381. 幼な子われらに生まれ
《ネタバレ》 これは女性監督にしか撮れない映画ですね。 男性だと、女性の潔癖症の前で、怯えるか、逃げるか、暴力を振るうか、とか そんな内容になってしまう。 でもこの映画は、嘘だらけの家が、心を取り戻す過程を描いてる、大変な映画です。 それも二人の長女がカギなんですよね。 再婚相手の長女とうまくいかず、前の奥さんの間の長女が新しい父親の死に動揺する。 無責任な言い方ですが、二人の長女が、浅野さんのなかで一つになったとき、 浅野は心を取り戻す、という内容です。 こんなこと、現実に起きるかどうかはともかく、浅野の再婚理由に邪心がなかったからだと思います。 宮藤官九郎の寂しさも堪えました。 名作です。ちょっと泣きました(笑) [DVD(邦画)] 8点(2018-05-12 15:06:02) |
382. 関ヶ原
《ネタバレ》 甲冑をしての合戦映画でこれほどリアルなものははじめてだ。 常日頃、あんな重そうな甲冑をして、戦などとはと思っていたので、勉強になった。 政争劇に終わりそうなところを、三成と初芽のロマンスを入れて、 非常に観やすい時代劇となっている。 原田監督の手腕である。 実際、広い原野での合戦をイメージしやすいが、野をかけ、山をかけ、本当の合戦とはこんなもんだったんだろうと思う。 とてもリアルで、見応えがあった。 [DVD(邦画)] 7点(2018-05-12 11:08:32) |
383. 静かなる決闘
《ネタバレ》 黒澤監督の医者映画第2弾。 今回は理性対欲望という、男なら非常に共感の多い映画だ。 こんな映画は平成になっても映画を観続けた自分が、未だかつてお目にかかってない。 でも文学では頻繁に取り上げられる題材だ。 黒澤監督は分かりやすく、話にダレがなく、一気に見せてくるので、楽しみやすい。 看護婦の千石規子が魅力たっぷり。 どこか有働アナに似ている。 さわやかなラストに救われる。 [ビデオ(邦画)] 8点(2018-05-09 07:49:53) |
384. 素晴らしき日曜日
《ネタバレ》 黒澤監督のアイデアと映画愛の詰まった一作である。 世のアベックに言いたい。 男女のカップルに正解、不正解はないだろうと思う? でも、この映画の二人のように、音楽の聞こえる二人になろうよ! 是非、カップルで観てほしい一本。 [ビデオ(邦画)] 8点(2018-05-06 23:16:12) |
385. 影武者
《ネタバレ》 ここまで映画を観てきたから、言える。 黒澤監督ほど、創る映画が全部、傑作な監督は世界を探したって、いない。 しかも同じことは2度やらない監督で・・ 日本が誇る大巨匠である。 昭和といって、食わず嫌いをする平成のクリエイターに言いたい! 黒澤明を観ないと、人生損ですよ! 影武者は、自分の中では黒澤監督のシェイクスピアへのリスペクトかな?と思ってた節がある。 でも、それは「乱」「蜘蛛巣城」だった。 本作は、日本の戦国史の、日本国民への黒澤監督からのプレゼントだ。 これは是非、国民みんな観るべきだ。 黒澤時代劇は、観ておかないと!ホンットに!! [DVD(邦画)] 10点(2018-05-06 23:11:52) |
386. 白痴(1951)
《ネタバレ》 さすが黒澤監督、圧巻である。 4時間ほどの映画を短くしたことに対する不満もあるが、 短くなったおかげでクライマックスの原節子と久我美子の対決がより鮮明になった気がする。 原節子の演技がこの映画の命だ。 とくにクライマックスでの表情は、小津さんなどの映画に出ている原節子とは全く違う。 ここまで女優がむき出しの演技をしている映画はあまりないのではないか? ラスト、主人公の青年はどうなったのだろうか? 伝言少年の嘆き「あの人のいいとこだけを思い出に・・」とか言ってたが・・ 三船が気がふれてきた場面から一体何が起こったのだろう・・う~む これは原作を読むべきかもしれない・・ いずれにせよ、この作品のおかげでドストエフスキーに興味をもった。 黒澤監督がラブストーリーを撮らないのは、これ一本でもう十分だからだろうなぁ。 いや、唸った。唸った一本だ。 10点満点だが、縮小版のため、この点数。 [DVD(邦画)] 9点(2018-05-05 10:04:24) |
387. 黒部の太陽
《ネタバレ》 三船敏郎、石原裕次郎!監督は熊井啓! この日本映画の全力投球ぶり! すごいっよね~! ゼネコン土建屋の現場の凄まじさが分かる。 まるで戦場のような緊迫感。 束ねる人間も半端じゃ務まりっこない。 破砕帯との戦いがメイン。 死闘する現場に、上の者も命がけで打開策を探す。 平成の今はよく知らないが、この頃はトップも猛者が揃ってたんだね。 もうただただ頭が下がります・・ [DVD(邦画)] 7点(2018-05-03 15:10:51) |
388. 橋のない川(1992)
《ネタバレ》 非常に正攻法な演出で、分かりやすい。 日常的な差別がさらりと描かれていて、観るものにズシリとくる。 特に二人の女の子とのエピソードが心に残る。 一人は差別とも、愛情ともとれる微妙な事件の女の子。 もう一人は、同じ境遇の中、戦いに身を投じていく女性。 宣言文との結婚式のシーンは圧巻である。 原作者の住井すゑさんの次の言葉が好きだ。 「文化というのは、簡単に言って、命を大事にする事。 これが文化なんです。命を大事にする事が、つまり文化国家なんです。」 [DVD(邦画)] 7点(2018-05-02 00:28:29) |
389. 蜘蛛巣城
《ネタバレ》 黒澤×シェイクスピア、第1弾。 ご存知「マクベス」の時代劇版。 これが後の「乱」へとつながっていく。 もう天才と言うしかない。 黒澤監督は30作、世に生み出しているが、どれも傑出している。 こんな才人はもう日本から出ないのではないか? 映像良し、ストーリー良し、静と動のバランス良し。 ただ「マクベス」を知らぬ人で、会話が聞き取りづらい人には、 あまり高評価はないかもしれない。 黒澤さんの作品でよくしゃべる映画は字幕で観たい。 ポイントのマクベス夫人を山田五十鈴が演じるのが凄い! [DVD(邦画)] 8点(2018-04-14 18:05:40)(良:1票) |
390. FAKE
《ネタバレ》 耳の悪い人は、きれいに喋れない。それが頭にあったもんだから、映画冒頭は佐村河内氏の人とのやりとりが気持ち悪かった。 だって滑舌いいんだもん、彼は!この嘘つき野郎と思いだすと止まらない。 で、始まって何分かして観るのを止めてしまった。 時間を置いて、せっかくだからちゃんと観ようと思い、また観始めた。 某テレビ局のいかがわしい営業マンが画面に出てきてから、氏のしゃべりが気にならなくなり出した。 そりゃ嘘つきだらけだもんね、世の中は・・。持ち上げられなきゃ叩かれることもないだろうに・・。 障害者の友だちが氏を訪問してくるあたりから、もう好きでも嫌いでもなくなりだし、でラストのクライマックスである。 もうやられました。このラストの曲が氏の曲なら、俺ももっと聞きたいよと思い、某レンタル屋に行ったところ、 なんと無い!新垣氏のはあるのに・・。ショックだわぁ・・。youtubeで聞くことにしよっと。 ヤラセとの解釈も成り立つ。そこは観る人次第ですね。うん!この映画は面白い! 耳が聞こえなくても作曲はできるってホントなんだね。ベートーベンもそうだし・・。 やはり本物ってこんな苦労もするんだなと思いました。 [DVD(邦画)] 8点(2018-02-18 00:06:20) |
391. 瞼の母
《ネタバレ》 山田洋次の「男はつらいよ」は、これが原型だったんだろうね。 寅さんの母親のミヤコ蝶々のイメージは、これがヒントじゃなかろうか、と思った。 寅さんのしゃべり方って、腕っぷしが強くないのをのぞいたら、股旅のそれだもんね。 そういう気づきがありました。 で、本編なんだけど、分かりやすい話に、分かりやすい展開。 大事にしたいよね、こういう分かりやすい演出。 人情ものってしみじみしてて、いいなぁ。 この映画の後、おふくろに優しく接しちゃったもの(笑) [ビデオ(邦画)] 8点(2018-02-13 00:40:51) |
392. 隠し砦の三悪人
《ネタバレ》 圧巻!天才の仕事ぶりを堪能できた。 絶体絶命の敵中突破。 特に素晴らしいのが火まつりの場面。 文句なしの10点。 [ビデオ(邦画)] 10点(2018-02-12 08:30:02) |
393. あゝ、荒野 後篇
《ネタバレ》 いやぁ、近年観た邦画の中では文句なく観応えがある方だ。 最後まで観て、エンドロールでやっと原作が寺山修司と知った。 そりゃあ、昭和の臭いがするわけだ。 でも何で平成の今、これを創ろうと思ったのかな? 早速、図書館でキネマ旬報のバックナンバーでチェックしようっと。 とにかくボロジムに二人が入会した時点で、あぁこりゃ二人の死闘で締めくくるなとは思ったけど、 そこに至るまでの過程が本当に厚みがあって、良かった。 前篇とは違い、後篇はヤンイクチュンが存在感を見せ、目力のつよい菅田将暉との死闘までの流れをつくる。 キネマ旬報の主演・助演男優賞をこの二人で勝ち取るくらい、二人が魅力たっぷりでね。 ユースケ・サンタマリアも、でんでんも魅力充分で、いつまでもこのメンバーの話を見ていたいなぁと思うくらい。 でもラストがあれとは・・。 ちょっと切ない。 ヤンイクチュンの切なさすぎに、マイナス1点の9点献上! [DVD(邦画)] 9点(2018-02-10 21:28:54)(良:1票) |
394. あゝ、荒野 前篇
《ネタバレ》 面白い! ボクシングものとしてもよく出来てるが、そこに自殺予防サークルや3.11を微妙にトッピングしてくるのが、平成風で良い。 後半、これらの要素がどう絡み合うのか、楽しみでしょうがない。 連休使って、楽しんでます♪ さて、後半へ! [DVD(邦画)] 8点(2018-02-10 15:33:52)(良:1票) |
395. 彼らが本気で編むときは、
《ネタバレ》 皆さんの言われてる通り、確かに難しいテーマをさわやかにさらりと描いています。 荻上監督らしい一品だと思います。 昔から、ゲイの人たちと子どもの相性はいいみたいです。 そのような映画が多いですもんね。 始まりは「非バランス」あたりからでしょうか・・。 でも、リンコさんが引き取って子育てをしてみて、難しい年ごろになった時の女の子と格闘してみて、 本当の「母親」になるような映画も観てみたいです。 こうなるともうメルヘンではなく、人間を描いた大作ですね。 でも日本映画界に居並ぶ有能な女性監督たちに、是非挑んでいただきたい内容だと思ってます。 にしてもトモちゃん、いいですね~。 何かこの子役の俳優さん、将来、活躍してくれるんじゃないかって思いました。 [DVD(邦画)] 7点(2018-02-03 19:20:51) |
396. 武曲 MUKOKU
《ネタバレ》 面白かった。熊切監督は名もない人たちのドラマを撮ったら、本当にいい作品を仕上げてくる。 今作は一見なさそうだが、どこにでもあるような親子の話をデファルメしたような作品だった。 「親殺し」の自責につぶされそうな青年を綾野剛が熱演している。 そして台頭してくる若手に個性的な青年、村上虹郎を配すとこなんか絶妙である。 そしていつの日か息子につぶされるのを分かっている父親の小林薫。 涙なしでは見られない。 綾野が悶絶する場所は、お寺こそふさわしい。 実に重厚なドラマだった。 ラストの清々しさがまた良かった。 まるで一曲の音楽である。 まさしく武曲! [DVD(邦画)] 8点(2018-01-21 10:29:50) |
397. 22年目の告白 -私が殺人犯です-
《ネタバレ》 面白い!入江監督はSRシリーズでファンになりました! ただ夜の描写がみづらいのと、女性をあまり動かさないんですよね。 話の二転三転ぶりは見応えありました! 画面から集中力切らさない演出もすごいと思います。 楽しみな監督の一人です! [DVD(邦画)] 7点(2018-01-20 22:18:34) |
398. 映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ
《ネタバレ》 日本中どこ行っても、問題だらけなので、東京だけが不安を抱えているわけではない。 でもかなり昔、東京にいた頃を思い出しながら、この映画を観た。 相変わらず、別れた、やり直そうとかの言葉が連発する街ではあるが、 それでも不安定な人との付き合いの中で、大きな不安を抱えつつも、自分を見失わぬよう 必死で踏ん張っているカップルに拍手。 池松壮亮が主役だが、意外や意外、純愛映画で、 それがまた東京の映像にマッチして心地いい。 映像がきれい。 特に夜のシーンは、まるで大友克洋の近未来のような色合いで見事です。 DVDが欲しくなる一本ですね。 [DVD(邦画)] 9点(2018-01-20 14:38:33) |
399. 3月のライオン 前編
《ネタバレ》 将棋のような動きの少ない勝負を、棋士の表情で見せきってしまう、その力量に唸ってしまう。 さて後編へ。 [DVD(邦画)] 7点(2018-01-15 11:48:58) |
400. 3月のライオン 後編
《ネタバレ》 藤原さくらの「春の歌」が流れるエンドロールではもう泣けて泣けて・・。 おじさんを泣かしてどうすんの、って位のラストへの話の収れんの仕方。漫画が原作だからエピソードがてんこ盛りなんだろうね。 後藤との対局と、守りたい温かい三姉妹の決断と、自分を育ててくれた家の修復していく過程と、 それらが一気に収れんしていく様は、本当に見せ場中の見せ場だった。 面白かったです。 [DVD(邦画)] 7点(2018-01-15 11:46:38) |