401. 人間の條件 第三部 望郷篇
《ネタバレ》 第2部で前線に送られた梶。 彼のまっすぐさは、ここでも変わらない。 オバラの自殺に隊の行き過ぎた虐めを糾弾する。 ミチコの訪問もいい。 裸を見せてくれというシーンが好きだ。 男だらけのこの軍隊の世界、看護婦の登場でホッと一息つける。 (婦長は怖いけど・・) さて第4部は? [DVD(邦画)] 7点(2020-03-21 12:12:03) |
402. 関東緋桜一家
《ネタバレ》 オールスター競演抗争もの。 丁度同じ年にアメリカで「ゴッドファーザー」が公開されたのは、偶然か? マキノ監督なりにあの作品に喧嘩を売ったのではないか? 敵も味方も腕に覚えのある剣客をそろえて、 組同士の抗争ものである。 そして我らが藤純子は、組の頭として最後は大立ち合いを見せてくれる。 女性に殺陣をやらせたらどうなるか? マキノ監督と藤純子の真骨頂である。 時代は明治末期。時代考証も見ものである。 藤純子が富司純子に代わる最後の作品でもある。 [DVD(邦画)] 7点(2020-03-15 22:19:15) |
403. 昭和残侠伝 死んで貰います
《ネタバレ》 何でこんなに泣けるんだろう? メロドラマじゃないのにね。 姐御役ではなく、可愛い芸者役の藤純子。 「アタイ馬鹿だけど・・」の台詞が切ない。 高倉健とのマッチングが最高です。 権利書を取り返すのに、お世話になってる親分が殺されてしまう。 もうこの辺から、ヤクザの世界の凄まじさが出てくる。 健さんもカッコいいが、池部良が堅気の凄まじさを現わしてくれてる。 二人で斬り込みに行くときの、健さんの歌「唐獅子牡丹」(4番、5番)が 聞かせてくれる。 [DVD(邦画)] 7点(2020-03-15 18:36:32) |
404. サッドティー
《ネタバレ》 面白い! 今泉監督は、ワンルーム映画と言える 日本ならではの、ラブストーリーを綴るのが上手い! 令和(創られたのは平成だけど)時代の若者がよく描けてる。 一言で言うと、令和日本のエリックロメールだ! [DVD(邦画)] 7点(2020-03-07 17:31:19) |
405. 忍びの者
《ネタバレ》 仏をも恐れぬ信長が、延暦寺、一向一揆のつぎに 目をつけたのが伊賀の忍者たち。 殺られる前に殺れ。 信長を暗殺すべく、仕向けられた忍者のはなしである。 しかしそう一筋縄ではない。 忍者の親方はかなりのしたたかな人。 雷蔵演じる信長の刺客の忍者は、その親方がその忍者の親を殺すところから、 任務を全うするよう、練り上げられた忍者だった。 刺客の忍者は、愛を知り、それに気づくが、結局任務を遂行する。 ここで信長が死なないところは、歴史を知っていれば分かる。 かくして、天正伊賀の乱で親方は朽ちる。 最後、愛する人のところに戻る、元忍者の笑顔がまぶしい。 しかし、続編があるぞ?むむむ。ハッピーエンドではないのかしらん? [DVD(邦画)] 7点(2020-03-04 23:48:43) |
406. カナリア
《ネタバレ》 12歳の女の子が、大人のロマンスをしてる。 そこにドキドキがある。 自分の慕う信者の改宗。 そもそもが出家したのは、母と一緒だったから。 その母を失い、絶望の中、由希の「私が一緒に死んだる」の一言。 こんなラブストーリーを12歳の少年少女が経験することの どこか心のツボにストレートに刺さる話。 塩田監督の映画は、どこか心の琴線に響く話が多いですね。 [DVD(邦画)] 7点(2020-02-29 12:36:38) |
407. 新聞記者
《ネタバレ》 ありそうでなかった霞が関を舞台にしたサスペンス映画。 最後の「ごめん」の一言が、若い松坂桃李君に似合ってる、大人への苦い味。 結局、上司の死で感情的になった若い官僚の暴走なのか・・う~む・・ 最後の上司の手紙も、アメリカ映画なら偽装なのかも?なんて疑って観るが、 ここは日本。 「この国の民主主義は形だけでいいんだ」という今の上司の一言。 アメリカ映画なら確実にスナイパーの場面があるだろう。 (ボーンシリーズの見過ぎ?(笑)) 女性の新聞記者があまりにも可哀そ過ぎ。 日本の女優には、やらせられないよな~。 キワド~イ映画だった(笑) [DVD(邦画)] 7点(2020-02-22 17:58:42) |
408. 四万十川
《ネタバレ》 丁寧な作品で、心情の動きが細かく描かれている。 NHKでタモリが四万十川を歩いている番組があったので、 映画の背景がつかみやすい内に鑑賞した。 沈下橋や台風で氾濫する四万十川など、うまく話しに取り込まれている。 川と共に住む人々なので、稲作などの農業はそう盛んではない。 だから、そこに住む人の家族と工事現場作業員などの一時的に住んでいる人の家族との別れがある。 この話では、父親の事故により、しっかりものの長女が隣の県まで出稼ぎに行く別れもある。 思春期の別れは強烈なインパクトがある。 そこを静かに丁寧に、アツくんの成長を通して描かれている。 まだ列島に経済成長の勢いがあった頃で、 四万十川流域の学校にもたくさんの生徒がいた頃の話だ。 令和の今となっては、隔世の感がある。 [ビデオ(邦画)] 7点(2020-02-09 00:28:20) |
409. 居眠り磐音
《ネタバレ》 いや、これはシリーズ化すべきでしょう! とぼけていると思えるほど、切れ者のおっとり磐音。 生活は貧しく、周りのみんなも手を貸すほど。 ところが映画前半に描かれてる彼の背負った痛み。 どうもそこに釈然とせぬ、何かがある。それは本編では語られない。 また彼の心から恋い慕う幼馴染が、やはり前半での出来事ゆえ、 生活が追い詰められて、吉原の世界に入っていく。 頭も切れ、剣も抜群、性格もおっとりして好青年の磐音だが、それを 阻止できぬラスト。 もう切なくて・・ 是非!彼女との恋の結末を描くシリーズ化を! [DVD(邦画)] 7点(2020-01-19 18:45:57) |
410. 七つの会議
《ネタバレ》 池井戸潤の作品、おっもしろいなぁ! サラリーマンの哀しさを描きつつ、こうあるべき理想を語る物語。 これも野村萬斎のユーモアさがあって、楽しく見れました。 次の池井戸作品が楽しみです。 [DVD(邦画)] 7点(2020-01-18 17:42:02) |
411. アルキメデスの大戦
《ネタバレ》 面白かった。 ラストの二転三転する心理描写は、見応えあった。 山崎監督の中では、この作品が一番好きです。 さて、この調子でオリンピックの総合演出をお願いしますよ~ [DVD(邦画)] 7点(2020-01-13 19:20:32) |
412. 止められるか、俺たちを
《ネタバレ》 若松監督の作品は数本しか観てないが、異質な監督だとは思ってた。 こんな人だったんですね。納得したような気も・・ 井浦新がこれからも増々面白い何かをしてくれそうで期待がもてそう♪ ※めぐみちゃん考 彼女の母親は2度離婚し、父親にも会ってないめぐみちゃんは、 幼稚園の頃、おばあちゃんに育てられ、母親が時々会いに来るという環境で育つ。 カメラマンの彼には、父親を求めたのかもしれない。 子どもができた時、若松から離れ、カメラマンと家族を持つこともできたかもしれない。 しかし、若松の下にいて、彼との対決をしなければ、彼女は自由になれない。 若松が憎く、また愛していたのかもしれない。 彼女は、性に悶える映画を撮り続ける若松に、そのことにこだわるあまり、 生を軽んじている彼に、自分の死をもって、対決したのかもしれない。 僕は、その後の若松からどんな映画が生まれるかを描写しなければ、 この映画は完結しないと思う。 結局、エネルギーの塊の若松を越えることなどできないのだと言ってる感じがする。 [DVD(邦画)] 7点(2020-01-11 13:04:46) |
413. 縮図
《ネタバレ》 新藤兼人と乙羽信子のコンビ。 乙羽信子さん、きれいですね~。 チャキチャキしていて、魅力あります。 で内容の方は、貧しい故に芸者に売られた娘の生涯。 売られていく娘に対し、父親がひたすら靴づくりの仕事に没頭する。 父親の気持ちは堪らないものがあったろうな。 芸者たちの色々あるが、それでも生きていこうとする気持ちに 芸者道があるような気がした。 [ビデオ(邦画)] 7点(2020-01-05 12:31:07) |
414. 人間の條件 第二部 激怒篇
《ネタバレ》 観てたら、「大脱走」みたいな映画に思えてきた。 でも管理する側を描いてる。 ヒューマニストの仮面をかぶった殺人鬼か、「人間」になるか、どっちかの瀬戸際で 主人公はどういう行動をとるのか? おそらくこのシリーズの肝の部分だろう。 が、果たして、主人公は「人間」にはなったが、戦争に狩り出されることになる。 この映画が、日本軍の中で起こっていることが、怖い。 [DVD(邦画)] 7点(2019-12-17 12:14:24) |
415. 人間の條件 第一部 純愛篇
《ネタバレ》 見応えあり。 戦時中の、満州での中国人への労務管理。 そこに理想に燃える若者が新婚でやってきた。 こりゃ、今にも爆発しそうなところに、カンカンに焼けた鉄の球が 放り込まれるようなもの。 かくして、まぁそうなるわな~という展開になる。 以下、第2部へ! [DVD(邦画)] 7点(2019-12-14 23:55:14) |
416. 海は見ていた
《ネタバレ》 吉岡君と永瀬君の二人が出ている時代劇は「隠し剣」の前にもあったんですね。 むしろ「隠し剣」は山田洋二監督が吉岡君の汚名挽回に創ったのでは、と思ってしまうくらいです。 この映画、自分は好きです。 黒澤さんの創りたかった映画なんですね。 自分には描けぬ世界はないと悔しがったからかもしれませんね。 それほど女郎たちの見てる世界はドラマ性に長けているんだと思います。 監督が熊井啓だというのも話題性をもちます。 なんで、熊井監督なんだろう?というのが正直な気持ちでしたが・・ [ビデオ(邦画)] 7点(2019-12-03 03:25:34) |
417. わらびのこう 蕨野行
《ネタバレ》 強いものが試される試練の道かと思いきや、 実は死への片道切符のわらびのこう。 つまり「楢山節考」の続編みたいなものである。 現世のおつとめを最期まできちんと生き抜く。 教えられることの多い映画だった。 [インターネット(邦画)] 7点(2019-12-01 02:30:02) |
418. 笛吹川
《ネタバレ》 武田信玄の領土の農民。 息子たちが武士になっていく。 次男は長篠の戦で、信玄側の武将がいっぱい死に、 自分らにも出世のチャンスが来たとばかりに武士になる。 が、武田側の凋落に敵側に寝返りするものが続出する中、 兄弟全員、追い詰められて、死んでしまう。 木下恵介の戦争反対の論調も確かだが、何より彼の戦時中の「陸軍」を思い出させる。 「陸軍」では田中絹代が日本軍の行進の中に息子の姿を見て、追いかける短いシーンがある。 そこがこの映画では、武士の進軍の中、母親が息子に追いすがり、行くなと訴えるシーンが 長く展開する。木下恵介は時代を変えて、この場面を描き直したかったのではないか? そんな気がした。 [DVD(邦画)] 7点(2019-11-30 18:26:23) |
419. 宮本武蔵 巌流島の決斗
《ネタバレ》 宮本武蔵、ここに完結! 人間を成長させるために、剣の道を極めた武蔵であったが、 矛盾だらけの人生に、小次郎との戦いの後に吐き捨てるように言う。 「しょせん剣は武器か!?」 武蔵の自己矛盾に悩むとこも深堀りしてほしかった。 お通の言ってることも興味深い。 「非情なのは、剣じゃなく、あなただ」 う~ん、この時代にあって、情けは人のためならず、は通用したのか? 武蔵の姉は?ジョー太郎ちゃんは?話の収集もきれいではないし・・・ いずれにせよ、見ごたえある五部作だった。 日本映画の長いシリーズも挑み甲斐があるね。 [DVD(邦画)] 7点(2019-11-17 00:19:47) |
420. 血槍富士
《ネタバレ》 主君の敵にと下郎に討たれた侍の処分。 下郎の手柄は主君の手柄。 そんな立場の人間であるから、侍は常に厳しい立場にある。 よって下郎に討たれるような侍はおらぬ、とのお上の判断。 そんな結末を、ラスト30分くらいで見せる。 それまでは町人、侍交えての朗らかな人間悲喜劇模様が描かれる。 朗らかな後に、10分くらいの血なまぐさい殺し合いが描かれる。 伊藤大輔の味であろう。 人間として、下郎の立場を見つめ続けた彼の真骨頂時代劇である。 [ビデオ(邦画)] 7点(2019-11-14 22:33:36) |