というのが今の貨幣価値だとどのくらいかすぐに換算できないあたりが、同じ国の話でありながら色々カルチャーショックでした。面白かったです。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-11-12 11:21:11)
39.  宇宙でいちばんあかるい屋根 《ネタバレ》 
近所のお兄さんへの憧れ、複雑な家庭環境、学校でのSNS絡みのゴタゴタ、など題材としては昨今よく見るもので特に真新しいとは思わないんですが、つばめと星ばあのやり取りが秀逸すぎて楽し過ぎた(笑)実際会ったこともない誰かと誰かのやり取りだけで笑ったのっていつぶりだろうか。とても楽しく、心が和むやり取りだった。  特に個人的な感想として、つばめがすごく大人だなぁと感じた。あの家、つばめの態度次第では崩壊してますよね。なのに父親はつばめの側に立ってる気配がほとんどなくて自分の都合と新しい奥さんと子供のことが優先のように思えて、そこがすごく違和感でした。母親のひばりと会ったと伝えた時ももっとなんか言うことなかったのか。つばめに対しても、自分の恋愛事情を棚に上げてやたらつばめの恋愛事情をいじろうとするが、自分の立場わかってるんだろうか?娘の立場なら普通不快ないじりでしかないことがわからないのかな。つばめ側にそれを受け入れてる様子もありませんでしたし。つばめの態度が軟化したことにかこつけて距離をつめにきたように見えた。なんか、ずっこい。あの父親だけ不満です。  桃井かおりさんの星ばあはとっても良かった。ぐだぐだとくだを巻きながら時々核心をつくそのしゃべりや、なぜか不思議なことができるところ、そして謎の包容力。見ていて安心できますね。登場シーンこそ不安だらけでしたけど(笑)  「屋根を見ればどんな人が住んでるか大体わかる」 ふとそれを思い出して周りの屋根を見てみました。意外と屋根なんて見ないもんですね。こんな色してたんだ、瓦かな、スレートかな、あの材質はどっちだろう、などよく見ると色々普段見えてないことがわかりました。  映画とかだとよく屋上のシートンとかありますが、現実にはなかなか屋上に行ける建物とかないもので…少し、憧れます。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-11-11 17:55:29)
40.  アルプススタンドのはしの方 《ネタバレ》 
とてもこだわりを感じる映画です。タイトルのとおり、アルプススタンドのはしを中心に映し続け、出演するのは数名の生徒と一人の先生、その他応援の生徒のみ。野球の試合であるにもかかわらず選手やグラウンドは一切映されません。出てくるのは名前のみ。相手の4番、松永くんと、こちらのエース園田くん、そしてヘタクソな努力家、矢野くん。名前しか出てこないにもかかわらず、この三人は驚くくらいキャラクターが立っていました。一瞬たりとも顔どころか姿も見せない、声すらもない、そんなままでここまで人を描くことができるのかと、感動を覚えました。素晴らしい映画です。  私も彼らのように「アルプススタンドのはしのほう」に陣取るタイプです。賑やかに応援するエリアを避け、やや静かな空間を見つけてそこを自分の居場所にする、そんなタイプ。そんなタイプの四人が集まって、「なんで野球だけ特別扱いなんだろう?」とか「送りバントって何?」とかあまり真剣に野球を見るでもなく応援するでも無かった。しかしそんな四人のうちの一人が先生の熱意に同調し、園田くんを応援する秀才・宮下さんもそれに続き、二番手ピッチャーを運命付けられて部を辞めた藤野も続き、最終的にみんな気づいたら声を張り上げて応援していた…。 ある意味グラウンドとスタンドは別世界なのかなと思いました。選手たちはグラウンド内で自分たちの闘いをするわけですが、スタンドのほうはある意味で試合そのものとは関係なく、そこにいる人たちがそれぞれ自分と野球、それと選手たちとの関わりを見つけそれを試合や選手に投影して楽しんだり応援するものなのかな、と。  私も正直野球の応援というのがそんなに好きではない。サッカーやバスケは学校をあげて応援なんて全国レベルの強豪校でもない限り無いのに、なんで野球だけは一回戦から、しかもそれほど強くも無い無名の学校でもみんなで応援に行くのが当たり前のような雰囲気があるんだろう、と、作中のセリフそのままのことを私も思ってたので、強く同調しました。この映画を見てもそのあたりの疑念を払拭はできませんが、でも頑張る誰かや好きな誰かを一生懸命応援するというのも良いもんだなと思いました。姿も声も聞こえてきませんが、矢野くん、最高です。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-11-08 21:12:41)
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